あなたも過活動膀胱かもしれません
前ぶれもなく起こる急な尿意を感じたら泌尿器科へ!
過活動膀胱は男性、女性、若年、高齢にかかわらず誰もがなりうる病気です。
40歳以上では8人に1人が過活動膀胱の症状を持つと言われています。
間に合わずに漏れそうになる、人よりもトイレに行く回数が多い、夜何度もトイレに行くので眠れない、おしっこをした後なんとなく気持ち悪い、などの症状があればそれは過活動膀胱かもしれません。
泌尿器科には行きたいけどちょっと恥ずかしいし、どんな検査をされるのか不安。こんな思いをされている方は多いと思います。しかし排尿に関する医療の進歩により、難しい検査をしなくても診断や治療ができるようになりました。
泌尿器科を初めて受診された場合、まず症状や普段の状況を詳しくうかがいます。
そして、病気に関連するいくつかの質問をさせていただき診断を導きます。
診断が確定できない場合には検査を行うことになりますが、その場合も尿検査や超音波検査など苦痛の少ないものを優先的に行うので心配はありません。
治療が始まった後も、その後の症状の変化を確認しながら無理なく続けられる治療方法を相談しながらすすめてゆくので不安なく継続してゆくことができます。
悩むよりはまず泌尿器科へご相談ください。
大腸がん死は大腸内視鏡検査で予防しよう
男性131.8、女性136.2は、函館市における大腸がんの標準化死亡比です。
標準化死亡比とは全国平均を100として、年齢を調整した各地域の大腸がん死の割合を示しています。
すなわち、函館市民は大腸がんで死亡する人が全国平均より30%以上多いことになります。
これは道内都市の中でも突出して高く、札幌市は男性109.4、女性108.0です。
最も高い都道府県は、男性は青森県で127.6、女性は岩手県で117.3ですが、函館市はそれも大きく上回っています。
これは函館市民には大変由々しき問題です。
わが国の大腸がんによる死亡者数は年間約5万人に達し、毎年増加しております。
臓器別では女性で第1位、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位です。
全国レベルで予防に取り組む必要がありますが、とりわけ函館市民には重要です。
大腸がん死の予防法は、便潜血反応を使った大腸がん検診を毎年受けること、大腸内視鏡で大腸ポリープをすべて切除することです。
大腸がん検診が大腸がん死を約60~80%減らすという成績があります。
また、米国での大規模研究で、大腸内視鏡で大腸ポリープをすべて切除して20年間追跡すると、大腸がん死が約50%低下することが明らかにされました。
わが国でも同様な成績があります。
大腸がんは早期に発見すれば治すことができ、助けることができる癌です。
そのため自覚症状がなくても40歳になれば、毎年大腸がん検診を受けることが重要です。
便潜血陽性の場合には、大腸内視鏡を必ず受けて、発見された腺腫性の大腸ポリープはすべて切除してもらうことです。
便潜血が陰性であっても、50歳までに1回は大腸内視鏡検査を受けて、小さい大腸ポリープでもすべて切除してもらうことです。
小さいポリープなら外来で焼灼なしのコールドポリペクトミーで切除できます。
大腸内視鏡検査に不安を持つ方には静脈麻酔薬で眠らせて行うこともできます。
函館市の大腸がん死を減らすために、できるだけ多くの方に大腸内視鏡検査を受けてもらいたいです。
おたふくかぜ難聴って知っていますか?
