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再生医療とリハビリテーション

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
京都大学山中教授のノーベル賞受賞以来、iPS細胞による再生医療に対する期待が高まっています。一部の病気で臨床試験が間もなく開始されるという報道もあり、いよいよ現実味が出て来ました。こうした状況を受けて、患者さんの中には「もうすぐ再生医療が実用化されて、自分の脳卒中後遺症は細胞を移植すれば治る。だから、リハビリなんか止める」という人が出て来ました。果たして、iPS細胞から作った神経細胞(正しくは神経幹細胞)を移植すれば、脳の病気は何でも治るのでしょうか?リハビリは不要になるのでしょうか?答えは「ノー」です。脳は、よくコンピューターに例えられます。脳卒中で脳が大きく壊れた時、これに再生医療技術を用いるのは、いわば、パソコンを「リカバリー」して、買ってきた時の状態に戻すことに似ています。実際には、買ってきたパソコンは色々なプログラムが入って、初めて使えるようになります。例えば、脳梗塞で脳の一部が障害された状況を思い浮かべます。病気の範囲が小さくて、パソコンでいえば「回路の一部が切れた」程度ならば、細胞移植だけで回復する可能性は大きいでしょう。しかし、病気に侵された範囲が広い場合、事は簡単ではありません。神経回路が回復しても、それまでの人生で身に付けたこと(プログラム)は、もう一度脳に覚えさせなければなりません。別の例えで言えば、体が自動車で、脳がドライバーだとします。ドライバーが病気になったなら、ドライバーを交代させれば良いはずですが、交代ドライバーとして移植された細胞は、まだ運転の仕方を知らない子供のようなものです。手足は自在に動かせますが、運転操作は練習で身につけなければなりません。この練習こそ、リハビリテーションです。残念ながら、再生医療が実現しても、何の努力もなしに元通りになるということは期待しない方がいいでしょう。むしろ、リハビリは益々重要になってくると思われます。
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我慢していませんか?(老眼について)

Text by 吉田眼科病院 長谷川 浩之
老眼の症状が出始める時期と、スポーツ選手の引退する時期が同じ位だと考えたことのある人はいるでしょうか?例えば、野球なら昨年限りでメジャーを引退した松井秀喜が三十八歳、阪神を引退した金本知憲が四十四歳、サッカーで言えば中山雅史が四十五歳と個人差はあるものの、早ければ三十代後半から四十代で引退する選手が多くありませんか?目も含め肉体的な運動能力が低下し、何らかの変化が出てくるのがこの時期だと考えて良いのではないでしょうか?では、老眼はどうしてなるのか、また、どんなものなのか?原因は加齢からくる様々な変化により、ピントを合わせる調節力が低下して近くのモノにピントが合わせにくくなった状態をいいます。よく間違われるのが、近視は遠くが見えなくて遠視は近くが見えないといわれることが多いので、遠視を老眼という方もいるようですが、それは間違いで全くの別物です。老眼の初期症状は、近くが見えないというより頭痛・肩こりといった眼精疲労の症状を訴える方が多いです。特に視力が良く事務作業やパソコンを長時間使う仕事をされる方は早めにその症状に気付くことが多いはずです。近視の人は老眼になるのが遅いとか、ならないとかいわれる場合もあるようですが、これも間違いでどんな方でも多少の時期の違いはあっても必ず老眼にはなるものだとご理解下さい。では、最後に老眼になったらどうすれば良いのか?生活や職場環境にもよりますが、見えなくはないが頭痛や肩こりなどがひどい場合は、早めに近く用の眼鏡の利用をお勧めいたします。コンタクトレンズを使っている方は少し度数を落として合わせたり、遠近タイプのコンタクトを使ってみる方法もあります。この場合眼鏡をかけるよりはっきり見えるとはいえませんが、最近は種類も増えていますので、体験など出来る施設で試してみるのも良いかもしれません。決して治ることはありませんが、物を見るということを、スポーツ選手のように引退する訳にもいきませんので、それぞれのライフスタイルに合わせたアイテムを用いて、我慢することなく、上手く付き合っていきましょう。
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C型肝炎の治療は新時代へ

Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
肝臓病の原因は数多くありますが、B型肝炎・C型肝炎に代表されるウイルス性の慢性肝炎は特に気を付けなければならない病気です。これらは主に輸血など血液を介して感染しますが、感染ルートが不明の場合も少なくありません。この病気の怖いところは、感染後長年症状のないまま肝硬変や肝臓がんになっていくことです。今から30年ほど前までは有効な治療法がなく、肝機能をできるだけ維持する治療を行うのが精一杯の時代が続きました。1980年代にウイルスの排除(追い出すこと)を目的とするインターフェロン治療が始まりました。しかしインターフェロンは長期間頻回の注射を必要とする上に副作用も多く、その上ウイルス排除の成功率も低かったため満足できる状況とは言えませんでした。B型肝炎については2000年頃よりウイルスの増殖を抑える内服治療が登場し現在も多く使われていますが、C型肝炎の方はインターフェロンを必要とする時代が長く続きました。しかし昨年その状況に風穴があくことになりました。C型肝炎に対して副作用も少なくウイルス排除の成功率が85%から100%という内服治療薬が登場したのです。インターフェロン時代の苦労を考えるとまさに夢のような数字といえます。C型肝炎ウイルスにはいくつかの型があり、発売当初は日本人に最も多い1型に対する薬でしたが、今年に入って2型に対する治療薬も登場し日本のC型肝炎のウイルス型をほぼ網羅できるようになりました。さらに治療期間も当初の6カ月間から3カ月間に短縮されつつあるなど、次々に新薬が登場しています。C型肝炎はまさに治る時代に入ったといえるでしょう。医療の進歩というよりメーカーの開発競争の成果としての側面も大きいわけですが、結果として多くの患者さんがその恩恵をうけ健康を取り戻せるようになります。治療には国や道の医療費助成を受けることができますので、消化器病・肝臓病の専門医によく相談しましょう。
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動脈硬化

Text by 小笹内科医院 小笹 明
動脈硬化とは動脈壁が肥厚(ひこう)し弾性を失った状態をいいます。現在日本における死因の1位は癌の30%ですが、脳卒中は15%、心臓病も15%と心血管合併症による死亡も合計30%と癌による死亡とほぼ同じです。このため、心血管疾患の予防が重要視されています。動脈硬化は血管に炎症などの障害が起こり、悪玉コレステロールのLDLが血管内に侵入し酸化LDLとななり、マクロファージに貪色(どんしょく)され動脈硬化巣が形成されることにより起こります。動脈硬化巣が大きくなると血管の狭窄(きょうさく)を来し、胸痛が出現したり、息切れが起こります。また一見血管の狭窄のない部位の被膜が突然破れ心筋梗塞を発症することがあります。このため動脈硬化を予防することが大切です。ビタミンCやビタミンEは抗酸化物質として知られ、また喫煙によりLDLの酸化が促進されることが知られています。このため生活習慣を改善することが重要です。
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糖尿病とこれからの季節

Text by はら内科クリニック 原 信彦
「日本人の糖尿病は、お盆の時期とお正月の時期に悪くなる」という有名な報告をしたお医者さんがいます。
これから、忘年会・クリスマス・お正月を迎えます。食事療法をしなければいけない糖尿病の患者さんにはつらい季節がやってきます。誰もが、おいしいごちそうを目の前にして挫折するものです。そんな時どうしていますか?「あ~あ、昨日食べ過ぎちゃったから、今日は食事を抜こう~」なんてしてませんよね?
内服治療やインスリン治療中の患者さんは、このようなことをしてはだめですよ!食事を抜いたり、極端なカロリー制限をすると低血糖になったり、朝はいいのですが、昼や夕食時間に非常に空腹感が強くなってまた食べ過ぎてしまいます。それを繰り返すと、どんどん食生活がうまくいかなくなり、糖尿病が悪化します。また、特に治療中の人はアルコールにも気を付けましょう。
糖尿病の治療中にアルコールを多量に飲んで低血糖になる―というのは、非常に危険です。意識を失い、生死をさまようことだってあります。
また、果物の摂りすぎにも気を付けましょう。こたつでミカンなんて、気がついたら一日に五~六個食べてしまいますが、糖尿病の食事療法では、果物は一日一単位~ミカンなら中くらいの物を二個、リンゴやナシは、一日半分。ブドウは、皮と種を含んで一八〇グラムです。
糖尿病の食事療法で食品交換表がありますので、これを見て、食べ過ぎに注意し、自分の摂取カロリーに気を配る癖を付けたいものです。この季節は、食べ過ぎた日のことは水に流して、翌日からは主治医に教えてもらった食事量を思い出してきちんと定められたカロリー通り摂りましょう。
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