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私、納豆食べてもいいですか?Text by 関口内科 関口 洋平
「先生、私は納豆が大好きなのに一生食べられないのですか?」と、Aさんは不満そうに聞いてきました。
どうやら診察前の待合室で「あなたも血液をさらさらにする薬をのんでいるんだから、納豆はダメよ」と世話好きな友人から言われたとのことでした。このAさんのように血液をさらさらにする薬=抗血栓症薬をのんでいる人で、食事内容の事で悩んでいたり、また誤解をしている人は決して少なくないようです。現代の医療において抗血栓症薬は最も有用な薬剤の一つであり、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾病の治療や予防に欠かすことのできない薬剤となっています。 抗血栓症薬には大きく二種類あり、抗凝固薬と抗血小板薬とがあります。抗凝固薬の代表的なものにはワルファリンがありますが、それを服用している人が、ビタミンKの豊富な食材、たとえば納豆、青汁、クロレラ、海草、濃い緑色の緑黄色野菜(ブロッコリー、ほうれん草など)を食べてしまうと、服用したワルファリンの血液中濃度を低下させ薬効を減弱させてしまいます。 このことを心配しすぎて全ての野菜をほとんど食べなくなる人がいますが、それではかえって健康によくありません。普通の野菜は問題ありませんし、緑黄色野菜でも量を控えめに食べるのであれば大丈夫です。 しかし、納豆は腸内でビタミンKを産生する働きがあリ少量でも影響は大きいので食べてはいけません。もう一方の抗血小板薬にはいくつかの種類があります。最も代表的なものにアスピリンがありますが、その他の抗血小板薬も近年有効性が証明されるようになりたくさんの人に処方されています。 これらの抗血小板薬の作用はビタミンKに影響されないので、納豆や緑黄色野菜などをたくさん食べても全く問題ありません。このように「血液をさらさらにする薬」には、大きく二種類があり、基礎疾患の違いによって有効な方の薬が選択されます。 Aさんのように、何を食べてはいけないのか悩んでいる人は、自主判断せずに主治医の先生に一度聞いてみることが大事です。 |
緑内障は、早期の診断と治療が重要ですText by 江口眼科病院 東 邦洋
緑内障という病気をご存じでしょうか。これは目の奥の神経が萎縮し、だんだんと視野が狭くなっていく病気です。初期の緑内障は視力が低下しませんが気付かない間に視野が狭くなっていく病気です。なかなか自分自身で病気に気付くことは難しく、検診などで偶然発見されることがほとんどです。目の病気の中では最も患者さんの数が多いものの一つで、40歳以上の人で、100人に5人がこの病気といわれています。病気の原因は、遺伝、近視など言われていますが、よく分かっていません。目の奥の神経を直接観察する眼底検査、視野異常を発見する視野検査や、眼圧検査を行い、総合的に診断します。近年、目の奥の神経を機械で撮影し萎縮しているところを探すOCT(眼底三次元画像解析)が導入され、これも早期の診断に役立っています。失われた視野を回復させる方法は残念ながらありません。そのため、治療としては早期に発見し、できるだけ視野が狭くなる、視力が悪くなるのを抑えることが治療となります。「眼圧」とよばれる目の圧力を減らすことにより、緑内障の進行が遅くなることが分かっています。従って、緑内障と診断されたら、眼圧を下げる目薬を処方します。そのあと定期的に視力、眼圧、視野、眼底検査を行い、緑内障が進んでいないか確認します。緑内障にはさまざまなタイプがあります。緑内障発作とよばれ、急激に眼圧があがり頭痛や目の痛みを伴うタイプが有名ですが、実際には珍しいです。最も多いタイプは、眼圧はあまり高くないのに神経が萎縮し視野が狭くなる正常眼圧緑内障というタイプです。しかし、このタイプでも眼圧を下げる目薬が有効です。このように緑内障では、早期の診断と治療が重要です。気になる方はぜひ眼科を受診してください。
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男性の性(12)Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
精巣で生まれた精子は、長い長い道のりを経てようやく卵子との待ち合わせ場所である卵管にたどり着き、さらにそこで48〜72時間生きているのと比べ、卵巣から排出された卵子は、わずか7cmほどの距離を自力ではなく卵管運動によって運ばれて待ち合わせ場所に着きますが、そこで元気なのはわずか12時間くらいしかありません。
