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コラムを読む

脂肪肝に潜む危険

Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
脂肪肝とは肝臓の細胞に脂肪がたまった状態を指し、日本人に大変多く約2000万人が罹患していると推定されています。その原因として過度の飲酒は昔から知られていましたが、近年は過食や運動不足による脂肪肝が増加しています。脂肪肝には大きく2つの問題があります。1つ目は、脂肪肝にはメタボリック症候群(肥満・糖尿病・高血圧症・脂質異常症の有無などから診断されます)を伴うことが少なくないことです。メタボリック症候群は日本人の死因の上位を占める脳梗塞や心筋梗塞のような予後に直結する動脈硬化性疾患の発症が多くなります。もう1つは、脂肪肝は長年良性疾患と考えられていましたが、一部は肝の炎症によって肝硬変や肝がんを発症する危険性があり、実際に脂肪肝を基盤とする肝硬変・肝がんは近年増加傾向にあります。さらに最近の研究ではメタボリック症候群を合併する脂肪肝は肝硬変や肝がんへ進展するリスクが高いことが分かってきました。2020年に世界各国の肝臓専門医が集まって議論した結果、「代謝異常に関連する脂肪性肝疾患(MAFLD(マフルド))」という新しい疾患概念が提唱されました。その診断基準では脂肪肝にメタボリック症候群を合併しているかどうかから診断され、飲酒量やB型肝炎・C型肝炎といったウイルス性肝疾患の有無も問いません。分かりやすくいうと、大部分が良性である脂肪肝のうちリスクの高い集団を絞りこんで厳密に経過観察し、最終的に予後の改善を図ろうという取り組みです。その有用性は今後人間ドックや日常診療によって検証されていきますが、消化器・循環器・内分泌代謝といった内科の複数分野にまたがる視点からの健康管理にも役立つものと期待されています。両者を合併している方は今後特に注意しましょう。
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血管拡張性肉芽腫(けっかんかくちょうせいにくがしゅ)

Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡
血管拡張性肉芽腫という名前はすごいのですが、良性の皮膚の腫瘍です。体に急にできてくる赤い皮膚の腫瘍で、よく血管のかたまりなどといわれることもあります。あまり大きくはなりません。直径は5mm~2cmくらいで、色は赤色か暗赤色で、柔らかくて盛り上がっています。基部がくびれていることもあります。男女ともに発症しますが、子どもや若年者、または妊婦の方にも多いようです。子どもでは顔に多く、大人では四肢や体幹に多いようです。急にできてきて大きくなりますが、だいたい2~3週間で大きさは一定になります。痛みやかゆみなどの症状はありませんが、血管のかたまりですので、傷つけると出血しやすく、出血するとなかなか止まりません。腫瘍の表面にカサブタが付いたり、ジクジクしたりしていることもあります。悪性の皮膚腫瘍との鑑別が必要なこともあります。原因としては、細かいキズや感染が引き金となって毛細血管が反応して拡張してきたものです。妊婦に多いことからエストロゲンによる血管の拡張が原因と考えられています。血管拡張性肉芽腫であれば、自然に治ることはほとんどないので、何らかの治療が必要になります。治療は小さいものは、電気メスなどで焼いてしまいます。大きなものは切って取ることになります。十分に取らないと再発することもあります。電気メスで焼いたり、切除したりするときは局所麻酔が必要になります。ごく小さいものであれば液体窒素で患部を凍らせて壊死させ、新たな皮膚が下から再生してきて押し上げることにより、患部をカサブタ状にして治すこともありますが、数回の治療が必要になることもありますので、専門の医師にご相談ください。
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医療被曝(ひばく)について

