ノンクラスプデンチャーについて(Ⅱ)
失った歯を補う方法としては、従来よりの方法であるブリッジ、デンチャー(入れ歯)、インプラント等ありますが、前回はその中でも審美性(見た目に入れ歯とは分かりにくい)という付加価値をもったノンクラスプデンチャー(金具を使わない入れ歯)についてお話ししました。
今回もこの入れ歯についてのお話しですが、今まで作製してきて感じたことや、前回の記事の補足、別の材料について付け加えたいと思います。 まず、今までいろいろな患者様の希望を聞き、それに対して説明をし、また実際作製してきて感じることは、この入れ歯は保険外のため自由に設計ができ、設計に制約のある保険の入れ歯より食事ができるように思います。
食事ができるというほかに、やはり他人に入れ歯だと気付かれたくないという付加価値を求めた入れ歯だということです。
したがって、残っている歯の治療も必要になる場合もあります。
また、この入れ歯はあくまで部分入れ歯なので、全く歯のない患者様には総入れ歯(金属床等)の扱いなります。
ともあれ金具が見えて気になる患者様、ブリッジのように健康な歯を削りたくない患者様、金属アレルギーのある患者様には適した方法だと思います。 次に材料についてお話しします。
前回は国内で薬事認可されている材料は4種類あるということを書きました。
その中でポリカーボネートという材料を使っていることを書きましたが、最近はポリアミド系(ポリエチレンテレフタレート:略してペット)の材料、ペットボトルの材料を使っています。
この材料の利点は樹脂の特徴として柔らかいため破折がしにくく、そのため厚みも薄くできて違和感が少ないという点にあります。
材料も日進月歩ですが、最近では国外生産のものも出回っていると聞きます。
もしこの入れ歯を希望するようなら、国産の安全な製品を作ってもらって下さい。
慢性疼痛(とうつう)について
「痛み」と言うと、どなたでも例えば、歯が痛んでつらい思いをしたというようなことがあると思いますが、それは一時的なものであり、治療を受ければ治るということが分かっているので、あまり問題になることはありません。
しかし、もしもその痛みが延々と果てしなく続くとしたら、その苦痛は耐えがたいものになるでしょう。
効果的であるはずの治療を受けているのにもかかわらず続く、あるいは原因が分からず、延々と続く、そのような痛みは「慢性疼痛」と呼ばれています。
このような痛みのひとつの例として「幻肢(げんし)痛」があります。
これは、例えば、切断されて無くなってしまったはずの腕が痛むというものです。
何らかの原因で腕に痛みが生じた場合、腕の切断によって痛みの原因が無くなったはずなのに、「同じように腕が痛む」ことがあります。一度体験した痛みが、その原因が無くなっても同じように起こることがあるわけです。
慢性の痛みには、現在の痛みの他に、過去の痛み、未来の痛みも関係していることが特徴的です。
現在痛むということだけではなく、ずっと前から同じように痛み続けてきたという記憶、これからもずっと同じように痛み続けるであろうという恐れや不安が苦悩を深めます(過去の痛み、未来の痛みも体験しているともいえます)。
神経科が慢性疼痛にかかわるのは、慢性の痛みが主な症状である神経科の病気が存在するということ、慢性疼痛には「うつ」が伴いやすいということ、適切な治療を受けているにもかかわらず痛みが続く場合、その中には神経科的な治療が効果的な場合があることなどの理由によります。
薬物治療では、うつの治療薬や精神安定剤が効果的な場合があります。
薬物療法以外には、リラクゼーション、認知行動療法なども行われます。
その名が示す通り難治性である場合が多いわけですが、あきらめずに、根気良く治療を続ける必要があります。
家族にうつす前に爪水虫を治しませんか
爪水虫は真菌というカビで起きる病気で、運が悪ければ、他の爪や皮膚、毛にもうつってしまいます。特に、糖尿病やがんの人、ご高齢者のような免疫力が下がっている人はうつりやすく、他の人に感染させてしまうことも多くなります。
爪水虫は非常に治りにくい疾患でしたが、現在3種類の内服薬と2種類の外用剤があり、以前よりは治りやすくなりました。内服薬は肝機能が悪くなることがありますが、外用剤よりも治るまでの期間が半年から1年と短く、ひどい爪水虫でも治りやすいというメリットがあります。3カ月で内服が終了となる薬もあり、もし肝機能が悪くなったとしても重篤になる前に内服薬が終了となりますので、以前よりも使用しやすくなりました。大切な家族にうつしてしまう前に、ご自身の爪水虫を治してしまいませんか。
本当に『体にいい』運動とは?
