大腸がん発見の新兵器
大腸がんは日本で最も多くの人がかかるがんです。死亡数では肺がん、胃がんについで第3位ですが、女性に限ると死亡数も第1位となっています[※1]。その大腸がんを発見する手段としては、便に血液が混じっていないかを調べる便 潜血検査や肛門から内視鏡を挿入する大腸内視鏡検査などがあります。大腸内視 鏡検査が最も確実な発見手段ですが、一方で検査を受ける方の身体的負担が大きく、羞恥心も働くため積極的に検査を希望する方が少ないのが実情です。
そのような中2012年に大腸CT検査が保険診療で可能となりました。この検査は、あらかじめ目印となる造影剤を混ぜた前処置食を食べてCTを撮影し、がんやポリープと紛らわしい便(目印を含んでいる)を画像処理で消去することで、より鮮明な大腸画像を構築できるようになったものです。前処置としての下剤の服用や、肛門から細いチューブを入れて炭酸ガスを注入するなどが必要ですが、それでも内視鏡検査に比べると体への負担は小さくなっています。国内での研究では直径6mm以上の大きさのがんやポリープのおよそ90%が検出できるとされており、直径1cm以上の病変に対しては内視鏡検査に匹敵する精度があるとされています[※2]。
検査をうける場合の注意点としては、この検査で異常が疑われた場合はあらためて内視鏡検査を受ける必要がある、ポリープ切除などの処置はできない、などがあげられます。この検査は現時点で保険の適用が「他の検査で大腸悪性腫瘍が疑われる患者」に限定されており、無症状の方が検診目的に保険でこの検査を受けることはできません。便潜血検査が陽性などで「要精査」判定となった場合の次の検査としての役割が期待されています。函館市内でも実施している医療機関がありますので、大腸内視鏡検査をためらっている方は検討してみるとよいでしょう。
「※1」国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計(人口動態統 計)」
[※2]第10回消化管先進画像診断研究会発表