■ご訪問者数:25636562
カワムラ歯科クリニック  昭和ごとう内科  たからまち総合診療クリニック  アイビー函館クリニック 

コラムを読む

ペインクリニックでは、痛みに対してどのように改善しますか?

麻酔科2010/03/18

原因不明の痛みや慢性的な疼痛に対して
その悪循環を断つのがペインクリニックです

 痛みを伴う疾患はさまざまありますが、原因がわからずあきらめていた慢性疼痛でも麻酔科(ペインクリニック)を受診することで改善する疾患は多くあります。 たとえばピリピリ、ゾクゾクといった神経痛のような痛みを伴う帯状疱疹(たいじょうほうしん)の場合、消炎鎮痛剤で痛みが治まるのが普通ですが、ごくまれに、普通の薬では痛みがとれないことがあります。
原因は子どもの頃に水ぼうそうにかかり、そのウイルスが死滅しないまま神経節に残り、免疫が落ちてきたときに再び現れて痛みを伴ってしまうのです。
抗うつ剤などのほかの薬剤や、局所麻酔薬を神経幹に作用させ、神経経路の一部の伝達を遮断する神経ブロックなどを併用することで改善することが可能です。 帯状疱疹は一時的に改善しても、発症後半年以上経過すると慢性的な痛みとして残ることもあります。
帯状疱疹後神経痛といわれるもので、帯状疱疹初期の痛みの強い段階から、痛みをとる適切な治療を行うことで予防することができます。 全身や部分的な慢性の疼痛を伴う線維筋痛症では、検査をしても原因がわからないということも多く、実は痛みを自然に止める疼痛下行性抑制経路が弱くなっていたために痛みが出現したという場合もあります。
また慢性の頭痛には、血管が原因の片頭痛や、筋肉の緊張が原因の緊張型頭痛、頸椎の異常からくる頸椎性頭痛もあります。 このように痛みにはそれぞれ個人差があります。
その原因がどこから起因しているのかをしっかりと探し、きちんと判断しなければなりません。
場合によっては日常のストレスから痛みを発することもあります。 慢性的な疼痛は気温や天候にも左右され、天気が崩れる日は痛みを伴うことが多いようです。
また痛みのために、夜中なかなか寝ることができないという人もいます。
改善してよく眠れたという人も多く、痛みはあきらめないで早期に受診することをお勧めします。


Text by やなづめ医院 院長 簗詰 泰彦( 2010年3月 「ホームドクター健康新常識」掲載)

軽症うつ病が増えていると聞きますが、従来のうつ病とどう違いますか?

心療内科2010/03/18

頭痛や腹痛など身体的症状を訴えて、
実は軽症うつ病ということがあります

 近年、うつ病は増加傾向にあり、中でも軽症のうつ病(仮面うつ病)が話題になっています。
これまで典型的なうつ病患者は人口の3〜5%、約500万人ほどといわれていました。
それに軽症のうつ病を含めると、10%以上、10人に1人はうつ病を発症しているといわれています。
その原因として注目されているのが、脳の中の神経伝達物質(セロトニン)の機能異常によるというものです。
この物質が不足しているとうつ状態になり、過剰になると躁状態になるといわれています。 うつ病は原因もなく突然起こる場合が一番多く(内因性)、他には悲しい出来事などによる心因性のもの、疲労が蓄積してストレスに対する抵抗力が落ちたとき、また糖尿病や心臓疾患、脳疾患などを抱えた身体的要素、さらにステロイドや血圧降下剤などの薬によって発症することもあります。
これらいろいろな要因が重なって、うつ状態になると考えられています。 軽症うつ病の場合は、頭痛や動悸、背中や腰が痛いなど、身体的症状がまず表面にでてきます。
意欲がなくなる、悲しい気分といった典型的なうつの症状は仮面に隠れているわけです。そのため、身体疾患とまちがわれ内科や外科を受診するのですが、検査をしても異常が見つからず、最後に精神科を受診するといったケースが増えています。 またこれまで、うつ病の発症年齢は40代、50代が中心となっていましたが、最近は20代、30代など若年化が進んでいます。
小学生や中学生にもみられます。
引きこもりや登校拒否など行動障害として現れてきたり、腹痛などの身体的症状を訴えることもあります。
周囲からは怠け者と見られがちですが、うつ病が隠れている場合もありますので注意が必要です。 改善には休養と薬物療法が治療の中心となります。
最近では副作用の少ない非常に効果的な薬がありますので、できるだけ早く受診することが大切です。
うつ病の半数は一生で1回のみの発症ですみますが、残りの半数の人は再発を繰り返します。
ですからきちっとした治療を受けることが必要です。
また抗うつ薬には痛み(頭痛・腰痛ほか)にも効果があります。
実際の痛みのほかに、精神的なことで痛みを倍増させていることもあるのです。 うつ病は本人よりも周囲が先に気づくことがあります。
あまり話をしなくなった、元気がないなど、家族や会社の上司などが気づいて精神科を受診するよう勧めたり、一緒に訪れることもあります。
軽症の方は治りは早いといえますので、やはり早期の受診をお勧めします。


