健康ダイエットと食育
人間は穀物、草食動物である。
戦後すぐに、究極のファーストフードと言われるおにぎりではなく、小麦と脱脂粉乳消費のためパン食を学校給食に導入したのは、戦勝国米国の策略であった。
しかしこの数年、米を中心とした健康志向の高まりで日本食がアジア、欧米でブームとなっている。
もともと人間は、チンパンジーのDNAを96%もっており、果物、穀物、草食を中心とした動物であることは、間違いないところである。
体の構造をみても決して肉食動物ではないことは、容易にわかる。
臼歯を持ち、顎関節は上下に動くことはもちろんであるが、穀物をすりつぶせるように、前後左右に動かすことができる構造を持っているし、胃腸の長さは、草食動物に似て長い。
「肉などの動物性タンパク質を食べないと体が作られない」と思いがちであるが、ゴリラが筋肉隆々であることや、五輪で通算9個の金メダルを獲得したカールルイスや、マラソンを2連覇したアベベがベジタリアンだった事実からも、そうでないことは理解できるでしょう。
しかし、食事は栄養を採るばかりではなく、楽しむことも非常に大切です。
少なくとも鶏肉より牛肉は、日本人にとっては贅沢なご馳走として、好まれているようです。
飼料効果(1カロリーの肉に何カロリーの飼料が必要か)を見てみると牛肉が7、豚肉5、鶏肉3、鮭は1.2ですが、マグロは10と大体価格に比例した順番となっております。
肥満は心の病である
「病(やまい)は気から」、「医食同源」などの言葉は、手術したり薬を飲んだりすることばかりが医療ではないことを言っております。
肥満の原因は過食ですが、たまった脂肪を手術により吸引してしまうというのも非常に矛盾しております。
美食家と称し、凝縮された食材や、塩・しょうゆ・砂糖などの、天然には存在しない食品、動物性タンパク質のとりすぎは注意する必要があります。
私個人は、医者要らずで長生きしたいと強く思い、二十五kg健康ダイエットを達成。
まだ一年ですが、患者さんの健康を守るべき医療人として、食と健康について謙虚に正しく素直に取り組むことが大切だと強く感じております。
そのだるさは ただの疲れのせいだけですか?
最近、はっきりとした原因がないのに、体が疲れやすいな、体のだるさが続くなと思う事はありませんか?
体内で甲状腺ホルモンが多くなったり少なくなったりすると、全身に様々な症状が現れ、原因のわからない体調不良や疲労感を来す事があります。気のせいだとか、ただの怠け者と誤解されている人も少なくないのです。
甲状腺の病気は20歳~50歳代の女性にたいへん多い病気で様々な症状が出現します。
甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)のすぐ下にあり、蝶のような形をした臓器です。
正常の甲状腺はやわらかいので外から手で触ってもわかりませんが、腫れてくると手で触ることができます。甲状腺が腫れる場合は、何らかの甲状腺の病気を持っている可能性があるので、自分で触れてみる習慣をつけておくのが良いでしょう。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、活動するための必要なエネルギーを作り、快適な生活を送るためになくてはならないホルモンなのです。
甲状腺の病気は、
- 甲状腺ホルモンが多い状態
- 少ない状態
- 腫瘍やのう胞ができた状態
の主に三つに分けられます。
甲状腺ホルモンが増えすぎると、暑がり、汗が出て疲れやすい、イライラする、動悸・息切れがする、手足が震える、食欲が旺盛なのに体重が減る、などの症状が現れる事があります。
逆に甲状腺ホルモンが足りなくなると、寒がりで疲れやすく、無気力、声がかれる、皮膚の乾燥、動作が鈍くなり、むくみが出やすくなるなどの症状が出ます。
そのために、自律神経失調症、更年期障害、うつ病、あるいは心臓病、腎臓病、皮膚病などが疑われることがあります。
しかしきちんとした診断を受け適切な治療を続ける事で、見違えるほど元気になり、健康な人と同じように運動や仕事と何でもできるようにもなります。
甲状腺ホルモンは、簡単な採血で測定することができます。
気になる症状がある方は、一度甲状腺ホルモンのチェックを受けてみましょう。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨密度の検査は痛みもなく、簡単に検査することができます。骨密度は、同世代と若年者との比較した値で出てきます。医学上重視するのは、若年者との比較です(以下YAM)。比較したYAM値が80パーセント以下で、骨減少症。70パーセント以下で、骨粗鬆症と診断されます。
骨が脆(もろ)くなると、背中の骨折、手首の骨折や脚の付け根を骨折しやすくなります。
骨折すると、歩くことも痛みで難しくなることもあります。年齢が80、90歳のときに骨折をしても、寝たきりにならないように、80パーセント以下で治療対象とされています。
現在の治療は週1回の注射や内服薬にて行います。
何かご不明な点がありましたら、整形外科にご相談ください。
禁煙について
平成18年2月に「ニコチン依存症管理料」が新設され、禁煙治療が保険適応されました。
- タバコ依存症スクリーニングテストで5点以上
- 1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上
- 直ちに禁煙することを希望している
などの条件を全て満たした方が対象となります。
喫煙が肺癌や咽頭癌等の癌、また心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の原因になることはよく知られています。
また副流煙の方が主流煙よりも有害物質を多く含んでいるため喫煙している人ばかりではなく側に居る人にも害をもたらすこともよく知られています。
タバコは嗜好品でありストレス解消手段という側面もあると思われますが、禁煙を希望する方々も多いことと思います。
一度禁煙治療を実施している医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
肺動脈塞栓症(はいどうみゃくそくせんしょう)をご存知ですか?
