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口の外傷 ー歯が折れたり、抜けたらー

Text by 北斗歯科クリニック 土永 浩史
幼児がハイハイを卒業し、つかまり立ちを始めるのを見ると我が子の成長を実感するものです。しかし疲れを知らずに自由に走り回るようになると、頭をぶつけたり、膝を擦りむいたりと怪我が多くなります。そして、顔をぶつけたときに唇を切ったり、歯を折ったり(破折)、歯が抜けたり(脱臼)と口の中にも外傷が見られます。産まれたての乳児の歯が無い時期から半年くらい経ちますと、下の真ん中の前歯が最初に萌出し、その後1歳までに上下合わせて8本の前歯の乳歯が萌出します。受傷年齢は1〜3歳が1番多く、前歯の乳歯の萌出した後に転びやすい時期が重なって外傷が多くなりやすいと思われます。また、前歯が生えかわり、7〜8歳頃にも前歯の永久歯に外傷を受け来院されるケースも多く見られます。外傷を受けた場合、原因となった事故により頭部、顎顔面等への外傷や全身状態への影響を疑われる場合は、まず医師による緊急処置を優先します。そして顎の骨折の治療の必要があれば口腔外科などで治療を行います。そういった緊急性がなく歯の処置を行って差し支えない場合は、損傷を受けた歯の治療をすみやかに受ける必要があります。歯が抜けた場合は、速やかに抜けた歯を牛乳(ロングライフミルクや低脂肪乳を除く)、生理食塩水等に入れるか、歯茎と唇や頬の間に入れて歯科医院に来院するのがいいと思われます。その抜けた歯は条件が良ければ再植(歯を顎の中に戻す)し、その後も歯は機能し続ける可能性がありますので、速やかに来院されるのが良いでしょう。欠けた歯は、これも条件が良ければそれを接着剤で戻すことが可能です。いずれにせよ、その場合は歯が欠けて神経が露出しているケースもありますので、早期の歯科医院への来院が必要となります。
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アトピー性皮膚炎とステロイドについて

Text by やなせ皮フ科クリニック 梁瀬 義範
アトピー性皮膚炎を代表とする、皮膚疾患の治療において、切っても切り離せない薬に「ステロイド」があります。ステロイドは悪の代名詞のように言われ、その治療を拒否する方も少なくありません。ステロイドは副腎皮質ホルモンと呼ばれる物質の一種で、血液によって常に体内を循環し、さまざまな臓器や細胞に働きかけ、身体にいろいろなストレスが加わった時に体調を整える重要なホルモンです。このステロイドには炎症や免疫を抑える強い働きがあります。1952年にステロイドが皮膚疾患にも効果のあることが明らかになり、アメリカで外用剤が開発されました。アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用療法の位置づけは、専門医がきちんと治療すれば副作用を最小限に抑えて最大の効果を発揮できる治療と言えます。しかし根本治療ではなく、あくまでも炎症を抑える対症療法です。ステロイド外用剤に対する患者さんの最大の不安はその副作用でしょう。ステロイドの内服や注射を全身に長期にわたり大量に使用すると、副腎機能が低下する、糖尿病を悪化させる、骨がもろくなる、風邪などの感染症にかかりやすくなるといった副作用が生じることがあります。このステロイドの内服や注射による全身的な副作用と外用剤による局所的副作用が混同されているようです。ステロイド外用剤による皮膚における副作用は大きく分けて2つに分かれます。1つはホルモンとして直接皮膚に影響する副作用で、もう1つは炎症や免疫を抑えるために起こる感染症の副作用です。例を挙げると、(1)毛が増えて多毛になる。
(2)皮膚が赤くなる。
(3)毛細血管が拡張する。
(4)皮膚が萎縮して薄くなる。
(5)ニキビが発生する。
(6)ヘルペスウィルス感染症、水イボが発生する。
(7)水虫やすでにある細菌感染症が悪化する。
などがあります。但し、これらの局所的副作用はステロイド外用剤を塗ると必ず起こるわけではありません。大量に長期間使用した際に起こる事があるものです。ではなぜ「ステロイドは怖い」のでしょうか?以前「ステロイドの何が怖いのか?」という趣旨のアンケートが行われました。その回答はリバウンド、病状が悪化する、効果がなくなる、皮膚の色が黒くなる、ステロイドなしではいられなくなる、子供がアトピーになる、副腎機能が低下する、体に蓄積される、奇形児が生まれる、ムーンフェイスになる、白内障になるなどでした。しかしこれらの回答は患者さんの誤った思い込みなのです。治療目標を達成するためにステロイド外用剤のもつ意義は小さくありません。しかしステロイドはアトピー性皮膚炎を治す特効薬ではありません。あくまでも皮膚の炎症を抑える薬です。うまく薬を使用しながら、症状をコントロールしていく必要があるのです。
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高齢者の『てんかん』

Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
「てんかん」と聞くと、気を失い、口から泡を吹き、全身が硬直する姿を思い浮かべるでしょう。でも、これが全てではありません。脳は一種の電子回路ですが、その回路が暴走すると「てんかん」になります。脳は、場所により働きが違いますが、どこが暴走するかで、いろいろな形の発作が起きます。側頭葉てんかんというタイプは、行動の途中で突然、一点を見つめて行動を止め、片手はまさぐるように動き、口はモグモグと動かします。持続は短いですが、完全に回復するまで数分かかります。全身けいれんのような派手な症状はありませんが、意識はなくなり、その間の記憶が途切れるため、「物忘れ」として医療機関を受診することがあります。発作の様子が担当医に伝わらないと、認知症として治療されることがあります。当然、発作は止まりません。また、「てんかん」は、子供の病気、又は生まれつきのものと思っていませんか?実は、高齢になると「てんかん」の発症が増えるのです。近年、高齢者の運転による交通事故が問題になっていますが、その中にてんかん発作によるものがあると考えられます。本人に自覚がなく、他人から指摘されても、大人が「てんかん」になるとは思わないので、病気であることを認めず、運転を止めません。高齢者の「てんかん」は薬がよく効くと言われており、早期診断が望まれます。診断には、脳波がよく使われますが、最近では、発作後数時間以内に、MRI検査で脳血流の変化を捉えると診断できることが注目されています。しかし、何といっても、診断の鍵は発作の様子です。目撃者の話が大事なのですが、現在では、スマートフォンによる発作の様子の動画記録を見れば、一目瞭然で診断できます。また、本人も納得します。発作の場に出合ったら、冷静に記録していただければと思います。
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糖尿病あれこれ その2

Text by はら内科クリニック 原 信彦
冬になると運動の機会が減ります。雪国ならではの悩みですね。対策としては①比較的大きなスーパーやショッピングモールへ買い物に行きましょう。陳列棚を眺めながらゆっくりと歩けば、気が付いたら20分程度は歩けます。気を付けるのは、さすがにショッピングセンターですから、買いすぎないこと。また、冬はインフルエンザがはやりますので、マスク着用と帰宅時のうがい手洗いは必須です。歩くことに関して、職場まで片道10分未満しか歩いていない人に比べると、20分以上歩いている人は糖尿病になりにくいことがデータで示されています。(マイナス27%)(※1)②雪かきこれもいい運動にはなるのですが、ヒートショックにご用心。通常起床直後に窓の外をみて、雪かきを始める方が多いと思います。起床後、暖かい室内から急に寒い外に出ると血圧が急上昇。運動により心拍数も増え、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしたり、汗をかくくらい雪かきをしますと、運動により血圧が低下し、めまいをおこして倒れることもあります。糖尿病の方は、お薬を飲んでいる場合、空腹で雪かきをしますと、低血糖になり、倒れやすくなります。ちゃんと暖かい服装に着替え、温かい飲み物で水分を補給してからにしましょう。理想的には、朝食後に行うのが食後の血糖も下がり効果的です。話ががらっと変わりますが、最近話題なのは、糖尿病患者には、がんが多いということ。糖尿病でない人を1としたときの、糖尿病の人のがんによる死亡の危険性(※2)は、がん全体1.26倍、肝がん2.05倍、大腸がん1.41倍、甲状腺がん1.99倍、腎がん1.84倍、前立腺がん1.41倍、卵巣がん1.60倍、子宮体がん2.73倍、乳がん1.72倍、膵臓がん1.53倍、胆嚢がん1.33倍、胆管がん1.41倍、悪性リンパ腫1.39倍ということが分かってきました。特に肝がんは原因が脂肪肝によるものが増えてきており、注意が必要です。春の健康診断では積極的に胃カメラや腹部エコー、便潜血反応や大腸内視鏡検査等、ないがしろにせず積極的に受けてみましょう。(※1)SatoKK,etal.DiabetesCare.2007302296‐2298(※2)ChenY,etal.Diabetologia.2017601022‐1032
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貧血といわれたら

Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
健康診断などで貧血の診断を受けたことがある方もいらっしゃると思います。貧血とは、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの濃度が低下した状態を指します。症状としては目まい、立ちくらみ、息切れ、疲れやすい、などがありますが、症状が出るのはかなり進行してからになります。ただしここにあげた症状は貧血でなくてもしばしば起こりうるので、「貧血をおこした」と患者さんが診察室で表現しても実際には本当の貧血はなかった、ということはよくあります。貧血の原因はいろいろありますが、大きくは①血液そのものの病気(白血病など)、②慢性疾患(腎臓病や肝臓病など)や加齢に伴うもの、③鉄やビタミンなどの血液(赤血球)を作るための原料不足によるもの、に分けられます。その中で最も多いのは鉄不足による貧血、いわゆる鉄欠乏性貧血で、貧血全体の約60〜80%を占めるといわれています。鉄不足は偏食による栄養不足や胃切除後の吸収不良などでも起こりますが、これらの特別な事情がなければ、現代の日本で普通の食事をしている限り鉄の摂取不足になることは少ないと考えられます。むしろ多いのは何らかの出血によって赤血球が減り、その結果赤血球に含まれていた鉄分が体内から失われたケースで、例えば鼻出血、歯茎の出血、痔出血、月経なども原因となります。特に問題となるのは消化管(胃や腸)からの出血です。目に見える程の出血(吐血・下血)があればすぐに気付いて病院を受診すると思いますが、肉眼では分からない程度の出血がじわじわと続いた結果貧血となり、それがきっかけで進行した胃がんや大腸がんが見つかるケースは決して珍しくありません。貧血と診断されたら放置せず、一度胃カメラや便潜血検査(大腸がんの検査)を受けることが大切です。
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