Text by 富田病院 植田 裕之( 2010年3月 「ホームドクター 健康新常識」掲載)

最小侵襲手術という言葉を聞きます。どのような手術でしょうか?

整形外科2010/03/18

手術のダメージ(侵襲)を最小にして
早期の回復・退院が可能となる術式です

 最小侵襲手術(MIS)とは、切開(傷)を最小にし、かつ疼痛管理、早期リハビリを行うことで、手術に伴う身体機能の低下を最小限にするための治療方法です。
消化器外科での腹腔鏡手術や呼吸器外科の胸腔鏡手術などがあり、整形外科領域では変形性膝関節症に対する人工関節置換術などが代表的です。 外科手術では傷のない部分にメスをいれ、病巣を展開して処置を行います。
人工膝関節置換術では、同様に前方部分の皮膚を切開して関節を展開して、骨を削るなどの処置を行います。
それによって身体は手術のダメージ(侵襲)を受けます。これは手術のマイナス部分です。 一方、その手術によって得られた効果(人工膝関節置換術においては日常生活での痛みの軽快)は手術のプラス部分です。
このプラス部分がマイナス部分を上回った場合に人工膝関節置換術を受けてよかったと思えるのです。 人工関節を行うことで、痛みを取り除く(または大きくやわらげる)ことが期待されます。
しかし、人工関節を行うためには、関節を切開する必要があります。
従来は20センチ程度の切開が必要であり、術後はこの回復のために平均4〜6週の入院期間が必要でした。
また術後安静にともない筋力や体力が低下することも大きな問題でした。 MISは人工膝関節置換術のマイナス部分を減らすことによって(差し引きでプラス部分を大きく残すことによって)、患者さんの満足度を上げることを目的とするものなのです。
MISは人工膝関節置換術の術後の痛みを軽くすることにより、リハビリが円滑に進み、より早い回復が得られることが期待されます。
しかし、MISで注意しなければならないことは、「人工膝関節置換術においては皮膚切開の大きさだけが大事ではない」ということです。
皮膚の切開が小さくても術前の計画(設計図)通りの正確な手術がなされなければ意味がありません。 皮膚の切開、関節の展開が小さいと正確な角度で骨を削ることや温存すべき軟部組織(靭帯や関節包など)に対する適切な処置が困難となります。
人工関節置換術において最も重要なことは正確な角度で骨を削ること、残すべき軟部組織に対する適切な処置であると考えています。
当院では、切開創は大きくとも10センチほどで、2〜3週で退院できるよう努めています。
人工膝関節置換術は内科的に重度の合併症があったり、ご高齢でリスクが高いと判断された場合は手術ができない場合があります。
年齢的にはお元気であれば85歳くらいまでは可能です。


Text by 函館整形外科クリニック 大越 康充( 2010年3月 「ホームドクター」掲載)

