子宮頚癌(しきゅうけいがん)
先日癌検診の受診率が下がっているとの記事が、新聞に載っていました。実際に子宮頚癌もその罹患(りかん)率、死亡数が、最近上昇傾向にあります。
子宮頚癌の最大の特徴は、予防可能な癌であるということです。異形成「子宮癌になる前の病変」の状態で見つけることができるためで、定期的に子宮癌検診を受けることで、異形性の段階で発見して、癌の発症を未然に防ぐことができるからです。
また最近、性器に感染する、ヒトパピローマウイルスが子宮頚癌の発生に深く関与していることが、わかってきています。 ヒトパピローマウイルス感染は最も頻度の高い性感染で、20歳前後の女性の40~60%が感染しているといわれています。性器感染を起こすパピローマウイルスには40程度の型があり、尖圭(せんけい)コンジローマや若年性喉頭乳頭腫の原因となる、ローリスクタイプと子宮頚癌に関連するハイリスクタイプがあります。
このウイルスによる性器感染は、ほとんどが自然に消失し、ごく一部のハイリスクタイプが感染を持続し癌を発症します。
欧米では従来の子宮癌検診にパピローマウイルスの検査を組み合わせておこなっています。どんな検査でも100%完全なものはなく、異常細胞の見落としはどうしてもおきます。この見落としをパピローマウイルス検査と組み合わせることで減らすことができます。同じような異型細胞が見つかっても、ウイルスが陽性であれば、陰性のヒトよりも悪性に進行するヒトが約20倍にもなることが分かってきています。
2006年6月に米国でワクチンが認可されました。このことにより子宮頚癌を予防することが現実となってきました。
米国のある州では11~12歳の少女全員にワクチンを接種。オーストラリアでは11歳から26歳の全少女、女性に無料で接種することが決まりました。
日本ではパピローマウイルス検査はまだ保険適応になっていません。またワクチンも認可されていません。
早く適応され、認可されればと思いますが、それでも定期的な癌検診を受けることで自分自身を守ることはできます。20代後半以上の女性はぜひ検診を受けて下さい。