乳房の検査はどうしたらいいの?
今年から、函館市の対策型乳がん検診は、マンモグラフィーのみの検診が推奨となりました。
視触診があるためにためらっていた人や忙しくて時間のなかった人には、気軽に受診することができるかもしれません。
受診者の多くは、検診でほとんどの異常が分かると思って受けにきます。
しかし、全ての人がマンモグラフィーだけで乳がんはわかるのでしょうか?マンモグラフィーは、乳がんの発見には非常に有用な検査法ですが、人によって利点・弱点があります。
乳腺の密度が薄い・乳腺組織が少ない人は、マンモグラフィーだけで小さな乳がんもはっきり分かります。
しかし、高濃度乳腺と言われる、乳腺の密度が濃い・乳腺が発達した乳房の人は、マンモグラフィーでは真っ白に写ってしまうため乳がん(しこり)があっても正常の乳腺との判別が難しくなる場合があります。
特に日本人は、この高濃度乳腺の人が多く、50歳以下では、半数以上の人がこれに相当します。
マンモグラフィーだけでは判断できない人がいることは、通常の検診では時々遭遇することです。
乳がんの発見には、もう一つ検査法があります。それは、超音波検査(エコー検査)です。
特に、高濃度乳腺でマンモグラフィーでは分かりにくい人には超音波検査が有効です。
しかし、通常の対策型乳がん検診には超音波検査は入っていません。
超音波が検診に必要であるというデータがまだ少ないことや、検査に手間がかかること、費用がかかることなどの理由のため、超音波検査はオプション検査になっています。
自分の乳房がどのような状態なのか?
マンモグラフィーだけで大丈夫なのか?
自分には何が適した検査法なのかを知っておくことは重要です。
高濃度乳腺の人は、自己負担にはなりますが、超音波検査も併用した方がより確実な検査法と言えます。
5分以上おしっこを我慢できますか?
おしっこの我慢は膀胱(ぼうこう)炎になるとか腎臓に悪いと言われた時代もありました。
しかし現在は、さまざまな医学的研究から、我慢をしても病気にはならないことが確認されています。
むしろ我慢をすることで膀胱の機能を高めることができます。
膀胱が健康であれば1時間でも2時間でも簡単におしっこを我慢することができます。
それができない方は膀胱など泌尿器の病気であることが考えられます。
決して「歳のせい」ではないのです。
普段、我慢をしていない方も5分以上おしっこの我慢ができるか試してみて下さい。
それが難しいようなら膀胱訓練を始めてみましょう。
膀胱訓練とは、トイレに行きたくなってもおしっこを我慢する訓練です。
我慢を続ける時間は特に決まっていませんが、数分程度の我慢から始めて無理のない範囲で時間を延ばしていきましょう。
毎日繰り返すことで徐々に我慢ができるようになり、トイレの回数が減少します。
ただし、膀胱炎や尿路感染症の方は膀胱訓練が禁止されています。
明らかな排尿痛や下腹部痛、肉眼的血尿を自覚される方は、膀胱訓練を開始する前に必ず泌尿器科へ相談してください。
病状が重い場合には、尿失禁が心配でほんのわずかな時間でもおしっこの我慢ができません。
このような場合には、我慢をせずトイレに向かい排尿の準備ができたところで我慢をしてみましょう。
繰り返しているうちに我慢することができるようになります。
膀胱訓練だけで改善しない時は、訓練と併せて薬を飲んだ方が良い場合があります。
また、中には排尿障害や膀胱癌など重大な病気が原因となっていることもあります。
膀胱訓練を続けても症状が改善しない時や、排尿困難や残尿感、痛みや出血など頻尿以外の症状がある場合には、泌尿器科の受診がすすめられます。
問診と超音波検査などの簡単な検査により診断、治療が可能です。
おしっこの我慢は、膀胱の働きにとってとても優れた健康習慣です。
