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コラムを読む

片頭痛の新しい治療薬

Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税
今でも社会には「頭痛ごときで仕事や学校を休むなんて」という空気があると思います。そのために我慢を強いられている方も少なくないでしょう。片頭痛は慢性頭痛の代表で、日常生活に支障をきたす厄介な病気です。しかし、トリプタン製剤の発売後、片頭痛の治療は随分改善されました。予防薬が3種類ほどあり、選択肢の幅も増えています(新薬ではありませんが、健康保険上の適用が拡大されています)。ただし、トリプタン製剤は、それまでの頭痛薬に比べ、有効性の高い薬ですが、服用のタイミングを選ぶ(頭痛の早い段階で飲むのが良いとされている)こと、全ての患者さんに有効ではない上に、使いすぎると薬物乱用による難治性の頭痛を起こすことがあります。予防薬も、万能ではない上に、痛みのない日も毎日服用しなければなりません。最近、新薬がいくつか発表されました。発作予防のための注射薬は、国内で3製品が出ています。月1回の注射で済みます。さらに、頭痛発作時の内服薬も新たに出ました。これは従来のトリプタン製剤と異なり、服薬のタイミングを選ばないのが特徴で、痛み始めでも、痛みが強くなってからでも効果があるといいます。片頭痛のメカニズムはだいぶん解明されてきましたが、根本原因はいまだ不明です。今の治療は、対症療法的で、完全には発作を予防できませんし、全ての患者さんの痛みをゼロにするには至っていませんが、治療の選択肢が増えたことは、患者さんやわれわれ医師にとって、大変うれしいニュースです。これまで、頭痛を我慢していた方、従来の薬で満足できずに治療を諦めてしまっていた方は、改めて医療機関で相談することをお勧めします。
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男性の性(11)

Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
歌の世界ではオトコを待つオンナ、実体験ではオトコを待たせるオンナ、どちらも同じオンナですが、よく考えてみると待ったり待たせたりの時間が両者では大きく異なることに気がつきます。
歌の世界でのオンナの待ち時間は数週間から十数年に及ぶのに対し、デートの待ち合わせなどのオトコの待ち時間は十数分から数時間程度だということです。
つまり、長期的にはオンナが待ち、短期的にはオトコが待つ、というパターンが多いのではないかと思います。
そして、このパターンは驚くことに精子卵子時代から続いていることなのでした。性交時、膣内に射出された1〜4億匹の精子は、時速30〜40cmの速さで子宮口から卵管に向かって泳ぎ続けます。
子宮口から卵管までは23cmくらいなので、最短距離を泳いで行けば1時間弱で卵子との待ち合わせ場所である卵管に到達する計算になります。
実際にはどれくらいの時間がかかるかは分かりませんが、射精された億単位の精子のうち泳いで卵管までたどり着く精子は数百匹だけなので、あまりまわり道をしないで来た精子の方が最後の数百匹に生き残っていると考えた方が自然だと思います。
卵管に到達した精子は48〜72時間ここで生きることが出来ます。一方、卵巣から月に一度排出される卵子は通常1個で、先端がラッパのように広がった卵管に取り込まれ、卵管自体の運動と繊毛運動とによって精子との出会いの場所まで運ばれます。精子が精巣で生まれてから精巣上体〜精管〜精嚢〜尿道と長い長い旅をしてようやく膣内に射出され、さらにそこから今度は各々自力で泳いでくるのと比べると、卵子は卵巣から卵管まで、わずか7cmくらいの距離をたった一人の姫様がカボチャの馬車か牛車に乗ってやって来る様な感じです。(つづく)
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加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の新しい治療

Text by 吉田眼科病院 岡田 佳典
高齢化や生活様式の欧米化などに伴ってわが国でも増えつつある、加齢黄斑変性と言う病気をご存知ですか?物を見るために重要なフィルムの役割をしている網膜の中心部を黄斑と言います。加齢黄斑変性とは老化に伴いこの黄斑部に老廃物が溜まり、炎症や出血を誘発し視野の中心が歪んだり欠けてみえたりする病気です。黄斑変性には遺伝性のものもありますが、大部分がこの老化に伴う加齢黄斑変性と言われています。殊(こと)に脈絡膜に新生血管が発生し出血することにより網膜が障害される滲出型(しんしゅつがた)加齢黄斑変性は、進行が速く急激に視力低下を来(きた)します。この疾患に対し以前より様々な治療が行われてきましたが、近年この疾患で社会的失明に至る高齢者も少なくなく、今まで以上に適応範囲が広く効果的な治療が切望されていると言えるのではないでしょうか。そのような中、現在最も注目を集めている治療方法があります。それは光線力学療法(PDT)です。では、どのような治療方法なのでしょうか?PDTとは光に反応しやすい物質(光感受性物質[こうかんじゅせいぶっしつ])をあらかじめ組織や血管内に取り込ませた上で、その光感受性物質に特定のレーザー光を照射する事によってその物質を活性化させ血管を閉塞(へいそく)または組織を障害する方法の事で、既に肺・食道・膀胱(ぼうこう)・皮膚など、多様な疾患に用いられております。具体的にはベルテボルフィンという光感受性物質を投与後十五分の時点で、レーザーを新生血管に八十三秒間照射するものです。このようにする事で他の組織に障害を与える事なく、脈絡膜新生血管のみを特異的に潰す事が出来るため、先に述べた進行の速い浸出型に有効な治療方法と期待されています。以前このコーナーで取り上げた抗酸化ビタミン・ミネラルやカロテノイドの一種であるルテインなどの抗酸化サプリメントやPDTといった効果的な治療法が次々と施行され、今や加齢黄斑変性は治療可能な疾患に変貌しつつあると思われます。
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眼から分かる全身疾患

Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子
眼球は、直径24ミリほどの小さな器官ですが、私たちが得る情報の約90%が視覚からであり、それが障害されると日常生活に支障を来します。また、眼の症状から他の病気を発見するきっかけになることもあります。①散瞳剤をつけて眼底検査をすると、眼科医は動脈と静脈を直接見ることができます。眼底は体の中で血管を直接見ることができる唯一の部分です。血管の走行状態や出血から、糖尿病・高血圧症・がんの転移・白血病・SLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原(こうげん)病が見つかることがあります。特に、糖尿病は現代病であり、失明原因の第2位にもなっています。眼底出血が発見され、血糖値を測定したら、異常高値で即、内科に紹介ということも珍しくないことです。②急な複視(物がずれて見える)や片側の眼瞼下垂(まぶたが下がる)などの症状の時は、脳梗塞・脳腫瘍・脳動脈瘤(りゅう)による頭蓋内の神経の圧迫・甲状腺の異常・重症筋無力症などの病気が見つかることがあります。特に危険な脳動脈瘤は、くも膜下出血の前触れであり、放置すると命に関わることもあるので、神経の麻痺(まひ)と判断した場合は、即、脳外科に紹介となります。③目の周りのできものは良性のものがほとんどですが、まつ毛の際で増大していくものの中には、基底細胞腫・有棘細胞がん・悪性黒色腫などの悪性の腫瘍もあります。切除して病理組織診断して初めて分かることもまれにあります。④目の周りの皮膚は、全身の中で一番薄いので、荒れてしまいやすく、早めに治さないと感染症や色素沈着が長引くので、的確な治療が必要です。以上のように、眼に関わる何らかの症状がある時は、放置せずに眼科を受診して下さい。特に、症状の出ないうちに進行してしまう「緑内障」は失明原因第1位の病気です。視野検査を受ければ見つけることができます。眼科の検査は痛い検査はほとんどありません。気軽に「目の検診」を受けて、いつまでも見える目でいられるように、早期発見・早期治療に努めましょう。
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私、大動脈瘤(りゅう)が心配で…

Text by 関口内科 関口 洋平
「先生、何となく胸と背中が痛いような気がするので、私も大動脈の検査を受けなくてもいいでしょうか?」とAさんは心配そうに聞いてきました。どうやら最近のニュースで有名人が解離性大動脈瘤のため緊急入院し、とても危険な病気であると報道されたので、自分は大丈夫かと不安になったとのことでした。解離性大動脈瘤とは正しくは大動脈解離といい、大動脈の血管壁が二層に裂ける(=解離する)ことで起こります。喫煙歴のある高齢者、低蛋(たん)白血症の状態、寒い冬場や朝の血圧が高い時間帯などに起こりやすく、急性期には激烈な痛みが胸、背中、腹などに出現し、その痛みは解離の進行とともに移動する事がしばしばあります。その他に胸部や腹部の大動脈壁がふくらんでこぶのようになる胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤という病気もあります。高齢者や高血圧の方、また腹部大動脈瘤では喫煙歴のある方に起こりやすく、無症状のまま慢性に経過した場合は発見が遅れる事もあります。これらの病気の診断にはCTやMRIや超音波検査などが行われます。治療法は解離や瘤のある場所、その大きさ、進行の速度、痛みの有無などによって、手術(人工血管置換術)か内科的治療(降圧、安静、鎮痛)かが選択されます。また近年はステントグラフトによる治療も選択肢の一つとなり、手術より身体に負担の少ない治療法として期待されています。大動脈の解離や瘤は、一部には遺伝により発症するものもありますが、多くは動脈硬化が原因であり、生活の欧米化や高齢化社会の到来により近年は増加の一途にあります。しかし突然の解離や瘤の破裂による致死率は高いものの、その発生件数は心筋梗塞などと比較すると多くはありません。Aさんのように必要以上に心配するのではなく、それよりもまずは毎日の動脈硬化予防、とりわけ高血圧やスモーカーである方は食事の塩分を減らすことと禁煙に努めていくことこそが大切です。
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