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乾き目なのに涙目[結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)]Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶
白目(強膜:きょうまく)の表面は結膜(けつまく)という薄い膜で覆われています。その結膜は黒目(角膜:かくまく)から始まって外側へ伸び、数㎝外側でUターンして赤目(眼瞼:まぶた)の表面から瞼の縁まで戻ってきます。両手で薄い透明なビニール袋を持っている状態を想像してみてください。そのビニール袋の中に涙がたまっていて瞬きをする度に開いている側から涙が流れ角膜の表面を覆って潤してくれます。年齢とともにこの結膜がゆるんでだぶついてきてしまう方がいます。この状態を結膜弛緩症といいます。結膜弛緩症になると、例えば下瞼でゆるんできた結膜は上の方に上がってきて、下瞼の縁からはみ出して角膜の上まで飛び出して、下瞼の縁から白目の固まりが盛り上がって見えるようになっています。この状態になると、結膜の折り返し部分に涙をためることが出来ないため涙があふれて涙目になってします。でも逆に、折り返し地点に涙がちゃんとたまっていないということは瞬きをしたときに涙が黒目をきれいに覆うことが出来ず、すぐに涙が蒸発してしまいます。ですから、結膜弛緩症の方の問診票を見ると、「涙が多い」と、「目が乾く」の両方に丸がついている場合がよく見られます。そのほかに、シブシブする、イズい、目やにがたまる、涙が目尻にあふれるので目尻の皮膚が肌荒れする、といった症状も出てきます。治療法としては、結膜を引っ張って張りを持たせた状態で強膜に縫い付ける結膜縫合術(けつまくほうごうじゅつ)を行います。程度の軽い場合には電気焼灼等方法で簡単に行うことも出来ますが、引っ張って強膜に縫い付けることもあります。程度の重い場合には結膜を一部切り取ってから縫い付ける場合もあります。涙目だけれど乾き目、シブシブする、朝に目やにがたまっているという方は一度眼科を受診して結膜の状態をチェックしていただきましょう。
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今年の感染症の振り返り(2024年12月ハコラク掲載)Text by たからまち総合診療クリニック 院長 玉置 耕平
新型コロナ5類感染症移行して約1年半。函館市内の観光名所には活気が戻ってきました。大型客船入港や円安の影響もあってか訪日観光客も見かけます。普段の生活でマスク着用する方も少なくなり、新型コロナ流行前の「いつもの日常」が戻ってきた、そんな感じがします。2024年も年末に差し掛かりました。今年の函館の感染症流行を振り返ると大人は新型コロナの流行が主体でした。小児は溶連菌性咽頭炎、咽頭結膜熱、新型コロナなど多数みられましたが、特に手足口病の流行が印象に残っています。手足口病は3〜5日間の潜伏期間を経て口の粘膜・手のひら・足の甲または裏などに2〜3㎜の水疱性の発疹が現れます。発熱は約3分の1にみられ、一般的には軽症で経過し、発疹も3〜7日程で痂皮(かさぶた)を残さずに消失します。感染予防には手洗い、咳エチケットが有効です。発疹が消えた後も3〜4週間は便にウイルスが排泄されるため、特に手洗いは重要です。函館では8月〜9月頃に一度流行がみられましたが、函館保健所の報告では10月時点でも警報継続となっています。2回かかってしまったという方もいらっしゃるので、一度かかったとしても注意が必要です。また、各医療機関でインフルエンザワクチン接種も開始となっています。今年の特徴として鼻にスプレーするタイプのワクチンが国内でも正式に接種できるようになりました。適応は2歳以上19歳未満となっています。函館では接種可能な医療機関が少なく、ワクチンの種類や費用など従来のワクチンと異なる部分があります。接種を考えている方は一度かかりつけ医療機関にご相談ください。これからインフルエンザ流行時期に入っていきます。23年度の冬は2種類のインフルエンザに加え新型コロナも流行しました。中にはその3つ全てにかかってしまい苦労された方もいらっしゃると思います。今年度の冬がどのようになるかまだまだ予想がつかない状態ですが、手洗い・咳エチケット・必要であればマスク着用など十分な感染対策を行っていきましょう。
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皮膚腫瘍外科Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 大村 勇二
皮膚腫瘍外科は皮膚や軟部組織の腫瘍(しこり)を外科的に治療します。この治療を行うのは形成外科、皮膚科、整形外科で、皮膚の広範囲または筋肉などの深部にある腫瘍以外は日帰り手術が可能です。対象になる皮膚軟部の腫瘍は母斑、血管腫、粉瘤、脂漏性角化症、脂肪腫、眼瞼黄色腫、眼瞼汗管腫、石灰化上皮腫、血管拡張性肉芽種などがあり、手術件数の多い皮膚軟部腫瘍は母斑、脂漏性角化症、粉瘤などです。母斑は一般的にほくろと言われ、色調は茶色から黒色、平坦なものや盛り上がっているものなど形態は多様です。脂漏性角化症は加齢とともに日光がよく当たる顔面や頚部に生じる茶色から黒色のいぼ状の盛り上がった形態です。粉瘤は皮下にしこりとして現れ、感染を起こすと赤く腫れ上がります。感染が生じる前に切除すると傷痕も小さく、再発の可能性が少なくなります。