正常な尿回数、頻尿(ひんにょう) とは?
さて、1日の正常な排尿の回数というのはどのくらいなのでしょう? 水分の摂取量にもよりますが、起きている間にだいたい7〜8回が通常です。
これより回数が多いと頻尿といいます。 また、夜間は睡眠を十分にとれるように、尿を作ることを控えるようにできています。
夜間に一回でも排尿のために起きるようなら、頻尿の症状がでてきていると考えます。 頻尿をきたす原因となる病気は、男性なら前立腺肥大症、女性なら過活動膀胱(ぼうこう)が代表的ですが、気をつけないといけないのが薬剤の副作用によっても頻尿になることがあるということです。
抗精神薬、不整脈やアレルギーに対する薬による頻尿があります。 症状や経過をよく聞かせていただき、簡単な検査をするだけでも、頻尿の原因の見極めや治療ができます。 是非、お近くの泌尿器科を受診してみてください。
『しあわせ』な矯正歯科治療
昨年今年と、当院で矯正歯科治療を受けた口蓋(こうがい)裂患者さんの資料を整理して某大学の大学院生と一緒に指導を含めて論文にまとめており、昨年は1編、今年も3月に提出予定です。一応わたしもその大学の非常勤講師となっておりますが、若い院生と一緒に論文を書いていると、自分も本当に勉強している感じがしております。矯正歯科の技術は、その人独自のものであるという面もあることから、矯正歯科に携わる歯科医の中には自分の技術を「芸術」とか「アート」と表現する人も少なくありません。
しかし「医学が科学の一分野である」ということは、万人が認めるところであり、矯正歯科学を含めた歯科学も当然科学の一分野です。
最近EBM(Evidence Based Medicine)という言葉が良く使われ ています。
聖路加国際病院の福井次矢先生は「〝適切な診療〟とは、つまるところこれまで行われてきた研究についての質の高いエビデンス(検証結果)を医療従事者が知っているかどうかにかかっている。
治療効果・副作用・予後の臨床結果に基づき医療を行うというもので、専門誌や学会で公表された過去の臨床結果や論文などを広く検索し、時には新たに臨床研究を行うことにより、なるべく客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら、患者とも共に方針を決めることを心がけるべきだ」と述べております。矯正歯科の分野のなかで、口唇顎口蓋裂児(こうしんがくこうがいれつじ)の治療は、15年以上にわたり歯科医と患者さんが関わりあう治療ですので、医学の進歩の把握やEBMの実践、高度な治療技術の習得が当然必要です。
しかし治療により得られた結果が、患者さんおよびその周りの家族の方々に喜んでもらえたか、その患者さんの「しあわせ」に関与できたかどうかを数値で測ることは不可能ですが、謙虚に考え、受け止め、考え続けなければならない問題です。
女の子の保護者の方へお伝えしておきたいこと
子宮頸(けい)がんは、30年くらい前までは50〜70歳の方が多くかかっていましたが、今では、20〜30歳台の女性で発病するガンの第1位になりました。
子宮頸がんは子宮の出口にできるガンで、そのほとんどがヒトパピローマウイルス(以下HPV)というウイルスに感染することで発病します。HPVは男女ともに多くの人が持ってるありふれたウイルスで、何度も繰り返し感染することもありますが、自然に治る一過性のものがほとんどです。
しかし、一部の人の場合、持続的に感染が続き、その後、子宮頸がんになることがあります。ほとんど自覚症状はありませんが、感染してから子宮頸がんになるまで最低でも5年はかかるので、その間に子宮頸がん検診を受けていれば初期のガンとして発見することができます。
その時に発見できれば、手術でほぼ完全に治り、妊娠・出産も可能となります。日本では残念なことに若い女性の検診の受診率はかなり低く、妊娠をして初めて婦人科を受診する人が多いのが現状です。
ですから妊娠時に子宮頸がんを発見されることが多いのです。しかし、一度の検診で100%防げるわけではありません。
最低2年に1度は定期的に繰り返し検診を受けることが重要です。
また、HPVの感染そのものを予防するワクチンも開発されました。
子宮頸がんは、ガンの中で唯一ワクチンによって予防可能なガンになったのです。このワクチンは、10歳から50歳までの間に接種するのが理想的ですが、HPV感染前の早い時期に接種されることをお勧めします。またワクチン接種により、少なくても20年間は予防効果が続くだろうと言われています。
現在、平成23年1月1日〜3月31日の期間に中学1年〜高校1年生を対象にそれぞれの自治体からワクチンの接種費用の助成があり、内科・婦人科・小児科で無料でワクチンの接種を受けることができます。子宮頸がんは、検診とワクチンの両方で100%近く無くなる病気と考えられています。
正しい知識を持つことでお子さんの大切な命を守ることができます。今晩は母娘で話し合われてみてはいかがでしょうか。
ドライアイのあたらしい治療
10秒以上まばたきをしないで目を開けていられますか?