Text by 望ヶ丘医院 田中 慈雄
先日、日本では診断用X線によってガンが3・2%増える可能性があるという論文が発表され、様々なメディアで報道されました。要するに、被曝するとガンが増える。これは広島、長崎、チェルノブイリなどからも明らかで、日本ではX線やCTスキャンでの検査数が世界でも飛び抜けて多いので、ガンが増えるでしょう、ということのようです。我が国ではメディア報道に過剰な反応をすることがしばしばあるので、もし患者さんが治療方針決定に必要なX線検査にまで同意してもらえなかったらどうしよう、と思っていましたが、特にそのようなことはありませんでした。放射線の影響には、ある線量以上照射されなければ起きないもの(確定的影響と言い、皮膚炎、不妊、白内障などがあります)と、照射される線量に比例して発生確率が増すもの(確率的影響と言い、放射線誘発ガンがあります)があり、確定的影響についてはわかっていて、最も軽い初期紅斑(皮膚がほんのり紅くなること)でも胸のレントゲン写真で連続六千回以上、CTでも連続百回以上とらなければ起こりません(おそらく機械が先に壊れるでしょう)。最初にあげた論文は確率的影響について研究されたもので、それについては残念ながら詳細はわかっていません。しかし、皆さんが受けられるX線検査は病気の早期発見と適切な治療のために必要なもので、例えば1センチの肺ガンはX線検査でなければ発見不可能で、打診聴診触診ではまずわかりません。このように被曝というリスクを払っても治療のために得られる利益が多いという判断のもとに検査は行われているのです。ですが、いくら利益が勝るからといって、被曝線量軽減への努力は怠ってはならず、医療機関のみならず医療機器メーカーも一体となって、質を落とさず線量を落とす工夫をしています。皆さん、どうぞ主治医の先生を信じて今後もX線検査を受けていただきたいと思います。
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まぶたが下がって見えにくい眼瞼下垂(がんけんかすい)

Text by 江口眼科病院 江口 秀一郎
眼の老化というとまず思い浮かべるのが老眼ですが、眼瞼下垂もよく起こる現象です。眼瞼下垂は読んで字のごとくまぶたが弛(ゆる)んで下がってくることですが、この症状は、加齢と共に眼窩(がんか)や瞼(まぶた)の脂肪組織が減少し、皮膚の弾力性が失われ、瞼を上げる筋肉の力が低下するために起こります。眼瞼下垂になると視野が狭くなるばかりでなく、下がった瞼を上げるためにおでこの筋肉(前頭筋)を多用するため眼精疲労、頭痛、肩こりなどの原因となることもあります。そのような症状の強い場合は手術治療します。手術は局所麻酔が可能です。弛んだ皮膚を切除すると共に瞼を上げる筋肉を短縮する手術で、著明に症状は改善します。それにより表情が若々しく見える方もいるようです。鏡を見て瞼の下がりが気になる方、お近くの眼科医に相談してみて下さい。
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再生医療とリハビリテーション

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
京都大学山中教授のノーベル賞受賞以来、iPS細胞による再生医療に対する期待が高まっています。一部の病気で臨床試験が間もなく開始されるという報道もあり、いよいよ現実味が出て来ました。こうした状況を受けて、患者さんの中には「もうすぐ再生医療が実用化されて、自分の脳卒中後遺症は細胞を移植すれば治る。だから、リハビリなんか止める」という人が出て来ました。果たして、iPS細胞から作った神経細胞(正しくは神経幹細胞)を移植すれば、脳の病気は何でも治るのでしょうか?リハビリは不要になるのでしょうか?答えは「ノー」です。脳は、よくコンピューターに例えられます。脳卒中で脳が大きく壊れた時、これに再生医療技術を用いるのは、いわば、パソコンを「リカバリー」して、買ってきた時の状態に戻すことに似ています。実際には、買ってきたパソコンは色々なプログラムが入って、初めて使えるようになります。例えば、脳梗塞で脳の一部が障害された状況を思い浮かべます。病気の範囲が小さくて、パソコンでいえば「回路の一部が切れた」程度ならば、細胞移植だけで回復する可能性は大きいでしょう。しかし、病気に侵された範囲が広い場合、事は簡単ではありません。神経回路が回復しても、それまでの人生で身に付けたこと(プログラム)は、もう一度脳に覚えさせなければなりません。別の例えで言えば、体が自動車で、脳がドライバーだとします。ドライバーが病気になったなら、ドライバーを交代させれば良いはずですが、交代ドライバーとして移植された細胞は、まだ運転の仕方を知らない子供のようなものです。手足は自在に動かせますが、運転操作は練習で身につけなければなりません。この練習こそ、リハビリテーションです。残念ながら、再生医療が実現しても、何の努力もなしに元通りになるということは期待しない方がいいでしょう。むしろ、リハビリは益々重要になってくると思われます。
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