皮膚腫瘍外科では頻度は少ないですが、皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫など)との鑑別が重要です。一般的に日帰り手術の流れは初診で診察、診断、血液検査、手術の説明をして、手術日を決めますが、色素疾患である母斑や脂漏性角化症などでは、腫瘍の出現時期、自覚症状、色素の濃淡など視診し必要であればダーモスコープという拡大鏡で診断して切除方法を決めます。このため母斑など色素性疾患の皮膚腫瘍でレーザーによる切除を希望する方がいらっしゃいますが、レーザーで母斑を蒸散させると、病理診断ができない問題があるため、母斑などの治療では皮膚がんとの鑑別を兼ねた切除することを勧めます。皮膚や軟部組織腫瘍の手術はほとんどが良性の腫瘍ですが、腫瘍が急激に増大したり、出血やかゆみを繰り返したり、色調に濃淡があり均一でない場合は自己判断せずに受診しましょう。
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おたふくワクチンを受けましょうText by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝
今年4月から始まったNHKの「連続テレビ小説半分、青い。」の主人公楡野鈴愛(にれのすずめ)は、おたふくかぜにかかったかはっきりしないまま、片方の耳が聞こえなくなり、病院でおたふくかぜによる難聴と診断されます。その後の主人公は、難聴であることをむしろ楽しんでいるような印象ですが、皆さんのお子さんがおたふくかぜで難聴になったらどうでしょう。予防できる手段があったのにと言われるかもしれません。おたふくかぜに伴う合併症をお母さま方に聞くと多くの方は男性の不妊と言われます。確かに、成人近くなっておたふくかぜにかかればそういう合併症もあるでしょう。しかし、本当に恐ろしいのは難聴になることです。鈴愛のように、おたふく風邪の症状がないままおたふくにかかっていたというのはおたふくかぜ全体の20%程度あると言われています。難聴になる頻度はおたふくかぜにかかった人の約1000人に1人と教科書的には書かれています。しかし、この十数年の間に出た論文を見てみますと、200ないし300人に1人という極めて高い頻度で合併するとの報告が多くみられます。この難聴は治ることはなく、ごくまれには両方が難聴になる場合があります。言葉を覚える前に両方の難聴になれば、子どもにとって大きな痛手になることは明らかです。難聴を発症するのはほとんどがおたふくかぜワクチンを打っていないお子さんです。残念ながら、現在でもおたふく難聴の治療法はありません。唯一防ぐのは、おたふくかぜワクチンを打つことしかありません。おたふくかぜワクチンの主な有害事象は無菌性髄膜炎です。ワクチンを打った後に熱が上がり、頭痛やおう吐がおこるというものです。一般的には後遺症はありません。おたふくかぜによっても同じような無菌性髄膜炎が起きますが、頻度は高く、ワクチンによるものよりは重症です。ワクチン接種は1歳の時と年長児、2回の接種が推奨されています。接種料金は各医療機関にお問い合わせください。
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男性の性(21)Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
『性に目覚める頃』というと「ふるさとは遠きにありて思ふものそして悲しくうたふもの」の詩人・室生犀星の小説を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、思春期「春を思う時期」の[春」を「性」に置き換えれば、『性に目覚める頃』というのは『思春期』とほぼ同じ意味と考えてよさそうです。ところで、その思春期の始まり、つまり『性に目覚めた時』はいつか?というと、女子では『初潮』というはっきりした徴候があり、昔は(今でも?)家で赤飯を炊いてお祝いしたりして非常に開放的であり、初潮以後は生理用品を携帯したり、その頃から乳房や臀部が発達して、見た目にも、「おそらくそうだろう」と世間的にも認知されるわけですが、男子の場合は、女子の初潮に当たる精通現象(最初の射精)が夢精にせよ自慰にせよ秘密裏に(つまりコッソリと)処理されることが多く、またその発来時期も、初潮のように熟柿が枝から落ちる如き自然な発来とはやや趣を異にしていて、最初の射精が思春期の始まりと一致しない場合が多々あります。陰茎・陰のう・精巣(睾丸)・陰毛の発達も衣服に覆われているため外見上は判断しにくく、背が伸び喉仏が出てきて声が低くなりヒゲがうっすらと(文字通り産毛に毛の生えた程度)生えてくると、「おそらくそうだろう」と判断されますが、精通現象については推測するしかないわけです。つまり、女子では『性に目覚めている』かどうかは、外見や行動から比較的容易に判断できるのに対し、男子では外見ではそう見えても、実際はまだ最初の射精がなく、まだ性に目覚めていない場合もあるということです。昔、花街や花柳界に生まれた男の子は、周りにその道のプロの女性が大勢いるため、筆下ろし(初体験)が極めて早く、初めての性交で初めて射精、ということが珍しくなかったそうです(羨ましい)。また江戸時代の大奥のように、将軍とその正室が年少の場合、正室にきちんと性技指導をする役職があったそうですから、男側がまだ性に目覚めていなくても、それなりに何とかなっていたようです。(つづく)
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