開けていられない人は、ドライアイの可能性があります。ドライアイは目が乾くことによって疲れやすい、なんとなく見づらい、不快感があるなどのさまざまな症状が現れる病気です。目が乾く原因には、
- 涙の量が少ないため
- 量は充分あるにもかかわらず涙の質が悪いため
の2つのタイプがあります。
健康な目の表面(角膜)は涙の層できれいに覆われていますが、涙の質が悪いドライアイでは短時間で涙の層がくずれて角膜が露出してしまいます。今までは涙の量を補ったり傷を治す治療が中心でしたが、最近ムチン(涙の水分を角膜上に保持するのに大きな役割を果たしている物質)の分泌を増やす点眼薬が処方できるようになり、新たな効果が期待されます。
ヒアルロン酸とは? (2)
膝(ひざ)などの関節や皮膚では、加齢や病気により、ヒアルロン酸の濃度が減少します。また大人の皮膚では赤ちゃんの20分の1といわれております。関節液の粘度も低下しますので、ヒアルロン酸の体内での働きはより重要となってきます。 20年前からヒアルロン酸は医療用医薬品として使用されています。関節内に直接注入することで、加齢などにより減少したヒアルロン酸を補い、さらにヒアルロン酸の産生を高めることにより、関節の動きを良くし、関節の痛みを抑えます。通常1週間に1回、連続5回注射します。なお、症状によってはさらに注射を継続することもあります。 注射1回あたりの窓口負担は、約200円です(保険1割負担の場合)。1ケ月800円程度となります。注射時の痛みは、普通の注射と同じくらいの痛みです。 加齢による膝の痛み(変形性膝関節症)にはヒアルロン酸の関節注射、下肢筋力訓練が効果的といわれております。 膝の痛みにお悩みの方は整形外科にご相談ください。
美肌・クスミ対策 若さを維持するための『サプリメント外来』
自分の肌の乾燥や赤さや痒さが、洗顔や化粧の問題、原因不明のストレスだと思っていませんか? 食が豊かになった現代ですが、ストレスや忙しい毎日できちんとした食事を摂らなかったり、自分は適度に食べているつもりで、甘いお菓子やパンなどの炭水化物ばかりを食べたり、ダイエットを意識したベジタリアン的食事とストイックな運動による「自分の体の栄養的バランスの悪さ」が肌の異常(乾燥や赤さや痒さ)やクスミを生じさせていることに気づいていますか。 また、今までの一般的なサプリの使い方は、いろいろな情報の中で人気のあるサプリに雪崩式に進んでいく、あまり理論的ではない主観的傾向がありました。 今までは、かかった病気の血液などのデータ的状態からお薬を処方することが多かったのですが、当クリニックのサプリメント外来では、一般的な栄養状態を血液で検査をして栄養学的(分子整合性医学)に健康状態を管理して、美肌、美白(シミ対策)、老化防止(若さ維持)を中心に、病気を少なくして楽しく生活を送れるように科学的に、医学的にアドバイスします。
必要であれば、医学的に信頼のある成分のサプリメントを処方します。 堅苦しい言葉で言えば、今まで自己診断していたあなたの栄養状態を血液検査に基づき科学的に解析して、あなたに必要な栄養素(高濃度高吸収率で信頼度の高いドクターズメイドサプリメント)を提供し、栄養面から健康を数ヶ月間サポートするシステムです。
安静狭心症(あんせいきょうしんしょう)ってどんな病気?
また寒い冬がやってきました。
この時期は狭心症をお持ちの方には辛い季節といえそうです。
狭心症は心臓の血管(冠状動脈)が狭くなり、血液の流れが十分ではなくなることで胸に症状が現れる病気です。
この病気には大きく分けて2つのタイプがあることはご存知でしょうか。
ひとつは動脈硬化に伴い冠状動脈の一部が細くなり主に運動時に胸痛が起こる労作狭心症で、もうひとつはある種の刺激を受けると冠状動脈が急に狭くなるために主に安静時に胸痛が出てしまう安静狭心症です。 安静狭心症の原因は、冠動脈の攣縮[れんしゅく/スパスムともいう、血管の痙攣(けいれん)で細くなること]によって起こるといわれています。
この攣縮は特に寒さの刺激に敏感で、冬になると発作の回数が増えてくると言われています。
他に精神的ストレスや過換気でも誘発されることがあります。 雪が降ると、朝早くから家の前で除雪をされる方が増えると思いますが、安静狭心症は寒いところでの作業時にも起こりやすいと考えられています。
安静狭心症なのだから安静のときだけに起こると思われるかもしれませんが、寒さの刺激が加わると動き始めに症状が現れることがあるのです。
無理な除雪をして胸が苦しくなり、救急車で運ばれてはじめて狭心症の診断を受ける方も実際にいらっしゃいます。
安静狭心症の発作は持続時間が15〜20分といわれており、治まると全く症状がなくなることから、一回の発作だけでは病院で受診されない方が多いのもこの病気の診断を難しくしているのかもしれません。 安静狭心症の診断には心電図、24時間ホルター心電図、冠動脈CTなどが必要です。
