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斜視について

眼科2015/05/18

 さまざまな原因で、両眼で視線を合わせることができず、片眼または両眼がずれてしまうことを斜視といいます。
斜視のタイプで最も多いのは、外にずれる外斜視です。
他には乳幼児に起こる内斜視、高齢者に多い上下斜視などがあります。

 斜視の原因は、強い遠視や脳疾患、外傷、バセドウ病などの全身疾患で起こるものなどさまざまです。
自覚症状は、二つに見える、ぶれたりぼやけて見える、眼が疲れるなどがあります。
また、自覚症状がなくても他の人から指摘されて気付くこともあります。
治療法は、眼鏡や訓練、場合によっては手術など、斜視のタイプや大きさによって異なります。

 特に乳幼児の斜視は、視力をはじめさまざまな視機能の発達に影響することがあるので、早期発見・早期治療がとても大切です。
「斜視かな?」と思ったら早めに眼科の受診をお勧めします。


Text by 江口眼科病院 鈴木 智哉 視能訓練士( 2015年5月18日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

白と緑と黒

眼科2015/05/11

 名前が似ている眼の病気に、白内障、緑内障、黒内障があります。

 白内障は、眼球の中にある水晶体(カメラのレンズに相当)が濁る病気で、徐々に視力低下を来たします。
進行を完全に止める薬剤はまだ開発されていませんが、手術をすることで、低下した視力を取り戻すことが可能です。

 緑内障は視野が欠ける病気で、末期になると視力も低下します。
40才以上では20人に1人の割合で罹患(りかん)していると報告されています。
失った視野を回復させる治療法はありませんが、適切な点眼加療で進行を止めることが可能ですので、できるだけ早期に治療を始めることが大切です。

 一過性黒内障とは、急に片目が見えなくなる、または視野が欠け、数分から数十分で回復する病気です。
首や頭の血管に原因があることが多く、神経内科的、脳神経外科的な検査が必要です。


Text by くどう眼科クリニック 工藤 勝利( 2015年5月11日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

春の検診で視力の用紙をもらったら

眼科2015/04/27

新学期を迎え、われわれ眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。
視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供たちは学校から頂いてきます。
その中で特に注意しなければならないのが小学校1年生の視力検査の結果でしょう。
小学校1年生にとって視力検査は初めての経験で、やり方も良く理解できないかもしれません。
そのため検査結果が眼科で測る時より悪くなることもあります。
しかしながらこの年齢で結果が悪い場合、遠視のお子さんも多く見受けられます。
そして、遠視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この1年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復できなくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。

簡単に言うと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントがあった画像が目に入るので弱視になることはありません。
それに対し強い遠視の場合は近くも遠くもピントが合わず、常にぼやけてしまいます。
いつもはっきりしない画像しか見えていないため視機能(ものを見る力)が発達することができなくなります。
そのため放置するとメガネで矯正しても視力がでない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。

小学生の視力低下にまれに見られるのが心因性視力障害です。
お友達がすてきな眼鏡をかけている。
「自分もメガネがほしいなぁ」と言うように強く思うだけで視力が出なくなってしまう場合もありますし、お友達とけんかをして「学校に行きたくないなぁ」、などという気持ちが視力に表れてしまうこともあります。
そういう場合にはご両親はもちろん学校の先生ともよく話し合うことが必要なことがあります。

健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。


Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶( 2015年4月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

せん妄①

心療内科2015/04/27

 見えるものを正しく見たり、聞こえてくるものを正しく聞いたり、さらに状況を良く判断して正しく対応する能力のことを「意識」と呼んでいます。
この能力が損なわれた状態を「意識障害」と言います。
意識が損なわれると、ぼんやりした感じになりますが、これは意識の混濁(こんだく)「くもり」と言われます。