おしっこの我慢ができなくてお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
歯を白く保つために気をつけること
①ステイン沈着予防、除去効果のある歯磨剤(しまざい)を使用する。
②炭酸飲料や酸性の食品の過剰な摂取は注意。
③着色しやすい飲食物(コーヒー、紅茶、お茶、カレー、トマトソース、チョコレート、赤ワイン、合成着色料を使用した食品、キムチ、色の濃い果物)の摂取後は早めにブラッシングする。
④洗口剤に含まれるポピドンヨードやグルコン酸クロルヘキシジンは沈着しやすいので表記をみるようにしてから購入する。
⑤口腔(こうくう)内の乾燥は色が沈着しやすいので、唾液が出づらい方は歯科医師に相談する。
⑥歯科医院にて定期的に歯のクリーニングを行う。
上記の注意点を行っても、歯の黄ばみや色が気になる方は、ホワイトニングを行える歯科医院に相談してみて下さい。
マダニ(ダニ)感染症
夏、野山に出掛ける機会が増えますが、マダニに刺されることで発症するマダニ刺症を帽子や肌の露出がない着衣で予防することが大切です。
日本のマダニ感染症は、抗菌薬が効く細菌感染と、治療法が確立していない重篤なウィルス感染があります。
道南地域のイヌにダニ媒介脳炎ウィルス分布が判明しています。
全てのマダニが病原体を有するわけではありませんが、注意は必要です。
刺された直後はダニの唾液の麻酔作用で気付かず吸血で虫体が大きくなり炎症も併発し気付きます。
好発部は主に頭頸部です。
1日以上経過後は分泌するセメント物質で固着し皮膚ごと虫体の切除が必要ですので、皮膚科や外科を受診してください。
3週間程度で、発熱、発疹、関節痛などの症状出現時は医療機関を受診してください。
詳細は、「マダニ対策、今できること」で検索し、国立感染症研究所ホームページを参照してください。
日本脳炎ワクチン B型肝炎ワクチン
6月に入って函館近郊は暖かい日差しに包まれ、子どもたちにとって楽しい夏がもうすぐです。
楽しいことばかりであればいいのですが、水ぼうそうやおたふくかぜが久しぶりに流行していて、ワクチン接種をしていないお子さんを中心につらい時間があるのは、ちょっと切ないですね。
2年ほど前から市民の皆様にいろいろとお願いしていた日本脳炎ワクチンがこの4月から公費接種として開始になりました。
3歳から20歳未満の全てのお子さんが対象です。
7歳半から9歳までのお子さんは予防接種法の規定により接種は9歳以降となっています。
20歳ぎりぎりの人は、公費接種が4回すべてできないということがありますが、残りを有償でも接種するようにしてください。
4回行うことで有効な免疫を獲得することができるからです。
すでに任意接種で接種したお子さんは残りの回数を公費で行います。
かかりつけの先生とよく相談して進めていきましょう。
特別な事情のあるお子さんは6カ月から接種も可能ですので、これもかかりつけの先生と相談してください。
10月になるとB型肝炎ウイルスに対するワクチンも今年の4月以降に生まれたお子さんを対象に公費接種になります。
2カ月から1歳未満で3回の接種が必要です。
このワクチンは将来のB型肝炎ウイルスによる肝硬変や肝臓がんを予防するのが主たる目的です。
2カ月のヒブや肺炎球菌ワクチンと同時に始め、3カ月時に2回目、1回目の20~24週後を目安として3回目を行うというものです。
10月から始まりますので4月に生まれたお子さんは、タイトなスケジュールになっています。
10月になってすぐ始めないと、最後の1回が1歳を超え有料となる場合がありますので、注意してください。
ワクチンで予防できる病気はワクチンで予防するというのが、子どもにとって大切なことです。
あなたの大切なお子さんをワクチンで守ってあげてください。小児科医からのお願いです。
