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痛みやシビレとの付き合い方についてText by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税
この原稿を書いているとき、丁度、東京パラリンピックが閉会しました。日本での開催なので、時差がないため、色々な種目をテレビ観戦できて、大変感動しました。“失われたものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ。”これは、パラリンピックの創始者とされるグットマン博士の言葉ですが、今まで、この言葉は知りませんでしたが、神経の病気で機能を失った患者さん達を診てきた私も、同様の言葉を患者さん達に掛けてきました。さて、手足が麻痺して動かせないことだけでなく、痛みやシビレがあることも、機能の喪失と考えられます。つまり、患者さん達は「痛みやシビレのために、○○が出来ない」と訴えます。治療に関わる人間は、様々な方法で、その痛みやシビレを取ろうとしますが、残念ながら、完全に痛みやシビレを取り除けることは多くありません。先日、ある鎮痛薬のパンフレットの言葉に目が留まりました。「痛みがなくなることを治療の目標にせず、痛みはあるけれど、○○ができることを目標にしましょう」というものでした。患者さん達の痛みを無くして欲しいという気持ちはよく分かります。でも、完全に症状が無くなることを目標にすると、得てして不満だけが残り、病気が悪化しているような気になってきます。私は最近、患者さん達に、「痛みやシビレがある」今の状況から、「痛みやシビレはあるけど、○○が出来るようになる」ことを目標にするようにお勧めしています。これはまさしくグットマン博士の言葉と相通ずるものがあるでしょう。病気で出来なくなった状態を嘆き悲しんでばかりいるのではなく、病気の症状を抱えたままでも、出来ることを増やす努力をしていくことが、充実した生活を送るのに役立つと考えるのですが、どうでしょうか。
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夜も高血圧ですか?Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原亨
血圧には日内変動(にちないへんどう)と言うのがあります。多くの人では、朝、目が覚める直前から血圧が上昇してきて、昼寝をしたくなるような午後2時から4時ころに少し下がります。夕食のころに少し上昇して、眠くなったころからまた血圧は低くなります。ところが、高齢者に多いのですが、夜中寝ている間ずっと血圧が高くて、日中の血圧が低い場合があります。また、明け方、目が覚めるちょっと前から急激に血圧が上昇する場合(モーニングサージ型)もあります。いずれも、早朝高血圧と呼ばれています。脳梗塞や心筋梗塞の原因となりやすい状態です。心臓突然死の発生時間帯を調べた研究では、午前の時間帯(9時から11時)に突然死のピークがあり、死者の少ない夜間に比べて2倍の人が午前中に突然死していました。また、サージ型ではない高血圧患者と、サージ型の高血圧患者では、サージ型で脳卒中の発生率が3倍高かったとわかりました。就寝中の高血圧や早朝の血圧上昇は、心臓病や脳卒中の危険性を高くするのです。早朝高血圧に気づくきっかけには、朝起きて1時間以内に、排尿して少し安静を取ってから血圧測定をすることです。家庭血圧では、135/85を超えていると高血圧ですが、これより大幅に高ければ、夜間の血圧上昇が疑われます。そんなときには、24時間血圧計で就寝中の血圧測定をします。寝ているときには120/−程度が望ましいのですが、寝ている間中、あるいは、早朝に急に血圧が上がっていることがあります。変動のパターンによっては、朝1回飲む長時間作用型の降圧薬だけでは完璧な血圧コントロールは難しいので、寝る前に朝とは違うタイプの薬を加えて、朝の高血圧を下げるように試みます。ときには、異常が見つけにくいところにあることもあります。また、治療が容易ではない場合もあります。根気よく付き合ってもらえると助かります。
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飛蚊症(ひぶんしょう)Text by くどう眼科クリニック 工藤 勝利
