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塩分を減らして夜のトイレを減らしましょう

泌尿器科2019/07/29

 ご存じでしょうか。食事などで摂取する塩分を今より減らすことができれば夜間のトイレの回数を減らすことが可能なのです。
 最近の医学研究により食事で一日に取った塩分量が夜間寝ている間に作られる尿量と大きく関係していることが分かってきました。適度な塩分摂取は体液の濃度や血圧を維持し体内の循環動態を安定化させる効果があります。しかしながら過剰に摂取してしまうと逆に循環動態は不安定となり高血圧やむくみの原因になります。そして夜間に作られる尿量をも増やしてしまうのです。
 普段から塩分の取りすぎには注意をしているのに夜間頻尿で困っているという人も診察中にはよく見かけます。その主な原因は次の三つです。

①自分では塩分を控えていると思っているのに実際には過剰摂取している場合。食事や調味料にどれだけの塩分が含まれているかを知らず、自分の味覚のみで判断している方は注意が必要です。漬け物、汁物、煮物、干物、練り物など、薄味に感じても含まれている塩分が多い食品はたくさんあります。本やインターネットサイトなどで正しい知識を身に付けて食事内容を見直すことで塩分摂取を減らすことが可能です。ちなみに日本では1日の塩分摂取量は、男性で8g未満、女性で7g未満、高血圧症や腎機能障害のある方では6g未満が目安とされています。

②塩分排泄能力が低下している場合。体内の余分な塩分の9割以上は腎臓から排泄されます。しかし、腎臓機能障害のある方や加齢により塩分排泄が減少している方は、効率の良い塩分制限ができないことがあります。このような方は一層の塩分制限も必要ですが余分な塩分の排泄を促す方法や治療の検討も必要になることがあります。正しい知識をもとに塩分制限を実施しても夜間頻尿が改善しない場合には医療機関への受診がすすめられます。

③塩分とは関連のない夜間頻尿も存在します。夜間、トイレに何度か起きるけど1回の排尿量が少ない場合は、膀胱機能など下部尿路の異常や睡眠障害など泌尿器以外の異常の可能性も考えなくてはなりません。この場合もやはり医療機関への受診がすすめられるでしょう。

  「普段から塩分は取らないようにしています」そう言っていた患者さんの詳しい食事内容を確認したところ1日塩分摂取量は約12gでした。大好きな煮物、練り物による塩分過剰であることが分かりました。
 正しい塩分の知識を身に付けるだけでも夜間頻尿は改善される可能性があります。


Text by 美原腎泌尿器科 田崎 雅敬( 2019年7月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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