毛髪薄毛治療と予防
毛母細胞が分裂して毛を作り、毛乳頭細胞は血管から栄養成分を送ってもらいながら毛母細胞に指示して毛を作ります。
最近、主に10代後半〜40代前半の女性に肥満解消(ダイエット)の気質が広がり、タンパク質、脂肪、ビタミン、鉄、亜鉛、ミネラルなどの栄養不足、それに伴う血行障害、神経・ホルモン障害になる方が増えておりますが、これらの原因を持続的に改善することで、毛髪薄毛治療と予防が可能になります。
毛を作るには十分な栄養摂取とそれを運搬する頭皮の血流を良くする必要があります。
また、加齢により生じる育毛機能に障害を与えるホルモンを作らせない体調管理も大事です。
医師の管理の下、栄養環境を整えた上で診察、治療を受けることにより、改善できる可能性があります(薄毛治療は保険適用外となります)。
毛髪はデリケートな環境の中で生きています。
気になる方は専門医にご相談ください。
訪問介護の役割
訪問介護は自分や家族だけでは日常生活を営む事が困難になった高齢者に対して、可能な限り自宅で自立した生活ができるよう、日常生活上の支援をするサービスです。
掃除や調理などの生活援助や排せつや入浴などの身体介護、通院などを目的とした移乗・移送のサービスがあります。
あくまでも、できない事を支援することが基本であるため、ご家族への支援や日常的な家事の範囲を超える支援はできません。
できるだけ自分の家で自分らしく生活したいということは誰もが望んでいる事でしょう。
訪問介護では、ただ、生活上の援助をするだけではなく、自分らしさを尊重しながら支援していくことが重要な役割となっております。
核家族化がすすみ、また、女性の就労が増えている現在において、その役割はますます大きくなるものと考えられます。
貧血をあなどらないで
貧血という病名を聞いたとき、みなさんはどのような症状を思い浮かべるでしょうか?
貧血は血色素(ヘモグロビン)の値が何らかの原因で減ってしまい、赤血球をうまく作れなくなった状態です。
一般的には10〜40代の女性に多い鉄欠乏性貧血がよく知られています。
立ちくらみやめまいの症状を貧血と思っている方が多いと思いますが、これは起立性低血圧などの血圧の調整障害の症状であり、貧血の症状ではありません。
受診される鉄欠乏性貧血の患者さんの多くは、健康診断で貧血を指摘されたり、指摘されていたのに自覚症状がなかったので放置していた方がたくさんいます。
慢性的に進行する鉄欠乏性貧血は、身体が順応してしまい、自覚しにくいのかもしれません。
また、自覚症状であってもそれを貧血の症状と思っていないこともありえます。
鉄剤投与で貧血が改善すると、「身体がらくになった」「ぐっすり寝られるようになった」「集中力が戻ってきた」という方が実は多いのです。自覚症状がないからといって身体に負担がかかっていないというわけではありません。
赤血球は身体全体に酸素を運ぶ役割を果たしているので、貧血の時には体中が酸欠となってしまい、じわじわと身体を苦しめているのです。
身体からSOSサインは出ているはずなのですが、「軽い貧血だから」とか、「貧血くらいで受診してられない」と無視している方が少なくありません。
貧血を決して、あなどってはいけません。
赤ちゃんの哺乳について
10カ月にも及ぶ長い妊娠期が終わって出産を無事に終えた後は、生まれてきた赤ちゃんが健康であることがお母さんの何よりの願いです。
オギャーと泣いて元気な子であることが分かるとお母さんの気持ちはホッとします。
そして、元気にお母さんの乳首を吸っている我が子の姿を見ると、大変だった妊娠期間を忘れさせてくれることと思います。
生まれたての赤ちゃんは健康であれば、お母さんのおっぱいを吸うことができます。
しかしこの当たり前に思える動作ですが、いつどこで覚えたのでしょうか?
