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大腸カプセル内視鏡Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
年輩の方なら1966年公開のSF映画「ミクロの決死圏」をご存知の方も多いと思います。医療チームを乗せた潜航艇を縮小して体内に注入し、脳の内部から治療を行うという当時大変話題となった米国の傑作映画です。しかし今、実際に人間は乗っていないなどの大きな違いこそあるものの、当時は夢物語であった技術が現実のものとなりつつあります。カプセル内視鏡といって、薬のような形をした小型のカプセルを飲み、便と共に排泄されるまでの間に胃腸の中をくまなく撮影し、体表に装着した装置に送信するものです。送信された画像をモニターで確認して診断します。小腸用には2007年に実用化され保険認可もされていましたが、今年1月に大腸でも保険適用となりました。適用症例に条件がついているためすべての方に使えるわけではありませんが、小腸と比べると大腸は疾患人口が大変多いため、日常の大腸診療は大きく変貌すると思われます。これまでの肛門からの大腸内視鏡検査は痛みを伴うこともあり、また恥ずかしいなどの理由で進んで受けたいと思う方が少ないのが現状でしたが、カプセル内視鏡の場合はそのような問題を克服できることになり、大腸がん死亡率の低下を目指して検診への応用なども期待されています。もちろんまだ開発されて日の浅い検査法なので、洗浄機能がないので下剤の量が多く必要となる、国内の治験では6%ほどの見落としがある、カプセルは使い捨てなので検査費用が高くなる、などの問題点もあります。また何か病変が発見された場合はまだ映画のように治療はできませんので、ポリープの切除などは、これまで通り肛門から内視鏡を挿入して治療する必要があります。SF映画もいつの日かは現実のものとなるという見本のような技術といえますが、今後はさらに診断も治療も可能な超小型医療ロボットへ進化していくことでしょう。医療は日進月歩で患者さんの体の負担の少ない方向へと進んでいるのです。
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聴診器と心雑音Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原 亨
病院で診察を受けるとき、まずは、聴診器を胸に当てられます。心臓の動く音を聴いたり、呼吸音を聞いたりします。心音で言うと、心臓の中を血液が通り抜けるときに、心臓の弁に狭い所があると、雑音が聞こえるようになります。川に水門があるとザーッと音がするのと同じです。弁の閉じが悪いと逆流する音が聞こえます。弁は、肺からきれいな血液が全身に流れていくように付いている心臓の水門のようなものです。年齢を重ねると動脈硬化のように弁も厚くなって開きが悪くなったり、閉じが悪くなったりします。小さい雑音や騒がしい場所では心雑音を聞き逃すことが多くなります。心エコー(魚群探知機の小型版)では、心臓の形や動き、弁の形を見ることができます。血液の流れに色を付けて見ることもできるので、聴診器で聴きにくい雑音も逃すことはありません。音波を当てるだけなので、体に害はありませんから繰り返し行え、動いているところを観察するので、心臓の働きが非常に良く解ります。このような方法で見つけられる心臓の弁に異常がある状態を弁膜症と呼びます。当初は自覚症状がありませんが、次第に、階段などで息切れがしやすくなったり、疲れやすくなったり、夜、おしっこに起きるようになります。不整脈も出やすくなります。心肥大が起これば心室性の不整脈が、他に、脳卒中の原因になる心房細動も出やすくなります。足がむくむ、座ると楽だが寝ると苦しい心不全になると入院が必要な場合もあります。薬で良くならないほど心不全が悪ければ、適切な時期に弁を取り替える手術が必要な種類の病気です。アメリカで心不全による死亡を防ぐ薬を試験しています。一年間で10%前後の死者がでましたが、同様の調査を日本で行うと、もとの病気の違いのためかもしれませんが、1%程度の死者で、かなり良く治療できていました。アメリカでは二~三カ月ごとに診察をしますが、日本では二~四週間ごとに診察をします。「注意深い観察と細やかな治療が心不全の治療には必要です」というお話でした。
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おりものシートは必要か?Text by 湯の川女性クリニック 小葉松 洋子
最近診療をしていて気になるのが、おりものシートや月経用のナプキンにかぶれて、かゆみを訴え受診する患者さんが増えていることです。接触によるかぶれは、あてている時間が長くなると症状が出やすくなるため、原因は「おりものシート」だろうと推測しています。月経量が少なくなった日に数日使用する程度ならあまり問題ないのでしょうが、最近は「おりものが下着に付くと嫌だからいつもシートを使う」という女性が増えています。健康な女性は女性ホルモンの影響で膣の中をきれいに保つために、ある程度のおりものはあるのが普通です。きれいなおりものは健康な証拠ですので心配ありません。ただし性経験のある女性は、雑菌や性感染症、子宮癌(がん)などでおりものが増える可能性もあるので、心配な時は婦人科で診察を受けて下さい。
