腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
腰部脊柱管狭窄症とは、腰の神経の通り道が狭くなることをいいます。
腰の靭帯(じんたい)や椎間板や骨が神経を圧迫することによって起る病態の事をいいます。
症状としては、数メートルから数十メートル歩くと下肢に痺(しび)れや痛みを伴い、座るなど腰を丸めることによって症状が回復するのが一般的です。
腰を曲げていると症状が現れないため、自転車に長時間乗っても下肢の症状は出現しません。
症状が進行すると、下肢に力が入りづらい、足の裏に餅がついている、あるいは玉砂利の上を歩いているというような感覚や排尿後の残尿感などの症状が出現してきます。
治療は症状によって異なりますが、基本的には内服薬、外用薬、リハビリなどの治療から開始し、効果がない場合はMRI、CTなどの精査を行います。同じような症状がある方は、整形外科医にお気軽にご相談ください。
不妊治療の負担は検査機器の進歩によって軽減されつつあります
体外受精・顕微授精といった高度生殖補助医療の進歩によって、これまで赤ちゃんを授かることが難しかったご夫婦にも妊娠・出産の機会が増えてきました。
不妊治療を受ける場合、女性側の心身の負担はどうしても男性側より多くなります。
たとえば、体外受精・顕微授精では成熟した卵子を育て、採取するためにホルモン補充を行う卵巣刺激法が必須です。
このため、血液検査で生殖に関係する数種類のホルモン量を調べる必要があります。
検査によって正しいホルモン分泌量がわかれば、その人にあった卵巣刺激法を選択することができます。
卵巣を過度に刺激するような過剰なホルモン投与を避けることができるわけです。
また、同じ方でもホルモンの分泌状態は月経周期によって微妙に違います。
その都度、適切なホルモン補充療法を行うには、回数多くきめ細かにホルモン状態を調べる必要があるわけです。
さらに採卵から体外受精を経て子宮内に受精卵を戻したあとは、受精卵の着床と発育を促すために黄体ホルモン補充療法を行いますが、この場合も個人差に合わせるためには、ホルモン量を正確に調べる必要があります。
このように、治療の過程では何度か採血してホルモン定量検査を受けるのですが、結果が出るまでの待ち時間は特に仕事を持つ女性にとってはかなりの負担になります。
しかし最近は短時間で検査結果が出る迅速なホルモン検査機器が登場しており、待ち時間の負担が大幅に軽減されつつあります。
何よりも患者さんにとってメリットになるのは、迅速に検査結果が得られることでより正確により適切なホルモン補充療法を受けられることでしょう。
日々進化する医療機器や検査機器を積極的に導入し、患者さんの心身の負担の軽減に努めるのも、不妊治療医に欠かせない条件のひとつかと考えます。
目の現代病『加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)』
こんな風に見えてませんか?
加齢黄斑変性の症状は、視野の中央がよく見えない、歪む、暗く見えるなどです。
最初は片方の眼に起きて程度も軽いために、見過ごしていることも少なくありません。
しかし徐々に、病型によっては急速に視力が低下してしまいます。
通常、中心以外の視野は保たれ全く光を失ってしまうことはありませんが、見たいところが見えず読みたい文字が読めないというとても不便な状態になってしまいます。
欧米では中途失明原因のトップが加齢黄斑変性です。
日本でも高齢化や生活様式の変化などのためか、この病気が急増しています。
患者さんのほとんどは六十歳以上で喫煙者、男性に多いという特徴があります。
網膜のなかで一番重要なのは黄斑
黄斑とは網膜の中央にある物を見るために一番重要な部分です。
ものの形、大きさ、色、立体性、距離などの光の情報の大半を識別しています。
どうすれば早期に発見できますか?
格子状の表を使い片目で見る習慣をつけるのが一番簡単な方法です。
字が読みにくい、見る中心が暗くなる、細かい線が歪んで見えるという症状に注意しましょう。
加齢黄斑変性の種類は?加齢黄斑変性には二つのタイプがあり、視力の経過や治療手段が異なります。
1.萎縮(いしゅく)型
黄斑の組織が加齢とともに萎縮してくるもので、加齢黄斑変性の多くはこのタイプです。症状の進行はゆっくりです。
2.滲出(しんしゅつ)型
黄斑を中心に出血と滲出物がみられます。萎縮型よりも進行が早く、異常な血管の成長とそこからの出血や滲出物により症状が悪化していきます。
どのような治療法がありますか?
