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皮膚症状は全身の鏡 ~発疹から隠された病気を見つける~

皮膚科2021/12/22

 皮膚は全身を覆い包む一つの臓器です。その面積は1.6㎡(畳1畳分の大きさ)、重さは9㎏もあり、内臓で最も重い肝臓の2倍に相当します。そして皮膚は免疫機能を持つ細胞(リンパ球と称される細胞)が最も集まってくる臓器でもあります。よって体内で起こる現象(病気)に対して、皮膚の中で免疫反応が生じ、発疹を生じることがあります。ゆえに注意深く皮膚を診察すると、隠された内臓の病気を発見できたりします。

 私が30年の臨床の場で経験したケースをいくつか記します。

 足底一面にぶ厚い鱗屑がある酷い水虫の方、足底が固くなり深い亀裂がなかなか治らないと受診された方、下肢全体が丸太のように腫れた方(蜂窩織炎)は、重度な糖尿病をみつけました。何度も身体に痛みを伴う発疹が出る帯状疱疹を経験した方には血液のガンである悪性リンパ腫をみつけ、早期治療につながりました。治療にてこずった慢性湿疹の方をよく調べると胃癌が見つかり、胃癌治療後には湿疹が消失したケースも経験しました。

 また、脱毛と手の爪がもろくなったことを訴えて受診された方の原因を腸の病気と疑い内科で大腸の内視鏡をしたところ、クロンカイト・カナダ症候群(胃や大腸にポリープが無数に広がって生じる難病)と言う非常に稀な病気をみつける貴重な経験もしました。

 このように皮膚症状は、まさに全身の鏡です。

 発疹から、その背後に隠されている重大な病気を見つけ出し、それぞれの専門医にコンサルトすることも皮膚科医、特に総合病院に勤務する者としては大切な責務です。

 皮膚病でお困りの方、また通院中でも満足な治療効果を得られていない方がいましたら、遠慮なく当科を受診してみて下さい。


Text by 真鍋 公 皮膚科医長( 2021年10月18日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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