実際は何も無いのに、視界のなかにふわふわ邪魔なものがみえる症状が飛蚊症です。細かなゴミのようだったり、点やひも、又はうすい雲の様だったりと、形はさまざまです。飛蚊症のほとんどは、40~60才代に多くみられる後部硝子体剥離という治療の不要な加齢現象です。悪化しませんが無くなることもなく、付き合っていかなければなりません。しかしまれに、網膜剥離(緊急に手術しないと失明する)の前段階である網膜裂孔や、適切な治療を要するぶどう膜炎、硝子体出血などの危険性があるため、精密眼底検査を受けて確認しておくことが必要です。精密眼底検査では、散瞳剤を点眼して瞳孔をひろげます。散瞳効果は点眼後3~4時間持続し、その間眩しく感じたり、焦点があわずものがみづらくなりますから、細かい作業や運転をしないでよい準備をしたほうがいいでしょう。
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肝臓が悪いと言われたらText by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
健診の結果で「肝臓が悪い」と言われたことのある方もいらっしゃると思います。同時に「精密検査を受けてください」とも言われると思いますが、それにはれっきとした理由があります。肝臓が悪くなる原因は数多くあります。脂肪肝、アルコール、薬剤などが代表的な原因ですが、最も問題となるのはB型肝炎・C型肝炎などの肝炎ウイルスが原因の場合です。わが国ではB型肝炎ウイルスに130万人、C型肝炎ウイルスに180万人が感染しているといわれています。これらのウイルスが感染して慢性化すると長年にわたって肝臓を痛めつけ、肝炎から肝硬変へと進行した末に肝臓がんが発生します。肝硬変は肝臓全体ががん発生の予備状態になっているため、がんは1個ではなく複数個できる場合もあります。したがって、感染していることをできる限り早期に発見して、その一連の進行を食い止めることが極めて重要なのです。これらのウイルスは主に血液を介して感染します。母親からの出産時の感染、輸血、入れ墨、薬物乱用、性行為などさまざまな経路がありますが、実際にはいつどこから感染したのか経路がはっきりしない場合も少なくありません。感染は一過性で終わる場合もありますが、慢性的な感染状態になっても厄介なことに数十年にわたって症状を現わさないため、採血での肝臓の数値異常から偶然発見される場合も多いのです。精密検査を勧められながら「肝臓が悪いのはお酒のせい」などと自己判断で放置すると、重大な結果を招くことになりかねません。精密検査は採血で肝臓のより詳しい状態と肝炎ウイルスの有無を確認し、さらにエコー・CT検査で肝臓の形の異常や腫瘍の有無などを評価して総合的に診断します。万一肝炎ウイルス陽性だった場合はウイルスの種類や肝障害の程度、患者さんの年齢などを勘案して抗ウイルス療法を検討することになります。精密検査を勧められた時は決して放置せず、必ず消化器内科専門医を受診しましょう。
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アンチエイジングとしての白内障手術Text by 吉田眼科病院 岡田 佳典
最近、巷でアンチエイジングという言葉を耳にします。和訳すると「老化予防」、中には「若返り」と過大解釈している方もいらっしゃるでしょう。私の知る限り、現在のところそれを百%実現できる方法はありません。ただ、それを知りつつも大人になった時から、誰しもアンチエイジングや不老不死の方法を模索してしまうものではないでしょうか?我々眼科の領域でも、加齢性疾患は多数認められ今ではアンチエイジングは必須の分野となりつつあります。その中で真っ先に思い当たるのは老眼。次に思い当たるのは白内障でしょうか?ことに白内障は、手術によって混濁したレンズ(水晶体)を透明な人工のレンズに置き換えるため、視力の回復が得られます。言ってみれば手術による視力の若返りが可能な部位なのです。また、ただ白内障を治すというだけではなく個々の希望に沿った見え方にするための研究も進んできています。その一つとして多焦点眼内レンズがあります。現行の眼内レンズは単焦点(一箇所にのみピントが合っているレンズ)なため手術後遠くも近くもメガネが必要となります。多焦点眼内レンズはレンズ表面に特殊な加工を施すことによって、可能な限りメガネを使わずに遠くも近くも見えるように工夫がなされています。したがって、若かりし頃の見え方通りというわけにはいきませんが、現在の技術で出来る限りそれに近づけた仕様となっています。これを用いれば白内障の治療によって老眼の改善も可能となるわけです。しかし、従来の手術と違い全額自費となりますので、十分ご理解の上で選択していただきたい治療方法である点を付け加えさせて頂きます。
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