肺動脈塞栓症(PE)とは、心臓から肺に血液を送る肺動脈に突然血栓がつまることで、血液の流れが遮断されるために肺での酸素交換ができなくなる病気です。
血液が流れなくなることから血圧が下がってしまい、とても危険な状態になることもある病気と言えます。
その原因の多くは、足のふくらはぎの静脈にできる血栓が急激に肺に流れ込むことによっておきるといわれています。
血栓は長時間の旅行で同じ姿勢をとり続けたときや、手術で数日歩けない場合、更には災害などで長時間身動きが取れない場合におこりやすいといわれています。
血栓ができた時点では症状はでないのですが、一旦動き出したときにその血栓が肺動脈に流れ込み、呼吸困難感や胸痛、めまいや眼前暗黒感が出現するのです。
PEは症状が急におこることから、急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤なども考えて診断にあたらなければいけません。
治療は血栓を溶かす薬の静脈内投与が良く効くとされており、診断がつきしだい直ちに投与されます。
血圧が不安定な場合は手術で肺動脈内の血栓を取り除くこともあります。
軽症のものでは内服による抗凝固療法だけで済む場合もあるようです。
この病気は治療と同時に、2回目の塞栓症に対する予防も大切です。
予防方法として2つの方法があります。
ひとつは足の静脈に血栓ができないようにすること、そしてもうひとつは血栓が肺に流れ込まないようにすることです。血栓ができないようにするためには、長時間同じ姿勢をつづけないようにすること、できれば足の指を定期的に動かしたり、数時間おきに歩くこと、また水分補給も重要です。
一方、肺に血栓が流れこまないようにするために下大動脈フィルターが使われることもあります。
これは腎静脈のすぐ下のところにフィルターを留置する方法で、確実に血栓の流出を食い止めますが、長期間おくとめづまりすることが問題となりそうです。
以上簡単に肺動脈塞栓症について解説しましたが、突然、息が苦しくなる病気の一つとして皆さんのご記憶にとどめていただければ幸いです。
家庭血圧を測りましょう
「えっ、血圧160もありますか? 家を出る前に測った時は、120だったんです。私、先生の前ではいつも高いんです・・・」
そう言ってAさんが提示した家庭血圧帳には、綺麗な折れ線グラフが描かれ、自宅で朝と夜に自己測定した血圧(これを家庭血圧といいます)はいつも正常であることを示していました。
このAさんのように診察した時の血圧は高いが家庭血圧は正常であるという場合は、ほとんど問題になることはありません。
それは診察のときに測る血圧よりも夜間や早朝の血圧のほうが、将来起こす疾病に関係するということが解っているからです。
病院で緊張した時などに血圧が高くなる事を白衣現象または白衣高血圧と言い、その頻度はけして少なくはありません。
家庭血圧を知ることによって、降圧薬を不必要に増量されることがなくなり、患者さんも医師も安心して治療を続けることができるようになります。
現在日本の家庭には、実に3000万台以上の家庭血圧計があり、高血圧の患者さんの8割弱の人が所有していると言われています。
しかし、これだけ普及した家庭血圧計ですが、ある調査では家庭血圧の高血圧基準値を正しく知っている患者さんは、2.4%しかいなかったとの報告があります。
来年の一月には、高血圧治療の基準となるガイドラインの5年ぶりの改訂(JSH2009)が日本高血圧学会より発表されます。
その中では家庭血圧の重要性が強調され、初めて家庭血圧による降圧目標値が暫定的に設定される予定です。
降圧目標値は①若年・中年者125/80mmHg未満②高齢者135/85mmHg未満③糖尿病、腎臓病、心筋梗塞後患者125/75mmHg未満④脳血管障害患者135/85mmHg未満になると思われます。
家庭血圧は、朝と夜に1回ずつ連日長時間測定し、その平均を評価していくものですので、その都度の測定値に一喜一憂せず、記録した血圧手帳を主治医にきちんと見せることがとても大切です。
ドライアイの患者さんは増えています
暖房を使用するこの時期になると目の不快を感じる方は『ドライアイ』の可能性があります。
ドライアイとは様々な原因によって涙や目の表面に慢性的な異常が生じ、目の不快感を引き起こします。
「目が乾く」と感じる人は意外に少なく、なんとなく目に違和感がある、目が疲れるというような漠然とした症状の方が多いです。
冬場の暖房使用時は湿度が下がるため、特に目の表面が乾燥しやすくなります。
また、睡眠中は涙がほとんど分泌されないため「朝起きた時に目があけにくい」という症状や、涙の量が午前中は多く午後から徐々に少なくなるため「夕方になると目の調子が悪く、つむりたくなる」などの症状も典型的です。
