内視鏡とAI
最近AI(エーアイ)という単語を耳にする機会が増えています。AIとは「人工知能」の略称でコンピューターが人間に代わって思考や判断をするもので、多様な分野でその応用が始まっています。
将棋の名人とAIの対局なども話題になりましたが、医療分野も例外ではありません。AIはすでにレントゲンやCTなどの画像を的確に診断できるようになっており、レントゲンではすでに製品化され導入している医療機関もあります。
そして今、胃や大腸の内視鏡検査の世界にもAI導入の波が来ています。 内視鏡検査では進行がんのような大きな病変はあまり診断に苦労しませんが、早期がんの場合はサイズが小さい上に一つ一つ顔つきも違い、さらに周囲の正常部分との境界が分かりずらいことも珍しくないため、専門医でも発見や診断が困難な場合があります。
それは例えるなら複雑な模様が描かれた絵の中から特別な形を見つけ出す作業であり、長年の経験が必要となります。 人間では膨大な時間を要する多数の症例の画像をAIは効率よく短時間で学習し、診断能力を身につけます。そして検査の時にはモニター画面の画像をAIが分析し医師の診断を補完します。
具体的には1.異常病変の発見、2.発見した病変が良性か悪性かの判定、3.病変の範囲の判定、をリアルタイムに支援することでより早く正確な診断が可能となるため、結果的には患者さんの負担軽減につながっていきます。
学術の世界でも内視鏡検査におけるAIの有用性を報告する論文がすでに多数出ており、その評価は高まってきています。大腸の内視鏡ではすでに製品化が始まっており、胃の製品などは間もなく実現する見通しです。
今後内視鏡のAIが普及していけば、よりすばやく的確にがんを発見・診断できるようになるものと期待されます。