おたふくかぜウイルスで発症するおたふくかぜはワクチンで防ぐことのできる病気です。
函館市内近郊では今年5月末から流行が始まりました。
過去には、平成8年と9年、15年、22年から23年にかけて流行がみられました。
今回は5年ぶりの流行となります。
おたふくかぜは2~3週間の潜伏期ののちに耳の下にある耳下腺や顎下腺などが腫れてくる病気です。
感染しても症状が現れない不顕性感染者が30%程度いることが知られており、症状が出なくてもおたふくかぜに対する抗体ができたり、合併症が知らない間に出ていたりということがあり得る病気です。
耳下腺や顎下腺が腫れてから5日間経つと人に感染する力がなくなるとされており、全身状態がよければ仮に腫れが残ったとしても登園や登校が可能です。
よく知られている合併症は髄膜炎や睾丸炎、卵巣炎などですが、子どもたちにとって一番心配なのは難聴がみられることがあるということです。
難聴の合併症は病気の始まりから3週間程度までに発症します。
その頻度は多くの報告がありますが、およそおたふくかぜにかかった人の千人に一人程度とされています。
ただ、耳下腺の腫れない不顕性感染でも起こることが知られています。
難聴になると治療法がなく回復は期待できませんから、一生難聴を抱えて過ごすことになります。
子どもの片方だけの難聴は生活にはあまり支障がないことが多いですが、まれに両方難聴になることがありますので、予防をしっかりするということが肝要です。
おたふくかぜの予防はワクチンを2回接種することです。
1歳のお誕生日にMRワクチン、水痘ワクチンと一緒にぜひ受けてください。
その次は年長さんのMRワクチンと一緒に接種をしましょう。
今は流行期ですから、1回接種の後1~2年で2回目を接種するという選択でも構いません。
糖尿病と診断されたら、すぐに眼科受診を!!
食生活の欧米化により、日本では約950万人の糖尿病患者がいます。
そのうち糖尿病網膜症を発症している人は、約140万人です。
この網膜症は、大変恐ろしい合併症です。
なぜならば、初期では全く自覚症状が無いために、かなりの眼底出血が起きて、視力低下してから初めて気付くからです。
実はそうなるまで、眼科を受診しない方がほとんどです。
視力低下してから受診して、治療方法がある方もいますが、「時すでに遅し!」と眼科医が思うほど悪化している方も多いのが現実です。
そうなると、レーザー光凝固術や手術などで治療をしてみても、網膜症の悪化がすでに進行していて、治療のかいなく失明の一途をたどる方もいます。
糖尿病網膜症は中途失明3大原因の一つです。
糖尿病と診断されたら、すぐに眼科を受診して、一度眼底検査を受けて下さい!
早期発見、早期治療は、あなたの目を救います!!
歯科金属アレルギー
歯科治療では銀歯や入れ歯の金具等にいろいろな金属が使われます。
ネックレスやイヤリングや時計等でかぶれたりする方は金属アレルギーの可能性もあり注意が必要です。
口の中に入れた金属にアレルギーがあっても口の中がただれたりせずに、離れた部位の皮膚や粘膜に湿疹やかさぶたができる事があります。
原因である金属を取り除かなければ症状はなかなか治りません。
医療機関で検査をしてアレルギーがあると分かった金属は使わないようにする必要があります。
かわりにプラスチックやセラミック等の材料を使います。
これらは健康保険がきかない事が多いです。
今春の保険改正で歯科用金属にアレルギーがある方の大臼歯のプラスチック冠に保険がきくようになりました。
ただし医療機関との連携が条件になっています。
お困りの方は相談してみて下さい。
脱メタボ宣言
これからの季節、忘年会・クリスマス・お正月と行事が満載です。
また雪が降ってくると外での運動もできなくなります。
今年も懲りずに年末脱メタボ宣言しましょう。
①運動 脈拍が100~120回/分、10~30分程度の運動がオススメです。
②減塩 味噌汁をのむ時は漬け物を食べない。漬け物を食べたときは味噌汁を飲まない。
いずれも3食のうち1回だけにしましょう。
③お酒 日本酒なら1合、焼酎半合、ビールは中瓶1本、ワイン2杯、ウイスキーダブル1杯程度で我慢我慢。
④体重管理 まずは毎日測りましょう。
1日1~2回の測定を毎日続けることにより、自分の体重の把握・体重の増減が分かり、その時に食事を見直す機会ができます。1日で1㎏増えたら「何で? どうして?何食べた?」自問自答を繰り返すことにより自分の食事の問題点がわかります。同様に、毎日食べたものを寝る前に思い出してメモしてみましょう。意外に朝からの食事を全て間食も含め思い出すのは難しいものです。若い方なら食べるたびに写メを撮ってみましょう。1日に意外に食べ過ぎていることに気がつきます。現体重の3%の低下で血糖値・中性脂肪・血圧の低下が認められます。60㎏なら1.8㎏です。
また5.5%の体重減少では、なんと糖尿病予備軍の方の糖尿病発症率が58%低下します。60㎏の方で3.3㎏。決して不可能な数字ではありません。
⑤喫煙 5年間の禁煙で心筋梗塞・脳梗塞になる確率が下がります。また、受動喫煙の悲劇もあり、当院の患者さんにも数名、ご主人がヘビースモーカーで、奥さんが肺がんになっています。その時に「私は何も悪いことをしていないのに何で?」と皆さんが仰っていました。
最後に、メタボリックドミノという言葉を知っていますか?
