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成人の視力障害原因の第1位は?

Text by 江口眼科病院 杉本 哲理
現在、成人の視力障害の第1位は糖尿病網膜症です。糖尿病網膜症は糖尿病に伴う3大合併症の1つで、その程度は様々ですが、場合によっては失明することもあります。眼の網膜は細い血管で構成されていて、糖尿病により血液中の糖分が増え粘度が高くなると、網膜血管がつまってしまいその結果、網膜に血液が循環されなくなります。これが原因となって網膜に出血や浮腫を起こしたり、硝子体に出血を起こし、視力が低下すると考えられています。糖尿病網膜症にならないための一番の予防は血糖のコントロールです。糖尿病網膜症の進行スピードは人それぞれ異なりますが、血糖のコントロールが悪ければ悪いほど、悪い期間が長ければ長いほど、糖尿病網膜症は早く進行することが知られています。また、高血圧や高脂血症も糖尿病網膜症の進行の危険因子であることが知られています。これらを改善するためには内科へ定期通院し、全身管理を継続的に行うことが大事と考えられています。我々、眼科医は採血データの中でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を指標にして、網膜症の進行を予想しています。眼科と内科の連携には糖尿病手帳というものがあり、HbA1cも記載されますので、是非利用してください。糖尿病網膜症は初期には自覚症状に乏しく、視力の低下など自覚症状が出てきた時には病気がかなり進行していることがあり、場合によっては視力の回復が難しいことがあります。しかし、早期から眼科を定期的に受診し眼底検査をしていれば、必要な時点でレーザー治療を行え、病気の進行をある程度予防することが可能です。糖尿病になったら、たとえ自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診してください。また、血糖のコントロールが落ち着いていても、糖尿病網膜症は数十年してから発症することもありますので、最近通院されていない方もこれを期に一度眼科を受診されてはいかがでしょうか。
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魔法の注射?

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
突然ですが、ボールを投げる動作を思い出してください。投げる方の腕は円を描くように伸び、反対側の腕は肘を曲げて折りたたまれています。このようにある動きをするとき、左右の手足は無意識にバランスを保った動きをします。さらに、関節の曲げ伸ばしにも、曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に働きます。肘を曲げる時には、脳は「曲げろ」という命令を腕の前側(力こぶを作る筋肉)に出す一方、腕の後ろ側には「伸ばせ」という指示を出します。これにより動きがスムーズになります。このように脳が、左右のバランスや、曲げ伸ばしのように相反する動きの調整をしています。多くの脳卒中では、体半分が動かなくなる障害(片麻痺といいます)が残ります。このとき、単に片側の手足が動かないだけではなく、左右のバランスや、曲げ伸ばしの調節も変化して、片麻痺からの回復に影響します。典型的には、病気になった腕は肘が曲がり、足は伸びて突っ張ったような形になり、アチコチの筋肉は固くなります(痙縮[けいしゅく]といいます)。痙縮は、その後の回復を妨げ、日常生活にも差し支えます。片麻痺は、リハビリテーションにより改善しますが、発症から半年を過ぎると回復の速度は鈍り、ほとんど回復が止まります。この原因の一つが痙縮です。半年以上経った脳卒中後の麻痺が、ボツリヌス菌という細菌から作った注射薬で再び改善していく様子がテレビで放送され、その「注射」についての問い合わせが増えました。テレビでも、薬の作用は説明していましたが、「改善」が「治る」というように解釈され、あたかも注射だけで片麻痺が治ると考えられているようです。注射は「痙縮」には有効ですが、麻痺を治す「魔法の注射」ではありません。固くなった手足を伸ばし、リハビリを行うことで、再び改善する可能性が出て来ます。注射とリハビリの組み合わせが大切です。この注射をどこで受けられるかはインターネット上で調べられますので、「脳卒中後遺症、痙縮」で検索してみてください。
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歯科における無痛治療について!