 意識の障害が「くもり」だけの場合は分かりやすいのですが、その他にも症状が加わって、複雑な様相になることがあります。
それが「せん妄」と呼ばれる状態です。
つまり、せん妄というのは意識のくもりがあり、さらに幻覚や錯覚が起きたり(「誰か人が居る」と言ったりします)、感情的に不安定になって、怒りっぽくなったり、しゃべり続けたりする状態のことです。
一方、あまり動かなくなってしまう「低活動型せん妄」というものもあります。
せん妄では認知機能が全体的に低下するのですが、特に注意力が低下するということが特徴です。
また、せん妄は急激に起こり、その症状の程度が変化しやすいことも特徴の一つです。

 一般に、いくつかの因子が重なってせん妄が出現しますが、その直接的な原因をほとんどの場合に特定することができます。
その直接的な原因を大まかに挙げると、身体の病気、脳および神経の病気、薬物などです。
身体的な病気は、心臓、腎臓、肝臓などの内蔵の働きが極端に低下した状態、感染症、ホルモンの異常などで、脳、神経の病気は、脳卒中、認知症、パーキンソン病などです。
薬物はアルコール、麻薬、睡眠薬、精神安定剤、坑うつ剤などの他、痛み止め、胃薬、高血圧の薬、心臓の薬など、実に多くのものが原因となり得ます。
飲み過ぎたりせず、服薬の仕方に注意を払うことが必要です。

 治療は、できる場合には原因を取り除くことと、薬物療法です。
せん妄は、軽度の場合には見逃されやすいので、特に高齢の方の場合には注意が必要です。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司( 2015年4月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

新しいニキビの外用薬が承認されました

皮膚科2015/04/20

 日本はニキビ治療の後進国と呼ばれていましたが、少しずついろいろな薬が承認され、今年4月に、欧米では1960年代より使用され標準治療になっている、過酸化ベンゾイル製剤(BPO)が加わりました。
BPOは、ピーリング効果で毛穴の詰まりを取り、ニキビの始まりである白ニキビ、黒ニキビを治療し、ニキビ菌が嫌いな酸素を発生させることで、ニキビ菌が増えてしまった赤ニキビを改善します。
近日中には、少し濃度が高いBPOと抗生剤が一緒になった外用剤も承認予定で、よりニキビへの効果が期待できます。
しかし、副作用として、赤み、乾燥、刺激感が出ることがありますので、肌の状態を診て使用できるかどうかを判断します。
ただ、ニキビ痕には効果がありませんので、ニキビ痕になる前の赤・白・黒ニキビの段階で、皮膚科専門医を受診してください。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2015年4月20日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

目が開きづらい方は…眼瞼下垂(がんけんかすい)かも?

眼科2015/04/14

 眼瞼下垂とは、上まぶたが下がり、楽に目が開かなくなってくるために視界が狭くなり、物が見えづらくなる状態をいいます。

 眼瞼下垂には、

 ①先天性
 ②後天性

があります。

①先天性眼瞼下垂は、生直後からみられ、あごを上げて下目づかいで物を見るようになります。
②後天性眼瞼下垂は、神経・筋肉・腱膜の異常などでおこります。
神経や筋肉の異常による眼瞼下垂は、動眼神経麻痺や重症筋無力症などの全身疾患と関連がある場合もあるので、特に注意が必要です。
腱膜の異常による眼瞼下垂は、加齢による場合が多いのですが、ハードコンタクトレンズの装用者にもよくみられます。
また、目をよくこすってしまう人にも現れることがあり、その原因としてアトピー・逆さまつげ・花粉症・長時間のパソコン使用・女性のメイクなどが考えられます。

 症状が悪化すると、額(おでこ)の筋肉を使ってまぶたを上げようとするため、首から肩にかけての筋肉も緊張し、頭痛・肩こり・吐き気・めまいなどもおきてきます。
眼瞼下垂かどうかのチェック方法として、目をつぶり、両人さし指で両方の眉毛の上を強く押さえてみて、まぶたがうまく開かなければ眼瞼下垂の可能性があります。