ドミノ倒しのように内臓肥満というドミノが倒れることから始まり、高血圧・高血糖・高脂血症→動脈硬化→糖尿病発症・慢性腎臓病→糖尿病性腎症・網膜症・神経症とドミノが倒れ、総崩れて、心筋梗塞・心不全・脳卒中・下肢切断・失明へと進んでいく危険性があります。最初はたかが内臓肥満なのですが、その後は取り返しのつかないたくさんの病態につながっていくのです。さあ今日から始めましょう。脱メタボ宣言!まずは実践あるのみ。
中途視覚障害の3大原因とは?
日本においては、緑内障・糖尿病網膜症・網膜色素変性症が中途視覚障害の3大原因と言われています。
①緑内障は、眼圧が高いことにより、視神経が圧迫されて枯れていき、見える範囲が狭くなってしまう病気です。
緑内障は進行性なので、残念ながら、一度失ってしまった視野はもとに戻すことが出来ません。
そんな大変な病気なのに、実は自分では、ほとんど気付きません。
なぜならば、視野が欠け始めていても、もう片方の目が助けてくれているために、自覚症状が出るころには、かなり視野が狭くなってしまっているからです。
緑内障には色々なタイプのものがあり、正常な眼圧であっても、その人にとっては、視神経が圧迫を受け、視神経が枯れていくタイプもあります。
これを「正常眼圧緑内障」と言います。
眼圧が高いタイプと違い、眼痛やかすみ目などの症状を伴わないため、発見されていないことが多くあります。
実は、日本人はこの「正常眼圧緑内障」が多いのです。
②糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症ですから、内科で糖尿病と診断をされた方は、眼科を受診し定期的眼底検査をすれば、眼底出血も早めに発見できます。
ところが、かなり視力が低下してから初めて眼科を受診する方が多いのが現実です。
この場合、治療をしても、中途視覚障害の方向に向かっていくことがあります。
ぜひ、内科と眼科の両方を早い時期から受診することをおすすめします。
③網膜色素変性症は、遺伝性疾患で、残念ながらこれといった良い治療方法は現時点ではありませんが、今話題のiPS細胞による治療法がこれから期待されています。
以上のような、中途視覚障害にならないよう早期発見・早期治療が大切です。定期的に眼科を受診することをおすすめします。
不妊症の検査
避妊せず1年間妊娠に至らなければ不妊症と診断します。
まず基礎体温を測定・記録して、原因検索のため検査を行います。
必須項目は①内診・超音波・子宮がん検診・クラミジア抗原(初診時)②ホルモン・子宮内膜症マーカー(月経中)③子宮卵管造影(月経後)④頸(けい)管粘液検査・ヒューナーテスト(排卵期)⑤黄体機能検査(高温期)⑥精液検査です。
必要に応じホルモン負荷試験、クラミジア抗体、子宮内膜組織診、子宮鏡、抗精子抗体などを追加します。
卵巣予備能をみるAMHというホルモンが話題になりましたが、その値が低くても治療法はなく、体外受精の排卵誘発時に参考にする程度です。
子宮内膜症性不妊には腹腔鏡検査が治療効果もあり有効です。
不妊期間が短い方はブライダルチェックとして①を受け、基礎体温でのタイミング法を指導してもらうとよいでしょう。
進学・就職の時期になると…先天性色覚異常について
進学・就職の時期になるとよく相談を受けるのが、先天性色覚異常かどうか? と言う質問です。
先天性色覚異常は、男性の5%(20人に1人)、女性でも0・2%に見られ原因は遺伝とされています。
「色覚異常は一つの個性であって、色弱や色盲という言葉が差別やいじめを生む」などから、学校検診で行われていた色覚検査が希望者だけになり、就職時の検査でも一部の職種を除いてほとんどが行われなくなりました。
しかしながら、いざ就職試験の時に初めて色覚異常を指摘されてショックを受る様なことが起きてしまいます。
さて、実際色覚異常の方はどんな見え方をしているのでしょうか?
