念のためにトイレに行くのは悪い習慣!?
家を出る前に念のためおしっこをしておこう。途中で出たくなったら困るから列車に乗る前にトイレに寄っておこう。
実はこれ、頻尿の原因となる悪い習慣であることが分かってきました。膀胱は主に筋肉でできており、尿を出すのも貯めるのも、この筋肉の運動によって行われます。まだもよおしてもいないのに念のためにトイレに行く、言い換えれば非常に少ないおしっこでトイレに行くということは、膀胱の尿を貯める筋肉運動をさぼっていることになるのです。
それともうひとつ悪い習慣があります。おしっこがしたくなったらすぐにトイレに行く習慣です。念のためトイレに行く場合に比べればまだ少しは貯めていると言えますが、おしっこがしたいと感じる尿量は約200mlです。成人膀胱の最大容量は約500mlですから、この場合もやはり尿を貯める筋肉運動をさぼっていることになります。
このように膀胱の尿を貯める運動をさぼり、少ないおしっこで排尿する習慣が毎日のように繰り返されると、当然のことながら膀胱の尿を貯める筋肉は衰え、やがておしっこが十分に貯められない状態、つまり頻尿になってしまいます。
念のためトイレに行かない、おしっこがしたくてもすぐには行かない、そしておしっこを少し我慢してからトイレに行くようにする。おしっこの我慢は「膀胱訓練」とも呼ばれ膀胱機能障害の治療にも用いられています。頻尿にならないようにするためにも、あるいはすでに頻尿で困っているならなおさらのこと、おしっこの我慢を始めてみましょう。ただし注意も必要です。おしっこの我慢も極端にし過ぎると痛みや排尿困難などトラブルを生じることがあります。余裕のある範囲の我慢から始めてください。また、頻尿の原因はさまざまであり、中には排尿障害や膀胱癌など重大な病気が原因となっていることもあります。我慢を続けても症状が改善しないときや排尿困難や残尿感、痛みや出血など頻尿以外の症状がある場合には泌尿器を受診しましょう。問診と超音波検査などの簡単な検査により診断、治療が可能です。