赤あざ
赤あざ(単純血管腫、イチゴ状血管腫、毛細血管拡張症)の治療にはVビームという色素レーザーを使用します。
このレーザーは冷却システムがあり肌を守りながら治療するのでレーザー照射時の痛みは輪ゴムで弾かれた程度です。
赤あざへのVビーム治療には保険が適用されます。
単純血管腫は赤あざの一種で肌の表面の毛細血管が広がった病気です。
子供のころから現れ、大人になっても小さくなりません。
イチゴ状血管腫は生まれた時はないのですが、生後1カ月ぐらいから出てきて肌が赤く盛り上がりイチゴのように見える血管の病気で7歳頃までに75%の人で小さくなってくるといわれています。
ただ、色は薄くなりますが、肌質の問題から最近では早いうちからのレーザー治療を開始することをお勧めします。
毛細血管拡張症は赤ら顔ともいわれ肌の表面に細い血管が拡がっている症状でいろいろな原因があります。
Vビームレーザー治療は1回の治療で終了するのではなく期間をあけて治療を繰り返すことで目立たなくなってきます。
知らないと損をする介護保険
先日、父の介護をしていた母が倒れました。
元気な母と思っていましたが今年で80歳、介護疲れがたまってのことでした。
搬送先の病院の配慮で、父も母の体調が回復するまで入院させていただき、二人そろって退院することができました。
恥ずかしながら、訪問看護師の私は「大丈夫」と話していた母の言葉をうのみにし介護保険の申請をしていなく、慌てて申請した次第です。
「転ばぬ先の杖」ではありませんが、「転ばぬ先の介護保険」です。
介護保険は住み慣れた自宅で療養生活を送るため、介護する人の負担を軽くするために作られた制度です。
いろいろなサービスがありますが、訪問看護では健康管理や薬の管理の他、点滴や経管栄養等も行います。
夜間でも心配なことがあれば相談を受けたり、自宅に訪問するサービスもあります。
まずはお近くの包括支援センターや支所にご相談ください。
陥入爪(かんにゅそう)
陥入爪というのは、爪の端が食い込んでいることで痛くなる病気です。
多いのは足の親指の爪です。
爪が食い込んでいるために痛みが出たり、爪を切るときに端まで切ることが出来ずに爪の端が尖って残ってしまい、そこが刺さって痛くなってきます。
ひどくなると肉芽(にくげ)という組織が盛り上がってきて、痛くて歩行にも支障を来すようになります。
軽度であれば、爪の切り方に気をつけて爪を伸ばすようにしたり、テープで爪の端をとめて爪と皮膚の間を広げるようにすると痛みが出にくくなります。
また、ワイヤーを爪につけて伸ばす方法もありますが、時間がかかったり、再発することもあります。
爪の食い込みが強い場合や、何回も繰り返す場合には手術をしなくてはなりません。
手術の方法にもいくつかあります。
爪母という爪を作っている組織が爪の根元にあります。
食い込んでいる部分の爪母をフェノールという薬品で焼いてしまう方法や直接切除してしまう方法があります。
こうすると爪は多少細くなりますが、食い込んだ部分の爪は生えなくなり痛みは出なくなります。
フェノールで焼く方法は簡単なのですが、再発することもあります。
切り取ってしまう方法は手術後は疼痛がありますが、確実な方法です。
術後は1~2日でぬらしたりできます。
また、巻き爪というのもあります。
これは爪の端だけでなく爪全体が丸まってくるもので、正確には陥入爪とは異なります。
巻き爪は変形は強いのですが、痛みがないことも多いのでそのままにすることもあります。
上から押さえたりして疼痛があるとき手術をすることもあります。
手術は爪全体を一度取ってしまって爪床という部分を平らになるようにしなくてはなりません。
少し大変な手術になります。
コレステロールの薬、使うべきか?
最近、雑誌などで「飲んではいけない薬」とかいう記事が話題になっているようです。
患者さんたちは少なからず不安になっていると思います。
薬の有用性について、私自身も疑問を感じることはあります。
たとえば、コレステロールを下げる薬の効果は証明されています。
検査の数値として悪玉コレステロールだけでなく、中性脂肪や善玉コレステロールも明らかに改善されることが分かっています。
問題は、それで病気が減るのかということです。
例えば、脳梗塞の正確な発症率は分かっていませんが、一般的に人口10万人あたり100~200人と言われます。
0.1%~0.2%になります。
ある薬が、この発症率を「50%低下させます」と謳っているとします。
発症率が0.1~0.2%が0.05~0.1%に減るということでしょうか。
一方、その薬に何か重大な副作用が0.1%の頻度で現れるかもしれない時、この薬は使うべきでしょうか?
