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腸内細菌のお話Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原 亨
ヒトの腸の中には、100兆個の細菌が生きています。重さでいうと1㎏あります。いろいろな菌がいるのですが、野原によって生えている草花が違うように、ヒトによって腸内の細菌は種類が違います。「どんな菌が多いか」で、くさむらの特徴が決まるため、腸内細菌叢(ソウ=くさむら)と呼びます。便の中には、多くの種類の菌がいますが、乳酸菌、大腸菌、ビフィズス菌は、腸にいる有名な菌です。腸内細菌は、人間に寄生しているだけではなく、人体が作れない必須アミノ酸(タンパク質のもと)やビタミンを作って、栄養を与えてくれています。また、糖尿病・メタボリックシンドロームにおいても、腸内細菌が重要な役割を果たしていることがわかってきました。炎症やがんの発症に関係している菌もいます。狭心症の人では、バクテロイデス菌が減っているという報告があります。この菌は、肥満や認知症の人で減少しているとも言われています。病気を良くするタイプの菌を植え付けたり、善玉菌が産生する良い物質を薬のように作ったりすることは、将来、可能になるかもしれません。それまで、今できる体に良いことは、善玉菌を増やすように努力することです。腸内細菌叢の2割が善玉菌、1割が悪玉菌、7割が日和見(ひよりみ)菌と言われています。日和見菌が悪玉になったりして、善悪のバランスが変化します。なるべく善玉菌が多くなるように増やしたいものです。善玉菌を増やす食品は、食物繊維、植物性タンパク質、野菜果物、母乳などです。赤ちゃんが3歳になるまでの間に、母乳、兄弟の有無、住んでいる地域などの影響を受けながら、安定した腸内細菌叢のタイプが出来上がります。そうした中で、できるだけ、日和見菌を善玉に変身させたいので、納豆や根菜などを食べるとよいようです。反対に、悪玉菌を増やすのは、高脂肪食、動物性タンパク質、糖分、塩分、ストレスなどです。参考にしていただけると幸いです。
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コンピュータグラフィックスと矯正歯科Text by みはら歯科矯正クリニック 村井 茂
クオリティ・オブ・ライフ(QOL)は、一般的には生活の質とも訳され、患者の日常生活をどれだけ苦痛の少ないものにするかという意味で用いられております。医学、歯学の発達により、治療目標が向上し、ただ単に治すだけではなく、治療の手順、治療後の治り方まで考えておくことが当然となってきつつあります。開腹手術を行わないで、内視鏡手術が好まれるのも良い例と考えられますが、逆に、より高度な医療技術が要求されてしまいます。口唇顎口蓋裂(こうしんがくこうがいれつ)の治療、手術においても、30年前は、生まれた直後にぬいあわせて、矯正歯科治療も適用されていませんでしたが、現在では形成外科が担当し、形成外科医でもその得意分野としている医師のみが担当、矯正歯科治療も健康保険が適用され15年ほど経過してきました。また生まれた直後から、手術でよりよい結果を得るために、PNAMと呼ぶ、鼻の形や顎の形を矯正する目的の装置を入れるようになりました。その装置を作る際に用いられる模型もCT撮影を行い、その得られたデータから、立体模型をコンピュータグラフィックスにより構築します。さらに光造形法を用いて実体口腔(こうくう)内モデルを作製し、PNAM装置を作る方法を試み、一部実用化しております。今までは、歯科で使われる印象剤を用いて、生まれたばかりの赤ちゃんを、泣かせながら口の型をとる際に、危険性がありましたが、非常に安全なものとなりました。この方法は公立はこだて未来大学や、北海道立工業技術センターの指導により実現したもので、日本においても最先端医療方法です。函館には、医・歯学部を持つ総合大学がなく、組織同士の連携が取りづらいと思われがちですが、このように形成外科医、言語治療士、IT技術者、矯正歯科医など他分野の担当者同士が非常に密に連携を取り合うことで、考えたことがすぐに実現できる環境がここにはあります。また、北海道工業技術センターとの間で、このことに関して共同研究として取りあげていただいております。この方法を用いることにより、鼻の形態や、鼻中隔(びちゅうかく)の曲がり具合が良く分かるようになって、更なる治療法の可能性が考えられるようになり、患者さんや術者にとって、利益の多い、この分野では日本でも有数な治療を可能としております。
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新型コロナウイルスワクチンText by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
