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現在のリウマチ治療

整形外科2018/09/25

 関節リウマチは喫煙や歯周病などの生活環境や加齢に伴うホルモンの変化、あるいは遺伝的要因により関節内に炎症が起こることが最近の研究で明らかになっています。
具体的には体を構成しているタンパク質がいろいろな作用により異常なタンパク質に変わり、免疫は排除しようとして炎症が起こります。

 関節は関節包で覆われていますが、内部には滑膜と呼ばれ関節液を作る薄い膜があり、正常では関節液を作って軟骨の滑りをよくしています。
関節リウマチでは滑膜に炎症が起こり、関節包が厚くなり関節液をたくさん作るため関節が腫れ、炎症が持続すると軟骨や関節内の骨は壊れ、変形してしまいます。

 関節炎は例えると「火事」で、消火活動をしなければ建物は壊れてしまいます。
つまり関節炎を「消火」する治療、すなわち薬を使わなければなりません。
薬には痛みを抑える鎮痛剤、少量のステロイドなどありますが、関節炎を「消火」するわけではありません。
疾患修飾抗リウマチ剤と呼ばれ、関節炎を起こしている異常な免疫に作用して関節炎を抑える薬の使用が必要となります。
従来から免疫調整剤、抑制剤があり、代表的なのがメトトレキサートという薬です。
リウマチ治療のガイドラインでは関節リウマチの診断がつけば、メトトレキサートの使用が推奨されています。

 さらに近年、分子標的薬と呼ばれ、免疫細胞間の刺激を伝達するサイトカインの働きを抑える、あるいは細胞内に入った刺激が遺伝子に働くのを抑える抗リウマチ剤が相次いで登場しました。
現時点で7種類の抗体製剤と2種の化合物質があり、治療により関節炎が消失し「寛解」と言われる、いわゆる治ったに近い状態を達成することが可能となりました。

 ガイドラインではメトトレキサートが十分な効果が得られない場合に使用が薦められていますが、治療費用が高額で希望すれば誰でも受けられる治療とは言えません。
しかし、高額な治療費を支払わなくても済む国や地方の支援制度がありますので、治療を希望される方は医師に相談されると良いでしょう。


Text by 道南リウマチ・整形外科 北村 公一( 2018年9月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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