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かかりつけ医と総合診療(2026年9月 ハコラク掲載)

Text by たからまち総合診療クリニック  院長 玉城 耕平
近年、「どの診療科を受診すればよいか分からない」と悩まれる方が増えています。発熱や咳だけではなく、「体調が優れないけれど原因が分からない」「気になる症状がいくつもある」「健康診断で異常を指摘された」など、どこに相談すればよいか迷う場面は少なくありません。そのようなとき、最初に気軽に相談できる存在が「かかりつけ医」であり、その役割を担う診療分野の一つが総合診療です。総合診療では特定の臓器や病気だけに注目するのではなく、年齢や性別を問わず、患者さん一人ひとりの症状や生活背景まで含めて幅広く診療を行います。原因を多角的に考え、必要な検査や治療を行うとともに、より専門的な診療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へつなぐ「医療の入り口」としての役割も担っています。年齢を重ねるにつれて、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に加え、心臓病など複数の病気を抱えながら生活される方も増えてきます。そのような場合には、複数の医療機関で処方される薬の重複や副作用に配慮しながら、患者さん全体の健康状態や生活の様子を把握し、安心して日常生活を送れるよう支える「かかりつけ医」の存在が重要になります。患者さんを総合的に診る総合診療は、まさにその役割を大切にしている診療分野です。もちろん、風邪や花粉症など身近な病気や、健康診断で異常を指摘された際の相談など、日常のさまざまな健康の悩みにも対応しています。「こんなことで受診してもいいのだろうか」と迷うようなことでも、気軽に相談できることは、かかりつけ医の大きな役割です。医療が高度に専門化した今だからこそ、「まず相談できる場所」があることは大きな安心につながります。体調に不安を感じたときや、受診先に迷ったときには、まずはかかりつけ医に相談してみてください。総合診療が、その身近な相談相手として地域の皆さまの健康を支える存在となれば幸いです。
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糖尿病あれこれ

Text by はら内科クリニック 原 信彦
これから忘年会・クリスマス・お正月、嫌でも食べる機会が増え、体重も増えそうな気配がします。日本人の糖尿病は、盆と正月に悪くなると言われています。こんな時に、あれこれ考え、できることから実践しませんか?まずは食事について。時代は低糖質。ご飯1膳=うどん1玉=6枚切りの食パン1枚半=角砂糖14個分の糖質です。角砂糖に換算されると、とても怖い感じがします。ここで言いたいのは、この程度の糖質は普通の生活で十分消費できるので、ここに糖質を重ねないようにするのがポイントです。まずは500mℓペットボトルの清涼飲料水。角砂糖17個程度の糖質を含んでいます。これは不要ですよね!あとは、外食時のセットメニュー、ラーメン+半チャーハンなど、確かに魅力的ですが、追加した炭水化物が、さらに角砂糖を追加していることになります。角砂糖を20個もいれた紅茶は飲めないですよね?炭水化物の重ね食いにはご注意を!運動について。以前は20分以上かけないと脂肪燃焼しないと言われていましたが、現在では10分の運動を繰り返すことでも効果があると分かってきています。目標は30分を週5日もしくは10分3回を5日間。ハードルが高ければ少なくてもかまいません。バス停1駅手前!少し歩きましょう!また有酸素運動ではなくても筋トレも効果があり、血糖値が下がりやすくなります。歩くのが苦手であれば室内で腹筋や腕立て伏せ、ラジオ体操またはストレッチをして背中の筋肉を大きく動かすのも効果的です。これから雪が降るので、転倒の危険もあり、室内での運動もお勧めです。最後に毎日体重計に乗りましょう。1日2回の測定がお勧めです。少しでも増えると食事の見直しができて、あまり体重が大きく増えたりしなくなります。体重は、量らないと、あっという間に2~3㎏簡単に増えますよね?体重が2㎏増えたら2ℓのペットボトルが自分の体についたことになります!このようにしてダイエットのモチベーションを維持し頑張りましょう。あきらめないこと、少しずつでも変えていけば時間とともに良くなるはずです。そう!明日からではなく、今日からスタートしましょう!
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気づかぬうちに進行する緑内障(2026年 函館メディカルガイド掲載)

