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高齢者の『てんかん』

脳神経外科2018/03/26

 「てんかん」と聞くと、気を失い、口から泡を吹き、全身が硬直する姿を思い浮かべるでしょう。
でも、これが全てではありません。
脳は一種の電子回路ですが、その回路が暴走すると「てんかん」になります。
脳は、場所により働きが違いますが、どこが暴走するかで、いろいろな形の発作が起きます。

 側頭葉てんかんというタイプは、行動の途中で突然、一点を見つめて行動を止め、片手はまさぐるように動き、口はモグモグと動かします。
持続は短いですが、完全に回復するまで数分かかります。
全身けいれんのような派手な症状はありませんが、意識はなくなり、その間の記憶が途切れるため、「物忘れ」として医療機関を受診することがあります。
発作の様子が担当医に伝わらないと、認知症として治療されることがあります。
当然、発作は止まりません。

 また、「てんかん」は、子供の病気、又は生まれつきのものと思っていませんか?
実は、高齢になると「てんかん」の発症が増えるのです。

 近年、高齢者の運転による交通事故が問題になっていますが、その中にてんかん発作によるものがあると考えられます。
本人に自覚がなく、他人から指摘されても、大人が「てんかん」になるとは思わないので、病気であることを認めず、運転を止めません。

 高齢者の「てんかん」は薬がよく効くと言われており、早期診断が望まれます。
診断には、脳波がよく使われますが、最近では、発作後数時間以内に、MRI検査で脳血流の変化を捉えると診断できることが注目されています。
しかし、何といっても、診断の鍵は発作の様子です。
目撃者の話が大事なのですが、現在では、スマートフォンによる発作の様子の動画記録を見れば、一目瞭然で診断できます。
また、本人も納得します。
発作の場に出合ったら、冷静に記録していただければと思います。


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2018年3月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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