痛風とはどんな病気ですか?その症状や治療法について教えてください

整形外科2010/03/18

痛風発作以外は無症状だが油断大敵な病気。
定期的に血清尿酸値の測定と健康管理を

 痛風は9割以上が成人男性に発症し、以前は中高年男性に多い「ぜいたく病」といわれましたが、最近は30歳代に発症する人が最も多く、若年化する傾向にあります。
痛風の治療は「生涯治療」といえます。
ところが痛風発作のとき以外は無症状なので、治療が続かないことがよくあります。
治療は痛風発作の痛みを取るだけでなく、高い血清尿酸値を正常範囲に維持し、最終的には尿路結石など腎臓障害や他の生活習慣病の合併を予防するのが目的です。
このほかにも、心疾患や脳血管障害などさまざまな病気を合併することもあるのです。 ただ幸運なことに、痛風はコントロールできる病気です。
痛風発作の原因となる高尿酸血症は、血液中に尿酸が多くなった状態をいいます。
尿酸塩(尿酸の結晶)が関節などに溜まると、関節は赤く腫れあがり激しい痛みを伴い、いわゆる痛風発作を起こすわけです。 血清尿酸値は7・0mg/dl以下が正常で、これを超えると高尿酸血症と診断されます。
血液中に尿酸が増える原因は、

  1. 尿酸が体内で多く産生される
  2. 尿酸の排泄が悪い
  3. その両方

によるものがあります。
また、肥満・飲み過ぎ・食べ過ぎ・運動不足・ストレスなどの要因が重なっても起こり、血液の病気・悪性腫瘍、腎臓病や利尿剤などの薬剤も原因になります。 治療は3段階あり、
第1段階は痛風発作を抑える対症療法。
第2段階は血清尿酸値を下げる原因療法。
第3段階は合併症を予防する健康管理です。 健康管理では、まず肥満があれば解消します。肥満対策としても出来るだけ栄養バランスの良い食生活を送り、アルカリ性食品を多くとります。
尿が酸性だと尿酸は溶けにくく、尿路結石の原因になります。
野菜や海藻などを十分とるよう心がけます。
水分を十分とって尿量を増やし、尿と一緒に尿酸を排泄。
1日の尿量が2リットル以上になるようにします。
飲酒も控えます。
アルコール自体に肝臓での尿酸産生を亢進させ、腎臓からの排泄を低下させる作用があります。
1日の適量は、ビールは500ミリリットル、日本酒は1合、ワインは3分の1本、ウイスキーはシングル2杯が目安です。
また激しい運動は避け、適度な有酸素運動をします。
1日20分間の早足歩き、軽いジョギングがお勧めです。
ただし一般的には軽いと思われる運動でも、痛風発作を起こすことがあるので注意は必要です。 痛風、高尿酸血症と診断された人は、定期的に通院して血清尿酸値を測定し、必要な薬の量も調整しながら、高血圧、高脂血症などの合併症のチェックと管理を医師と協力して行っていくことが重要です。
繰り返しますが、痛風の治療は「生涯治療」ですが、十分コントロールできる病気です。
自分の判断で治療を中止しないことが大切です。


Text by 宮本整形外科 宮本 一成( 2010年3月 「ホームドクター 健康新常識」掲載)

粉瘤(ふんりゅう)とはどんな病気ですか?すぐに治すことができますか?