 まぶたの下がり具合がひどい場合は、手術が必要になることがあります。
手術後は約1週間で傷も落ち着き、まぶたが自然に上がるようになり、視界が明るくなります。
せっかく視力がよいのに、眼瞼下垂があるために視界が暗く感じている方は結構いらっしゃいます。
目が開きづらい、まぶたが重く感じて視界が暗く感じるなどの症状がある方は、一度ご相談下さい。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2015年4月14日 「青いぽすと」掲載)

慢性腎臓病について

泌尿器科2015/04/06

 ゆっくりと腎臓の働きが悪くなっていく状態やゆっくりと経過する腎臓の病気を全て慢性腎臓病といいます。
日本の成人8人に1人と多くの患者さんがいて、病気の概念が広まってきて10年以上たちますが、あまり知られていないのが現状だと思います。
進行すると最後には人工透析や腎移植が必要な状態になります。
日本の透析患者さんの生存率は世界で最も良好ですが、このような状態にならないように日常の努力が重要です。
慢性腎臓病になる危険因子として、高齢、家族に慢性腎臓病の人がいること、健診で尿異常があること、脂質異常症、高尿酸血症、鎮痛薬の常用、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などがあります。
こういう危険因子を持つ方は、高血圧や糖尿病の治療をきちんと受け、生活習慣の改善に努めましょう。
悪くなった腎臓は正常に戻りません。
よほど悪くならないと自覚症状も出ないので、健診を受けたり、かかりつけの医師にたずねてみるといいでしょう。


Text by 医療法人社団やまだクリニック 山田 裕一( 2015年4月6日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

妊娠期での歯周病の影響

歯科2015/04/06

 近年の歯科疾患実態調査では、国民の口腔の健康を目標にしてすすめていた8020運動など歯科業界の取り組みが奏功し、過去に比べ虫歯が減少しているのが示されています。
しかし、虫歯が減った代わりに歯周病で歯を失うケースが多くなり、その原因の1つに歯が痛くならないと、歯科医院へ来院されない傾向が依然としてあるためであると思われます。

 歯が痛くて咬めない、歯がグラグラするなどの自覚症状が起きた時には、歯周病がかなり進行している重度のケースが多いだけに、軽度、中等度の歯周病にかかっている患者さんは歯科医院で実際に歯周病検査を行ってもらわなければ、その病態を把握するのは難しいと思われます。

 前回にも書かせていただきましたが、妊娠すると妊婦さんの歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)からは、増加するエストロゲン(卵胞ホルモン)を好む歯周病原細菌が多く検出され、さらにプロゲステロン(黄体ホルモン)も増加することで歯肉に炎症が起こりやすくなります。
もともと歯周病が進行していた患者さんはさらに悪化しやすくなります。
また、つわりがひどくなれば歯ブラシを口の中に入れるのも容易ではありませんから、妊娠期は歯周病が悪化しやすいのです。

 歯周病の影響は母体のみならず、胎児に対しての影響を指摘する論文が散見されます。
早産(22~36週での出産)および低体重児出産(2500g未満での出産)に対して、近年歯周病の影響が報告されています。
早産の原因には感染や体質によることが多いと言われています(日本産科婦人学会による)が、最近の報告ではリスク因子の1つとして、歯周病の治療を行うことでこれらのリスクを軽減する可能性が示唆されています。

 そのため、妊娠の可能性のある患者さんや既に妊娠中の患者さんにはご自身のお口の健康だけではなく、生まれてくる赤ちゃんのためにもさらなる歯周病のケアをお勧めいたします。


Text by 北斗歯科クリニック 土永 浩史( 2015年3月17日 「青いぽすと」掲載)

マウスピースで歯並びは治せるの?

