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ピロリ菌は万病の元?Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
「かぜは万病の元」。ささいな病気でも軽く考えず早目に治さなければ、より重大な病気をひきおこすと警鐘を鳴らした言葉です。
胃潰瘍の原因菌として一躍有名になったピロリ菌(正式にはヘリコバクター・ピロリ菌)は1983年にヒトの胃から発見されました。 胃液中の酸はその殺菌作用によって細菌感染に対する防御機構として機能すると考えられており、「胃の中に細菌は存在しない」という当時の医学常識を覆す画期的な発見でした。 日本人は人口の約50%が感染しており、除菌療法が2000年に胃潰瘍と十二指腸潰瘍に、その後胃MALTリンパ腫、早期胃がんの粘膜切除術後の胃などにも保険適用となりました。 消化器系疾患では他にも胃がん、胃ポリープ、萎縮性胃炎などとの関連性が判明しています。一方、最近の研究でピロリ菌は、意外な疾患にも関係することが分かってきました。 特発性血小板減少性紫斑病という血液の病気でピロリ菌陽性例に除菌治療を行うと半数以上で病状が改善するため、現在は治療の第一選択となり保険適用にもなりました。 また原因不明の慢性じんま疹はピロリ菌を除菌すると30%前後の例で症状が改善するとされています。 その他にも、心筋梗塞などの虚血性心疾患、パーキンソン病・アルツハイマー病などの神経疾患、肺がんなどの呼吸器疾患、鉄欠乏性貧血、糖尿病、自己免疫疾患、眼科疾患、婦人科疾患など、当初の想定を超えた広範囲な疾患でピロリ菌感染との関連性を示唆する報告があります。 これらの関連性は現時点ではまだ確定的ではないものもあり、保険適用もない疾患が多いですが、今後の研究が期待されるところです。ピロリ菌の除菌療法は一週間の内服ですが、最近は耐性菌の増加により成功率が70%前後に低下しています。 しかし一回目で不成功の場合も二次除菌として有効な治療薬が保険適用となっており、最終的には90%以上の方で除菌は可能です。 除菌を希望する場合は専門医とよく相談するのが良いでしょう。 |
ピロリ菌を除菌したあなたにText by はら内科クリニック 原 信彦
今年の2月より慢性胃炎についてもピロリ菌の除菌治療の保険適用が認められました。ピロリ菌を除菌すると胃がんの発生は3分の1になるといわれています。また、若い方が除菌すると、さらに胃がんの発生率が低下することも分かってきました。胃がんの一次予防は、ピロリ菌の感染予防・除菌です。2次予防は、早期発見、早期治療です。除菌後の問題点は何でしょうか?それは除菌しても、胃がんがゼロにならないことです。除菌して安心した結果、検診を怠り、発見が遅れてしまうこともあります。ピロリ菌の除菌後の胃がんの発生について、除菌後に新しく出来た癌と除菌後に認識可能になった癌があります。後者は除菌後2~3年後の早期に発見されるタイプで、除菌するときカメラで見えないくらいの小さな癌があり、その後2~3年でようやく見えるサイズになったものと考えられます。このようなこともあるので、除菌後も胃カメラによる検査が必要になります。では、どのくらいの頻度で検査を行うべきでしょうか?これについては、除菌後も胃粘膜が萎縮(老化)した状態が続いているなら、1年に1度は継続して行うべきです。また、ピロリ菌の除菌により、胃粘膜が正常になってくるようであれば、癌化の確率は減るはずなので2~3年に1度の検査でよくなると思います。当院でも、ピロリ菌の除菌後に癌が見つかった方がいます。毎年受けられている方は1センチ大の早期胃がんで見つかり、おなかにメスを入れることなく、胃カメラで治癒切除ができました。逆に除菌後5年以上経過して久しぶりに胃カメラを行った方は、残念ながら進行がんになっていました。ご本人には胃の症状はありませんでした。このようなことがあるので、除菌後も主治医の先生に確認して、胃カメラでの経過観察を行ってくださいね!さて、来年は何月に胃癌検診を行いますか?