いよいよ日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まろうとしています(2月10日現在)。接種するか迷われる方もいらっしゃると思いますが、異例のスピードで開発されたワクチンだけに判断材料となるデータが少ないのはやむをえないところです。日本国内のメーカーもワクチン開発を急いでいますが、最初に使用されるのは米国ファイザー社の製品になりそうです。海外データでは有効率は95%(かかる人が20分の1に減ったという意味です)と高く期待がもてますが、一方で気になるのは副反応です。軽微なものが多い中で、アナフィラキシーと呼ばれる重篤なアレルギー反応は接種直後に蕁麻疹(じんましん)やのどのつまり感などの症状を発現し、さらに重症例では血圧低下・意識障害などをきたします。他のワクチン接種においても100万回に1回程度の発症があるとされてきましたが、今回のワクチンは100万回あたり5例にみられたと1月下旬に報告されています。当面は接種後15分から30分間ほど接種会場での経過観察が推奨されることになります。また日本人における正確な有効性や副反応の頻度は今後の大規模な接種例の蓄積によって初めて明らかになるでしょう。2月上旬の北海道の1週間あたりの新規感染者数は人口100万人あたり約120人です。感染者が他の人に感染させるのは2割くらいまでとされており、そのような感染者と出会う確率は数万人に1人くらいとなります。そのため感染した場合の死亡率が高い高齢者については、ワクチンを接種するリスクよりしないリスクの方が高いのではという意見もあります。改正予防接種法ではワクチン接種は国民の「努力義務」と位置付けられていますが、原則として接種を受けるのは任意となっています。私たちは、ワクチンのメリットとリスクを天秤(てんびん)にかけて判断しないといけません。
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涙道内視鏡(るいどうないしきょう)を用いた新しい治療Text by 江口眼科病院 昌原 英隆
冬になると涙が多いと気付かれている方も多いと思いますが、涙の分泌は冷たい刺激でより出やすくなっているからです。涙目の原因はいろいろあり、調べても原因がはっきりしない症候性流涙症も多いです。しかし一方で、涙が目から鼻へ流れる道である涙道が詰まった「涙道閉塞症」の治療に「涙道内視鏡」が登場し、従来の治療に比べて、安全で成功率が高い治療が可能となってきています。以前は、ブジーという針金で手探りで詰まった箇所を開通させていましたが、いまでは「涙道内視鏡」により、モニターを見ながら治療することもできるようになりました。また最近では、「鼻内視鏡」という鼻から涙道の開口部を見ることのできる内視鏡と組み合わせて治療することもでき、治療法は従来と比べて進歩しました。気になる症状がありましたらお近くの眼科医に相談してみて下さい。
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本当にここちよく見えていますか?Text by 藤岡眼科 藤岡聖子
携帯やノート型パソコンの普及により、いつでもどこでも労働時間を超えて目を酷使する機会が増えています。そのせいで、目の疲れを訴えて受診する患者さんは多く、眼精疲労(疲れ目)は国民病の1つになりつつあります。疲れ目が原因で、肩こり、頭痛、吐き気、眼痛、イライラや不安感、ひどい場合は抑うつ状態になることもあります。メガネやコンタクトレンズを装用している場合、「よく見える」と「装用して疲れない」ことは別の問題です。「よく見えるメガネ」は、過矯正(強すぎ)なことがあります。眼鏡店に行く前に、眼科でほかの病気がないかどうか確認のうえ、「疲れないメガネ」を処方してもらいましょう。また、日本で約1000万人といわれているドライアイの患者さんの70%以上が疲れ目を訴えており、疲れ目とドライアイは密接な関係があります。通常まばたきは、1分間に約20回ですが、読書で半分、VDT作業やゲームでは1/4まで減少するのです。まばたきが減ると目の表面が乾き、目の痛みが出てくることもあります。パソコンのディスプレイを真正面ではなく、少し下の方に置くことで、目の表面の露出が減り、乾燥感が減ります。ヒアルロン酸の点眼液も乾燥予防に有効です。また、目の周りが痒い時、顔につけるステロイド軟膏では強すぎ、かえって赤みが増すことが多いので、眼科で専用の軟膏を処方してもらいましょう。「疲れない・痛くない・痒くない」、ここちよい見え方こそが快適な生活につながります。
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