悪い歯並びの『要因』を知ることの大切さ
悪い歯並び・かみ合わせは、「遺伝的な要因」と「環境的な要因」によってもたらされます。
「遺伝的な要因」とは、親から受け継ぐ遺伝子が発現することによって生じるもので、親が受け口であれば、お子さんが受け口になる可能性が出てきますし、親がデコボコの歯列なら、お子さんもデコボコの歯列になる可能性があります。
「環境的な要因」には、生まれた後の生活習慣、食習慣、そしてさまざまな病気などがあります。
例えば、現代人は、昔の人と比較してあまり歯応えのあるものを食さなくなったため、歯を支えている骨(歯槽骨)の発育が抑制され、歯が並ぶスペースが不足し、デコボコになってしまう人が増えているとも指摘されています。
また、アレルギー性鼻炎などがあると、口呼吸が習慣となり、普段、舌の置いておく位置や嚥下する(ものを飲み込む)際の舌の動かし方が悪くなり、歯並び・かみ合わせに悪影響を与えてしまうことが多々みられます。
幼少時代の「おしゃぶり」や「指しゃぶり」なども、歯並びを崩してしまう要因となりますので注意が必要ですし、「歯ぎしり・食いしばり」も非常に悪影響を及ぼします。
歯列矯正を行う際、まず精密な矯正検査を行い、治療計画を立てますが、何が要因で今の歯並びがもたらされているのかも診断します。
環境的な要因が現時点でも残っていることが確認されれば、それを取り除く指導や治療を行います。
なぜなら、矯正治療時にそのような要因を放置したままだと、歯列矯正の期間が長引いたり、きれいに治らなかったり、治ったとしても歯列の安定が悪かったりするためです。また、遺伝的な要因が認められても、直接的には対応できませんが、それを踏まえて、治療計画を組み立てます。
歯列矯正とは、単に目の前にあるデコボコの歯並びをまっすぐ整えれば良い、という単純なものではありません。
現時点の歯並び・かみ合わせをもたらしている「要因」を捉えた上で、治療計画を綿密に立て、随時、軌道修正を加えながら治療を進めないと、軽症ならいざ知らず、重い症状ほど対応ができません。
問診と簡単な検査で、おしっこの悩みを解決しましょう
Q.トイレが近い。でも泌尿器科の診察が恥ずかしいから病院に行けない。
A.大丈夫です。十分な問診を行うことで不要な診察をせずに治療ができます。
Q.おしっこが間に合わない。でも泌尿器科の検査って、ちょっと不安。
A.心配いりません。現在は超音波検査など苦痛の少ない検査で診断が可能です。
おしっこが近い、間に合わずに漏れそうになる、夜何度もトイレに行くので眠れない、おしっこをした後なんとなく気持ち悪い。
泌尿器科には行きたいけどちょっと恥ずかしいし、どんな検査をされるのか不安。
こんな思いをされている方は多いと思います。
しかし、排尿に関する医療の進歩により、難しい検査をしなくても診断や治療ができるようになりました。
泌尿器科を初めて受診された場合、まず症状や普段の状況を詳しくうかがいます。
そして病気に関連するいくつかの質問をさせていただき診断を導きます。
診断が確定できない場合には検査を行うことになりますが、その場合も尿検査や超音波検査など苦痛の少ないものを優先的に行うので心配はいりません。
治療が始まった後も、その後の症状の変化を確認しながら無理なく続けられる治療方法を相談しながら進めてゆくので不安なく継続してゆけます。
泌尿器科では、おしっこの症状だけではなく、腎臓や血尿、蛋白尿、その他さまざまな腎臓病や泌尿器疾患についても同じように対応しています。
ぜひお気軽にご相談ください。
血液疾患の症状
血液疾患の症状は多くの場合あいまいで、これといった特徴がみられません。
つまり、その症状だけでは体のどこの病気かほとんどわかりません。
しかし、1つの症状だけで間違いなく血液疾患とわかることはないにしても、特定の症状がいくつかみられる場合は血液疾患の可能性が疑われます。
そういった一連の症状は、血球の減少と関係していることが最も多く、赤血球数の減少(貧血)、白血球数の減少(白血球減少症)、血小板数の減少(血小板減少症)などがあります。
