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いよいよピロリ菌の撲滅へText by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
今年の4月から函館市内の中学生を対象にしたピロリ菌検診が始まっています。全国的にはすでに多くの自治体で実施されていましたが、いよいよ函館でも開始となりました。ピロリ菌は胃の中に住んでいる細菌で、粘膜に炎症や萎縮などの変化を引き起こして最終的には胃がんの原因となることが分かってきました。そのため日本では2013年から胃カメラで慢性胃炎などの異常が確認された場合に健康保険でピロリ菌の検査や除菌が可能となっています。ピロリ菌は衛生環境との関連が深く、上下水道などの衛生設備が未整備な時代に生活歴のある高齢者では感染率が高くなっています。例えば1970年代における60歳のピロリ菌感染率は80%以上でした。衛生環境の改善と共に陽性率は低下してきており、現在の10歳代の感染率は5%前後とされています。もしピロリ菌に感染している場合は胃粘膜が発がんの準備状態に入る前、つまり若年のうちに除菌するのが望ましいということで学校でのピロリ菌検診が実現することになりました。具体的にはまず学校で行う一次検査(尿の抗体検査)で感染の可能性のある人を見つけ、医療機関で二次検査(尿素呼気試験などの精密検査)を受け、陽性が確実であれば除菌治療を検討するという内容です。除菌治療については成人に比較して若年者では薬が効きづらいとされており、1回目の除菌成功率が50%程度にとどまるという問題点が残っています。しかし2回目の除菌治療を行えば最終的にはほとんどの方が除菌に成功するので、将来的には胃がん発生率の大きな低下が期待されます。日本の胃がん対策はこれまではバリウム検診のようにできてしまったがんの早期発見・早期治療が重視されてきましたが、これからは最初から胃がんを発症させない予防策に大きく舵(かじ)をきっていくことになります。さらに除菌治療が今後進歩していけば、ピロリ菌の撲滅も視野に入って来ることでしょう。
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男性の性(26)Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
前回の続きです。ED治療薬として現在最も多く使用されているPDE5阻害薬は、いずれも服用すれば必ず勃起するという訳ではなく、性欲がある人が服用後、性的刺激を受けた場合に勃起する薬です。高度の動脈硬化や糖尿病、手術で神経が損傷した場合など無効な場合も有りますが、現在ではED治療薬の第一選択薬と言えます。元々、狭心症治療薬として開発されたPDE5阻害薬は、狭心症への効果はほとんど認められませんでしたが、偶然、被治験者に勃起機能改善効果があることが判明したためED治療薬として製品化されたものです。バイアグラが一番最初に発売されたため最も有名ですが、空腹時だと服用後1時間程度で効果が現われるものが食後だと2時間以上かかることもあり、この点が改善されて発売されたのがレビトラです。ただ、レビトラも高脂肪食の後ではやはり吸収が遅れることと、バイアグラ・レビトラともに作用時間が5時間程度と短く、性交可能時間にやや制限がある薬でした。医師は処方する時、性交のパートナーにこの種の薬剤を服用していることを告げるように指導していますので、パートナーと相談して性交時間を決めれば問題はないのですが、そう理屈どおりに行かない性交の場合も男女間には有るので、時と人と場合によっては使いにくい薬でした。そこで、もっと長い作用時間の薬を、ということで開発されたのがシアリスです。次回はシアリスとこれらの薬の使用時の注意点をお話します。
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動脈硬化Text by 小笹内科医院 小笹 明
動脈硬化とは動脈壁が肥厚(ひこう)し弾性を失った状態をいいます。現在日本における死因の1位は癌の30%ですが、脳卒中は15%、心臓病も15%と心血管合併症による死亡も合計30%と癌による死亡とほぼ同じです。このため、心血管疾患の予防が重要視されています。動脈硬化は血管に炎症などの障害が起こり、悪玉コレステロールのLDLが血管内に侵入し酸化LDLとななり、マクロファージに貪色(どんしょく)され動脈硬化巣が形成されることにより起こります。動脈硬化巣が大きくなると血管の狭窄(きょうさく)を来し、胸痛が出現したり、息切れが起こります。また一見血管の狭窄のない部位の被膜が突然破れ心筋梗塞を発症することがあります。このため動脈硬化を予防することが大切です。ビタミンCやビタミンEは抗酸化物質として知られ、また喫煙によりLDLの酸化が促進されることが知られています。このため生活習慣を改善することが重要です。
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肝斑(かんぱん)Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 大村 勇二
頬に生じるシミには肝斑、雀卵斑(そばかす)、日光性黒子(ほくろ)、脂漏性角化症、色素沈着型皮膚炎などがありますが、今回は肝斑についてお話します。肝斑は今まで30~40歳代の女性の頬に好発する茶褐色のシミで、女性ホルモン、紫外線、経口避妊薬などが原因であると言われていました。しかし、最近では顔のマッサージやダブル洗顔など極度な皮膚の機械的刺激によって生じる炎症性のシミが肝斑になっていくと言われるようになってきました。治療は従来、トラネキサム酸、ビタミンCなどの内服薬処方でしたが、症状によっては、ビタミンC誘導体によるビタミン導入(イオントフォレーシス)、Qスイッチレーザーによるレーザートーニングなどを行います(※保険が適用されない場合がございますので病院にてご確認ください)。そして日常の顔のマッサージはやさしく、洗顔は泡洗顔でこすらないように心掛けてください。
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魔法の注射?Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
突然ですが、ボールを投げる動作を思い出してください。投げる方の腕は円を描くように伸び、反対側の腕は肘を曲げて折りたたまれています。このようにある動きをするとき、左右の手足は無意識にバランスを保った動きをします。さらに、関節の曲げ伸ばしにも、曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に働きます。肘を曲げる時には、脳は「曲げろ」という命令を腕の前側(力こぶを作る筋肉)に出す一方、腕の後ろ側には「伸ばせ」という指示を出します。これにより動きがスムーズになります。このように脳が、左右のバランスや、曲げ伸ばしのように相反する動きの調整をしています。多くの脳卒中では、体半分が動かなくなる障害(片麻痺といいます)が残ります。このとき、単に片側の手足が動かないだけではなく、左右のバランスや、曲げ伸ばしの調節も変化して、片麻痺からの回復に影響します。典型的には、病気になった腕は肘が曲がり、足は伸びて突っ張ったような形になり、アチコチの筋肉は固くなります(痙縮[けいしゅく]といいます)。痙縮は、その後の回復を妨げ、日常生活にも差し支えます。片麻痺は、リハビリテーションにより改善しますが、発症から半年を過ぎると回復の速度は鈍り、ほとんど回復が止まります。この原因の一つが痙縮です。半年以上経った脳卒中後の麻痺が、ボツリヌス菌という細菌から作った注射薬で再び改善していく様子がテレビで放送され、その「注射」についての問い合わせが増えました。テレビでも、薬の作用は説明していましたが、「改善」が「治る」というように解釈され、あたかも注射だけで片麻痺が治ると考えられているようです。注射は「痙縮」には有効ですが、麻痺を治す「魔法の注射」ではありません。固くなった手足を伸ばし、リハビリを行うことで、再び改善する可能性が出て来ます。注射とリハビリの組み合わせが大切です。この注射をどこで受けられるかはインターネット上で調べられますので、「脳卒中後遺症、痙縮」で検索してみてください。
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