市販の点眼薬や洗浄液の乱用は、かえって症状を悪化させることもありますので、気になる症状がありましたらお近くの眼科医に相談してみて下さい。
叢生[そうせい](凹凸歯並び)について
今回は叢生(凸凹歯並び)についてお話しします。
一般に八重歯などと呼ばれている叢生(凸凹歯並び)の原因は、「歯の大きさ」と「顎の骨の大きさ」のアンバランスが原因です。
現代人は、よく調理された「軟食」等により「顎の骨」が小さくなる傾向にあります。逆に以前に比べ栄養状態は良くなった為、歯は大きくなる傾向にあり、この為、歯が配列しきれないのでは? と考えられています。
お子さんが将来「叢生」になるかどうかの目安としては、乳歯の前歯を見てください。永久歯に生え代わる直前の5歳頃は乳歯前歯にすき間があるのが良い状態と言えます。
この時期の前歯に「すき間」がない場合は要注意です。詳しくは、かかりつけの歯科医院に御相談ください。
まぶたがぴくぴくします
瞼(まぶた)がぴくぴくすることがよくあります。
自分で感じていても他の人の目からは分からない程度の弱いものはミオクローヌスといいます。
もっとひどくなると目が開けにくくなるので他の人にも分かるようになります。
パチパチと早いウィンクをしようとしても、そういう方はウィンクできずに閉じたままになってしまいます。
こういう状態を眼瞼痙攣(がんけんけいれん)といい、顔面神経の異常です。
顔が引きつってしまうようになった状態を顔面痙攣といいます。
強いものだとまず脳神経に異常がないか調べる必要があります。
顔面神経のそばに走っている動脈の拍動が顔面神経に伝わって瞼や顔が引きつってしまうことがあるからです。
治療としては、弱いものだとビタミン剤の飲み薬を処方して二週間程度で治ってしまいます。
もっと強い症状の場合、神経を軽い麻痺状態にして痙攣を止める注射を顔面の皮膚にします。
ただ麻痺状態になるので歯医者さんで麻酔して治療した時のように顔が動きにくいような感覚になることがあります。
顔全体が引きつるような症状の場合、顔面神経と動脈を引き離して拍動の刺激が伝わらないようにする手術をする必要があります。
逆に顔の力が抜けてしまうのが、顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)です。瞼や口角(こうかく=唇のはじの部分)が下がってしまうと、逆に反対側の目や唇がつり上がっているように見えます。
食べ物がかみにくくなったとか、水を飲むと口から漏れて来るという症状が出てきます。
目も閉じにくくなり、瞼に隙間が空くために目が乾燥してしまう兎眼性角膜炎(とがんせいかくまくえん)により、涙目になってしまいます。
まずは脳神経外科で検査をして、眼科では目が乾燥しないように点眼薬や目の中に入れる軟膏を処方します。
家族みんなでインフルエンザワクチンを!
初雪も降り徐々に師走が近づいてきています。インフルエンザワクチン接種は、お済みですか?
インフルエンザは、毎年冬季に流行を繰り返し、人口の5~20%がかかるといわれています。
日本でインフルエンザに関連した死亡は、毎年数千から数万人の報告があるそうです。
1960年代から30年間にわたり学童集団予防接種が行われていたため、1980年代まではインフルエンザ関連死亡数は低く抑えられていたのですが、集団接種中止以降、死亡数が増加しているそうです。
インフルエンザは、毎年流行するウイルスが変化します。
そのためワクチンは毎年WHO(世界保健機関)の会議で流行するウイルス株を予測し、それをもとに日本での流行状況を加味して独自に作られます。
ワクチンの発病予防効果は、健康成人では70~90%といわれていますが、これはあくまでも流行したウイルスとワクチンの予測が一致した場合であって、インフルエンザウイルスは流行中に突然変異を起こすことがありますので50%程度に予防効果が下がることもあるのです。
ちなみに、乳幼児の予防効果は20~50十%、学童は成人とほぼ同様です。
インフルエンザのワクチンは乳幼児や高齢者などのハイリスクの人だけにワクチンを打つより、その方に接する可能性のある家族全員にワクチンを接種した方が効率的に予防できます。
イギリスでの報告は、老人施設内の入居者全員にワクチン接種した場合と、逆に老人施設に出入りする職員だけにワクチン接種をした場合、同等の効果があったそうです。
これからもわかるように、インフルエンザは自然になるのではなく、周りの人からもらうものなので、その周りの人も一緒にワクチンを受けた方が良いようです。
今年からは、家族みんなでワクチンを受けられてはいかがですか?