メタボリック症候群や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病やその予備軍と診断されている方は運動を行うことで治療の効果を高めることができます。代謝の改善、筋力回復を目指して運動を行うときには食後に、強すぎない(息切れがしない)運動を、1回15分以上行い、1日1時間程度までに抑えておくのがコツです。
運動の種類はウオーキングやサイクリングがよいでしょう。
これまでまったく運動をしていなかった方は週1回でも効果がありますが、できる方は週4回以上行うとよい、とされています。
代謝改善の効果は2か月続けると現れてくるので粘り強く続けることが必要ですが、まずははじめてみることが大切です。ただし体の状態を顧みずにいきなり運動するのは危険です。
健診などの機会に心電図や血液検査であらかじめチェックを受けておきましょう。
進学・就職の時期になると…先天性色覚異常について
進学・就職の時期になるとよく相談を受けるのが、先天性色覚異常かどうか? と言う質問です。
先天性色覚異常は、男性の5%(20人に1人)、女性でも0・2%に見られ原因は遺伝とされています。
「色覚異常は一つの個性であって、色弱や色盲という言葉が差別やいじめを生む」などから、学校検診で行われていた色覚検査が希望者だけになり、就職時の検査でも一部の職種を除いてほとんどが行われなくなりました。
しかしながら、いざ就職試験の時に初めて色覚異常を指摘されてショックを受る様なことが起きてしまいます。
さて、実際色覚異常の方はどんな見え方をしているのでしょうか?
網膜には赤・緑・青それぞれの光を感じる網膜細胞があって、その感じる力が弱い場合色覚異常になります。
特に赤と緑の障害の場合が多く、例えば、緑の葉っぱの中にある赤いきれいなつつじの花があっても、どこに花があるかが分からない、と言う事が起こります。
小学校に上がると緑色の黒板に赤いチョークで文字を書かれると、よく読めなかったり、図工の時間に写生をしたりするときにお花や消防車の絵を間違った色使いで描くこともあると思います。
ですから、家族・親戚に色覚異常のいるお子さんの場合、色覚検査は、小学校に上がる直前には色覚検査を受けておいて、小学校に上がるときに先生には相談しておくのが良いと思います。
眼科医をしていても、色覚異常の方がどう見えているとか、生活上どのような注意をしたら良いとかは実際分からないことばかりです。
そこで、当クリニックに来院された患者さんには参考になる本を紹介しています。
小さなお子さんの場合には「色弱の子供が分かる本 コミックQ&A」、就職を前にしている場合には「20人にひとりの遺伝子 色弱の子を持つすべての人へ」の2冊です。
ご家族はもちろん、是非、学校の先生や会社の方にも読んでいただきたい本だと思っています。
子宮癌検診を受けよう
最近子宮癌検診の受診率が下がってきています。
それと共に子宮癌も増えてきています。
2年前から、癌検診への市の補助の制度が変わりました。
30歳以上の函館市民は、毎年受けられたのが、20歳からになり、2年に一度に変わりました。
北斗市も同じです。
子宮癌には子宮頸膣部癌と子宮体部癌「内膜癌」があります。
子宮頸膣部癌は予防可能な癌です。
それは癌になる前の状態がわかっているという事です。
癌検診を定期的に受けることでその段階で見つけて治療することができ、癌の発症を防ぐ事が出来るからです。
またパピローマウイルスが子宮癌の発生に深く関わっていることが分かってきました。
このウイルスは最も頻度の高い性感染症で、20代女性の40-60%が感染しているといわれています。
性感染を起こすパピローマウイルスには40程度のタイプがあり、尖圭コンジローマの原因となるローリスクタイプと、子宮頸癌に関連するハイリスクタイプがあります。
ただしこのウイルスによる性感染は、ほとんどが自然に消失し、ごく一部のハイリスクタイプが感染を持続し癌の発症に関連します。
2006年にアメリカでこのハイリスクタイプに対するワクチンが開発認可され、これにより子宮癌を予防する事が出来るのではと期待されています。
子宮体部癌は毎月定期的に月経がきている方は、殆どならない癌で月経が極端に不規則な方、閉経前後の方になる癌で、閉経前後に不正性器出血のある方の3割がこの癌であると言われています。
この時期に出血したらその都度検診を受ける事が大事です。
がんの検査
日本人の死亡原因の第1位はがんで、統計によると約30%の人が、がんで亡くなっています。
また、一生のうちにがんにかかる確率は男性54%、女性41%で、男女とも約2人に1人は生涯で一度はがんにかかる可能性があるということになります。
内訳を見ると、男性は胃癌・大腸癌・肺癌が多く、女性は乳癌・大腸癌・胃癌にかかる人が多くなっています。
一昔前は、がん=死の病でしたが、治療の進歩により、早く見つければ治すことができる病気になってきています。
がんを早く見つけるためには、がん検診を受けることが大事です。
40歳以上の全ての人は、胃癌・大腸癌・肺癌の検診を1年に1回、受けることが推奨されており、20歳以上の女性は2年に1回子宮癌検診を、40歳以上の女性は2年に1回乳癌検診を受けることが推奨されています。
このような検診は、公的補助が出る場合もありますが、それとは別に、ある種のがんでは、血液検査で、がんになるリスクを推測することも出来るようになってきています。
