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『噛(か)む』ことと『食育(しょくいく)』Text by みはら歯科矯正クリニック 村井 茂
人間が持っている歯の形は、前歯は切るに適した肉食のための形、奥歯は、すり潰すための臼(うす)の形をしているため草食に適しております。石塚左玄が著書「食物修養論」で、人間は穀物食動物だと述べていますように、肉食獣に比べると切るための筋肉も弱く、また、草食動物の牛などに比べると、食道から直腸までの消化管の長さが、短く草食動物と言う事もできません。最近良く『食育』という言葉を耳にしますが、村井弦斎は小説「食道楽」下巻に「小児には徳育よりも知育よりも体育よりも食育が先き」とすでに書いております。食育基本法が平成十七年六月十日に成立しましたが、その内容はー一、食の大切さを知る。
二、食の現状を知る(自給率の向上)。 三、生産者と消費者の信頼関係から地域の発展を目指すーなどです。また、米国人、フレッチャーが提唱しているフレッチャーイズムのなかで、空腹を感じたときだけ食べ、十分に噛み砕き、すり潰し、唾液と混ぜることが、健康に大切であると述べています。石塚左玄、村井弦斎、フレッチャーに共通していることは、玄米など自然の食品を加工せず、丸ごと食べること、よくすり潰してから飲み込むことの重要性を唱えていることです。最近、開咬(かいこう)と呼ばれる、前歯がかみ合わない子が多くなっていると言われますが、歯並びが悪く噛む力が弱いと、口周囲の筋肉の発達が弱くなり、唇を閉じられない開咬状態になってしまいます。口が半開きになってしまい、口で呼吸し、鼻呼吸ができづらくなりアデノイドや鼻炎になりやすくなります。当然ですが、痛い虫歯があるとよく噛むことは無理ですし、よく噛める状態を作ることが、攻撃的・排他的な行動を抑制し、イライラが減ったり、キレにくくなり、ひいては、感謝の気持ちを引き起こします。顎(あご)・歯・頬(ほお)・唇・舌の正しいバランスが、食事をおいしいと感じさせ、満足感、心の豊かさを引き起こし、充実した生活を送れるようになるでしょう。『食育』の入り口は、「歯、口、噛むこと」から始まります。 |
慢性腎臓病(CKD)をご存知ですか?Text by 北美原クリニック 秋濱 寿賀子
最近、慢性腎臓病(ChronicKidneyDisease:CKD)という新しい病気の概念が注目されています。この慢性腎臓病とは、様々な原因で(糖尿病・高血圧・腎炎など)腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が3ヶ月以上慢性的に続く状態です。現在、日本には約1、330万人の慢性腎臓病患者さんがいるといわれていて、驚くべきことに成人の約8人に1人にあたる数です。この慢性腎臓病では①早期の段階から診断し治療を開始する②慢性腎臓病の患者さんは、心臓病や脳卒中といった心臓や脳の病気(心血管疾患)にもなりやすいことが分かってきています。そのため腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにつながります。この2点が重要です。CKD(慢性腎臓病)の初期には、ほとんど自覚症状がありません。貧血、疲労感、むくみなどの症状が現れたときには、病気がかなり進行している可能性があり、透析療法や腎移植といった治療が必要な末期腎不全に陥っていることもよくあります。このような自覚症状の乏しい慢性腎臓病(CKD)の早期発見に役立つのが、尿中のたんぱく質の濃度を調べる尿検査と、血液中のクレアチニンを調べる血液検査です。ぜひ積極的に定期的に尿検査と血液検査をうけてください。腎臓病の早期診断・治療は腎臓病に対する治療とともに、心臓や脳への治療にも繋がっています。
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大腸がん発見の新兵器Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
大腸がんは日本で最も多くの人がかかるがんです。死亡数では肺がん、胃がんについで第3位ですが、女性に限ると死亡数も第1位となっています[※1]。その大腸がんを発見する手段としては、便に血液が混じっていないかを調べる便潜血検査や肛門から内視鏡を挿入する大腸内視鏡検査などがあります。大腸内視鏡検査が最も確実な発見手段ですが、一方で検査を受ける方の身体的負担が大きく、羞恥心も働くため積極的に検査を希望する方が少ないのが実情です。そのような中2012年に大腸CT検査が保険診療で可能となりました。この検査は、あらかじめ目印となる造影剤を混ぜた前処置食を食べてCTを撮影し、がんやポリープと紛らわしい便(目印を含んでいる)を画像処理で消去することで、より鮮明な大腸画像を構築できるようになったものです。前処置としての下剤の服用や、肛門から細いチューブを入れて炭酸ガスを注入するなどが必要ですが、それでも内視鏡検査に比べると体への負担は小さくなっています。