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痛風(つうふう)Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原亨
風が吹いても痛いので痛風と呼ぶと言いますが、足の親指の付け根が真っ赤に腫(は)れているのを見ると本当に痛そうです。痛風は血液の中の尿酸が多いとかかる病気ですが、昔はぜいたく病とも言われていて、肉を食べる人に多いのでそう呼ばれました。焼肉をたくさん食べたプロ野球選手なんかには多かったようで、現役時代の王監督が痛風だったなんていうのは、話が古すぎるでしょうか?今では皆さん豪快に焼肉を食べますけれど、昔は焼肉なんかもぜいたくだったわけです。痛風というのは、足が腫れるだけではなく、血尿が出て腰のあたりが死ぬほど痛い尿路結石(にょうろけっせき)や腎臓、血管壁(けっかんへき)に尿酸がたまった状態も全て痛風と呼びます。いずれも、血液の中に溶けているはずの尿酸が、濃くなりすぎて溶けきれずに結晶になると、かたまりになって出てくるわけです。血液検査を受けている人でしたら、必ず腎臓の機能の欄に尿酸値というところがあります。7mg/dlが理論的には血液に尿酸が溶けている限界で、それより濃くなると危ないです。砂糖を水に溶かしても、いっぱい砂糖を入れすぎるとザラメになりますが、そんな状態です。男性では二十歳を過ぎたら、女性では閉経後に尿酸値はピークになります。ですから、痛風は男性に多くて、しかも五十歳を過ぎた頃からかかる人が多くなります。高血圧の人の腎臓は尿酸を捨てるのがうまくいかなくて、痛風になりやすいということもあります。痛風で高血圧だと血管に尿酸がたまって血管が硬くなる動脈硬化も進みます。濃いおしっこは酸性なので尿酸が溶けにくく、薄いおしっこはアルカリに近くなるので、尿酸がよく溶けます。尿酸が7mg/dl台の人は、水を多めに飲んでいっぱい出すと尿酸は少し下がります。8mg/dlでは薬を飲んで下げましょう。9mg/dlでは「足が痛くなりますよ」と内科の教科書には書いてあります。暑い日に屋外でするバーベキューはビールも美味しいのですが、痛風の人は要注意。『水も飲みながらビールをおかわり』です。
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『噛(か)む』ことと『食育(しょくいく)』Text by みはら歯科矯正クリニック 村井 茂
人間が持っている歯の形は、前歯は切るに適した肉食のための形、奥歯は、すり潰すための臼(うす)の形をしているため草食に適しております。石塚左玄が著書「食物修養論」で、人間は穀物食動物だと述べていますように、肉食獣に比べると切るための筋肉も弱く、また、草食動物の牛などに比べると、食道から直腸までの消化管の長さが、短く草食動物と言う事もできません。最近良く『食育』という言葉を耳にしますが、村井弦斎は小説「食道楽」下巻に「小児には徳育よりも知育よりも体育よりも食育が先き」とすでに書いております。食育基本法が平成十七年六月十日に成立しましたが、その内容はー一、食の大切さを知る。
二、食の現状を知る(自給率の向上)。 三、生産者と消費者の信頼関係から地域の発展を目指すーなどです。また、米国人、フレッチャーが提唱しているフレッチャーイズムのなかで、空腹を感じたときだけ食べ、十分に噛み砕き、すり潰し、唾液と混ぜることが、健康に大切であると述べています。石塚左玄、村井弦斎、フレッチャーに共通していることは、玄米など自然の食品を加工せず、丸ごと食べること、よくすり潰してから飲み込むことの重要性を唱えていることです。最近、開咬(かいこう)と呼ばれる、前歯がかみ合わない子が多くなっていると言われますが、歯並びが悪く噛む力が弱いと、口周囲の筋肉の発達が弱くなり、唇を閉じられない開咬状態になってしまいます。口が半開きになってしまい、口で呼吸し、鼻呼吸ができづらくなりアデノイドや鼻炎になりやすくなります。当然ですが、痛い虫歯があるとよく噛むことは無理ですし、よく噛める状態を作ることが、攻撃的・排他的な行動を抑制し、イライラが減ったり、キレにくくなり、ひいては、感謝の気持ちを引き起こします。顎(あご)・歯・頬(ほお)・唇・舌の正しいバランスが、食事をおいしいと感じさせ、満足感、心の豊かさを引き起こし、充実した生活を送れるようになるでしょう。『食育』の入り口は、「歯、口、噛むこと」から始まります。 |
脳波検査の復権Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
以前、この欄の「脳を鍛える」話で、脳を鍛えるには繰り返すしかないと書きました。実は、「鍛える」目的でなくても、「繰り返す」ことで「身に付いてしまう」ことがあります。脳は何億という神経細胞が電気信号を伝える回路の塊です。脳の神経細胞の回路は、繰り返し電気信号が流れることにより、信号が流れやすくなります。これが「繰り返す」ことで、知識や技術が身に付く基本原理です。ところが、厄介なことに都合の悪い事まで身に付いてしまいます。その代表が「てんかん」です。「てんかん」の発作は、脳の一部から異常な電気信号が生じ、それが広がることで、けいれんを起こしたり、意識を失ったりします。発作を繰り返すほどに出やすくなってしまいます。この広がりを抑えるのが薬の働きです。「てんかん」には、ネガティブなイメージがついて回りますが、新薬が次々に開発されている上に、一生薬が必要とは限らないことも、これまでの経験で分かっています。時には、異常な信号の発生源が特定できて手術で完治することもあります。