最近、大人の患者さんから「歯並びを治したいのですが治るでしょうか」という質問を受けることが多くなりました。果たして、成人の矯正治療は必要でしょうか、また、治療できるのでしょうか？

健康で充実した人生のために
昔のように、「人生50年」と言われた時代には、人はまず、生きるために働き、健康とは病気にならないことを意味していました。しかし、平均寿命が80歳を越える現在では、「健康」の概念も変化し、肉体的にも精神的にも満足できる状態で、いかに生きるかが求められるようになってきました。ジョギングやスイミング、または、補助栄養食品の摂取などを含めたフィットネスの概念が浸透しつつありますが、これも「健康」や「快適に生きる」と言うことを得るために努力をするだけの価値があると考えられているからです。このような背景において、よく機能するきれいな歯並びは、虫歯や歯周病になりにくく、年を取ってからも食べる喜びをもたらしてくれるし、美しい笑顔は自分に自信を持って充実した人生を生きてゆく大きな助けになってくれるでしょう。

豊かな人間関係の為に
　昔から日本社会では、控え目な中に隠れた実力を周囲が評価する、といったよい伝統がありました。また、「不言実行」「以心伝心」などの美学があったので、歯並びはそれほど大きな意味がなかったのかもしれません。しかし日本が国際化されてくると、きれいな歯並びと笑顔で自分の意見をはっきり述べることがおたがいのコミュニケーションを深めるために必要不可欠となってきました。わたしたち人間は言葉を話すことによってメッセージを交換するが、それと同時にきれいな歯並びと暖かい笑顔は、例え意図しなくても相手に親しみをあたえます。また、素晴らしい笑顔の持ち主は、周囲の人達の心を和ませるし、また周囲の人から「清潔な人、品の良い人」と言った評価を得ることができるでしょう。

治療について
　成人の矯正治療は、ほとんどが子供の矯正治療と同様にすることができますが、成人ならではの制限もあります。基本的には、重度の歯周病でなければ年齢制限はありません。成人の場合、審美的な装置（舌側矯正装置）の使用も可能です。また、差し歯やブリッジが多い場合は、審美的な治療を併用したほうが、よりよい結果が得られる場合がありますので、くわしくはお気軽に相談ください。