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在宅での褥瘡(じょくそう)治療Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡
褥瘡というのは「床ずれ」のことです。寝たきりや、それに近い状態の患者さんの体が、ベッドや車いすなどによって圧迫されて起こります。近年、在宅医療の広がりとともに在宅で褥瘡を治療するケースも多くなっています。在宅での褥瘡の治療は、困難ではありますが、可能です。しかし、いくつかの条件はあります。まず、全身の状態がよいことです。寝たきりであっても、栄養状態がよく、褥瘡を治す体力があることです。ある程度動けるような方の場合は、治る確率は格段に上昇します。また、家族の方々の協力も不可欠です。毎日の治療はたいへんで、家族の方の負担は大きなものになります。しかし、家族の方の協力が強い場合には、褥瘡は良くなることが多いと感じています。そして、どのような褥瘡であれば在宅でも治療は可能なのでしょうか。大事なのは、炎症がないことです。炎症があると、熱が出たりして全身の状態が悪くなります。こうなると点滴などの治療が必要になってしまいます。また、褥瘡の深さも重要です。浅い褥瘡であれば、適切に治療することによって比較的短時間で上皮化して(皮膚ができて)治っていきます。深い褥瘡の場合は壊死組織が付着している事も多く、このような壊死組織は外科的に除去しないと細菌の巣になってしまうこともあります。でも、壊死組織が適切に除去出来れば在宅でも治療は可能です。問題は初期の褥瘡です。浅い褥瘡も、深い褥瘡も初めは赤くなっているだけのことがあります。浅い褥瘡はそのまま赤みが取れてきます。でも、深い褥瘡は時間が経つにしたがって紫色になり、二週間くらい経つと黒くなってきます。黒い部分は皮膚が壊死してしまっているのです。初期の褥瘡を深い褥瘡か浅い褥瘡か見極めることが大事です。
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脳梗塞(のうこうそく)予防に禁煙をText by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税
今年、法律の改定で、禁煙が保険診療の対象となりました。何故、今、「禁煙」なのでしょうか?脳梗塞と喫煙の関係から考えてみます。欧米では、喫煙により脳梗塞の危険が二倍以上に増えると言われています。日本の研究では、脳梗塞をラクナ梗塞(小さな梗塞のことで、無症状の場合に“隠れ脳梗塞”とテレビでは呼んでいるようです)、アテローム血栓性梗塞(主に太い動脈にコレステロールが溜まって発生します)、心原性塞栓症(しんげんせいそくせんしょう―不整脈などの心臓病が原因の脳梗塞)の三つのタイプ別に発症率を調べたところ、ラクナ梗塞でのみリスクの上昇が明らかでした。喫煙は動脈硬化を進行させ、血液粘度も上昇させる(いわゆる、“血がドロドロになる”)ために、脳梗塞を生じやすくすると考えられています。細い血管が詰まって生じるラクナ梗塞との関係が深いことから、喫煙によるリスクの上昇は血液粘度の上昇などの影響が大きいと考えられています。ところが、血液粘度は禁煙により改善することが可能なのです。欧米の研究によると、脳卒中のリスクは禁煙後二年以内に急速に低下し、五年以内に非喫煙者と同じレベルになるといわれています。最近、コレステロールなどによる動脈硬化は、薬を長期に服用することで、ある程度改善するといわれていますが、禁煙は薬の要らない、即効性のある脳梗塞の予防手段なのです。医療費を削減したい政府にとって、格好の方法だということがお分かりでしょう。禁煙は政府にだけ都合がいいのではありません。愛煙家にとっても、お金がかからず(むしろ日々のタバコ代が浮きます)、健康になれる絶好の方法なのです。昔、喫煙を注意された高校生の父親が、呼び出した教師がタバコを吸うのを見て、「いい大人がタバコを吸うなんて○○じゃないの。タバコなんてものは、子供がいたずらするもので、大人になったら止めるものだ」と言うコントがありました。皆さんはどう思いますか?