このことから思い出すのは、「南海トラフ地震の発生確率は今後30年以内に70%程度」に対して、熊本地震震源の布田川断層帯の地震発生確率は「ほぼ0~0.9%」と言われ、専門家は発生確率を「やや高い」と見ていたのに、熊本市のハザードマップでは「きわめて低い確率」と記載していたという話です。
薬の話とは違いますが、通じるものを感じます。
地震の場合、活断層型と海溝型という機序の違うものを比べることから間違いがあるのだそうです。
薬の話に戻りますが、脳梗塞や心筋梗塞といった病気の発症には、年齢や性別、喫煙や高血圧など他の病気の有無により、リスクが随分違うことも分かっています。
心筋梗塞などの冠動脈疾患では、高血圧、喫煙、性別、コレステロールの値で、10年間の死亡率の差は0.5%から、5%以上10%未満まで幅があります。
いろいろな記事で心配になった方は、人口何人あたりという一括(くく)りにした話ではなく、個人の話として、自分のリスクをかかりつけ医や健康診査などで評価してもらった上で、薬が必要かどうか相談した方がいいでしょう。
眼瞼(がんけん)下垂について
まぶたは左右で同じですか?
鏡を見たら片方だけ下がっていたり、昔は一重まぶただったのに二重まぶたになっていたりしませんか?
もしかしたら眼瞼下垂という病気かもしれません。
眼瞼下垂とは何らかの原因でまぶたの筋肉が垂れ下がった状態のことを言います。
まぶたが邪魔をしてものが見えにくくなったり、見た目の印象が変わってしまう、おでこに皺(しわ)を寄せる、顎を上げるなど不自然な姿勢になったりして眼精疲労や頭痛、肩こりの原因になると言われています。
眼瞼下垂は生まれながらのものからハードコンタクトレンズの長期間の使用などのライフスタイルや老化に伴う筋力の低下などによるものまでいろいろな原因があり、それぞれの原因にあった治療法が必要です。
鏡を見て当てはまるような方は、お近くの眼科で相談されてみてはいかがでしょうか。
大人のメガネ
屈折異常の種類は主に3種類あります。
最初は近視。
近視は、遠くはぼやけますが手元ははっきり見えます。
現代の生活では近くを見ることの方が多いため、メガネが不要な状況も多いです。
メガネをかけたまま近くの作業をしていると逆に疲れやすいかもしれません。
ただし、自動車の運転時は遠くをはっきり見るため、必ずメガネを使用して下さい。
二番目は遠視。
遠視の方は、子供の頃の視力が2.0~1.5で、目に自信を持っていることが多いです。
でもそれは、若い時の柔軟性が遠視を打ち消していただけで、物を見るためには過剰な緊張が必要です。その緊張が、眼の奥が痛い、肩こりなどの原因になります。
症状がある方は、メガネを常用しましょう。
最後は乱視。
比較的視力に影響しませんから通常メガネが不要です。
度が強い場合は視力低下、疲れの原因になるのでメガネの使用を考慮するとよいでしょう。
アレルギー性結膜炎
・目がかゆい・目が充血する・目やにが出る
・涙が出る(流涙)
このような症状を感じたことはありませんか?
