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糖尿病網膜症診療の現況

眼科2018/08/27

 現在、糖尿病とそれを強く疑う患者さんは1000万人を超えるといわれています。
糖尿病になると網膜血管の細胞が高血糖になって障害され、糖尿病網膜症になります。
糖尿病網膜症は糖尿病の最も怖い合併症の一つで、糖尿病患者の15~30%に生じます。
初期には自覚症状がなくじわじわ進行し、網膜症が起こるのは糖尿病発症後平均7~8年です。

 1992年に糖尿病網膜症は視覚障害の原因の1位でしたが、2017年には3位となっています。
これはこの25年で内科の先生による血糖コントロールがより良好に行われるようになったことと、早期に糖尿病網膜症の診断・治療がされるようになったこと、そして眼科診療の進歩によると思われます。

 糖尿病網膜症に対する病態の把握はこれまでの眼底検査や眼底造影検査に加えて、光干渉断層計(OCT)や広角眼底検査によってより正確にされるようになりました。
また、糖尿病網膜症の治療は網膜レーザー光凝固や硝子体(しょうしたい)手術の普及により失明に至る患者さんは減少しました。

 重度の視力障害になる患者さんは減少しましたが、現在糖尿病黄斑浮腫による視機能の低下が問題になっています。
黄斑浮腫の治療はこれまでの網膜レーザー光凝固、硝子体手術に加えて、ステロイドの眼局所投与、VEGF阻害剤硝子体投与が行われています。
以前より視機能の改善が期待できるようになりましたが、まだまだ限界があります。

 さらに最近ではOCT Angiography という造影剤を使わない検査やパターンスキャンレーザー、小切開硝子体手術のような低侵襲の治療が行われています。
診療はより進歩していますが、早期発見、早期治療が重要です。血糖検査を行い、糖尿病と診断されたら眼科を定期的に受診することをお勧めします。


Text by 江口眼科病院 森 文彦( 2018年8月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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