新しいニキビの外用剤が、承認になりました
以前紹介した、過酸化ベンゾイル(BPO)と抗生剤が一緒になった外用剤が、8月に承認されました。
BPOは、白・黒ニキビの原因である毛穴の詰まりを取るとともに、抗生剤とは違う場所で、ニキビ菌を殺菌し、炎症細胞から出てくる活性酸素を抑えることで、赤ニキビを治療します。
つまり、赤ニキビに対しては、ダブルで働きかけます。
この薬は、1日1回外用なので、ほとんどの方が毎日外用してくれます。
しかし、乾燥・かゆみ・赤みなどの副作用が出ることがありますので、数週間は注意が必要です。
また、色が抜けることがありますので、他に薬がつかないようにしなければいけません。
来年1月に、新しい抗生剤の外用剤が承認される予定で、ニキビを治療する武器がまた増えます。
市販薬で良くならない時には、早目に皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
ピアスのトラブル
最近はピアスをする方が増えています。
それに伴って、ピアスのトラブルも増えているようです。
よく見られるピアスのトラブルを挙げてみます。
①炎症
ピアスのトラブルで多いのが炎症です。
原因は、ピアスホールの中を傷つけて化膿することが多いようです。
軽度ですと、きちんと消毒すれば治まりますが、ひどくなればピアスを一度外さないと治らないこともあります。
また、耳の軟骨部分にピアスを開ける人もいます。
軟骨部分は炎症を起こすと耳介(じかい)が変形したりすることもあります。
ですから、特に軟骨部分のピアスで炎症を起こしたときは早めの処置が必要です。
②ピアスの皮下埋入
ピアスホールに炎症を起こして、腫れが悪化すると、ピアスや留め金が皮膚の中に埋まってしまったりすることもあります。
完全に埋まってしまうと局所麻酔をして、切開して取り出さなくてはならないこともあります。
③ピアスホールが裂ける
ピアスホールが完成してからも、重いピアスを続けていると徐々にピアスホールが裂けてきて、ついに耳たぶの下まで裂けてしまうこともあります。
その場合には手術によって縫合しなければなりません。
④ピアスケロイド
これは体質にもよるのですが、ピアスの穴がふさがったあとにケロイドになって、硬く盛り上がってきて徐々に大きくなってくることがあります。
ピアスケロイドといいますが、大きなものは手術によって切除します。
再発することも多く、術後の内服や、圧迫が必要となります。
スポーツと頭部外傷
スポーツにケガはつきものですが、頭部外傷は、時に命を奪ったり、重い障害を残したりします。
特に、脳振盪(しんとう)には注意が必要です。
脳振盪を起こした後、短い間に二度目の衝撃が加わると、致命的な出血が起きることがあります。
セカンドインパクト症候群と呼ばれ、世界中で問題となっています。
日本では、柔道の練習中に指導者に投げられた後、頭痛を訴え、元気がなくなっているのに、練習を続け、再び投げられた結果、 頭蓋内出血で生徒が亡くなった事件を覚えていらっしゃる方もいるでしょう。
脳振盪とは、頭部への直接的または間接的な外力によって引き起こされた脳の機能障害で、頭痛や体の不安定性、意識の混乱、行動の異常などを示し、多くの場合、意識消失は伴わない、と定義されています。
頭を強く打った後、一時的に意識を失ったとか、動きがノロい、ぎこちない、バランスが悪い、記憶が途切れている、表情がおかしい、といった症状 を一つでも認めたら、すぐに運動を止め、医療機関を受診して下さい。
脳振盪から1~2日が最も危険と言われており、この期間は傍に誰かが付き添い、急な変化に備えましょう。
さらに、競技への復帰は段階的に行い、最低でも1週間近い時間を掛けるようにします。
とても慎重な対応に見えますが、脳の回復には、かつて考えられていたより、はるかに時間がかかることや、中高校生位の年齢の脳は、成長途中でデリケートなことも分かっています。
選手は、重要な試合(勝ち抜き方式の大会など)で、途中退場はしたくないでしょう。
復帰に時間がかかることも受け入れ難いかも知れません。
でも、選手生命、あるいは競技を辞めた後の長い人生を考えるなら、生命や重い後遺症の危険は避けなければいけません。
FIFAやIOCなどの国際スポーツ機関が共同で、「SCAT3」という脳振盪への対処の手引きを公表しています。
スポーツを指導する方たちは、是非一度「SCAT3」をご覧下さい。インターネットで見ることができます。
尿閉(にょうへい)とは?
