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胃アニサキス症に注意しましょうText by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
魚の生食にまぎれて人間の口から入り込み、主に胃で悪さをするアニサキスという名前の寄生虫がいます。胃アニサキス症の症状は食品を摂取して数時間後の激烈な胃痛が典型的ですが、吐き気やじんましんを伴うこともあります。これらの症状はアニサキス症に特異的なものではありませんが、食事内容の問診と典型的な症状から疑う病気の一つになります。そして緊急で胃カメラを行うと、白くて細長い2cmほどの虫体が頭を胃の壁に突っ込んでにょろにょろもがいているのを観察できます。確認されたら引き続き内視鏡を通じて鉗子(かんし)と呼ばれる器具を挿入し、つまんで除去します。その後速やかに痛みは引けていき治療は完了です。アニサキスはもともとクジラやイルカが宿主(寄生する先の生き物)であり、人間は宿主ではありません。クジラやイルカに食べられる前のイカやサバなどの魚の体内で幼虫の状態になっており、人間に悪さをするのは実はこの幼虫なのです。ですから人間の口からうまい具合に入り込んだものの、人間の胃はアニサキスにとって好適な環境ではなく、成虫にもなれずに迷走の末、胃の壁から出ようとしているのかもしれません。もがいているうちに数日で自然に死んでしまい、吸収されたり便とともに排せつされたりして排除されます。アニサキスは食品の70℃以上の加熱か、マイナス20℃以下で24時間の冷凍で死滅します。なので確実な予防策としては加熱か冷凍を、ということになりますが、新鮮な刺身のおいしさは日本人にとって何物にも代え難いものであり悩ましいところです。他の予防策として、食物に付着した虫体が肉眼で見える場合は除去したり、アニサキスは虫体が損傷すると動かなくなるため、よくかんで食べることで発症を防げる場合もあるだろうと想定されています。新鮮な魚はアニサキスの寄生に注意しながら食べましょう。
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義歯を快適にお使いいただくためにText by 北斗歯科クリニック 土永 浩史
義歯をお使いの方は慣れてくるとその義歯が体の一部となり、食事をする時や会話をする時には欠かせないものとなります。義歯はご自身の歯を毎日磨くように、毎日の管理が大切です。その管理を適切に行わなければ、いろいろな問題が生じてきます。歯科医院で義歯を作成しますと、歯科医からその管理方法の説明を受けます。今回はその確認の意味で、義歯の管理について述べさせていただきたいと思います。義歯の洗浄ですが、食後に可能な範囲で義歯ブラシで水洗を行います。しかし、いまだに部分入れ歯を口の中に入れたまま歯磨きを行う方がいらっしゃいます。よく磨けていないばかりか、義歯と接している歯と義歯の間に歯垢(プラーク)が入り込んだままになる原因となり、不衛生となります。そのため、義歯と接している歯に虫歯や歯周病が発生しやすくなります。口の中からはずして行いましょう。義歯の洗浄に、通常の歯磨き剤を用いますと摩耗しやすくなるため、義歯専用の歯磨き剤や中性洗剤を用い、義歯ブラシで洗浄を行います。流し等で義歯の洗浄を行う際は、落下して義歯が破損することがよくあります。洗面器等に水をためて、その上で洗浄するほうがいいでしょう。義歯は1日24時間中、接着し続けるのではなく、1日数時間ははずして義歯の下の粘膜を休ませておく必要があります。いつはずしておくかは特に決まっているものではありませんが、終身時にはずしておくのが一般的です。その際、義歯を乾燥させないように水に浸しておき、義歯洗浄剤を併用し、それを毎日お使いいただくのが望ましいと思われます。ご自身による毎日の義歯の管理を行っていても、義歯に歯石が付着して、汚れやすくなることがあります。定期的な歯科医院での定期検診で、そのような歯石を除去するだけではなく、義歯の異常がないか点検してもらうことで残存している歯の健康を維持していきましょう。
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百日咳(ひゃくにちぜき)の予防は大切ですText by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝
今年、子供たちにとって、ワクチン接種で2度新しいことが起きました。ひとつは、口から飲んでいた生ポリオワクチンが不活化ワクチンになり注射になったこと。もう一つは、不活化ポリオワクチンと従来の三種混合(百日咳・破傷風・ジフテリア)ワクチンが一緒になって、四種混合ワクチンができたことです。不活化ポリオワクチンは子供たちから生ワクチンによるポリオ関連麻痺の恐怖を取り去ってくれました。四種混合ワクチンは三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンを混ぜたワクチンですが、接種の痛みが一回減るという福音を与えてくれました。二つのワクチンは順調に供給され、滞りなく接種が進むはずでしたが、四種混合ワクチンは11月の開始早々に、不活化ポリオワクチンは11月の中旬から入手が困難なケースが発生しました。このような状態で一番恐れるのは、三種混合ワクチンの接種すらも控えられ、百日咳が流行するのではないかということです。