網膜には赤・緑・青それぞれの光を感じる網膜細胞があって、その感じる力が弱い場合色覚異常になります。
特に赤と緑の障害の場合が多く、例えば、緑の葉っぱの中にある赤いきれいなつつじの花があっても、どこに花があるかが分からない、と言う事が起こります。
小学校に上がると緑色の黒板に赤いチョークで文字を書かれると、よく読めなかったり、図工の時間に写生をしたりするときにお花や消防車の絵を間違った色使いで描くこともあると思います。
ですから、家族・親戚に色覚異常のいるお子さんの場合、色覚検査は、小学校に上がる直前には色覚検査を受けておいて、小学校に上がるときに先生には相談しておくのが良いと思います。
眼科医をしていても、色覚異常の方がどう見えているとか、生活上どのような注意をしたら良いとかは実際分からないことばかりです。
そこで、当クリニックに来院された患者さんには参考になる本を紹介しています。
小さなお子さんの場合には「色弱の子供が分かる本 コミックQ&A」、就職を前にしている場合には「20人にひとりの遺伝子 色弱の子を持つすべての人へ」の2冊です。
ご家族はもちろん、是非、学校の先生や会社の方にも読んでいただきたい本だと思っています。
レビー小体型認知症
認知症には様々な種類のものがありますが、その一つが「レビー小体型認知症」です。
脳に「レビー小体」というものが見られることからこのように呼ばれています。
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症、血管性認知症と並んで、比較的多く見られる認知症です。
認知症と言うとまず物忘れが思い浮かびますが、レビー小体型認知症では物忘れを始めとする認知機能の低下があまり目立たない場合があり、次のような様々な症状が出現する傾向があります。
まず、睡眠時に大声で叫ぶ、壁をたたいたり、暴れたりすることがありますが、これは夢に関係する症状です。
夢を見ている時には筋肉は弛緩しており、実際の行動は起きないものですが、そのバランスが崩れると様々な行動となって現れるのです。
また、良く見られる症状には幻覚、特に幻視があります。
「子供がたくさん来ている」、「孫が居る」などと言ったりします。
同じ内容の幻視がありありと、繰り返し体験されるのが特徴です。
また、抑うつ症状が目立つこともあり、特に高齢の方の治りにくいうつ病の場合には注意が必要です。
動作が遅くなったり、つまづきやすくなったり、パーキンソン病の症状が見られることがあります。
また、自律神経の症状として、起立性低血圧、必ずしも原因ははっきりしないのですが、失神も起きることがあります。
検査に関しては、脳シンチという検査が有用です。
頭部MRIでは萎縮が明らかではなく、はっきりした所見が得られない場合でも、脳シンチでは後頭葉の血流が低下していたり、基底核という部分への薬剤集積が低下しているのが分かります。
治療についてですが、薬剤の副作用が出やすいことが特徴であり、量的に少な目に処方することになります。
認知症に対する薬、漢方薬、パーキンソン病に対する薬、場合によっては少量の精神安定剤が用いられます。