皮膚科2010/03/18

放っておくとだんだん大きくなるおできの一種です。
小さなうちに切除することをお勧めします

 粉瘤とは、皮膚表面にできる腫瘤(しゅりゅう・おでき)の一つで、アテローマともいわれます。
半球状に少し皮膚から隆起して盛り上がり、触るとコリコリしているものです。体中どこにでもできますが、多いのは背中と顔(特にあご、首、耳の周り)、頭にできます。
お尻や足の付け根、手足などにできることもあります。
「脂肪の固まり」などといわれ、これ自体は痛みはないのですが、ばい菌などに感染を起こして膿がたまってくると痛みが出て、赤く腫れてきます。
こうなってから外来を訪れる患者さんがほとんどです。
皮膚の下に袋ができて、中にお粥のようなアカや皮脂が詰まっています。
皮膚の下に硬い塊として触れ、強く押されたりして表面が破れると、悪臭のある白い物質が出ることもあります。 また、腫瘤の表面上に点状にへそのようなくぼみがみられることもあります。
良性の皮膚腫瘍で初めは、ほんの5くらいで小さいのですが、何年かそのまま放置しているとだんだん大きくなってきます。大きいものは野球のボールくらいになることもあります。 治療法は、化膿していないものは手術で切除することです。
注射や軟膏では治療できません。
まず、局所麻酔をして袋をすべて切除します。
その後、ていねいに縫合して終了します。
手術時間は10分ほどです。
場所によって違いますが、1週間ほどで抜糸できます。
1〜2日すればシャワーや入浴も可能です。 化膿している場合は、まず皮膚切開して膿を出してしまいます。
しばらく消毒して、炎症がなくなった時点で袋を切除する手術をします。
袋を取らないとまた再発してくるからです。
傷跡は3カ月くらいは赤く硬くなっていますが、徐々に白くやわらかくなって目立たなくなります。
手術して皮膚を傷つける以上、必ず傷跡は残ります。
そして、できるだけ目立たない傷跡にすることが、われわれ形成外科の仕事です。
そのために、ていねいに縫合したり、シワに沿った傷にします。 また、外傷性のアテローマというものもあります。
これは、ケガの跡にできる粉瘤で、手のひらや足の裏、膝などにみられ、痛みをともなうことがあります。
これもやはり治療法は切って取るしかありません。 粉瘤は形成外科でよくみられる皮膚の良性腫瘍です。
化膿してから来院される方が多いのですが、小さいうちに、そして化膿しないうちに切除してしまうほうが早く良くなりますし、傷も小さくて目立たない傷になります。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2010年3月 「ホームドクター 健康新常識」掲載)

冬になると肌がカサカサに乾燥します。良い対処法はありますか?

皮膚科2010/03/18

強い垢こすりや長湯も皮膚の機能低下に影響。
スキンケアにはバランスの良い食生活が何より重要

 全身を覆う皮膚は、外敵から身を守る防御機構の最前線に位置し、新陳代謝を活発に繰り返しています。
皮膚がカサカサに乾燥すると、その機能は低下してしまいます。
皮膚の潤いを決める要素には、皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子の3つがあります。
皮膚は角質で覆われ、一つひとつの角質細胞はレンガを積み上げたような構造をしています。
毛穴から分泌される皮脂が角質表面を包み込んでおり、角質細胞の間にはセラミドという物質を中心として脂質が充満しています。
また、角質細胞の中にはアミノ酸を中心に天然保湿因子が存在しています。
これらの働きによって皮膚の潤いが保たれているのです。 お風呂で行うことが多い「垢こすり」は、かつての1カ月に数回しか入らないような入浴習慣だと、実際に垢が皮膚の表面にたまり、強くこすることに意味があったでしょうが、ほぼ毎日入る現在の入浴習慣では、こするという行為は、皮脂を洗い流し、いたずらに皮膚をそぎ落とす行為でしかないのです。
このことにより、皮膚のバリア機能は著しく阻害されます。
また、長湯を続け、皮膚がお湯と接触し続けると、潤いを決定する要素の一つ、天然保湿因子が流れ出てしまいます。
お風呂に入ってきれいにしているつもりの行為が、実は外からの刺激が侵入しやすいような状態にしてしまっているのです。 皮膚の健康を保つうえでは食事も重要です。
皮膚は網目状に張り巡らされたコラーゲンの線維によってその弾力が保たれています。
コラーゲンの主な原料はプロリン、アルギニン、システインなどのアミノ酸です。
コラーゲンを合成するには良質なタンパク質とビタミンCが不可欠です。
またアミノ酸のひとつであるタウリンも肝臓の機能を高め、皮膚に有害な物質を除去するのに有効な成分とされており、それを多く含む魚介類の摂取がお勧めです。
またビタミンCはメラニン色素の変化を防いだり、コラーゲンの形成と維持を調節したりする効果を持ち、鉄分の吸収を助ける働きもあります。
通常の食事をしていればビタミンCが不足することはまずありませんが、偏食している場合や抗生物質を服用している場合、腸内細菌が変化しビタミンCの合成が低下する場合があります。
ビタミンCが低下・欠乏すると皮膚の内出血や粘膜からの出血が起こることがあります。
このほかにもビタミンAやEは抗酸化ビタミンと呼ばれ、保湿成分の生成に関与し、皮膚の老化を防ぐ働きがあります。
亜鉛やセレンといったミネラルも皮膚の増殖や機能の維持に必要不可欠な栄養成分です。 細胞を正常に働かせるには、必須アミノ酸を含むタンパク質を十分摂取しビタミンやミネラルも摂る必要があります。
バランスの良い食事を心がけること、これが皮膚にとって一番です。