卵子と精子が待ち合わせ時間にピッタリ合えば問題はないけれど、そうでない場合、精子は卵巣から卵子が排卵され卵管まで運ばれてくるのを辛抱強く、場合によっては36〜48時間も待つことになります(子供を作ろうとするならば、排卵日に合わせて性交するよりも排卵日の1〜2日前に性交した方が妊娠の確率は高い)。 僕が昔待たされた6時間なんかざらということになります。このように、性交後受精までの2〜3日間の短い期間でみると、精子(オトコ)の方が待つ確率がかなり高いことになりますが、もっと長い目で精子と卵子の関係を眺めてみると、初潮から閉経までの数十年間、卵子は毎月一度、いつ来るかもしれない精子を、たったひとりで(たった1個で)卵管という待ち合わせ場所で待っていることになります。 卵子にしてみれば最初に待ち始めてから、5年後10年後にやっと精子に出会うくらいが普通で、場合によっては20年以上、さらにはとうとう最後まで待ちぼうけを食わせられることも稀ではありません。毎回毎回デートに遅刻してくるオンナと待たされて煙草や酒の量が増えるオトコ、待ち合わせ場所で36〜48時間卵子が到着するのを待つ精子。『あみん』が“待〜つわ、いつまでも待〜つ〜わ”と歌うオンナと、“男は船で女は港”と口笛吹いてオンナを待たせておくオトコ、毎月一度、数十年間、卵管で待つ卵子といつそこにたどり着くかもしれない精子、どちらも精子卵子時代からの宿命、といえば、こじつけが過ぎるでしょうか? |
白内障(はくないしょう)の手術をしたはずなのにText by 清水眼科クリニック 清水 信晶
白内障の手術をすると、今まで霞(かすみ)のかかっていたような目が、見違えるようにはっきり見えるようになります。それなのに、手術してから数年たつと、また少しずつ白っぽく霞がかかって、手術をする前に戻ってしまったようになる場合があります。これを後発白内障(こうはつはくないしょう)と言います。白内障を手術する場合、もともとの水晶体の裏側の皮膜=後嚢(こうのう)を残して、他の部分を器械で吸い取って、その上に人工レンズが乗っかっている形になっています。その後嚢がまた白く濁ってくるため霞んでくるのです。この場合手術のし直しという事ではなく、外来で後発白内障用のレーザー光線を当てると、濁った部分が吹き飛んで、また視力が戻りはっきり見えるようになります。ただ、手術後の目の霞が、すべて後発白内障によるものだとは限りません。ほかの病気が起きた可能性もありますので、目に異常を感じたら、すぐに眼科を受診するようにしてください。
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慢性腎臓病Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原 亨
腎臓病は悪くなると、最後には透析治療を受けなくてはならない腎不全になります。透析を受けている患者さんは全国で約30万人います。10年前には24万人だったのと比べると、透析を受ける人はすごい勢いで増えています。北海道で透析をしている人は14500人です。これは全国の1/21で、北海道は透析患者が多いということになります。週に3回、3〜4時間かけて機械で血液をきれいにするのですが、本人にとっても大変な治療です。ですから、内科医としてはなるべく透析が必要な腎不全にならないように、腎臓病を予防しようとしています。腎機能が正常の60%程度に低下していると、透析が必要な腎不全に陥りやすい「慢性腎臓病」と言われます。検尿の異常では、タンパク尿が重要で、尿中のタンパクが多くなるほど腎機能が悪くなるのが速くなります。正常の腎臓では尿にタンパクはほとんどもれません。学校検診では検尿でタンパク尿が出ていないか調べています。腎炎からの腎不全が30年前には多かったので、早くに見つけて治療するようにしたところ、透析に導入される腎炎患者は増えなくなりました。その後、高血圧と糖尿病が原因で透析に導入される人が多くなっています。日本の高齢化に伴う変化です。「高血圧は治療しなくてはならない」と世間に知識が広まり、高血圧の治療薬が発達して血圧が下がりやすくなったため、高血圧が原因で透析に導入される人の数は減少に転じています。そして、最近は糖尿病やメタボリック症候群で腎不全に至る人が多いことから、対策を講じるようになっています。そんな時に始まったのが特定検診です。驚いたことに、慢性腎臓病患者では透析に至るより、心血管事故(心筋梗塞や脳梗塞)で死亡するリスクが高いので、高血圧や糖尿病のように早期発見して治療を開始するのが肝心です。今のところ、特定健診(またはメタボ健診)は受診率が低いのですが、これからの受診率の向上が望まれます。
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