治療にはカルシウム拮抗剤を使用しますが、人によって効き方が違いますので主治医とよく相談しながら治療されるのがよろしいと思います。
寒いところに出たときや早朝安静時に胸が苦しくなったときには、この病気のことを思い出していただきたいものです。
私の血管は何歳?…
「先生、血管年齢って何ですか? 私の血管は何歳ですか?」と、Aさんは聞いてきました。どうやら、健診を受けた夫の血管年齢が実際の年齢より10歳も高かったので、とても心配になったとのことでした。
ウィリアム・オスラーの「ヒトは血管とともに老いる」という名言があるように、人の血管は年齢を重ねるごとに老化していきます。その老化現象はいわゆる動脈硬化と言われ、自分では気づかないうちに静かに進行し、血管の壁が硬くなり弾力性も失い、内腔は狭くなり詰まることもあります。
老化=動脈硬化の進展度を評価診断するには、いくつかの方法があります。血管造影による狭窄(きょうさく)度評価、血管内視鏡や血管内超音波による血管壁の質的評価、頚(けい)動脈超音波法による頚動脈硬化の量的、質的評価などです。また造影CTにより、冠動脈の狭窄を簡便に検出することも可能です。Aさんの夫が受けたのは脈波検査といわれるもので、動脈の波動が心臓から動脈の末梢へ伝導する速度を検出することで、動脈硬化の度合いを血管年齢としても評価できます。これは仰向けになって5分間ほどで測定できるとても簡便な検査で、下肢動脈の狭窄も同時に評価できます。非侵襲的な検査ですので年1回の測定による経年変化の観察が可能で、これにより老化の速度を評価することができます。
日本人の死亡原因の三分の一は脳卒中や心疾患などの動脈硬化と強く関連する疾患です。その動脈硬化の原因には遺伝の要素もありますが、他の大きな要因には喫煙、肥満、運動不足、睡眠不足、ストレス、高血圧、糖尿病、脂質異常症(LDL=コレステロールや中性脂肪が高値)などの生活習慣病があります。これらの要素を複数併せ持っている人は、何も持っていない人の数倍も心血管病(脳卒中や心筋梗塞)を発症しやすいと言われています。
Aさんのように自らの血管年齢を知ろうとすることは、日常の食習慣や運動習慣の是正に心がけるようになることにつながるので、とても良いことだと思います。
黄斑(おうはん)疾患の治療の進歩
黄斑とは眼のフィルムの働きをする網膜の中心部で、視機能にとって重要な場所です。
以前は、この場所に障害が起きると深刻な視力低下となり、治療も困難でしたが、最近、さまざまな黄斑疾患が治療できるようになってきました。
欧米の視力低下の原因の上位で、わが国でも増加している加齢黄斑変性も治療が困難でしたが、数年前より光線力学的療法や抗血管新生薬療法で治療が可能となってきました。
また、黄斑部に穴ができる黄斑円孔(えんこう)は20年ほど前から、硝子体(しょうしたい)手術による治療が始められ、現在では無縫合小切開硝子体手術が行われています。
糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などで生じる黄斑浮腫に対しても、さまざまな治療が行われています。
見たいものがぼやける、ゆがむなど気になる症状がありましたら、ぜひ眼科で眼底検査を受けて下さい。
ノンクラスプデンチャーについて
審美性に対する要求は、年齢、性別に関係なく、入れ歯を使用している人においては、それを入れていることに気づかれたくないという思いを多かれ少なかれ持っていると思います。
そこで今回はその点を解消できる〝ノンクラスプデンチャー〟についてお話ししてみようと思います。
〝ノンクラスプデンチャー〟という言葉は全く耳慣れない言葉だと思いますが、一言で表現すれば、金具(クラスプと言います)のない部分入れ歯の事を言います。
金具がないので見た目にも入れ歯とは分かりづらく審美性に優れており、インプラントの様に手術を必要とせず、年齢や患者さんの全身状態にかかわらず作ることができます。 日本国内で薬事認可を受けている〝ノンクラスプデンチャー〟は4種類ありますが、当院での金属床(特にチタンという金属アレルギーが少ないといわれる金属)との併用を考えて作製している〝ノンクラスプデンチャー〟(商品名スマートデンチャー)について、少し説明いたします。
床(歯ぐきに相当する部分)は、ポリカーボネート樹脂を使用し、生体適合性に優れた樹脂として安全性を求められる様々な分野で利用されていて、特徴として、柔軟性があり、吸水性が低いため、飲食物からの吸水による着色、変色がほとんど起こらない清潔な材料と言えます。
保険での入れ歯では設計にも制限がありますが、今述べた材料を使い、適切な設計をし、実際に使っていただいている患者さんを見ると、見た目もさることながら(審美的にも美しい)、よく食事ができている様に思います。
患者さんの満足度も高い様に思います。
保険がきかない入れ歯ですが、こういう付加価値をもった入れ歯もどんどん出てきているという紹介でした。