たとえば、疲労感や脱力感、息切れがある場合は貧血の可能性があります。
また、発熱や感染がみられる場合は、白血球が少なくなっている可能性があります。
さらに、出血やあざが起きやすい場合は、血小板が少なくなっている可能性があります。
ときには、血球数の増加に伴って症状が発生する場合があります。
たとえば、赤血球数が増加したり(赤血球増加症)、白血球数が増加したりすることによって血液が濃くなる(血液粘度が増す)と、息切れ、頭痛、めまい、意識障害などの症状が現れることがあります。
また、多発性骨髄腫でみられるように、免疫に関係するタンパク質が増えることによっても血液が濃くなることがあります。
その他に、血液凝固を正常に保つ物質(凝固因子)に異常が生じると、血液が固まりにくくなって生じる症状(あざや出血がひどくなったり、皮膚に小さな赤色ないし紫色の斑点として現れたりする)、あるいは異常な血のかたまりができて生じる症状(脚の一部が痛みや熱を持ったり、息切れや胸痛が突然生じたりする)が現れる場合があります。
これらの凝固因子が十分つくられない場合、つくられた凝固因子が異常な場合、これらの凝固因子をあまりにも早く使い果たしてしまった場合などには、このような障害が発生する可能性があります。
気になるところがある方は、医療機関の受診をおすすめします。
顎関節症(がくかんせつしょう)について
顎の関節や筋肉の違和感や痛みの症状を総称して顎関節症と言います。
近年顎関節症は増加しており、若年層の方に増えてきています。
これは最近の軟らかい食べ物の食生活によってかむ力もかむ回数も少なくてすむため、筋肉が衰えてしまい顎関節の動きをしっかり支えることができずに顎関節症が発症しやすいのです。
顎関節症の原因としては、くいしばり、歯ぎしりによるブラキシズムと言われるものや、頬杖をつく癖や、左右一方で噛むくせがある偏そしゃくなどが原因とされています。
顎関節症の状態として最も多いのは、顎関節内にある関節円盤とよばれるクッションが前方にずれることで起き、音が鳴る状態でさらに進行すると痛みが出る場合もあります。
治療方法としては、スプリントと言われるプラスチックの板を歯列全体にかぶせる保存的な治療が一般的です。
新鮮な魚ほど危険?寄生虫アニサキス
アニサキスの幼虫は、体長は2~3cmの半透明の糸ミミズのような体形をしており、アニサキスの幼虫が付着した生の魚介類を食べたとき、ほとんどがそのまま排せつされますが、まれに人の胃や腸壁に侵入し、食後2~8時間後に激しい腹痛や嘔気(おうけ)・嘔吐(おうと)・アレルギー症状を引き起こします。
胃粘膜に進入する「胃アニサキス症」は、一番頻度が高く、胃・十二指腸潰瘍の症状と酷似しています。
腸の粘膜に進入する「腸アニサキス症」は、急性虫垂炎の症状と酷似し、まれに腸穿孔(せんこう)や腸閉塞(へいそく)を併発すると開腹手術となることもあり注意が必要です。
「アニサキスアレルギー」では、じんましんや血圧低下、呼吸不全などアナフィラキシー症状を来した症例も報告されています。
主に寄生しやすい魚は、サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ、ホッケ、タラ、マスで、養殖魚にはほとんど認められていません。
これらの魚の内臓に寄生しているアニサキス幼虫が、漁獲後に筋肉に移動します。
予防方法は、
①60℃で1分以上加熱する(70℃以上では瞬時に死滅します)
②マイナス20℃で24時間以上冷凍する
③内臓は生では食べず、魚を丸体で購入する際は、新鮮なうちに内臓を取り除く
④冷凍魚ではなく新鮮な魚を生で食べる場合は、調理の際、目視で確認し、除去する。
また、料理で使う程度の量や濃度の醤油、ワサビ、ショウガ、ニンニク、酢では、死滅しないので、注意が必要です。
経過と症状から、胃アニサキス症が疑われる場合は、胃内視鏡を行い、アニサキス幼虫を鉗子(かんし)でつまみ、取り除くことで、速やかに症状は改善します。
アニサキス症は、昔は漁村などに発生する風土病と言われていましたが、生の食材が新鮮な状態で提供されるようになった現在、アニサキス症は増加傾向にあります。