尿閉という言葉をご存じですか?
多量の尿が膀胱(ぼうこう)にたまっているのに、排尿できない状態のことをいいます。
膀胱や前立腺の病気によって、この状態になることがあります。
男性に多い症状で、前立腺肥大のある方が、お酒を飲んだり感冒薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬などある種の薬を飲んだあとに、これらが引き金になって急にぴたっと尿を出せなくなることがあります。
多くの場合は一時的なものですが、その間はいくら頑張っても尿を満足に出せず、たらたらとあふれて漏れてくるだけです。
非常につらく苦しいものです。
私の経験でも2リットル近くもの尿がたまっている患者さんがいらっしゃいました。
急に尿が出なくなったら、我慢し過ぎずに、落ち着いて泌尿器科あるいは当番病院に行って処置を受けてください。
口臭について
口臭の原因は、歯周病や虫歯、舌の汚れ、ドライマウス(口腔乾燥症)等、お口の中の問題が全体の9割に及びます。
他の1割は耳鼻咽喉系疾患や消化器系疾患、糖尿病などです。
この9割の原因の対処法ですが、虫歯の治療はもちろん、歯周病が原因の場合、一番大事なのがクリーニングで、定期的に行うことで要する時間や回数も少なくなっていきます。
プラークや歯石のたまる所はいつも同じような場所ですが、歯ブラシでの磨き方にも長年の癖や習慣があるため100%きれいに磨く事は難しく、磨きづらい場所は歯科医院でのクリーニングをお勧めします。
舌の汚れが原因の場合は舌ブラシで舌の表面の清掃を。
ドライマウスの場合は唾液の分泌を促すようなマッサージを行う事が大事です。
それぞれの原因によって対応が変わってきますので口臭が気になったら、まずは歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。
C型肝炎の治療は新時代へ
肝臓病の原因は数多くありますが、B型肝炎・C型肝炎に代表されるウイルス性の慢性肝炎は特に気を付けなければならない病気です。
これらは主に輸血など血液を介して感染しますが、感染ルートが不明の場合も少なくありません。
この病気の怖いところは、感染後長年症状のないまま肝硬変や肝臓がんになっていくことです。
今から30年ほど前までは有効な治療法がなく、肝機能をできるだけ維持する治療を行うのが精一杯の時代が続きました。
1980年代にウイルスの排除(追い出すこと)を目的とするインターフェロン治療が始まりました。
しかしインターフェロンは長期間頻回の注射を必要とする上に副作用も多く、その上ウイルス排除の成功率も低かったため満足できる状況とは言えませんでした。
B型肝炎については2000年頃よりウイルスの増殖を抑える内服治療が登場し現在も多く使われていますが、C型肝炎の方はインターフェロンを必要とする時代が長く続きました。
しかし昨年その状況に風穴があくことになりました。
C型肝炎に対して副作用も少なくウイルス排除の成功率が85%から100%という内服治療薬が登場したのです。
インターフェロン時代の苦労を考えるとまさに夢のような数字といえます。
C型肝炎ウイルスにはいくつかの型があり、発売当初は日本人に最も多い1型に対する薬でしたが、今年に入って2型に対する治療薬も登場し日本のC型肝炎のウイルス型をほぼ網羅できるようになりました。
さらに治療期間も当初の6カ月間から3カ月間に短縮されつつあるなど、次々に新薬が登場しています。
C型肝炎はまさに治る時代に入ったといえるでしょう。
医療の進歩というよりメーカーの開発競争の成果としての側面も大きいわけですが、結果として多くの患者さんがその恩恵をうけ健康を取り戻せるようになります。
治療には国や道の医療費助成を受けることができますので、消化器病・肝臓病の専門医によく相談しましょう。
眼瞼下垂(がんけんかすい)
眼瞼下垂という病気をご存じですか?