Text by 藤岡眼科 医師 深瀬 紗綾
緑内障は眼の奥にある視神経が徐々に障害され、視野が欠けていく進行性の病気です。日本における失明原因の第一位であり、40歳以上の約20人に1人が緑内障といわれています。最も注意すべき点は、初期には自覚症状がほとんどないことです。視野の欠損は周辺部からゆっくりと始まり、もう一方の目が見え方を補うため、日常生活では気付きにくいのです。自覚症状が出た時には、すでに視野欠損が進行しているケースも少なくありません。緑内障は眼圧が高い人がかかると思われていますが、日本人の場合は眼圧が正常範囲内でも緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」が多いので、眼痛・かすみ目・頭痛などを伴わず、気付かれないことが多いです。一度失われた視野は、残念ながら現在の医療では元に戻すことができません。しかし、早期発見・早期治療により、進行を抑えることは可能です。そのため、自覚症状がなくても定期的な眼科検診を受けることが極めて重要なのです。治療は点眼薬による眼圧コントロールが基本となります。毎日の点眼で眼圧を下げ、目の奥につながる視神経へのダメージを軽減します。症状に応じてレーザー治療や手術を検討することもあります。緑内障と聞くと見えなくなってしまう病気というイメージがありますが、早期発見、定期検査、治療の継続をすることによって、自覚症状のないまま過ごせることも多いです。40歳を過ぎたら、年に一度は眼科で視野検査や眼圧測定を含む健診を受けましょう。痛みを伴う検査は一つもないので、大切な視力を守るため早めのチェックを心掛けてください。
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子宮頸がん予防ワクチンの(ヒトパピローマウイルスワクチン)安全性と効果が日本でも証明されました

Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝
子宮頸(けい)がんの発症は、ヒトパピローマウイルスの感染に密接に関連しています。他にも咽頭がんや尖圭(せんけい)コンジローマ、子どもの気道にできる再発性呼吸器乳頭腫症などもヒトパピローマウイルスが原因とされています。2000年代に入り20歳代の子宮頸がん罹患(りかん)率の増加が問題になっています。ヒトパピローマウイルスは感染しても多くは自然に排除されますが、感染した1割程度が前がん病態となり、そこから子宮頸がんが発症します。20歳代の女性に多くなったために、妊娠を途中で諦めたり、妊娠できなくなったりと子どもを産むということがかなわない人が増える結果となりました。子宮頸がん予防ワクチンは6年前から定期接種となりましたが、副反応が報告されて、現在は積極的勧奨を中止している状態です。2015年から始まった名古屋市でのワクチン副反応に関する調査の結果が昨年発表され、ワクチン後に起こるとされた副反応のすべてで、接種による増加が認められませんでした。これは、WHOが報告しているのと同様で、安全性に関する懸念が払しょくされています。すなわち、ワクチンの副反応と言われていた症状はワクチンが原因で起こったものではないということです。またワクチンの効果についても昨年新潟大学から論文が出され、ワクチンに含まれるウイルスのタイプについては91.9%の有効性が報告されています。日本以外の先進国ではすでにより多くのヒトパピローマウイルスに対応したワクチンが開発され、女性ばかりではなく男性にも打ち始めるところが出てきました。今年4月から道南一部市町村では子宮頸がん予防ワクチンの接種券の配布を再開しています。ワクチンの接種をおすすめします。
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再生医療とリハビリテーション

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
京都大学山中教授のノーベル賞受賞以来、iPS細胞による再生医療に対する期待が高まっています。一部の病気で臨床試験が間もなく開始されるという報道もあり、いよいよ現実味が出て来ました。こうした状況を受けて、患者さんの中には「もうすぐ再生医療が実用化されて、自分の脳卒中後遺症は細胞を移植すれば治る。だから、リハビリなんか止める」という人が出て来ました。果たして、iPS細胞から作った神経細胞(正しくは神経幹細胞)を移植すれば、脳の病気は何でも治るのでしょうか?リハビリは不要になるのでしょうか?答えは「ノー」です。脳は、よくコンピューターに例えられます。脳卒中で脳が大きく壊れた時、これに再生医療技術を用いるのは、いわば、パソコンを「リカバリー」して、買ってきた時の状態に戻すことに似ています。実際には、買ってきたパソコンは色々なプログラムが入って、初めて使えるようになります。例えば、脳梗塞で脳の一部が障害された状況を思い浮かべます。病気の範囲が小さくて、パソコンでいえば「回路の一部が切れた」程度ならば、細胞移植だけで回復する可能性は大きいでしょう。しかし、病気に侵された範囲が広い場合、事は簡単ではありません。神経回路が回復しても、それまでの人生で身に付けたこと(プログラム)は、もう一度脳に覚えさせなければなりません。別の例えで言えば、体が自動車で、脳がドライバーだとします。ドライバーが病気になったなら、ドライバーを交代させれば良いはずですが、交代ドライバーとして移植された細胞は、まだ運転の仕方を知らない子供のようなものです。手足は自在に動かせますが、運転操作は練習で身につけなければなりません。この練習こそ、リハビリテーションです。残念ながら、再生医療が実現しても、何の努力もなしに元通りになるということは期待しない方がいいでしょう。むしろ、リハビリは益々重要になってくると思われます。
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