Text by やなせ皮フ科クリニック 梁瀬 義範( 2010年3月 「ホームドクター 健康新常識」掲載)

寝たきりや要介護にならないために何かいい方法はありますか?

整形外科2010/03/18

ロコモーショントレーニング(ロコトレ)で
運動器全体を動かし予防することをお勧めします

 2005年度における日本人口の年齢構成は、子ども人口(15歳未満)が14%、働き盛り人口(15〜64歳)が66%、高齢人口(65歳以上)が20%でした。
現在の見通しでは、50年後には高齢人口が41%まで増加すると推計されています。
つまり、21世紀半ばには、国民のおよそ2・5人に1人が65歳以上という超高齢社会になることが予測されます。
高齢者の増加に伴い、支援・介護を必要とする人も、02年から06年までに167倍と急増し、440万人を超えています。
75歳以上の高齢者での寝たきりや介護の主な原因のうち、運動器疾患によるものは実に21・5%(転倒・骨折9・3%、関節疾患12・2%)を占めています。
これらの要支援・要介護者を少しでも減少させ、また重症化を防ぐ対応が必要となっています。 そこで、07年に日本整形外科学会では、運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)、運動器症候群」を提唱し、これらの予防や早期治療を広く啓蒙するようにしています。
また、ロコモティブシンドロームの早期診断のため、5つのロコモーションチェック(ロコチェック)を示しました。

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたり、滑ったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  5. 15分くらい続けて歩けない

——これらのひとつでも当てはまれば、ロコモである心配があります。該当する方には開眼片脚立ちとスクワットによる2つのロコモーショントレーニングが勧められています。 開眼片脚立ちは、床に着かない程度に片足を上げ、左右1分間ずつ1日3回行う。
転倒予防のため、つかまるものがある場所で行うこと。支えが必要な方は、机に手や指をついて行う。
スクワットは、椅子に腰かけるように、お尻をゆっくり下ろす。
膝は曲がっても90度までとし、安全のために椅子やソファの前で行う。
5〜6回を1日3回行う。
支えが必要な方は机に手をついた状態で行ったり、椅子に腰かけ腰を浮かす動作を繰り返す。
これらのトレーニング以外にもストレッチ・関節の曲げ伸ばし・ラジオ体操・ウオーキングや各種のスポーツを症状に合わせ積極的に行うことがロコモティブシンドロームの予防や進行の抑制につながっていきます。


Text by 江端整形外科医院 江端 済( 2010年3月 「ホームドクター 健康新常識」掲載)

鼻の調子が悪く、いつまでも治りません。単なる風邪ではないのでしょうか?