歯科治療を受けた経験のある方にとって、歯科治療中の痛みは「イヤ」なもので、歯科へ行こうと思っても、痛みを思い出すと足が向かない原因の一つでもあります。現在、麻酔液の進歩や良い抗菌薬のおかげもあり、麻酔を行うことによって、痛みをほぼ感じずに治療できます。しかし、その麻酔の注射自体が「痛い、怖い」という声を良く耳にします。ここでは、痛みの少ない麻酔注射方法についてご紹介いたします。①表面麻酔の使用(注射の前に、軟膏の様な物を1分くらい置くことで、除痛できます)、②麻酔液を適温に温める(体温近くまで温めることで、除痛できます)、③細い注射針の使用、④電動麻酔注入器の使用(麻酔液の注入する圧を軽減でき除痛できます)。現代の歯科医院では、このように痛みが少なく、患者様が楽に麻酔できるように、種々の努力をしています。ただ、今後行われる治療の説明など、医師と患者様とのコミュニケーションが良好なことが安心した治療を受けられる要因の一つでもあります。歯科医院でも説明の努力はしていますが、何か不明な点や疑問点などあれば先生やスタッフに聞いていただき安心して治療を受けていただくことをお勧めいたします。
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物忘れ

物忘れが多くて、ボケてきたかしら、と心配して外来で嘆く方が居ます。私も物忘れが多いのは負けていないのですが、自分のことは言いません。
物忘れは、年を取ってくると起こる自然な変化なので、ボケ(痴呆、現在では認知症)とは異なります。40歳以降のほとんどの人に起こり、進行することなく、忘れたことを自覚している場合は「物忘れ」で生理的な変化です。認知症では、今日が何日なのか、住所がどこか、一緒に居る人が誰かわからないなど、わからないことだらけになります(認知障害)。さらに、物を盗られたなどの妄想、幻覚、不安やあせりを自覚することもあります。体験の一部を忘れる「物忘れ」と違い、認知症では体験のほとんどを忘れてしまいます。認知症を分類すると、アルツハイマー型、脳血管型とその他の大体3種類に分かれます。アルツハイマー型は、海馬と言う脳の記憶にかかわる部分が萎縮して起こります。脳血管型は、動脈硬化や心臓から血のかたまりが飛んで、小さな脳梗塞(こうそく)を多発した場合や、大きな脳梗塞の後遺症として、認知症になります。この二つのタイプで認知症の八割を占めています。最近の調査では、65歳以上の人たちにおける認知症の割合は、6~7%、1年間に新たに発症する割合は1%と言われています。日本では、脳血管型がまだ多いのですが、近年は、アルツハイマー型が増えて、半々になっています。注意が必要なのは、一時的なボケ状態をせん妄(もう)状態と言うのですが、「今朝から急にボケた」というような場合には他の病気、肺炎や心筋梗塞のせいだったりすることもあります。せん妄状態は元の病気を治療すると回復します。アルツハイマー型は、進行を遅らせる治療しかありませんが、脳血管型は高血圧、糖尿病など動脈硬化を引き起こす病気を治療することで予防できます。アスピリンを少量服用するのが治療にもなります。介護いらずのパワフルな老人になるためには、若い時からと普段からの健康管理が鍵になります。
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コンタクトレンズと老眼

Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶
僕が眼科クリニックを開業したのがちょうど十年前になりますが、そのころから遠近両用コンタクトレンズ(以下CL)は、これから使う方が増えてくるだろうと考えていました。ですが、いかんせん、その当時は自分はまだ老眼ではなかったものですから、テストレンズをつけてみてもよく見えているのかどうか実感がありませんでした。ところが、四十五歳にもなってくると自分でも急に老眼になってきました。そこで自分でもCLの老眼対策をしなくてはならないこととなり、もう一度遠近両用CLを試してみました。するとどうでしょう―今度は遠くはもちろん近くも見やすくなっているではありませんか。改めて遠近CLを見直してみました。現在色々な遠近両用CLが発売されていますが、あの小さいコンタクトレンズにどういうふうに遠用度数・近用度数を配置するかというところがみそで、それぞれの見え方の特徴が出ます。例えばコンタクトレンズの中心から、近用・中間用・遠用と順番に度数を変化させたり、遠用・近用・遠用・近用と交互に入れてみたり工夫しています。また、小さいコンタクトに遠用・中間・近用の度数を全部入れてしまっているので、CLを通して目の中に入ってくる光の中には、遠くにピントのあう光と近くにピントのあう光の両方があります。遠くを見ようと思った時、近くを見ようと思った時、それぞれに目的の光情報を頭の中でピックアップするというのが遠近両用CLの作り方です。それ故、逆にピントの合っていない光情報も、常に目の中に入っているためちょっとずつにじんだ感じを感じられてしまいます。ですからレンズの大きな普通の眼鏡に比べて全てがすっきりというわけにもいかないのが実情です。普通の眼鏡にしても遠近両用眼鏡だとどうしても慣れないという方がおりますが、遠近両用CLも、使ってみてやっぱりうまく慣れないと思う方もおります。
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