進学・就職の時期になると・・・先天性色覚異常について
進学・就職の時期になるとよく相談を受けるのが、先天性色覚異常かどうか?という質問です。
先天性色覚異常は、男性の5%(20人に一人)、女性でも0.2%に見られます。
「色覚異常は一つの個性であって、色弱や色盲という言葉が差別やいじめを生む」という理由などから、健康診断で行われていた色覚検査が一時期廃止になり、就職時の検査でも一部の職種を除いてほとんど行われなくなりました。
さて、実際色覚異常の方はどんな見え方をしているのでしょうか? 網膜には赤・緑・青それぞれの光を感じる網膜細胞があって、その感じる力が弱い場合に色覚異常になります。
特に赤と緑の場合が多く、例えば、緑の葉っぱの中にある赤いきれいなツツジの花があっても、どこに花があるかが分からない、と言うことが起こります。 小学校で緑色の黒板に赤いチョークで文字を書かれると、よく読めなかったり、図工の時間に写生をするときに花や消防車の絵を描くこともあると思います。
家族・親戚に色覚異常があるお子さんの場合、小学校に上がる前に色覚検査を受けておいて、入学時に先生に相談しておくのが良いと思います。 眼科医をしていても、色覚異常の方がどう見えているとか、生活上どのような注意をしたら良いとかは実際分からないことばかりです。
そこで、当クリニックに来院された患者さんには参考になる本を紹介しています。
小さなお子さんには、「色弱の子供がわかる本 コミックQ&A」、就職を前にしている方には、「20人にひとりの遺伝子 色弱の子を持つすべての人へ」、の2冊です。ご家族はもちろん、ぜひ、学校の先生や会社の方にも読んでいただきたい本だと思っています。