胃がん予防のためにピロリ菌検査を
わが国のがん死亡数(2014年)で、胃がんは男性第2位で女性第3位です。
胃がんの年齢調整死亡率は減少をしていますが、胃がん死亡数は年間約5万人で横ばい状態です。
特に70歳以上の高齢者における胃がん死亡数が急増しています。
胃がんの99%はピロリ菌感染者から発生しており、未感染者における胃がん発生は非常に低率です。
従って、ピロリ菌は胃がんの原因で、胃がんはピロリ菌感染症と称される由縁です。
胃がんは胃の粘膜に発生して胃の外へ向かって浸潤します。
この浸潤の深さによって早期胃がんと進行胃がんに分けられます。
また、組織像の違いから分化型と未分化型に分けられ、未分化型の方が早く進行します。
早期胃がんの中には、深達度、大きさ、組織型によっては内視鏡によって切除できるものがあります。
それ以外の早期胃がんや進行胃がんは外科切除となり、他臓器への浸潤があると切除ではなく抗がん剤治療となります。
早期胃がんの予後は非常に良好ですが、進行胃がんの5年生存率はリンパ節転移があると50%、他臓器転移があると5%です。
胃がんは早期に発見すれば予後が良好なことから、わが国では胃がんの二次予防(早期発見早期治療)としてバリウム検査や内視鏡による検診が行われています。
近年、ピロリ菌の除菌治療が胃がん発生を抑制することが明らかとなり、胃がんの一次予防(原因除去)としてのピロリ除菌が注目されています。
わが国では2013年にピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となり、感染者は全員が除菌治療を受けることができるようになりました。
ただ、除菌治療だけでは胃がんを完全には予防できません。
従って、ピロリ菌を調べて、陽性であれば除菌治療を行い、その後定期的な内視鏡検査で胃がんの早期発見を行うことが胃がん予防の最善策です。
ご自分のピロリ菌感染の有無を調べることが胃がん予防の第一歩です。
ブルーライトは、何が悪い??
最近、ブルーライトカット眼鏡が売り出されていますが、ブルーライトとは、LEDをバックライトに使う液晶モニターから多く発せられている光です。
モニターは明るいほうが見やすいと思われがちですが、明るいとブルーライトがいっぱい入っているので、「眼精疲労」を引き起こします。
また、肌にとっても紫外線同様に悪影響を及ぼし、くすみやクマができると言われています。
20年前に比べると、LEDディスプレイの普及により、あらゆるデジタル機器からブルーライトを知らぬ間にたくさん見ているので、「①網膜へのダメージ②目の疲れ③目の痛み」などを引き起こします。
以上のことから「パソコン作業はなるべく長時間しないように控える。
ディスプレイの輝度を調整する。ブルーライトカットのフィルターやメガネを使用する」などして、健康的な生活を送れるように心掛けましょう!!
口腔(こうくう)ケアについて
日本人に多い死因として、がん、心筋梗塞、脳卒中に次いで肺炎が挙げられます。
特に肺炎と気管支炎による死亡の9割は65歳以上の高齢者であるため肺炎は高齢者の健康管理にとって最も重要な課題です。
肺炎の中でも口の中の細菌などが肺に入って発症する誤嚥(ごえん)性肺炎の占める割合は高く、予防可能な疾患であるために口腔ケアは重要となります。
誤嚥性肺炎の原因として特に嫌気性菌が多く報告されます。
嫌気性菌は歯と歯茎の間の歯肉の部分に多く存在して歯周病が進行すると菌の増殖が認められます。
また舌の表面の舌背部にも繁殖するために歯のみだけではなく舌の汚れも取り除かなければなりません。
最近は訪問歯科治療もありますので寝たきりの方でも治療や口腔ケアが行えます。
気になる時は歯科医院に相談してみてくだい。
LEDディスプレイから出る『ブルーライト』は何が悪い?