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入れ歯ってどう?Text by 北斗歯科クリニック 土永浩史
「この間、歯医者に行ったら抜歯しなければならなくて、その後はいよいよ入れ歯だと言われた」初めて入れ歯を入れることになった方は不安を持たれ、「ついに入れ歯か」とひとつの人生の節目のように捉える方もいらっしゃいます。そして、入れ歯を入れることで大きく変わることは咬合力が以前と比べ、格段に落ちてしまうことです。上下とも入れ歯を入れていない方の咬合力が、男性で53.86kg、女性で41.06kgです。1本歯を抜いてその両隣りに歯があるケースで入れ歯を入れた場合の咬合力は男性で23.57kg、女性で17.28kgとなり、かなり落ちてしまうことがわかります[山崎(1960)]。さらに、上下の総入れ歯では男性8.76kg、女性で6.44kgとなり、およそ6分の1の咬合力となってしまいます。歯が無くなっても入れ歯があるから大丈夫とはなかなか安心できません。かといって、抜くべき歯を抜かないでそのまま放置しておくのも考えものです。特に、歯周病になっている歯が周囲の骨を吸収することが多いわけですが、それが長引けば歯を抜いた後の骨の山(顎堤といいます)が小さくなり、入れ歯が安定しにくい症状も出てくることもあります。また、歯の無いところを放置すると食べにくいだけでなく、発音が上手にできなかったり、見た目が悪かったりと問題があります。多くの場合、咬み合わせが乱れてくるわけです。大切なのはそういったところまで歯を放置しないことと定期的なケアが必要だと思います。ただ、現在では入れ歯だけでなくインプラント(人工歯根)による治療がありますので、今まで以上に患者様にご満足いただけるのではないかと思います。
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抗生物質~正しく飲んでいますか?Text by 治耳鼻咽喉科 山口 治浩
耳鼻咽喉科には中耳炎、風邪、急性鼻炎、副鼻腔炎、咽喉頭炎、気管支炎などの多くの感染症の患者さんがいらっしゃいます。ほとんどが細菌感染ですので抗生物質を処方することが必要になります。病状によって原因菌を推定し有効と思われる抗生物質を処方しますが抗生物質にも作用の面で特徴があります。その特徴は大きく次の2つに分かれます。①細菌に高い濃度で作用することで高い効果を発揮するもの。②細菌に長い時間、有効な濃度で作用することで高い効果を発揮するもの。例えば①の特徴のあるものは1日量を一度に服用した方が有効ですが1日量を分けて服用してしまうと抗生物質の血中濃度が十分に上がらず同じ1日量を服用しても効かないことになります。従って、効果を十分に発揮するためには指定された服用回数は変えないことが大切です。
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水痘ワクチンの効果Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝
2014年10月から子どもたちが待ち望んでいた水痘ワクチンの2回接種が始まりました。水痘(みずぼうそう)は、皆さんよくご承知の通り、体に水ぶくれがたくさんできて、あとでかさぶたができる病気です。多くのお子さんでは水疱(すいほう)からかさぶたまでで終わってしまいますが、時には水痘脳炎を発症したり、あるいは重症化して死亡に至ったり(統計上は毎年10人程度死亡しています)する実はとっても怖い病気です。お年を召されてから発症する帯状疱疹(ほうしん)もウイルスは一緒です。帯状疱疹は幼い時に水痘になったことが原因としてもたらされていると考えられています。ワクチンを2回接種することにより、年齢を経た時に、帯状疱疹になるリスクが低くなると考えられます。水痘ワクチンの定期化はこの短期間の間に函館の地にもすでに効果を表しています。昨年度、当院で麻しん風疹ワクチン1回目を受けたお子さんの90%以上が水痘ワクチン1回目を接種しています。その結果今年1月から6月までの水痘の流行は過去5年間の平均の4分の1までに減少しています。流行が減少するのはとてもいいことなのですが、流行が減ればワクチンで免疫を作った子どもたちが、水痘ウイルスに知らない間に少しだけ触れて免疫が強化されることがなくなります。結果として麻疹や風疹のようにワクチンを2回接種しなければ、子どもたちを水痘という病気から守れないということになります。現在の水痘ワクチンの無償化は1歳から3歳の誕生日の前日までに3カ月以上の期間をあけて2回接種するというものです。1回目は多くの方が受けていただけると思いますが、2回目を忘れないでください。3歳以上のお子さんで水痘ワクチンを1回受けたけど、水痘にかかってもいないし、周りではやった記憶がない場合には有料になりますが、2回目の接種を受けましょう。ワクチンで守れる病気はワクチンで予防する。病気にかかるほど怖いものはない。こんな共通の認識が、皆さんの間に広まることを小児科医は望んでいます。
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