病気の進行度や重症度、また病型によって治療法はいくつかあります。
滲出型に対しては血管の異常な働きを抑える薬剤を注射する「薬物療法」、光に反応する薬剤を投与しレーザーを病変部に照射する「光線力学療法」などがあります。
詳しくは眼科医におたずねください。
多焦点眼内(たしょうてんがんない)レンズ
白内障手術の最近のトピックは、多焦点眼内レンズが先進医療として2008年に承認されたことです。
従来用いられてきた単焦点眼内レンズは若い頃に見ていたように全ての距離に焦点が合うのではなく、ある一点にピントが合うレンズでした。
多焦点眼内レンズは眼鏡無しで遠くの景色が見えると共に、手元の文字にもピントが合う仕組みを有しています。
眼鏡無しで全ての距離が見える訳ではありませんが、遠くと近くが見えることで眼鏡に依存しなくなり、日常生活は非常に楽になります。
多焦点眼内レンズはその精密なデザインから高価であるため保険適応外です。
先進医療を行う施設として認められた医療施設では多焦点眼内レンズ挿入術は自費負担となりますが、手術前後の診療は保険適応となります。
居宅介護サービスをご存知ですか?
高齢者の方への訪問介護サービスについては、障害をお持ちの方につきましてもご家庭にヘルパーが訪問し調理、洗濯、掃除、買物、入浴、排泄、通院乗降介助等のお手伝いをさせていただくサービスがあることをご存知でしょうか。
函館市在住で身体・知的障害をお持ちの方は市障害福祉課へ、精神障害をお持ちの方は市保健所保険予防課へ申請し、区分認定を受けると障害福祉サービス受給者証が交付されます。
交付を受け、希望の事業所とサービス契約を結び、初めて利用が可能となります。
利用料金は原則一割負担、生活保護受給の方は無料となります。
これからサービスを利用したい、詳細を知りたいという方は、一度市町村の各窓口へ問い合わせてみるとよいでしょう。
喜んでもらえる矯正歯科治療
”輝く笑顔”は、若さと健康の象徴として、周りの人たちにも多くの幸せを与えてくれます。
ちなみに八月八日は、笑い声「ハ(8)ハ(8)ハ」の語呂合わせから、日本不老協会が中心となって発足した「笑いの日を作る会」が一九九四(平成六年)に制定した「笑いの日」です。
日本医科大学リウマチ科の吉野槇一教授のお書きになった論文では、「笑い」の前後一時間で採血し、痛みの変化、炎症を悪化させる物質インターロイキン6(IL―6)やストレスホルモンのコルチゾールの変化を調べてみたところ、全員の状態が改善し効果が見られたと医学的にも報告されているようです。
このように「笑い」は大切で、我々歯科医は、歯並びをよくする矯正歯科治療を通じて患者さんと一緒になり、輝く笑顔を獲得し心も体も健康になるよう努力しております。
矯正歯科を受ける方の心理
子供の歯並びを治したいと、相談される方の保護者の多くは、「このような歯並びは、治した方が良いのでしょうか?」とか「治さなければいけないのでしょうか?」と、よく私にお尋ねになります。
まるで、私が裁判官、患者さんが、被告の立場で、患者さんが有罪と言われるのではないかという恐怖心をもって私の話を聞いているような錯覚に陥ってしまいます。
医療を受けるか受けないかは患者さんの自由意志であり、交通事故などで患者さん自身が判断力がないときや緊急な場合など以外は、特に患者さん自身が決めるべき事です。
もちろん、治療の効果については、今までに治療した患者さんの例などを一緒に見ながら説明しますが、治療法、治療結果についてはそれぞれ違いが出てくることもお話します。
患者さんと私たちが、良好な治療結果に向かってお互いに努力することが大切です。
矯正歯科治療を受けられている方の割合は、10年前の報告ですが大阪地区では「矯正が必要」と思われる人の三~四割程度にすぎず、私が受け持っている中学校では全生徒の10%以下ですので、受けていない方が大半です。
患者さんが治療を自ら「喜んで」始め、当然ですが、治療後に「喜んで」いただけるよう信頼感をお互いに築くよう努力することが最も重要です。
最近高率に見られる貧血症
ちょっと動いただけで、動悸や息切れを感じたことはありませんか?