まぶたが垂れ下がって眼が開きにくくなり、視界が狭くなったり物が見えにくくなったりする病気です。
眼瞼下垂の原因は大きく先天性と後天性、偽眼瞼下垂に分けることができます。
先天性の眼瞼下垂は生まれた直後からみられるもので、乳幼児の視力発達の妨げになる場合があります。
後天性の眼瞼下垂は、もともとは症状がなかった方のまぶたが下がってきたもので加齢によるものが多くを占めますが、ある日急にまぶたが下がった場合は脳梗塞や脳動脈瘤による動眼神経麻痺などが疑われますのでCTやMRIでの頭蓋内検査や血液検査が必要な場合があります。
後天性の眼瞼下垂の患者さんは視界を確保するために、眉を吊り上げ眼を見開いたり、常に顎を上げながら物を見るようになることで慢性的な額の筋肉の緊張が頭痛や肩凝りなど一見まぶたとは関係のない症状を引き起こしてしまう場合があります。
偽眼瞼下垂は本当は眼瞼下垂ではないのにまぶたのけいれんやまぶたの皮膚が垂れ下がってくることによって眼瞼下垂のように見えてしまう状態です。
眼瞼下垂の治療は先天性のものや加齢性のものではまぶたを挙げる手術を行います。
顔面神経麻痺などの神経の病気による眼瞼下垂には、まずは原因となった病気の治療を行い、改善がみられない場合に手術を行う場合があります。
まぶたを挙げる手術にはさまざまな方法があり、患者さんの原因に応じて専門的な判断に基づいた手術が必要です。
眼瞼下垂の簡単な特徴を載せておきますので、同じような症状でお悩みの方は眼科を受診してみてはどうでしょうか?
①左右の眼の大きさが違う
②以前より眼が小さくなった
③一重まぶたが二重になった。二重まぶたの幅が広がった
④額にしわを寄せて物を見る
⑤顎を上げて物を見ている
⑥まぶたが重いと感じる
[手術は程度により保険適用外の場合もあるので、医師にご相談ください]
定期巡回・随時対応型訪問介護看護制度
「施設から在宅へ」という言葉を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?
今後、ますます在宅での介護の重要性が増していくと考えられますが、介護度が高くなればなるほど、1日を通して何回も支援が必要となり、従来の訪問介護制度では対応しきれない部分があります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間を通して1日複数回の定期的な巡回と必要時にコールをして対応する随時対応で要介護高齢者の安心と安全を守るサービスです。
利用料は介護度別に月々一定額に設定されており、安否確認等の短時間の訪問も可能な為、その方に合った臨機応変なサービスを行う事ができます。
ただし、要支援1・2の方はこのサービスを利用することはできません。
利用に際しては、担当のケアマネージャーにご相談下さい。
「喉頭癌(こうとうがん)〜後悔しないために〜」
喉頭癌の初期症状で最も多いのは嗄声(させい=しわがれ声)で改善しない場合はためらわずに耳鼻咽喉科を受診すべきです。
喉頭癌のほとんどは扁平上皮癌で放射線療法が一般的に行われます。
早期癌であれば、放射線療法のみで80~90%で治癒が望めます(※)。
進行癌になってしまうと放射線療法、抗癌剤、手術を組み合わせて治療計画を立てます。
手術で喉頭全摘出術を行った場合、喉頭を全て取るので声は失われます。
喉頭癌になってしまうと治療のために2~3カ月の入院が必要となり、失声という機能障害を残す可能性があり、やはり予防が大切です。
北海道は喫煙率が男女ともに高い地域です。
喉頭癌患者の90%以上が喫煙者(※)ですので、発癌の危険性を低めるためにぜひとも禁煙をおすすめします。
(※)国立がんセンター発行「がんの冊子 喉頭がん」より
老眼の方! いいですよ! 遠近両用コンタクトレンズ!!
早い人では40歳代になると、老眼が始まります。
老眼とはカメラに例えれば、オートフォーカス機能が壊れてきて、遠くにも近くにもピントが合わなくなっている状態です。
そこで、遠くも近くも見やすくなるように助けてくれるのが遠近両用メガネです。
しかし、いろいろな事情でメガネだけでは困る方には、遠近両用(多焦点)コンタクトレンズ(以下CL)があります。
これは、2週間タイプと1日タイプがあります。
ただし、乱視が強い方は、乱視&遠近両用を兼ね備えたCLは存在しないので、見えづらいかもしれません。
老眼を感じ出したら、まずは眼科を受診し、老眼鏡や遠近両用メガネを処方してもらいましょう。
それから、遠近両用(多焦点)CLを試してみるのはよいと思います。
CLは、心臓のペースメーカーと同じ高度管理医療機器ですから、専門の眼科医にご相談下さい。