花粉症を代表とする「アレルギー性結膜炎」かもしれません。
「主な症状は、強いかゆみ」
思わず目をゴシゴシこすってしまうほどのかゆみが特徴で、特にまぶたやその縁の部分がかゆく、こするとまぶたが腫れあがり、かゆみの症状が進行することもあります。
「主な原因は、花粉やハウスダスト」
アレルギー性結膜炎では、結膜(まぶたの裏側と白目をおおっている半透明の膜)が花粉やハウスダスト(ダニやカビなどが混ざった家のほこり)によって炎症を起こし、かゆみ等の症状を生じます。
花粉が原因の場合は毎年決まった時期に症状がみられ、スギ花粉であれば春先に、ブタクサ花粉であれば秋に症状が重くなります。
北海道ではシラカバによるものが有名です。
また、アレルギーの原因(アレルゲン)がハウスダストの場合には1年を通して症状が出ます。
犬や猫などの動物が原因の場合もあります。
「有効な対策はアレルゲンを遠ざけること」
花粉が原因の場合には、症状が出る季節は洗濯物を室内で干したり、外出するときはゴーグル型の眼鏡やマスクをつけるなど、身体(特に目)に花粉が近付かないようにすると良いでしょう。
ハウスダストが原因の場合は、こまめに部屋を掃除したり、寝具を干すことなどが効果的です。
「抗アレルギー作用を有する点眼薬で、早めの治療を」
アレルギー性結膜炎の治療は、まず抗アレルギー作用をもつ点眼薬が処方されます。
症状が強い場合はステロイドの点眼薬を併用することもあります。
症状が出る季節が分かっている方は、症状が出る前に治療を開始すると症状が軽くて済みます。
ある種の点眼薬は使い続けることによって症状を出にくくする作用を持つものもあります。
「目のかゆみ」などの症状が気になる方は、一度眼科医にご相談ください。
いよいよピロリ菌の撲滅へ
今年の4月から函館市内の中学生を対象にしたピロリ菌検診が始まっています。全国的にはすでに多くの自治体で実施されていましたが、いよいよ函館でも開始となりました。ピロリ菌は胃の中に住んでいる細菌で、粘膜に炎症や萎縮などの変化を引き起こして最終的には胃がんの原因となることが分かってきました。
そのため日本では2013年から胃カメラで慢性胃炎などの異常が確認された場合に健康保険でピロリ菌の検査や除菌が可能となっています。ピロリ菌は衛生環境との関連が深く、上下水道などの衛生設備が未整備な時代に生活歴のある高齢者では感染率が高くなっています。例えば1970年代における60歳のピロリ菌感染率は80%以上でした。衛生環境の改善と共に陽性率は低下してきており、現在の10歳代の感染率は5%前後とされています。もしピロリ菌に感染している場合は胃粘膜が発がんの準備状態に入る前、つまり若年のうちに除菌するのが望ましいということで学校でのピロリ菌検診が実現することになりました。具体的にはまず学校で行う一次検査(尿の抗体検査)で感染の可能性のある人を見つけ、医療機関で二次検査(尿素呼気試験などの精密検査)を受け、陽性が確実であれば除菌治療を検討するという内容です。除菌治療については成人に比較して若年者では薬が効きづらいとされており、1回目の除菌成功率が50%程度にとどまるという問題点が残っています。しかし2回目の除菌治療を行えば最終的にはほとんどの方が除菌に成功するので、将来的には胃がん発生率の大きな低下が期待されます。
日本の胃がん対策はこれまではバリウム検診のようにできてしまったがんの早期発見・早期治療が重視されてきましたが、これからは最初から胃がんを発症させない予防策に大きく舵(かじ)をきっていくことになります。さらに除菌治療が今後進歩していけば、ピロリ菌の撲滅も視野に入って来ることでしょう。
外用剤は正しく塗りましょう
日常の診療で外用剤の塗り方をできるだけ説明するよう心掛けていますが、うまく伝わっていないことがあります。
今回は、外用法で注意する点について説明します。
①回数:指導された回数を守りましょう。多く外用すれば薬の副作用が、少なければ効果が出ないことがあります。
②部位:場所によって薬の吸収が違います。顔、高齢者、乳幼児の皮膚は薄く、薬の副作用が出やすいので、他の場所に処方された薬を塗ってはいけません。
③量:薬の副作用をおそれて薄く塗れば、効果が出にくくなります。
④用途:処方された薬を、他の発疹に塗ったり、他の人にあげてはいけません。薬によっては効果がないばかりか、発疹が悪化してしまうこともあります。
どんな薬も、もろ刃の剣です。副作用が出ないよう上手に使って、早く治しましょう。
夏場に多い尿管結石の痛み発作
30~50才といった働き盛りの男性に多い尿管結石ですが、近頃の暑い夏場は発汗が多くなり尿も濃縮しがちとなり結石が育ちやすいため、痛み発作に注意は必要です。
急に転げ回るような激痛が、下腹部から左右どちらかの脇腹や背中にかけての範囲のいずれかの場所に感じたら、尿管結石の痛み発作の可能性があります。
左右どちらかの下腹部だけとか背中だけということが多いです(いわゆる腰痛のようなからだの中心ということはありません)。
治療後5年以内の再発率が20~50%と高率なので、予防や再発防止も重要です。
まずは十分なカルシウム摂取。
昔は結石のもとになるため食べないように言われましたが、逆であることがわかっています。
ほかに重要なのが、十分な水分摂取や就寝前2~3時間は食事をとらないなどで尿の濃縮を防ぐことがありますので、参考にしてみてください。