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機能性ディスペプシアという病気をご存知ですか?

内科2017/06/26

 心窩(しんか)部痛(みぞおちの痛み)、上腹部不快感(みぞおちの気持ち悪さや重苦しい感じ)、胃もたれ感(食べ物がいつまでも胃の中に残っている感じ)、早期飽満感(食べている途中で満腹感が出て食べられない感じ)はディスペプシア症状と呼ばれます。
ディスペプシアを訴える方は少なくなく、胃潰瘍や胃癌ではないかと心配して来院します。
しかし、ディスペプシアが長く続いていても、内視鏡検査で胃癌、胃・十二指腸潰瘍と診断される方は少数派です。
ピロリ菌による慢性胃炎と診断される方も半数以下です。
内視鏡検査や腹部エコーやCT検査を行っても、ディスペプシアの原因となる器質的疾患を認めない場合には、消化管の機能障害に伴って起こる症状、機能性ディスペプシアと診断します。

 機能障害とは例えば、食べたときに胃のふくらみが悪い(胃拡張障害)と、早期飽満感と関連します。
胃の内容物が胃から排出されないで長く胃に残る(胃排出障害)と、胃もたれが起こります。
これらは、心理社会的ストレスが原因になります。
非常に悲しいあるいは緊張する出来事があると、一時的に食欲の低下や胃が痛くなる経験があると思います。
機能性ディスペプシアはそのような状態が慢性的に続いている状態と考えるとわかりやすいと思います。

 機能性ディスペプシアの治療には、環境を変えてストレスを和らげることが重要ですが、治療に難渋し時間がかかることもあります。
症状を緩和させるのに複数の作用機序の違う薬剤を試みます。
私が北大で開発した飲水超音波検査は、水を飲みながら胃の運動を見ることで、胃拡張、胃排出、胃知覚の異常を評価します。
その結果によって障害を認めた胃機能に適した薬剤を選択することができます。


Text by 国立函館病院 加藤 元嗣( 2017年6月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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