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疣(いぼ)の治療方法となかなか治らない疣(いぼ)の治療Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 大村 勇二
疣とは俗称で老人性疣贅(脂漏性角化症)、尋常性疣贅、偏平疣贅、伝染性軟属腫など4種類に分けられます。一般的治療としては液体窒素、ドライアイス、炭酸ガスレーザーなどが行われます。浅く小さい疣であれば、1ー2回の治療で治りますが、広範囲であったり、深いものでは長期間の治療が必要な時もあります。原因はそれぞれ異なり老人性疣贅は、皮膚の老化現象で遺伝的な要因と日光紫外線による光老化が要因です。人やほかの部位に広がることはありませんが、あとの尋常性疣贅、偏平疣贅、伝染性軟属腫3つはウィルスが原因なので、このウィルスが付着した指で掻いたり、タオルなどで拭いたりすることで、ほかの部位に広がったり、また、自分での不適切な治療は、感染部位を広めたり、ほかの方にうつすことになるので、皮膚科または形成外科で診断治療を受けてください。なかなか治らない疣(いぼ)に困っている方には、色素レーザー(Vbeam)による治療があります。この治療は疣(いぼ)本体にダメージを与えるのではなく、疣(いぼ)の養う血管にダメージを与えて疣が生育できなくする方法です。治療後の日常生活にも支障がなく、2~3回の治療で治療の有効性を感じることができます。とくに足底や爪の周囲の盛り上がり、切り取らないと完治できないような難治性疣(いぼ)に有効です。3mm程度の疣(いぼ)であれば、一個につき所要時間は5秒程度、料金は2,000~3000円(1照射:1000円)です。色素レーザー(Vbeam)による治療は保険治療ではありませんが有効な治療です。費用に関しては疣の症状によって異なりますので医師に相談してください。
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眼瞼下垂(がんけんかすい)についてText by 藤原眼科 藤原 慎太郎
眼瞼下垂とは目をあけても上まぶたが十分に開かない状態のことをいいます。眼瞼下垂があると、視覚の発達期にある小児では弱視、斜視、屈折異常の発生に関係し、高齢化社会の今日しばしばみられるようになった加齢性眼瞼下垂も、高度になると日常生活に不便を来たし生活の質を低下させます。眼瞼下垂は生まれつきまぶたをあげる機能が弱い先天性眼瞼下垂と、後天的な要因で生じる後天性眼瞼下垂に分かれます。先天性眼瞼下垂では、まぶたを上げる筋肉[上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)]の力がかなり弱いか、上眼瞼挙筋が欠損しているため十分にまぶたが上がらなくなっています。後天性眼瞼下垂症には、腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)、神経原性眼瞼下垂(しんけいげんせいがんけんかすい)、筋原性眼瞼下垂(きんげんせいがんけんかすい)、腫瘍性病変によるものなどがあります。まぶたを上げる神経の障害(動眼神経麻痺や脳梗塞後遺症など)、筋肉自体がこわれてしまう病気(筋緊張性ジストロフィーや重症筋無力症など)では原疾患の治療にて改善が期待できることもありますが、薬物治療などで改善が認められない場合には患者さんの状態に応じて手術を行うことがあります。後天性眼瞼下垂のなかで腱膜性眼瞼下垂は、加齢や化粧、アレルギー性結膜炎、コンタクトレンズの長期間使用などでまぶたがこすれることにより、まぶたの板[瞼板(けんばん)]とまぶたを上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の間をつないでいるすじ(腱膜)が瞼板からはずれてゆるんでしまうことにより生じます。この結果、まぶたを開けようとして上眼瞼挙筋が収縮しても、その力が十分に瞼板に伝わらなくなるため眼瞼下垂になります。この症状があると、これを補うために眼瞼挙筋に付随している筋肉(ミュラー筋)を収縮させてまぶたを開けることになります。ミュラー筋が収縮するためには自律神経の交感神経が緊張する必要があり、交感神経が常に緊張していると頭痛や肩こり、手足の冷え性、不眠などを生じることがあります。治療はゆるんではずれてしまった腱膜を瞼板にとめなおす手術を行います。また、まぶたが開けにくい患者さんの中には、まぶたが痙攣をする病気(眼瞼痙攣)を伴っていることがあり、治療は痙攣を抑える作用をもつ薬をまぶたの筋肉に注射します。このように眼瞼下垂には原因がさまざまあるので、治療法もさまざまです。まずは眼科医を受診して眼瞼下垂の原因を見つけることが先決です。脳動脈瘤など他の病気の影響だったり予兆だったりする場合はこちらの治療が優先となります。医師に相談し原因を見つけて適切な治療を受けましょう。
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