今や、年間7000件以上の報告があり、もはや人ごとではありません。
魚介類を生で調理、食べるときは十分注意し、また、アニサキス症が疑われるときは、できるだけ胃を空っぽにして、緊急で胃カメラができる状態で専門医を受診する事が大切です。
水痘ワクチンの効果
2014年10月から子どもたちが待ち望んでいた水痘ワクチンの2回接種が始まりました。
水痘(みずぼうそう)は、皆さんよくご承知の通り、体に水ぶくれがたくさんできて、あとでかさぶたができる病気です。
多くのお子さんでは水疱(すいほう)からかさぶたまでで終わってしまいますが、時には水痘脳炎を発症したり、あるいは重症化して死亡に至ったり(統計上は毎年10人程度死亡しています)する実はとっても怖い病気です。
お年を召されてから発症する帯状疱疹(ほうしん)もウイルスは一緒です。
帯状疱疹は幼い時に水痘になったことが原因としてもたらされていると考えられています。
ワクチンを2回接種することにより、年齢を経た時に、帯状疱疹になるリスクが低くなると考えられます。
水痘ワクチンの定期化はこの短期間の間に函館の地にもすでに効果を表しています。
昨年度、当院で麻しん風疹ワクチン1回目を受けたお子さんの90%以上が水痘ワクチン1回目を接種しています。
その結果今年1月から6月までの水痘の流行は過去5年間の平均の4分の1までに減少しています。
流行が減少するのはとてもいいことなのですが、流行が減ればワクチンで免疫を作った子どもたちが、水痘ウイルスに知らない間に少しだけ触れて免疫が強化されることがなくなります。
結果として麻疹や風疹のようにワクチンを2回接種しなければ、子どもたちを水痘という病気から守れないということになります。
現在の水痘ワクチンの無償化は1歳から3歳の誕生日の前日までに3カ月以上の期間をあけて2回接種するというものです。
1回目は多くの方が受けていただけると思いますが、2回目を忘れないでください。
3歳以上のお子さんで水痘ワクチンを1回受けたけど、水痘にかかってもいないし、周りではやった記憶がない場合には有料になりますが、2回目の接種を受けましょう。
ワクチンで守れる病気はワクチンで予防する。病気にかかるほど怖いものはない。
こんな共通の認識が、皆さんの間に広まることを小児科医は望んでいます。
手のひら・脇の多汗症
緊張したときに手のひらや脇にかく汗で悩んでいる方は意外と多いのです。
この精神性発汗の異常亢進を掌蹠(手のひら)多汗症や腋窩(えきか)多汗症とといいます。
この症状は精神的に緊張しやすいから発汗しやすいのではなく、わずかな緊張でも発汗してしまうという汗の腺の発汗閾値の低さ(汗のかき易さ)が原因で、精神的な緊張を若干和らげた程度の薬剤の内服では症状の回復は難しく、悩んでいるが諦めている方も多い疾患です。
汗の腺は交感神経であるコリン作動性神経の刺激で発汗するため、ボツリヌスA型毒素による治療は有効です。
この治療は有効期間には個人差はありますが、数カ月の効果があります。
この治療は少量の薬液を皮下に注入する方法で、短時間(30分程度)で治療が可能なことです。
治療方法、効果期間、治療費、注意事項など十分にお聞きになって治療をお受けになってください。
貧血について
貧血とは、血液の中で身体の各組織に酸素を運搬する役割の赤血球、詳しくはその中の血色素(ヘモグロビン)が不足して、運ばれてくる酸素が減るために組織が酸欠状態となる病気です。動悸(どうき)、息切れ、倦怠(けんたい)感などの症状で出現するのですが、徐々に進行した場合には、かなり悪化するまで気が付かないこともあります。いろいろな原因で赤血球は減少しますが、最も多いのが赤血球の主要な原料である鉄分の欠乏による鉄欠乏性貧血です。この鉄分の欠乏にも、食事での摂取量の不足、腸での鉄分の吸収障害、慢性出血による損失などの原因があります。生理による出血、偏食などで若い女性に出現することも多いのですが、その他では、消化管のがんなどで引き起こされることもあり、放置せずに検査治療を受ける事をお勧めします。
本当にただの脂肪肝ですか?