矯正歯科2015/04/06

 マウスピースを用いた歯列矯正が注目を集めつつあります。
これは、透明で取り外し可能なマウスピースを定期的に交換しながら歯を動かす治療法です。
ワイヤーを用いた矯正の時にみられるような痛み、違和感がきわめて少なく、見た目を気にせずに歯並びを治すことができ、また、お口のケアもしやすく、虫歯や歯周病のリスクが抑えられます。

 しかし、「マウスピースで歯並びを治せるの?」「軽いデコボコしか治せないんじゃないの?」と、疑問を抱く方々(歯科医を含めて)も多いのが実情です。

 そう思われるのは仕方がないことです。
なぜなら、マウスピース矯正といっても数多くの治療法があり、そのほとんどが軽い症状にしか対応していないからです。
しかし、重い症状にも対応できる唯一の治療法が「インビザライン」です。

 「インビザライン」とは、3D画像処理、3Dプリンターなど最先端技術を活用し、歯の移動をシュミレーションして、治療計画を決定、治療の最終段階のマウスピースまでデザイン、製造を行い、治療を進める画期的な歯列矯正法です。
軽度の症状にしか対応できない他のマウスピース矯正とは大きく異なります。

 「インビザライン」は、今現在、全世界で250万人以上の方々が治療を受けられており、日本でも全国的に広がりをみせつつあります。
東京、大阪など大都市にはインビザライン専門矯正歯科があるほどです。

 以前は、マウスピース矯正は、ワイヤーを用いた矯正と比べて治療期間がかかりすぎる、仕上がりが良くない、治せる症状が少ないなどといわれておりましたが、「インビザライン」は日々改善、改良がなされており、治療期間、仕上がりに差がなくなってきており、抜歯が必要なほどの重い症状でも対応できます。
症状が重い場合、マウスピースのみで対応しづらいこともありますので、詳しくは「インビザライン」に詳しい矯正歯科医にご相談ください。


Text by ふるた矯正歯科 古田 樹己( 2015年2月13日 「青いぽすと」掲載)

脳波検査の復権

脳神経外科2015/03/30

 以前、この欄の「脳を鍛える」話で、脳を鍛えるには繰り返すしかないと書きました。
実は、「鍛える」目的でなくても、「繰り返す」ことで「身に付いてしまう」ことがあります。

 脳は何億という神経細胞が電気信号を伝える回路の塊です。
脳の神経細胞の回路は、繰り返し電気信号が流れることにより、信号が流れやすくなります。
これが「繰り返す」ことで、知識や技術が身に付く基本原理です。
ところが、厄介なことに都合の悪い事まで身に付いてしまいます。
その代表が「てんかん」です。
「てんかん」の発作は、脳の一部から異常な電気信号が生じ、それが広がることで、けいれんを起こしたり、意識を失ったりします。
発作を繰り返すほどに出やすくなってしまいます。
この広がりを抑えるのが薬の働きです。
「てんかん」には、ネガティブなイメージがついて回りますが、新薬が次々に開発されている上に、一生薬が必要とは限らないことも、これまでの経験で分かっています。
時には、異常な信号の発生源が特定できて手術で完治することもあります。

 脳の電気活動を見る目的で行われるのが脳波検査ですが、「てんかん」の異常な電気信号を見るのに、この検査が大変役に立ちます。
しかし、近年は、断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)といった形を見る検査方法が発達してきた一方、脳波は判読が難しく、重症の頭部外傷や脳卒中の後遺症を除けば、成人してからの「てんかん」の発症は少ないと考えられていたため、脳波を検査することが減ってきていました。
ところが最近、脳波計もデジタル化して見やすくなり、再び注目されています。
特に成人、それも高齢者では想像以上に、「てんかん」発作が起きていることが分かってきています。
一時的な意識障害、一過性のまひなど、脳卒中の前触れを疑わせるものの中に「てんかん」が潜んでいるらしく、脳疾患急性期の脳波検査が再び注目されています。

CT、MRIで脳の形は見やすくなりましたが、働きを見るには、古くからの脳波検査がまだまだ必要です。


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2015年3月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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