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最小侵襲手術という言葉を聞きます。どのような手術でしょうか?

整形外科2010/03/18

手術のダメージ(侵襲)を最小にして
早期の回復・退院が可能となる術式です

 最小侵襲手術(MIS)とは、切開(傷)を最小にし、かつ疼痛管理、早期リハビリを行うことで、手術に伴う身体機能の低下を最小限にするための治療方法です。
消化器外科での腹腔鏡手術や呼吸器外科の胸腔鏡手術などがあり、整形外科領域では変形性膝関節症に対する人工関節置換術などが代表的です。 外科手術では傷のない部分にメスをいれ、病巣を展開して処置を行います。
人工膝関節置換術では、同様に前方部分の皮膚を切開して関節を展開して、骨を削るなどの処置を行います。
それによって身体は手術のダメージ(侵襲)を受けます。これは手術のマイナス部分です。 一方、その手術によって得られた効果(人工膝関節置換術においては日常生活での痛みの軽快)は手術のプラス部分です。
このプラス部分がマイナス部分を上回った場合に人工膝関節置換術を受けてよかったと思えるのです。 人工関節を行うことで、痛みを取り除く(または大きくやわらげる)ことが期待されます。
しかし、人工関節を行うためには、関節を切開する必要があります。
従来は20センチ程度の切開が必要であり、術後はこの回復のために平均4〜6週の入院期間が必要でした。
また術後安静にともない筋力や体力が低下することも大きな問題でした。 MISは人工膝関節置換術のマイナス部分を減らすことによって(差し引きでプラス部分を大きく残すことによって)、患者さんの満足度を上げることを目的とするものなのです。
MISは人工膝関節置換術の術後の痛みを軽くすることにより、リハビリが円滑に進み、より早い回復が得られることが期待されます。
しかし、MISで注意しなければならないことは、「人工膝関節置換術においては皮膚切開の大きさだけが大事ではない」ということです。
皮膚の切開が小さくても術前の計画(設計図)通りの正確な手術がなされなければ意味がありません。 皮膚の切開、関節の展開が小さいと正確な角度で骨を削ることや温存すべき軟部組織(靭帯や関節包など)に対する適切な処置が困難となります。
人工関節置換術において最も重要なことは正確な角度で骨を削ること、残すべき軟部組織に対する適切な処置であると考えています。
当院では、切開創は大きくとも10センチほどで、2〜3週で退院できるよう努めています。
人工膝関節置換術は内科的に重度の合併症があったり、ご高齢でリスクが高いと判断された場合は手術ができない場合があります。
年齢的にはお元気であれば85歳くらいまでは可能です。


Text by 函館整形外科クリニック 大越 康充( 2010年3月 「ホームドクター」掲載)

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