脳の電気活動を見る目的で行われるのが脳波検査ですが、「てんかん」の異常な電気信号を見るのに、この検査が大変役に立ちます。しかし、近年は、断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)といった形を見る検査方法が発達してきた一方、脳波は判読が難しく、重症の頭部外傷や脳卒中の後遺症を除けば、成人してからの「てんかん」の発症は少ないと考えられていたため、脳波を検査することが減ってきていました。ところが最近、脳波計もデジタル化して見やすくなり、再び注目されています。特に成人、それも高齢者では想像以上に、「てんかん」発作が起きていることが分かってきています。一時的な意識障害、一過性のまひなど、脳卒中の前触れを疑わせるものの中に「てんかん」が潜んでいるらしく、脳疾患急性期の脳波検査が再び注目されています。CT、MRIで脳の形は見やすくなりましたが、働きを見るには、古くからの脳波検査がまだまだ必要です。
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眼から分かる全身疾患Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子
眼球は、直径24ミリほどの小さな器官ですが、私たちが得る情報の約90%が視覚からであり、それが障害されると日常生活に支障を来します。また、眼の症状から他の病気を発見するきっかけになることもあります。①散瞳剤をつけて眼底検査をすると、眼科医は動脈と静脈を直接見ることができます。眼底は体の中で血管を直接見ることができる唯一の部分です。血管の走行状態や出血から、糖尿病・高血圧症・がんの転移・白血病・SLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原(こうげん)病が見つかることがあります。特に、糖尿病は現代病であり、失明原因の第2位にもなっています。眼底出血が発見され、血糖値を測定したら、異常高値で即、内科に紹介ということも珍しくないことです。②急な複視(物がずれて見える)や片側の眼瞼下垂(まぶたが下がる)などの症状の時は、脳梗塞・脳腫瘍・脳動脈瘤(りゅう)による頭蓋内の神経の圧迫・甲状腺の異常・重症筋無力症などの病気が見つかることがあります。特に危険な脳動脈瘤は、くも膜下出血の前触れであり、放置すると命に関わることもあるので、神経の麻痺(まひ)と判断した場合は、即、脳外科に紹介となります。③目の周りのできものは良性のものがほとんどですが、まつ毛の際で増大していくものの中には、基底細胞腫・有棘細胞がん・悪性黒色腫などの悪性の腫瘍もあります。切除して病理組織診断して初めて分かることもまれにあります。④目の周りの皮膚は、全身の中で一番薄いので、荒れてしまいやすく、早めに治さないと感染症や色素沈着が長引くので、的確な治療が必要です。以上のように、眼に関わる何らかの症状がある時は、放置せずに眼科を受診して下さい。特に、症状の出ないうちに進行してしまう「緑内障」は失明原因第1位の病気です。視野検査を受ければ見つけることができます。眼科の検査は痛い検査はほとんどありません。気軽に「目の検診」を受けて、いつまでも見える目でいられるように、早期発見・早期治療に努めましょう。
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かくれ糖尿病は大丈夫ですか?Text by はら内科クリニック 原 信彦
ゴールデンウィークも終わり、体重計に乗ってため息をついている方はいませんか?健康診断で、血糖値が少し高めの方はいませんか?血糖値は常に変動しているので1回の血糖測定で正しい判定はできません。一般的に糖尿病の初期では空腹時血糖が正常であることが多いため空腹時の血糖値だけでは大丈夫とはいえません。「糖尿病が心配だ~ひょっとすると…」と思って悩んでいる方はブドウ糖負荷試験という精密検査を受けてみませんか?これは早朝空腹時に行う検査です。ご飯を食べない状態で病院に来ていただき、はじめに空腹時の尿検査・採血(血糖値)を行います。その後すぐに砂糖水(ブドウ糖水溶液)を飲み、その30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ同様に尿検査と血糖値の採血を行います。砂糖水を飲んだ30分後には、みんな血糖値が上がります。その後1時間→2時間と時間が経過すると正常な人は血糖を下げるインスリンの働きで血糖値が下がってきます。逆に糖尿病の人は1時間→2時間と血糖値が上がってきます。境界型糖尿病の人は(いわゆる糖尿病予備軍)1時間、2時間ともに糖尿病ほど血糖値が上がりはしないものの正常に低下しない状態になります。ブドウ糖負荷試験の正常値は、空腹時で血糖が110mg/dl未満かつ2時間値が140mg/dl未満です。空腹時で126mg/dl以上、もしくは、2時間値で200mg/dl以上であれば糖尿病型と診断します。どちらにも属しなければ境界型(予備軍)となります。このようにして正常か糖尿病なのかを区別する検査です。糖尿病であれば早期に治療に取り組めますし、もし糖尿病予備軍と分かれば、まじめにダイエットに取り組むいいチャンスと思って下さい。また糖尿病および予備軍ではコレステロールや血圧の管理基準が通常より厳しくなりますので、なおのこと「糖尿病なのかどうか?」白黒はっきりつけてみてはいかがでしょうか?
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