朝、すっきりと目覚めることができない。
頭痛、めまい、疲労、肩こりなどの症状が続いたり…。
その原因は「貧血」によるものかもしれません。
血液の中にあるヘモグロビンの量が少なくなった状態が、貧血です。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ働きをしているので、貧血になると全身が酸素不足の状態になります。
そのため全身に様々な症状が起きるのです。
貧血の九割を占めるのが「鉄欠乏性貧血」です。これは、ヘモグロビンを作る材料の一つの鉄分が不足することで起こる貧血のことです。
厚生労働省が推奨している一日の鉄分摂取量は、男性七・五mg、女性一〇・五gです。しかし実際の摂取量をみると、女性の場合、三・四gも不足しているといわれています。
鉄欠乏性貧血の原因は大きく分けて二つあり、一つは鉄摂取量の不足です。
まず必要なのは、食事の改善です。
規則正しい食生活を守り、無理なダイエットはせずに、鉄分の多く含まれる食品、例えば、レバー、ひじき、煮干や大豆などを摂取し、鉄の吸収を助けるビタミンCも一緒に取ることが大切です。
もう一つは、出血などにより材料の鉄が喪失することにより起こります。
例えば、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)からの出血、この場合は、便が黒っぽくなります。
女性の場合は、子宮筋腫や子宮内膜症により、毎月の月経の頻度や量が増えることにより少しずつ貧血が進んでしまうことがあります。
また特に気をつけなければいけないのは、閉経した女性や貧血になりにくい男性に貧血の症状が現れた時です。
その場合は、胃がんや大腸がんなど消化器系の病気が強く疑われます。
たかが貧血、されど貧血です。
貧血の影に、様々な病気が潜んでいることが大変多いものです。
鉄分を取っても治らない場合は、腎臓が原因の貧血「腎性貧血」の可能性があります。
症状のある方は、自己判断で鉄分のサプリメントなどに頼ることで済ませたりしようとせず、医師に相談し原因を探すことが大切です。
痛くない中耳炎(ちゅうじえん)~滲出性(しんしゅつせい)中耳炎~
今回は滲出性中耳炎という「痛くない中耳炎」で滲出液という液体が貯まってしまう中耳炎についてお話します。
滲出性中耳炎は小学校入学前のお子さんとお年寄りに多い病気です。
症状は軽い難聴や耳閉感(耳がつまった感じ)ですが痛みがないため気づきにくく放置されていることがよくあります。
主に風邪、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎などで鼻と耳の交通が悪くなって耳の換気が悪くなることで起こります。
鼻の調子が悪い状態が続いているお子さんは滲出性中耳炎になっている可能性があります。
鼻の病気に伴って起こることが多いので鼻の状態を的確に把握して鼻の治療をしっかり行うことがポイントです。
多くは薬で改善しますが改善しない場合は鼓膜切開や鼓膜換気チューブ留置を行うこともあります。
心当たりのある方は耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。
コンタクトレンズ(CL)は高度管理医療機器!
現在CL装用人口は2000万人を超え、近視だけでなく、遠視・乱視・老視用と種類が豊富になった為、全ての年齢層で増加しています。
一方、インターネット購入や無認可カラーCLの購入などにより重症な角膜障害も増加しています。
眼鏡との大きな違いは、直接目に触れるということで、しかもCLはペースメーカーと同じ高度管理医療機器なのです。
ペースメーカー手術を受ける時、知識のあるベテラン医師のもとに行きますが、CLも同様に角膜の形や大きさ、度数を考えて自分に合う物を医師に選んでもらうべきです。
CLを水道水で洗うとか、唾液をつけて目の中に入れるなど自己流の取り扱い方はもってのほかです。
角膜障害はとても痛いものです!
痛い目に合わない様に正しい取り扱い方を守り、医師のもとで処方してもらうように心がけましょう。
肺炎に気をつけましょう
今ちまたでは新型インフルエンザが問題になっていますね。
日本国内でも発病した人が多数報告されていますが、皆さんが快方に向かってくれることを願っています。
またメキシコではかなりの死者が出たとのことですが、その理由は何だったのでしょうか。
記事を見ると、多くの人が重症肺炎にかかっていたとのこと、さらに免疫力の低下した人も相当含まれていたそうです。
これらのことから新型インフルエンザに感染した後、重い肺炎になってしまったことが死亡の原因だったのかもしれません。
二十世紀初頭に『スペインかぜ』が流行し、日本でも約五十万人が亡くなったと言われています。
亡くなった方の多くが細菌性肺炎を併発していたとの報告もあるようです。
つまりインフルエンザウィルスで弱ったところに細菌が入り込んで肺炎を引き起こすことが問題ということです。
日本人の病気による死因の第一位は「がん」ですが、肺炎も高位を占めており、油断できない病気です。
慢性の呼吸器疾患を持っている方は肺炎にかかりやすく、さらに重症化もしやすいと言われています。
また高齢者では嚥下(えんげ)機能(ものを飲み込む機能)が低下しており、食物が食道ではなく、気管支に入り込むことによっておこる、嚥下性肺炎にも注意が必要です。
肺炎を予防するためには肺炎ワクチンをうつことも有効といわれています。
ただし肺炎の原因菌すべてに効くわけではないので注意が必要です。
さらに嚥下性肺炎を予防するコツは、食事をとるときの姿勢です。
背もたれに寄りかからずに座り、あごを引いた状態で飲み込むようにします。
また、のどにつまりやすいものは避けましょう。
トロミがあると飲み込みやすいので、片栗粉やトロミ剤を使うのもひとつの方法でしょう。
また食後すぐに口の中をキレイにしましょう。食後すぐ横にならないことも重要です。
以上を実行すると嚥下性肺炎もかなりの確率で予防できるようになるでしょう。