百日咳は最近では国内で2008年頃に爆発的に流行したあとその後も年間五千件程度の報告があり、2008年には1名が百日咳により亡くなっています。2000年台に入ってから大人の百日咳の報告が増えています。大人の流行の状態から考えれば、百日咳の感染の機会は決して減っているということではなく、むしろ増えていると言っても過言ではないでしょう。赤ちゃんは生まれるときに、お母さんから多くの免疫を受け継いで来ますが、百日咳の免疫はお母さんから受け継ぐことができません。ワクチンをすることによってのみ、百日咳からあなたのお子さんを守ることができるのです。四種混合ワクチンや不活化ポリオワクチンの供給が不足していても、従来の三種混合ワクチンは潤沢に供給されています。四種混合ワクチンにこだわらずに、百日咳の流行を起こさないためにも、生後三ケ月からの三種混合ワクチンの接種と、単独の不活化ポリオワクチンの接種が望ましいといえます。
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高齢者って、何歳?Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原 亨
世界保健機構WHOの定義では、65歳以上を高齢者と呼びます。近年、日本の高齢における心身の健康調査からは、20年前と比較して、加齢による衰えが、5~10年遅くなった「若返り」現象がみられました。世論調査でも、70歳以上を高齢者と考えると言う意見が多かったそうです。そうは言っても、寄る年波には勝てませんから、身体が次第に弱っていくのは避けようがありません。「要介護」状態に陥る原因としては、第一位が「認知症」、「脳卒中」、「高齢による衰弱」、「転倒・骨折」、「関節疾患」と続きます。脳卒中のように、突然、健康寿命が終わってしまう場合もありますが、「いくつかの病気が重なって、次第に不調がつのり、だんだん要介護になっていく」という場合が多いと思います。「要介護」の前段階と言える心身の弱った状態をフレイル(脆弱・もろい)と言います。フレイルには、三つのタイプがあります。①加齢と運動不足で、筋力が衰えて転倒しやすくなる「身体的フレイル」。②うつ病や認知症による「精神・心理的フレイル」。そして、③社会的問題等で、引きこもり、ストレスに弱くなった「社会的フレイル」です。身体的フレイルのチェックは、体力テストです。世界17ヶ国15万人を4年間追跡調査した結果では、握力の弱い人で死亡リスクが大きくなるそうです。握力が5㎏低下する毎に死亡リスクが16%上昇すると言うことです。握力計がなければ、簡単にできるのは、開眼片足立ち検査でしょう。目を開けて、片方の足で立ちます。挙げた足を着いたり、ケンケンしたりすると終了です。2回やって、良い方が自分の記録です。65歳の平均は、50秒です。足の筋力とバランスを同時にテストできます。握力も片足立ちの時間も、トレーニングで変えられます。自分の未来や寿命を変えられるのかもしれないのです。まずは、けがをしないように、周りを片付けて、片足立ちしてみてください。
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加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の新しい治療Text by 吉田眼科病院 岡田 佳典
高齢化や生活様式の欧米化などに伴ってわが国でも増えつつある、加齢黄斑変性と言う病気をご存知ですか?物を見るために重要なフィルムの役割をしている網膜の中心部を黄斑と言います。加齢黄斑変性とは老化に伴いこの黄斑部に老廃物が溜まり、炎症や出血を誘発し視野の中心が歪んだり欠けてみえたりする病気です。黄斑変性には遺伝性のものもありますが、大部分がこの老化に伴う加齢黄斑変性と言われています。殊(こと)に脈絡膜に新生血管が発生し出血することにより網膜が障害される滲出型(しんしゅつがた)加齢黄斑変性は、進行が速く急激に視力低下を来(きた)します。この疾患に対し以前より様々な治療が行われてきましたが、近年この疾患で社会的失明に至る高齢者も少なくなく、今まで以上に適応範囲が広く効果的な治療が切望されていると言えるのではないでしょうか。そのような中、現在最も注目を集めている治療方法があります。それは光線力学療法(PDT)です。では、どのような治療方法なのでしょうか?PDTとは光に反応しやすい物質(光感受性物質[こうかんじゅせいぶっしつ])をあらかじめ組織や血管内に取り込ませた上で、その光感受性物質に特定のレーザー光を照射する事によってその物質を活性化させ血管を閉塞(へいそく)または組織を障害する方法の事で、既に肺・食道・膀胱(ぼうこう)・皮膚など、多様な疾患に用いられております。具体的にはベルテボルフィンという光感受性物質を投与後十五分の時点で、レーザーを新生血管に八十三秒間照射するものです。このようにする事で他の組織に障害を与える事なく、脈絡膜新生血管のみを特異的に潰す事が出来るため、先に述べた進行の速い浸出型に有効な治療方法と期待されています。以前このコーナーで取り上げた抗酸化ビタミン・ミネラルやカロテノイドの一種であるルテインなどの抗酸化サプリメントやPDTといった効果的な治療法が次々と施行され、今や加齢黄斑変性は治療可能な疾患に変貌しつつあると思われます。
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