国内での研究では直径6mm以上の大きさのがんやポリープのおよそ90%が検出できるとされており、直径1cm以上の病変に対しては内視鏡検査に匹敵する精度があるとされています[※2]。検査をうける場合の注意点としては、この検査で異常が疑われた場合はあらためて内視鏡検査を受ける必要がある、ポリープ切除などの処置はできない、などがあげられます。この検査は現時点で保険の適用が「他の検査で大腸悪性腫瘍が疑われる患者」に限定されており、無症状の方が検診目的に保険でこの検査を受けることはできません。便潜血検査が陽性などで「要精査」判定となった場合の次の検査としての役割が期待されています。函館市内でも実施している医療機関がありますので、大腸内視鏡検査をためらっている方は検討してみるとよいでしょう。「※1」国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計(人口動態統計)」[※2]第10回消化管先進画像診断研究会発表
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男性の性(17)Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
去年の流行語に『草食系』とか『草食男子』というのがありました。Wikipediaによると、「協調性が高く、家庭的で優しいが、恋愛に積極的でないタイプの男性」とあります。草食動物の牛や羊やウサギには何となくセックスに淡白で小食、というイメージがあるので『草食系』という言葉もだいたい当たっているかもしれませんが、一方、馬も草食動物だけど精力の強さや性器の大きさを揶揄した『馬並み』という言葉もあるし、映画『ロッキー』の主役ロッキー・バルボアのリングネームは『イタリアの種馬』。
種馬と言う言葉を人間に使う場合は“女をとっかえひっかえする精力旺盛な色男”と言う意味だし、食欲に関しては大酒飲みの大食いに対して鯨飲馬食と言う言葉もあるから、馬だけは草食動物でも例外らしい。それはともかく、明治の文明開化前までの日本人の食生活は、山間部などで鳥や鹿やウサギを例外的に食する以外はほとんど草食+魚食であり、その後も昭和30年代後半まではほぼ同様であったことを考えると、肉食が一般的になったのはつい最近であることが分かります。 四方を海に囲まれ魚介類が豊富に獲れ、コメと言う世界一おいしい主食があり、さらにその品種改良に努めたことと、四つ足に対する殺生を嫌う国民性のためだと思います。もし、草食=恋愛(セックス)に積極的でない、肉食=恋愛(セックス)に積極的、という図式が本当なら、日本人は元々『草食系』で恋愛に積極的でなく、高度成長期からバブル絶頂期までの3〜40年間に肉食が進み恋愛(セックス)にも積極的になったけど、最近、元々の日本人としての性質を取り戻しつつあるという事になります。それでは、実際の性生活は日本と他国では、また、昔と今ではどう違うのでしょうか? それともあまり違わないのでしょうか?(つづく) |
止まるいびき ZZz~Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原亨
睡眠時無呼吸の人の多くは、昼間に強い眠気を自覚したり、一緒に寝ている人に大きないびきや呼吸停止を指摘されたりして受診します。はじめは、交通機関や一般の運転手の居眠り事故を防ぐのが主眼でした。中年人口の数パーセントに見られる病気だと思われていましたが、職域団体の男性従業員を対象に行った調査では、30%以上に睡眠時無呼吸が見られました。近年、こうした睡眠時無呼吸は高血圧、不整脈、心不全、無症状の脳卒中、肥満、糖尿病などの生活習慣病や心血管系の病気と密接な関係があることが分かりました。また、反対に、薬を飲んでもなかなか血圧が下がらない治療抵抗性の高血圧や夜間に脈が遅くなってペースメーカーを植え込み手術されるような人に、睡眠時無呼吸が合併していて、無呼吸の治療をすると血圧が下がったり、不整脈が改善したりすることも認められます。血圧が上がる原因としては、呼吸が止まると酸素が足りないので、息苦しくなります。水の中で溺れている時のように何とか息を吸おうと緊張します。夜間の血圧は日中に比べると低くなるのが一般的ですが、夜の血圧がこうした緊張感と浅くなった睡眠で高くなります。この結果、日中の血圧も高くなるように悪影響します。呼吸を再度始める時には、過度に胸の中の圧が変化するので、血管を傷めるような化学物質が放出されたり、酸化ストレス物質が増えたりして動脈硬化を進めます。これも血圧を高くします。不整脈や心不全も同じように無呼吸のために悪化するメカニズムが分ってきました。また、心不全を治療するとよくなる無呼吸もあります。循環器の病気と睡眠時の呼吸障害は密接に関係していました。気楽な独り寝も結構ですが、たまには、一緒に寝るのもよいことです。循環器を受診している人の中には、予想以上に睡眠時無呼吸が隠れていることが明らかになりました。無呼吸と不整脈や突然死の関連はまだよく分からないことが多く、今後、次第に明らかにされてくると期待されます。
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