耳鼻咽喉科2010/03/18

症状が2週間も続くならアレルギー性鼻炎の可能性も。
子どもの場合には続発する中耳炎も心配。早期受診が大切

 冬といえば風邪の季節ですが、その中で一見風邪の症状だと思っていたものが、実はアレルギー性鼻炎による症状の悪化である場合が意外と多く見られます。
風邪だと思っても、症状が2週間も続くようであれば何らかの慢性的な状態が考えられます。
また、必ずしもアレルギー性のものではない場合もあるため、いずれにしても医療機関で検査してみる必要があります。 通年性のアレルギーは基本的にハウスダストやダニが原因で、すでに鼻は過敏な状態にあります。
そこに冬場は寒暖差や湿度差が激しいなどの物理的刺激が多くなるため、鼻の調子が悪くなりがちになるのです。
経験的に秋口から寒くなって、乾燥が進む季節に入ると調子を悪くして不安定な状態に陥る人が多いので、その季節から注意が必要です。
ただアレルギー性鼻炎の発症を予防することは難しく、すでにアレルギー性鼻炎と診断されている人であれば、事前に薬を飲むなどの対策もとれますが、既往症がない人ではいかに初発症状を見逃さず、少しでも早く専門医を受診することが大切といえます。 特に注意しなければならないのは、子どものアレルギー性鼻炎で、意外と放置された状態のままの子どもが多いのです。
鼻の状態が悪いと風邪をひきやすく、またアレルギーなどで鼻の状態が常に悪ければ、いずれ鼻の機能がまったく失われてしまいます。
例えば鼻から空気を吸った際に、鼻の中で粉塵(ふんじん)や細菌を取ったり、空気を加湿化し肺に送るという大事な機能がまったく破綻してしまうわけです。
当然あらゆる感染症にも罹りやすくなってしまいます。 さらに鼻の状態が悪いと、結果的に中耳炎にも罹りやすくなるのです。
中耳炎が子どもに多いのも、そういったことが関係していて、多くの場合、風邪から鼻の調子を悪くしてしまい、続発的に中耳炎を起こしているのです。
そのため中耳炎の発症も冬場に多く見られます。
その意味では、中耳炎の治療のポイントは、鼻の状態のコントロールにあるということがいえるわけです。
また、治療には抗生物質の適切な使用が重要です。
一般的風潮として抗生物質は敬遠されがちですが、特に幼少期に起こす中耳炎や鼻炎の細菌の種類は決まっていますので、その動向を見極めて適切な抗生物質を選び使用することで、それぞれの症状も速やかに改善されます。 耳鼻科は基本的に感染症外来です。風邪も感染症ですので、鼻の調子が悪いなどの症状が長く続く場合や、特に学童期以下の子どもの場合には、まず耳鼻科への受診をお勧めします。


Text by 治耳鼻咽喉科 山口 治浩( 2010年3月 「ホームドクター健康新常識」掲載)

糖質栄養素という言葉を聞きます。不妊治療ではどのような役割がありますか?

産科婦人科2010/03/18

自然治癒力を高める生命の源であり、
妊娠への希望をつなぐ魔法の栄養素

 不妊症を治すには、原因を調べ、必要な治療を行うことが必須です。
治療の障害になっている原因を取り除き、治療法を選択して不妊症を克服する方向へ向かわせてくれるのが医師です。
同時に治癒に必要なエネルギー、糖質栄養素を体内に取り込むことが理想です。
両者は互いに必要不可欠な車の両輪といえます。 卵子と精子など、細胞間コミュニケーションに必要な糖鎖を構成する糖質栄養素は、現在のところ8種類が解明されています。
そのうち現代の食生活で十分に摂取できる単糖類は、主に白米やパンから摂取できるグルコース、主に牛乳からとることができるガラクトースの2種類だけといっていいでしょう。 これ以外の6種類も体内で作られますが、私たちにできるのはせいぜい「ミネラル豊富な土壌で育った野菜や水」を意識して摂取することでしょう。
野菜が育つ土壌は化学肥料と農薬のために、含有するミネラルは大幅に減少しているのが現状です。
食事からとれる糖質栄養素は、この20年間で、約25%も減ったといわれています。
そのため現代人はサプリメントで糖質栄養素を補うほかないといえます。
サプリメントは科学的検証を経た製品であることが大切です。 実際に糖質栄養素を摂取した人はさまざまな体調の変化を実感しています。
当院の糖質栄養素研究室の担当者が患者さんから伺った話では、
「酸化ストレス度チェックで抗酸化力がアップした」
「冷え性・貧血・便秘が改善した」
「アレルギー疾患の症状が緩和した」
「肌の張りとツヤが良くなった」
などの有効性が報告されています。 妊娠に成功するには、質のよい卵子が排卵されなければいけませんが、糖質栄養素を摂取している患者さんでは、明らかに卵子および受精卵の質がアップしていることが確認できます。
2006年に当院では、自分の卵子と夫の精子で体外受精した45歳6カ月の女性が妊娠し、出産に成功しました。
この女性は糖質栄養素の治療による体質改善も成功の大きな要因でした。 高度生殖医療(体外受精・顕微授精)の進歩により妊娠率は向上しています。
一組でも多く赤ちゃんが授かるよう、私たちは努力し、最新の治療技術を導入しています。
同時に精神的不安を解消する治療も心がけています。
あきらめずに一緒にがんばっていきましょう。