おっぱいを吸う動作は思った以上に複雑なものです。
赤ちゃんは頬や口唇のあたりを刺激すると、刺激を受けた方向に口唇を向けて乳首を探し、口唇と舌を使ってお口の中に乳首を引っ張ってきます。
これらの動作は反射的に行っており、探索反射および口唇反射といわれております。
赤ちゃんの頬をお母さんの指で触ると、指をパクッとくわえることがあるかと思います。
この頃の赤ちゃんの上顎の口蓋は真ん中がくぼんでいて、乳首をとらえて吸うために適した形となっております。
舌を前後に動かし、乳首をしごいて乳汁を吸います。
これを吸啜(きゅうてつ)といいます。その後、乳汁を喉の奥(咽頭部)まで送って飲み込みます。
これを嚥下(えんげ)といいます。これらもまた反射により行われます。
これらの動作は、実はお母さんのお腹の中にいるときからみられるものです。
胎生8週頃には口の周りを触れる刺激を与えると、頭や体を刺激した方へ向ける動作を始め、胎生12週頃には嚥下運動、胎生24週頃には吸啜運動を行い始め、この後には自分の指を吸ったり、羊水を吸引していると考えられています。
赤ちゃんはお母さんのお腹にいるときから、おっぱいを吸う準備をして、頑張っています。
そう考えるとおっぱいを吸う赤ちゃんの姿は違う形で見えてくるかもしれません。
軽度認知障害
何らかの認知機能の低下はあっても、日常生活には特に支障がない、あるいは自立ができているという状態を「軽度認知障害」と言います。認知機能には、注意力、物事をうまく進める能力、学習と記憶、言葉の能力、目で見て認識したり、それと作業を組み合わせたりする能力、他の人の感情の変化に気付く能力があります。認知機能が軽度に低下すると、次のような事が起こる可能性があります。
今まで簡単にできていたことをするのに時間がかかるようになったり、間違いが多くなったりします。異なる作業を並行してすることが難しくなったり、会話の変化について行くためにより多くの努力が必要なって、疲れ易くなることもあります。最近の出来事を思い出すのに苦労し、メモやカレンダーに頼ることが多くなるかも知れません。映画や小説の登場人物を覚えておくためにそのつど手がかりが必要になったりします。言葉が出にくくなったり、微妙な文法の誤りが生じたりすることもあります。
新しい場所にたどり着くために以前よりも多く他人に尋ねたり、集中していないと道に迷ったりすることもあるでしょう。大工仕事、縫い物、編み物などの空間作業に大きな努力を必要とするようになります。顔の表情を読んだりする能力の減少、外向性または内向性の増加、節度の低下、微妙なあるいは一時的な無感情、または落ち着きのなさなどのために、性格が変わったように見えることもあります。
軽度認知障害は認知症に進む場合と、あまり進行しない場合があります。MRIなどの頭部画像や心理検査であまりはっきりとした所見が得られませんが、脳シンチという検査で脳の特定の部位における血流の低下が見られることがあり、このような場合には認知症へ進行する可能性が高いと考えられます。
対応としては、認知症の薬を服用する、半年~1年くらい経過を観る、などの場合があります。
春の検診で視力の用紙をもらったら
新学期を迎え、われわれ眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。
視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供たちは学校から頂いてきます。
その中で特に注意しなければならないのが小学校1年生の視力検査の結果でしょう。
小学校1年生にとって視力検査は初めての経験で、やり方も良く理解できないかもしれません。
そのため検査結果が眼科で測る時より悪くなることもあります。
しかしながらこの年齢で結果が悪い場合、遠視のお子さんも多く見受けられます。
そして、遠視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この1年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復できなくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。
簡単に言うと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントがあった画像が目に入るので弱視になることはありません。
それに対し強い遠視の場合は近くも遠くもピントが合わず、常にぼやけてしまいます。
いつもはっきりしない画像しか見えていないため視機能(ものを見る力)が発達することができなくなります。
そのため放置するとメガネで矯正しても視力がでない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。
小学生の視力低下にまれに見られるのが心因性視力障害です。
お友達がすてきな眼鏡をかけている。
「自分もメガネが欲しいなぁ」というように強く思うだけで視力が出なくなってしまう場合もありますし、お友達とけんかをして「学校に行きたくないなぁ」、などという気持ちが視力に表れてしまうこともあります。
そういう場合にはご両親はもちろん学校の先生ともよく話し合うことが必要なことがあります。
健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。
子どもの目線
