お口の中をセルフチェック!
口腔癌(がん)は舌や歯肉などにできる癌で、口の中のどこにでも生じる癌です。口腔癌の罹患率は全癌の約1%を占めると考えられており、その発生率は低いものです。しかし人口の高齢化に伴い、口腔癌の患者数は増加しつつあります。口腔癌の治療は外科的切除、化学療法、放射線療法、化学放射線療法などがあり、患者さんの状態に合わせた治療法を選択していきます。初期の口腔癌ですと高い治療効果が期待できますが、病気が進行してしまうと治療後の機能障害が大きくなりQOLを低下させてしまうことがあります。
口腔癌には前癌病変という病態を経過して癌になるものがあります。前癌病変とは「正常な組織に比べて明らかに癌が発生しやすい形態的な変化を伴う組織」と定義され、臨床的に白板症と紅板症があります。白板症はこすっても剥がれない白色病変で、紅板症は燃えているような赤色斑をした病変です。白板症は3~16%、紅板症は約50%が癌化すると報告されています。白板症はその形態や生じた部位によって外科的切除となりますが、経過観察となる場合もあります。一方、紅板症の場合は外科的切除が一般的です。口腔癌の予防には、この前癌病変の段階で病気を発見することが大切です。
口の中は鏡があれば自分でも簡単に見ることができます。口腔癌の予防、早期発見のために月に1回程度のセルフチェックをお勧めします。鏡を見ながら、上下の唇の内側や歯肉→頬の粘膜→歯肉の裏側→口蓋→舌の表面、側面、裏面→口腔底など順番を決めて観察をしてみてください。白色や赤色が強くなっている部位がある、しこりがあるなど気になることがあれば、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科を受診してください。また、かかりつけ歯科医院への定期的な通院も口腔癌の予防、早期発見につながります。