たとえば胃癌では、ピロリ菌に感染しているかどうかと、胃が長期的に炎症を起こしているかどうかを血液で調べることで、胃癌になる可能性がどのくらいかを調べる、ABC検診が注目されてきています。
また、蛋白(たんぱく)質の元になるアミノ酸という物質の種類を組み合わせて調べることで、がんにかかっている危険度を、数種類のがんについて調べることも出来るようになってきています。
ただし、これらの検査はあくまでもがんにかかる危険性がどのくらいあるかを調べるもので、結果がよかったからといって、絶対がんにはかからないということではないということを理解しておくことが大事です。
また、人によっては検査が出来ない場合もあるので、検査を行っている病院に問い合わせてみてください。
耳鳴りへの対処の仕方
耳鳴りは患者さんにとって、大変つらい症状ですが、医者泣かせの症状でもあります。いろいろ検査しても、原因を特定することはできず、治療薬も全くないと言ってもいいでしょう。何件も医療機関を受診したけど、何処へ行っても原因は分からず、処方された薬を飲んでも、さっぱり改善しないという声をよく聞きます。
最近、テレビ番組でも取り上げられていましたが、耳鳴りへの対処方法は、耳鳴りを忘れることに尽きます。耳鳴りのある方は、そのために眠れないと訴えますが、耳鳴りがうるさくて眠れないのではなく、「何か悪い病気ではないか」という不安のために眠れないのです。MRI検査を受けたことのある方は御存じでしょうが、MRIの装置はかなり大きな音を出します。初めての方はびっくりしますが、慣れるとその騒音の中でも寝入ってしまう方が多いです。実は、人間は完全な静けさの方が苦手で、寝付けないものです。静かすぎると神経が研ぎ澄まされて敏感になり、眠れないのです。
一方、耳鳴りに悩まされている方は、耳鳴りの音に気持ちが集中してしまい、気になって仕方がないのですが、そういう方でも、多くの場合、日中、何かに集中している時には耳鳴りを忘れています。世間には色んな音が溢れていますが、それらの音全てに気を使ってはいません。人は、自分が聞きたい音に集中することができます。或いは何かに気を取られると周囲の音は忘れていたりします。これが究極の耳鳴りに対する治療です。つまり、寝るときには耳鳴り以外の音を聴くようにして、耳鳴りから注意を逸らすのです。もしくは、音でなくても、何か別なことに注意を向けて、耳鳴りを忘れることです。
ただし、此の対処方法は、耳鳴りの原因になる明らかな病気がないことを確認した後の話です。例えば、音を聴く神経に腫瘍があると、耳鳴りを伴うことがあります。そういった病気がないと診断されてからの対応だということを付け加えておきます。
男性の性(20)
性的に魅力的な体型というのは、男性と女性では感じ方がかなり違うようです。
男性から見て性的に魅力的な女性の体型は千差万別で、痩身長躯・豊満短躯・痩身短躯・豊満長躯と大雑把に分けると4タイプ、もちろん規格を著しく逸脱している場合、魅力的と感じる人は少ないのが現実ですが、どの体型が魅力的かは、オトコにとって『人の好みは十人十色』だと思います。 ところが女性から見た男性の、性的に魅力的な体型を、いわゆるタレントや俳優の人気投票などで見てみると例外なく痩身長躯が圧倒的で、身長についての好みは自分の身長との釣り合いを考えれているのか、好みにややばらつきがあっても、肥満体型の著名人が性的魅力上位にランクされることは滅多にないようです。 女性にとって、性的な意味でオトコはよくオオカミに例えられます。『オトコはオオカミなのよ〜、気をつけなさ〜い』『あなたもオオカミに変わりますかあ〜』(作詞はどちらも阿久悠)などと、ピンクレデイーや石野真子が歌うずっと以前から、道草した赤頭巾ちゃんを、おばあさんに化けて食べてしまうのもオオカミでした。
オオカミほど『飢えた』とか『痩せた』という形容詞がぴったりな動物はないような気がします。
女性にとってオオカミは恐怖の対象で危険だけど、裏腹に性的に魅力的なのではないか?と思ってしまいます。 今年の性機能学会雑誌8月号に『肥満と男性不妊』『肥満と勃起機能障害』という2つの演題が紹介されていました。
聖路加国際病院からと東邦大学大森病院からの報告です。
どちらも、肥満は男性不妊や勃起障害の危険因子のひとつとなりうるという内容でした。 若年女性(つまり妊娠・出産前の女性)が痩身男性に性的魅力を感じるのは、動物の本能としての生殖・種保存の観点からすれば当然なのかもしれません。
まさに『処女の直感は鋭い!』。(続く)
陰のうが大きくなってきたら・・・
陰のうの中には生殖器官として重要な精巣があります。
陰のう全体が腫れたときは、精巣に関係なく浮腫によることが多いです。
片側の陰のうが腫れたときは、痛みの有無にかかわらず泌尿器科専門医を受診したほうがいいです。
小児や高齢だと陰のう水腫によることが多く、小児は手術が必要なこともあります。
痛みのない腫れで重大な病気があります。
精巣腫瘍(がん)という病気です。
20代の若い年齢に多いですが、4才以下あるいは高齢でも発生する腫瘍です。
恥ずかしいからと親にも話さなかったり、受診しなかったりしますので、お子さんに腫れていないか聞いてみるといいでしょう。
大人の方は、たまにお風呂で触ってみる。
左右をくらべて大きさ、しこりがないかどうかチェックするといいでしょう。