子どもは大人のミニチュアではありません。
心身の成長に合わせて、見え方にも子どもならではのことがいろいろあります。
新生児の視力は明暗が分かる程度です。
眼の中に入る光が刺激になって発達し、3~5歳で1.0になります。
一方、眼の中に光が入らない原因があると0.7にも達せず、これを弱視と言います。
4~5歳頃に治療を開始できれば治りやすく、弱視のまま大人になるともう治せません。
小学校に入ると子どもなりに悩みを抱えて、「病気がないのに」「眼鏡を掛けても」視力がとても良くならない子がいます。
いわゆるお利口さんタイプが多く、親御さんや先生方が温かく見守ってくださると1年くらいで乗り越えてくれます。
子供は「見えにくい」と言ってくれないので、大人が目線を合わせてあげてくださいね。
自信がない時は、眼科がプロの目線をお教えします。
老眼とうまくつき合う
眼科で仕事を長年してきましたが、自分もようやく老眼について語れる年代になりました。
加齢で眼の中のレンズを厚くすることが難しくなり、近くが見づらい、離さないとピントが合わないなど、誰にでも訪れるのが老眼です。
改善策はメガネ、遠近両用や老眼鏡を使うことで近くにピントを合わせてあげることです。
近くといっても新聞、スマホ、パソコンなど、おのおの目的の距離が違うので自分が重要視する距離を意識してみましょう。
コンタクトの人は遠近両用コンタクトを試すかコンタクトの上から老眼鏡など幾つか方法が考えられます。
最近、介護職で遠近両用コンタクトを試したいという方が何人か来院されました。
施設利用者の爪切りや入浴介助などメガネでは支障があるようです。
どうやって老眼とうまくつき合っていくか、職業やライフスタイルで選択肢はさまざまだと思いますのでぜひ、眼科で検眼し相談してみてください。
化膿した粉瘤(ふんりゅう)の治療
粉瘤というのは、皮膚の下にお粥(かゆ)のようなあかが貯まった袋ができる良性の皮膚腫瘍です。
体中どこでもできますが、多いのは顔、背中、お尻、脚のつけ根などです。
化膿していなければ、コロコロとした丸い塊が触れるだけで痛みもありません。
皮膚の表面に小さな穴があると、押すとそこから悪臭のある内容物が出てくる事もあります。
化膿していなければこの小さな穴と、中の袋を取って縫合すると再発はしません。
でも、化膿してしまうと、中に膿(うみ)がたまって急に大きくなって赤く腫れてきます。
さらに痛みも出てきます。
そして、痛みが出てから来院される方が多いようです。
しかし、こうなると化膿して膿がたまっていますから、中の袋を取ることはできません。
そこで、局所麻酔をして、皮膚を切開し、中の膿を出すだけになります。
切開は皮膚の表面の小さな穴がはっきりしていれば、その穴を含めて皮膚を一部切除して穴を開けておきます。
そうする事によって膿が中にたまらず、きちんと外に出てくれます。
そして、粉瘤の袋が残っていれば可能な限り取り除きます。
これを残すといつまでもジクジクして、治りが悪くなったりします。
縫合はできません。
そして、週2~3回程度時々通院しながら炎症が治まって小さくなるのを待ちます。
消毒しなくて良くなるのには、大きさにもよりますが、10日から2週間位です。
元になる小さな穴が残っていると、再発してくる事も考えられます。
また、炎症が治まらないうちに切開した入り口が閉じてしまうと、中で肉芽腫といってくすぶった状態が続き、炎症を繰り返す事もあります。
ですから、粉瘤は化膿しないうちに取ってしまう方が、簡単で早く治る方法なのです。
災害に備える、病気に備える
「喉元過ぎれば、熱さ忘れる」。
あの未曾有の犠牲者を出した震災から5年が経ちました。
さまざまな反省から防災、減災対策が提案されているようですが、皆さん、災害への備えは出来ていますか?
さて、10年ほど前から、「病気」を一つの「災害」に見立てて、「ハザードマップを作る」ことにならい、健康状態チェックを勧めていましたが、日常診療の場では、初診患者さんの中に、健康診断で異常を指摘されていたのに、何の手も打たずにいる方が大勢います。
自分の体に危ないところが見つかったのに放置している姿に、5年前の震災での一連の出来事を連想するのは飛躍していると思われるかもしれませんが、危険性に目をつぶり、対策を怠ったために被害を拡大させた、「考えの構造」は同じではないでしょうか?
また、「自分は、今まで病気などしたことがない」という方もよくいます。
それは、病気にかかったことがないのではなく、病気であることを知らずにいただけのことだと思います。
たとえば、血圧が高くても自覚症状はありませんから、自分では健康だと思っているのですが、何かのキッカケで高血圧を指摘されてビックリするというパターンはよくあります。
こういう「病気知らず」の方に、特定健診をお勧めします。
40歳以上の方が対象で、はやりの「メタボ」のチェックを中心としたものですが、健康状態をみる目安として十分だと思います。
また、何か病気を治療している方は、かかりつけのお医者さんに、治療中の病気以外の項目のチェックもお願いして見るといいでしょう。
検査の経済的な負担が心配かもしれませんが、特定健診には、健康保険から補助が出ますので、ご自分の負担は大きくありません。
自分に都合の悪い事実を知ることは怖いものですが、昔から「災いは忘れた頃にやって来る」といわれています。
震災から5年の今年、健康診断で自分の健康「ハザードマップ」を作り、対策を検討して「防災」に努めてはいかがでしょうか?