前回は「叢生(乱杭歯=らんぐいば)」についてお話しましたが、今回は「反対咬合(はんたいこうごう)」についてです。
「反対咬合」とは
一般に「受け口」と言われているもので、連続して「数本の歯(とくに前歯)」が上下逆さまに咬み合っている状態のことです。ふつう「受け口」というと、前歯の「反対咬合」のことを指しますが、重症になると前歯から奥歯まで「反対咬合」となることもあります。遺伝的な頭蓋骨の形の違いから白色人種にはほとんどなく、黄色人種に多い不正咬合です。「反対咬合」は、原因や症状が多様で、治療を始める年齢によって、治療方法が異なるため、症状の診断と治療が難しい不正咬合の1つです。
原因について
いくつかの原因がありますが、大きく分けると2つあります。
(1)歯の傾斜異常によるもの
歯が生えてくるとき、上の前歯が内側に傾いたり、下の前歯が外側に傾いて生えてきて、そのまま定着して「受け口」になったもので、比較的軽症です。
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(2)上下の顎の骨格のアンバランス
上顎の骨が小さかったり、下顎の骨が大きすぎるため、「受け口」となったもので、遺伝等の影響が大きいといわれています。
治療について
今回は、(1)の歯の傾斜異常についてのみお話します。乳歯期は低年齢のため治療が困難なことや、永久歯に生え替わるときに自然治癒することがあるので経過観察のみ、となることが多いです。永久歯が生え始めてきたら、治療を始めるのによい時期です。この時期に歯の傾斜異常を改善し、後戻りがないように、経過観察をします。成人を含めて、永久歯がすべて生えそろっていれば、すぐに治療を開始することができます。
ここからが重要なのですが、子供は成長途中にあるので、「受け口」を放置すると、顎の骨の成長につれて、しだいに悪化し、(2)の上下の顎の骨がアンバランスに移行することがありますので、要注意です。
次回は、(2)の上下の顎の骨のアンバランスによる「受け口」の治療についてお話します。
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