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過敏性肺臓炎という病気をご存知ですか?

Text by ききょう内科クリニック 蓮沼 晶子 院長
一般的な肺炎は細菌やウイルスなどの病原体が肺に感染することによって引き起こされる炎症ですが、過敏性肺臓炎はそれ自体病原性や毒性を持たないカビや、動物性蛋白質などの有機物・あるいは化学物質などを繰り返し吸い込んでいるうちに肺が過剰反応を示すようになり、アレルギー性の炎症が生じて引き起こされます。過敏性肺臓炎の症状は発熱や咳・呼吸困難感・だるさなどです。喘鳴(呼吸のたびにぜいぜいする)を伴う方も多く、レントゲン写真上は淡い炎症像を認めます。抗原の多くは患者さんの自宅や職場に潜んでいるため、その環境から離れると症状が軽快・消失し、再びその環境に戻ると悪化します。このような状態が続くと肺に繊維化と呼ばれる不可逆的な変化が生じ、慢性的な咳や呼吸困難感で悩まされることになります。日本でよくみられる過敏性肺臓炎には以下のものがあります。①夏型過敏性肺炎:高温多湿になる夏季に発症しやすく、冬季にはみられません。湿気の多い古い家屋を好むトリコスポロンというカビが抗原です。②農夫肺:北海道や岩手県などの酪農家にみられ、干し草のなかの好熱性放線菌というカビが抗原です。③換気装置肺炎(空調肺、加湿器肺):清掃を怠ったエアコン(空調)や加湿器に生じたカビ類を吸い込むことによって発症します。④鳥飼病:鳩やインコなどの鳥類を飼育している人、あるいはその周囲で暮らしている人に発症します。抗原は鳥類の排泄物にふくまれる蛋白質といわれています。⑤職業性の過敏性肺炎:キノコ栽培業者がキノコの胞子を吸入して生じる過敏性肺炎やポリウレタンの原料であるイソシアネートを吸入して生じる過敏性肺炎などが知られています。北海道では農夫肺・キノコ栽培者の肺炎が多いです。治療法は抗原からの回避とステロイドホルモン剤です。頻度の高い疾患ではありませんが熱や咳などの症状が繰り返される方は過敏性肺臓炎を起こしていることがあります。
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男性の性(7)

Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士
私は現在、北斗市(旧上磯町飯生)で開業5年目になりますが、上磯町出身の歌手に三橋美智也がいます。年配の方はご存知だと思いますが、1950〜60年代には伸びやかな高音が魅力の超人気歌手で、ミリオンセラー18枚(民謡1曲を含めると19枚)、生涯売り上げレコード枚数1億600万枚(2005年現在この日本記録はまだ破られていないそうです)、民謡や三味線の師匠としても知られ、弟子に細川たかしがいます。
当時のレコード市場規模は現在の10分の1程度だったそうなので、このレコード売り上げ記録は驚異的・超弩級といえます。1970年代後半には、ラジオのディスクジョッキーが人気を呼んで『ミッチーブーム』が起き、“それにつけてもお菓子はカール”のCMソングを歌い、40歳代後半に第2の人気のピークを迎えました。
私生活でも再婚して子宝に恵まれ幸福な時期だったようですが、晩年は妻からの家庭内暴力に耐えかねて家出し大阪のマネージャー宅に居候していたそうですから、国民的大歌手の最晩年はあまり幸せではなかったかもしれません。1996年、65歳で没。4ヶ月前のこの欄で、『女性の閉経に相当するような生殖・ホルモン的転換点は男性にはないのだろうか?』と書きましたが、最近男性でも加齢性腺機能低下症候群という概念が提唱され臨床的にも重要となっています。加齢とともに生じる、性欲・勃起能の低下、内臓脂肪の増加、骨粗しょう症などの身体症状や、抑うつ・疲労感・短気、不眠、知的活動力・認知力低下などの精神症状の何割かが男性ホルモンの低下と関連している、という考えです。
血中の男性ホルモン(テストステロン)は加齢とともに徐々に低下しますが、以前は測定方法が統一されておらず、また日本人での大規模調査で加齢による血中総テストステロン濃度の低下が認められなかったため、他の先進国に比べ日本人男性は“老いてますます盛ん”という風説が流れたこともありました。
しかし最近、総テストステロンではなく、生体内で活性のある遊離型テストステロンが測定可能になると、日本人男性も加齢ととも徐々に男性ホルモンが低下していることが明らかになってきました。晩年の三橋美智也が妻から受けた家庭内暴力の原因あるいは誘因が、この加齢性腺機能低下症候群だったとすれば、適切な治療を受けることによって、もっと幸せな夫婦生活・家庭生活が送れたのでは?と思います。(つづく)
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皮膚腫瘍外科