(○に当てはまる文字はご自分でお考え下さい) |
内視鏡による胃がん検診Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男
日本では年間4万8千人が胃がんで死亡しており、悪性腫瘍による死亡率の臓器別で第2位を占めています。全てのがんに共通ですが、医療がこれほど進歩した現在においても、がんで命を落とさないためには早期発見・早期治療が最も重要です。日本では昭和57年度から胃バリウム検診が広く行われてきましたが、ここにきて変革のきざしが見えてきました。昨年9月に厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」が「従来の胃バリウム検査に加え、胃内視鏡検査(胃カメラ)による胃がん検診を新たに推奨する」との報告書を出しました。バリウム検査に比べて内視鏡検査の方がより早期のがんを発見しやすいことは臨床現場の消化器科医なら昔から肌で感じていたことですが、内視鏡検査による胃がんの死亡率減少効果を証明した最近の研究結果を根拠の一つとして今回の提言となりました。今後これを基に検診のガイドラインが改正され、それに従って各市区町村が検診方法を見直していくことになります。もともとバリウム検査には放射線被ばくの問題もあるため、今後は内視鏡検診への移行を目指す自治体が増えるものと予想されます。ただし内視鏡検査は費用の問題、検査を実施する医師の確保、検査に伴う合併症に対応できる体制作り、など検診を適切に実施するための課題を解決する必要があるため、早い自治体でも来年度からの実施となりそうです。当面は胃バリウム検査もこれまで通り行われるため、胃内視鏡検査と両方の実施体制が整う自治体では、受診者がどちらかを選べるようになるかもしれません。がん検診をお勧めすると「症状がないから」とか「自分は大丈夫」と言って検診に消極的な方を時々お見かけしますが、がんは症状が出るころにはある程度進行していることが多いのです。今後検診方法が変わっても、日頃からの生活習慣の管理と適切ながん検診の受診が大切であることに変わりはありません。
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止まるいびき ZZz~Text by 榊原循環器科内科クリニック 榊原亨
睡眠時無呼吸の人の多くは、昼間に強い眠気を自覚したり、一緒に寝ている人に大きないびきや呼吸停止を指摘されたりして受診します。はじめは、交通機関や一般の運転手の居眠り事故を防ぐのが主眼でした。中年人口の数パーセントに見られる病気だと思われていましたが、職域団体の男性従業員を対象に行った調査では、30%以上に睡眠時無呼吸が見られました。近年、こうした睡眠時無呼吸は高血圧、不整脈、心不全、無症状の脳卒中、肥満、糖尿病などの生活習慣病や心血管系の病気と密接な関係があることが分かりました。また、反対に、薬を飲んでもなかなか血圧が下がらない治療抵抗性の高血圧や夜間に脈が遅くなってペースメーカーを植え込み手術されるような人に、睡眠時無呼吸が合併していて、無呼吸の治療をすると血圧が下がったり、不整脈が改善したりすることも認められます。血圧が上がる原因としては、呼吸が止まると酸素が足りないので、息苦しくなります。水の中で溺れている時のように何とか息を吸おうと緊張します。夜間の血圧は日中に比べると低くなるのが一般的ですが、夜の血圧がこうした緊張感と浅くなった睡眠で高くなります。この結果、日中の血圧も高くなるように悪影響します。呼吸を再度始める時には、過度に胸の中の圧が変化するので、血管を傷めるような化学物質が放出されたり、酸化ストレス物質が増えたりして動脈硬化を進めます。これも血圧を高くします。不整脈や心不全も同じように無呼吸のために悪化するメカニズムが分ってきました。また、心不全を治療するとよくなる無呼吸もあります。循環器の病気と睡眠時の呼吸障害は密接に関係していました。気楽な独り寝も結構ですが、たまには、一緒に寝るのもよいことです。循環器を受診している人の中には、予想以上に睡眠時無呼吸が隠れていることが明らかになりました。無呼吸と不整脈や突然死の関連はまだよく分からないことが多く、今後、次第に明らかにされてくると期待されます。
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こんな症状に心当たりはありませんか?Text by 江口眼科病院 佐々木 功
「特に悲しいわけでもないのにいつも涙があふれ、一日中ハンカチで涙を拭い、目尻はただれて痛む」。こんな症状に心当たりはありませんか?涙は本来、目頭にある涙点という排水口から涙小管・鼻涙管という排水管を通して鼻へ排出されますが、この管の通りが悪くなると、涙は排水口より逆流し、眼の表面からこぼれ落ちることになります。さらに、管の奥にたまった分泌物までもが逆流すれば目頭に目やにがたまり、皮膚のただれも引き起こします。これらの症状に対して今日では、細いカメラで排水管の中を覗きながら軟らかいチューブを通すという治療法があります。比較的新しく、日帰りでも実施可能な治療です。無論、涙や目やには必ずしも排水経路の問題とは限らず、また全ての症例で改善が見込めるわけではありませんので、まずは眼科での診察をおすすめします。
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