最近、ブルーライトカット眼鏡が売り出されていますが、ブルーライトとは、バックライトにLEDを使う液晶モニターから多く発せられている光です。モニターは明るいほうが見やすいと思われがちですが、明るいとブルーライトがいっぱい入っているわけで、それが「眼精疲労」を引き起こします。また、肌にとっても、紫外線同様に悪影響を及ぼし、くすみやクマができると言われています。
一方、ブルーライトによる良い面もあります。ブルーライトは、身体のリズムにも関係しています。海外旅行の時差ボケを解消するためには、太陽の光を浴びた方が良いのですが、これは「明るい=朝=目覚める」「暗い=夜=眠る」という体内のリズムに大きな影響を与えているのです。このリズムにちゃんと従い、昼間に太陽の強い光を浴びると、夜ぐっすり眠れます。しかし、現代社会では、朝から晩まで長時間パソコンやスマホなどをずっと触っているので、パソコンを長時間やった後に寝ようと思っても寝付けないことがあります。
ご自分では、頭を長時間使っていたからだと思うでしょうが、実は長時間ブルーライトを見ていたせいで、まるでずっと昼間の明るい中にいるように体内リズムがなってしまい、今が夜だとは認識できなくなってしまうせいなのです。
この体内リズムの崩れによって「①睡眠障害②肥満③がん④精神不安定」などの影響がでます。
また、20年前に比べると、LEDディスプレイの普及により、あらゆるデジタル機器からブルーライトを知らぬ間にたくさん見ているので、目にも影響があり「①網膜へのダメージ②目の疲れ③目の痛み」などを引き起こします。以上のことから「パソコン作業は、なるべく長時間しないように控える。ディスプレイの輝度を調整する。ブルーライトカットのフィルターやメガネを使用する」などして健康的な生活を送れるように心掛けましょう!!
パソコンやスマホ使用の多い方で症状がある方は、眼科にご相談下さい。
C型肝炎をやっつけろ!
以前のC型肝炎の治療は、インターフェロンと内服薬の併用療法で、24~48週間インターフェロンの副作用[発熱・全身倦怠(けんたい)感・食欲不振・貧血など]を耐えて治療していました。しかしながら、現在とても良い薬が開発され、内服薬を服用するだけで12~24週でC型肝炎が治る時代になってきています。非常に副作用も少なく、その程度の軽いものばかりです。C型肝炎は遺伝子型で、1型・2型に分けられます。
日本人のC型肝炎の70%は、1b型というインターフェロンの効きにくいウイルスでした。2014年7月にインターフェロンを使用しない内服治療薬①アスナプレビル・ダクラタスビルの併用療法が認可され、さらに2015年6月には、第2世代の②ソホスブビル・レジパスビルの併用療法、さらに2015年9月には③パリタプレビル・オムビタスビル・リトナビルの併用療法が認可されました。一方、遺伝子型2型に対しては、2015年3月に④ソホスブビル/リバビリン併用療法が認可されました。
各々の国内臨床試験におけるSVR率(ウイルスの消失率)と薬剤の特徴を示します。
①の薬剤は、投与期間は24週・治療終了時92%、24週後84・7%、ウイルスの変異に弱い
②の薬剤は、投与期間は12週・治療終了時100%のウイルス消失率。
高度腎機能障害者には使用できない。副作用も軽微で、最も高頻度の副作用は鼻咽頭炎の29%であり、他には頭痛が7%、全身倦怠が5%、皮膚掻痒(そうよう)が4%程度です。その為、現在の主流のお薬です。
③の薬剤は、12週の投与期間、治療終了時91~98%の消失率。ウイルスの変異に弱い
④の薬は2型ウイルスに対する唯一の内服治療薬です。投与期間は12週間。治療終了時のウイルス消失率95~98%。高度腎機能障害者には使用できない、といった特徴です。治療の対象も、以前はインターフェロンが効かなかった人など条件がありましたが、現在では非代償性肝硬変(進行した肝硬変の状態)を除くすべてのC型肝炎症例がこれらの抗ウイルス療法の治療対象となりました。
いままだ治療に二の足を踏んでいる方は、一度肝臓専門医を受診してはいかがでしょうか?
[出典]日本肝臓病学会C型肝炎治療ガイドライン(第5版)2016年5月より抜粋