GWはいかがお過ごしでしたか? まさか体重が増えたりしていませんよね?
そろそろ健康診断の検査等が行われると思いますが、脂肪肝と書かれそのままにしていませんか?
たかが脂肪肝でも進行する脂肪肝があります。まずは、脂肪肝でお酒を飲む方は、飲み方を変えましょう。健康飲酒量は、缶ビールは500mℓ、日本酒・ワインは1合、焼酎は25度なら0・6合、ウイスキーはダブル60mℓが適量と言われています。少なく感じるかもしれませんが、これに近づける努力は必要ですし、場合によっては、休肝日を週に1~2日設ける必要もあります。
お酒を飲まない・ただ少し太っているだけという脂肪肝の多くは、単純性脂肪肝と言って進行しないものが多いのですが、中には非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれ、痛くもかゆくもなく、徐々に、肝硬変・肝臓がんと知らないうちに進行する肝炎も隠れていますので気を付けなければいけません。日本での検診受診者を100とすると脂肪肝が35%そのうちNASHは2%程度といわれています(※1)。病態については、生活習慣病が基本にあり、内臓脂肪の蓄積から肝臓の細胞にも脂肪沈着が起こり、脂肪肝となり、そこに鉄の代謝障害・酸化ストレス・脂質過酸化等の要素が加わり悪循環を形成し、NASHという進行性の肝障害がおこると考えられています。頻度は多くありませんが、症状がなく気が付くと進行しており確立した治療法がいまだにありません。まずは、減量が一番効果的です。肥満大国アメリカのガイドラインでは単純性脂肪肝は3~5%の減量・NASHの時は、10%の減量を目標にします。薬物ではEPA製剤(青魚の油)・ビタミンE(抗酸化治療薬)・インスリン抵抗性改善薬等の治療報告はあるもののいまだ内服治療のみでは十分な治療効果はなく、減量を行ったうえで内服治療を行うと効果が表れやすいようです。まずは、節酒・減量・そして検診結果を放置せず、再検査・定期検査を忘れずに!
(※1 日本消化器病学会誌47 2012年)
緑内障は中途失明原因の第1位、早期発見を!!
緑内障は、眼圧が高いことにより、視神経が圧迫されて枯れていき、見える範囲が狭くなってしまう(視野が欠ける)病気です。緑内障は進行性なので、残念ながら、一度失ってしまった視野は元に戻すことができません。そんな大変な病気なのに、実は自分では、ほとんど気付きません。なぜならば、視野が欠け始めていても、もう片方の目が助けてくれているために、自覚症状が出るころには、かなり視野が狭くなっています。ですから、早期発見がとても大切なのです。
緑内障にはいろいろなタイプのものがあり、正常な眼圧であっても、その人にとっては、視神経が圧迫を受け、視神経が枯れていくタイプもあります。これを「正常眼圧緑内障」と言います。眼圧が高いタイプと違い、眼痛やかすみ目などの症状を伴わないため、発見されていないことが多くあります。実は、日本人はこの「正常眼圧緑内障」が多いのです。40歳以上の20人に1人という高い割合です。
緑内障の診断には「眼圧・視野検査・眼底検査」の三つが重要です。眼科医による総合的な判断で治療を開始します。緑内障と診断されても、眼圧を下げることによって、視野が欠けていくスピードを遅くすることができます。
緑内障は、治療の効果を実感できない病気なのですが、緑内障と診断された方は、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。放置すると確実に、徐々に視野は狭くなっていきます。定期的に医師の診察と検査を受け、自分の目の状態を知っておきましょう。
一生涯、見える目で暮らすために、早期発見・早期治療が最も大事な病気です。
痛い検査は一つもないので、早期発見のために、気軽に眼科を受診してください。