皮膚腫瘍外科は皮膚や軟部組織の腫瘍(しこり)を外科的に治療します。この治療を行うのは形成外科、皮膚科、整形外科で、皮膚の広範囲または筋肉などの深部にある腫瘍以外は日帰り手術が可能です。対象になる皮膚軟部の腫瘍は母斑、血管腫、粉瘤、脂漏性角化症、脂肪腫、眼瞼黄色腫、眼瞼汗管腫、石灰化上皮腫、血管拡張性肉芽種などがあり、手術件数の多い皮膚軟部腫瘍は母斑、脂漏性角化症、粉瘤などです。母斑は一般的にほくろと言われ、色調は茶色から黒色、平坦なものや盛り上がっているものなど形態は多様です。脂漏性角化症は加齢とともに日光がよく当たる顔面や頚部に生じる茶色から黒色のいぼ状の盛り上がった形態です。粉瘤は皮下にしこりとして現れ、感染を起こすと赤く腫れ上がります。感染が生じる前に切除すると傷痕も小さく、再発の可能性が少なくなります。皮膚腫瘍外科では頻度は少ないですが、皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫など)との鑑別が重要です。一般的に日帰り手術の流れは初診で診察、診断、血液検査、手術の説明をして、手術日を決めますが、色素疾患である母斑や脂漏性角化症などでは、腫瘍の出現時期、自覚症状、色素の濃淡など視診し必要であればダーモスコープという拡大鏡で診断して切除方法を決めます。このため母斑など色素性疾患の皮膚腫瘍でレーザーによる切除を希望する方がいらっしゃいますが、レーザーで母斑を蒸散させると、病理診断ができない問題があるため、母斑などの治療では皮膚がんとの鑑別を兼ねた切除することを勧めます。皮膚や軟部組織腫瘍の手術はほとんどが良性の腫瘍ですが、腫瘍が急激に増大したり、出血やかゆみを繰り返したり、色調に濃淡があり均一でない場合は自己判断せずに受診しましょう。
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『ART(生殖補助医療)の現状』(2025年12月 ハコラク掲載)

Text by 秋山ウィメンズ・ARTクリニック 院長 秋山 實男
年々減る出生者数は、函館は元より札幌、北海道、ひいては全国的な問題となっています。ですが、その一方で、お子様をぜひにと望まれるご夫婦も増えており、現在では9人のお産に1人がARTで妊娠が成立した人達です。かつてARTは最終的な手段として、自分たちの蓄えから費用を工面して行う医療でした私がARTを始めたのは今から35年前です。当時は北海道でも北大、斗南病院だけが取り組んでおり、道南では当院だけでした。その頃は培養液も既存の培養液を基に化学天秤でカルシウム、マグネシウムなどを計って加えて作っていました。水も自分たちで作った超純水を使用していました。それが今では最良といわれる人の卵管内の環境に最も慣れた培養液を、高価ですが市販で手に入れることができます。培養器もタイムラプスという培養状態が胚一つ一つをTVカメラで継続して映され、私たちはその映像を見て培養を行えるようになりました。卵子と精子を受精させるICSIという方法は倒立顕微鏡が格段に進歩し、卵子の一個一個に確実に精子を注入できるようになりました。培養した胚は液体窒素の中に保存すれば、理論的には半永久的に保存が可能で、その技術もコロンブスの卵のように簡便な方法が開発されています。かくのごとく、あらゆる機器、技術が進歩し、25年前では妊娠率が15%であったものが近年では50%を超えるまでになってきました。それに加え3年前からARTが保険診療に認められ、希望すればどの年齢のご夫婦でも可能になりました。また高額医療の適用により支払う費用も収入により上限が決まり、若いご夫婦でもARTへの道はハードルが低くなりました。これらの機会を突破口に、お子様を望まれる多くの人達はARTをもう一度見直し、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。奥様の年齢は1歳でも若い方が、妊娠率が高く流産率が低いという現実も踏まえてお考えになられるべきです。
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前立腺がん

今回は前立腺がんという男性特有のがんについて。男性のがんにかかる部位で多いのは、順に、胃、肺、大腸、前立腺で4位。亡くなるのは肺、胃、大腸、肝臓、膵臓に次ぐ6位です。かかる率、発見が多いのは食生活の変化もありますが、PSA検査の普及が大きいです。前立腺がんの発見率が向上し、死亡率が低下していることの一つの要因でもあります。PSAとは血液検査でわかる前立腺のがんの腫瘍マーカーで、数値が高いほどがんが疑われます。女性特有の子宮がん、乳がんについてはどこの自治体でも検診の項目として助成されていますが、男性の前立腺がんは簡単なスクリーニングがあるのにそうもいかないのが現状です。PSAは、どの病院でも検査(保険適用外)できますので、心配な方はかかりつけの医師にご相談ください。
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