Text by 美馬産婦人科 美馬 博史( Array 「Array」掲載)

血糖値が高いといわれました。症状は何もないのですが、糖尿病ですか?

内科2010/03/18

気づいた時には取り返しのつかない場合も。
早期受診による血糖値のコントロールが大切

 一般に「糖尿病」と聞いて、皆さんはどのようにお考えになりますか? 尿に糖が漏れ出すということは、文字から想像できるでしょうか。
知っている方では、症状がひどくなれば足を切断しなければならないと聞いたこともあるでしょう。
しかし、実のところよく知らないという方が多いのではないでしょうか? 糖尿病の患者さんにとって問題なのは、3大疾病としてあげられる糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性末梢神経障害にかかることなのです。
血糖値が多少高いこと自体は、かえって元気なくらいで具合の悪いことは無いのですが、ここに落とし穴があるのです。 血糖値が高い状態に長いこと置かれた血管は変性していき、ついには詰まってしまいます。
これが皆さんもご存知の梗塞(こうそく)です。
心筋梗塞、脳梗塞とは動脈が詰まって引き起こされる状態ですが、これが糖尿病で変性した血管をお持ちの方では、どこで起こるかがわかりません。
また細い血管ほど詰まりやすいことなどが、先の3大合併症を引き起こす原因になるのです。
網膜に症状が現れると目が見えなくなり、腎臓に症状が現れると人工透析になります。
さらに人工透析はさまざまな合併症を引き起こします。
一般に透析治療は5時間前後かかることや、週3回治療を受けなければならないことも辛いのですが、それ以上に、透析を長く受けることで血管内に尿素などとは違う悪いものが溜まり命を縮めてしまうのです。 糖尿病神経障害では、糖尿病により変性した血管で詰まった先にある体の部分は栄養が行かずに死んでしまうため、その先の感覚が無くなってしまいます。
すると、例えば足の裏に傷ができたり、ひどければ画びょうどころか五寸釘が刺さっても気付かない方もいます。
足の裏を見るという習慣があまり無いと思います。
つまりグズグズに腐るまで気付かないこととなります。
そして、気づいた時には傷によって腐ってしまった組織から悪い物質が足自体を侵食してしまい、その部分だけ切り取っただけでは完治しなくなってしまいます。
結局はもっと上の部分から切らなくてはいけないことになるようです。
これを専門家はアンプタといって、膝からの下腿切断を意味します。 つまり、痛くもかゆくもない糖尿病は気付いた時には人生をその時点より長らえること自体ができないということが怖いのです。
現在、罹ってしまうことで梗塞状態となった体中の細い血管を元の健康な血管に戻す有効な治療法はありません。
しかし、血管の変性を食い止める手立てはあります。
それが食事運動療法や薬、インスリン注射で血糖を下げた状態で過ごすことです。 血糖値が高いとしても今からでも遅くありませんので、まずは医師にご相談ください。


Text by やま内科胃腸科医院 山 英仁( 2010年3月 「ホームドクター 健康新常識」掲載)

はこだて医療情報に登録されている詳細ページリスト(50音別)

医科 歯科  
医科 歯科  
医科 歯科  
医科
医科 歯科  
医科 歯科  
医科 歯科  
医科