眼からわかる全身疾患
眼球は直径24mmほどの小さな器官ですが、私たちが得る情報の約90%が視覚からであり、それが障害されると日常生活に支障をきたします。
また、眼の症状から他の病気を発見するきっかけになることもあります。
①散瞳剤をつけて眼底検査をすると、眼科医は動脈と静脈を直接見ることができます。
眼底は体の中で血管を直接見ることができる唯一の部分です。
血管の走行状態や出血から、糖尿病・高血圧症・癌の転移・白血病・SLEなどの膠原病などがみつかることがあります。
特に糖尿病は現代病であり、失明原因の第2位にもなっています。
眼底出血で発見され、血糖値を測定したら異常高値で即、内科に紹介ということも珍しくないことです。
②急な複視(物がずれて見える)や、片側の眼瞼下垂(まぶたが下がる)などの症状の時は、脳梗塞・脳腫瘍・脳動脈瘤による頭蓋内の神経の圧迫・甲状腺の異常・重症筋無力症などの筋肉の病気がみつかることがあります。
特に危険な脳動脈瘤は、くも膜下出血の前ぶれであり、放置すると命にかかわることもあるので、神経の麻痺と判断した場合は、即脳外科に紹介となります。
③目の周りのできものは良性のものがほとんどですが、まつ毛の際で増大していくものの中には基底細胞腫・有棘細胞癌・悪性黒色腫などの悪性の腫瘍もあります。
切除して病理組織診断して初めてわかることも稀にあります。
④目の周りの皮膚は全身の中で一番薄いので、すぐに荒れてしまいやすく、早めに治さないと感染症や色素沈着が長引くので、的確な治療が必要です。
以上のように、眼に関わる何らかの症状がある時は、放置せずに眼科を受診して下さい。
特に、症状の出ないうちに進行してしまう「緑内障」は失明原因第1位の病気です。
視野検査を受ければ見つけることができます。眼科の検査は痛い検査はひとつもありません。
気軽に「目の検診」を受けて、いつまでも見える目でいられるように、早期発見・早期治療につとめましょう。