乾き目なのに涙目 ~結膜弛緩症(けつまつしかんしょう)~
白目(強膜:きょうまく)の表面は結膜(けつまく)という薄い膜で覆われています。
その結膜は黒目(角膜:かくまく)から始まって外側へ伸び、数㎝外側でUターンして赤目(眼瞼:まぶた)の表面から瞼の縁まで戻ってきます。
両手で薄い透明なビニール袋を持っている状態を想像してみてください。
そのビニール袋の中に涙がたまっていて瞬きをする度に角膜の表面を涙が覆って潤してくれます。年齢とともにこの結膜がゆるんでだぶついてきてしまう方がいます。
この状態を結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)と言います。結膜弛緩症になるとゆるんできた結膜は上の方に上がってきて、下瞼の縁からはみ出して角膜の上まで飛び出して、下瞼の縁から白目の固まりが盛り上がって見えるようになっています。この状態になると、結膜の折り返し部分に涙をためることが出来ないため涙があふれて涙目になってします。
でも逆に、折り返し地点に涙がちゃんとたまっていないということは瞬きをしたときに涙が黒目を綺麗に覆うことが出来ず、すぐに涙が蒸発してしまうということです。
ですから、結膜弛緩症の方の問診票を見ると、「涙が多い」と「目が乾く」の両方に丸がついている場合がよく見られます。そのほかに、シブシブする、イズい、目やにがたまる、涙が目尻にあふれるので目尻の皮膚が肌荒れする、といった症状も出てきます。治療法としては、結膜を引っ張って張りを持たせた状態で強膜に縫い付ける結膜縫合術(けつまくほうごうじゅつ)を行います。
程度の軽い場合には引っ張って強膜に縫い付けますが、程度の重い場合には結膜やその下にあるテノン膜を切り取ってから縫い付ける場合もあります。涙目だけれど乾き目、シブシブする、朝目やにがたまっているという方は一度眼科を受診して結膜の状態をチェックしましょう。
新時代に入ったリウマチ治療
関節リウマチは、手足の関節が腫れて痛み、進行すると関節の機能障害をきたす原因不明の疾患です。
これまでは治療しても十分な改善が得られず、関節破壊を食い止められないこともしばしばでした。
しかし、ここ数年の間に治療効果の高い画期的な薬が次々と開発され、状況が一変しました。
これらは「生物学的製剤」と呼ばれるもので、現在4種類の薬が使われています。
有効率は約80%と、従来の薬に比べてはるかに高く、日常生活に不自由がない程度まで改善することもあります。
また、関節破壊を抑える効果も高いことがわかっています。
ただし、問題点がないわけではありません。
免疫を抑える働きが強いので感染症のリスクが高まること、非常に高価であることなどです。
有効性・安全性・経済性を十分考えて上手に使用すれば、患者さんにとって大きな福音となるでしょう。
血液透析治療と水との関係
最近コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で、多種多様なミネラルウォーターが販売されているのを目にし、水に対する関心の高さがうかがえます。私たちが行っている血液透析治療も水がとても重要な役割をはたしていることをご存知でしょうか。
血液透析というのは、腎臓の働きが悪くなってしまった時に、腎臓の役目を果たす治療法ですが、具体的には、老廃物のたまった血液を身体の外に取り出し、透析器(ダイアライザー)の中できれいにして、再び身体に戻すという治療です。この老廃物を血液から取り除くために、ダイアライザーという小さな孔がたくさんあいた特殊な膜を介して血液と水(透析液)が逆方向に流れることによって、色々な老廃物を血液から取り除いて血液をきれいにします。そのため、透析治療では透析液がたくさん必要となります。
透析液は、各透析施設の中で、水道水を原料として作られていますが、浄化をする前は、鉄分やカルシウム・マグネシウムなどのミネラル、塩素、また細菌や細菌が壊れてバラバラになる際に出てくる毒素(エンドトキシンと呼ばれています)なども入っています。これらの不純物を取り除いて、きれいな透析液を作ることが必要となります。最近は特に透析液の水質が注目されています。なぜなら、透析液と血液とは直接まざりあうわけではないのですが、本来の目的の血液から透析液へ老廃物が移行するだけではなく、逆に透析液からエンドトキシンなどが血液に移行してしまうこともあるからです。
エンドトキシンが含まれていないきれいな透析液で透析をすると短期的には貧血を改善したり、血圧の低下や発熱などが少なくなり、シャント(手術によって動脈と静脈をつなぎ、動脈から直接静脈に血液を流すこと)の閉塞が減るなどの報告もされていますし、長期的には動脈硬化や透析アミロイドーシスなどの合併症の発症に対しての抑制効果が期待できます。もちろん、透析液の水質管理以外にも、透析治療には必要なことがたくさんありますが、きれいな水(透析液)が、「より良い透析ライフ」に直結していくものと考えています。
夜間頻尿と塩分の関係
最近の研究で、夜寝ている間に作られる尿量と一日に取った塩分量が大きく関係していることが分かってきました。余分な塩分は高血圧やむくみを生じさせ、それが夜間の尿量を増やすことにつながります。昼間はそれほどではないけど夜の頻尿で困っているという方は、塩分摂取を減らすことで夜間頻尿を改善させることができるかもしれません。
日本では一日の塩分摂取は、男性8g未満、女性7g未満、高血圧症や腎機能障害のある方は6g未満が目安とされます。薄味に感じても含まれている塩分が多い食品はたくさんあります。本やインターネットなどで正しい知識を身につけ食事内容を見直すことで正しい塩分管理が可能となります。ただし高齢者は、塩分を制限したために食欲が低下し十分な栄養が取れず体調を崩してしまう場合があります。無理のない範囲で調整することも大切です。
取りすぎてしまった塩分を積極的に排泄させる方法もあります。イモ類や緑黄色野菜、ナッツ類などカリウムを比較的多く含む食材を料理に加えると塩分排泄効果があることが知られています。ただし腎臓機能の悪い方はカリウム摂取により不整脈など重篤な合併症を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。多くの場合余分な塩分は水分とともに下半身にたまることが多いため、下肢のマッサージや運動、下半身浴などによるむくみの解消も夜間頻尿対策として効果が期待されます。
終わりに。腎臓機能障害のある方や加齢により塩分排泄が減少している方では、効率の良い塩分制限ができないことがあります。塩分制限を実施しても夜間頻尿が改善しない場合には医療機関への受診が勧められます。
また、塩分とは関連のない夜間頻尿も存在します。夜間、トイレに何度か起きるけど一回の排尿量が少ない場合は、ぼうこう機能など下部尿路の異常や睡眠障害など泌尿器以外の異常も考えなくてはなりません。この場合もやはり医療機関への受診が勧められるでしょう。
目の周囲の若返り
上まぶたのたるみ、目の下の小じわ・たるみそしてくすみ、目尻の小じわ・笑じわなどの若返りを目的とした切開をせずに行う治療方法についてお話いたします。 皮膚再生治療であるセルリバイブ・ジータは自分の濃縮血小板を注入する安全で、迅速に変化が見られ、施術後2時間で化粧ができ、肌質も改善され、2〜3年維持される満足度の高い方法です。
細部に対しより上質の若返りを希望するときにはフォトフェイシャルなどのIPL・RF治療を行います。
アンチエイジングとして毎日のスキンセラピーと細胞整合性医学に基づいたヘム鉄・アミノ酸・ビタミンB、Cなど信頼のある高濃度のサプリメントを服用することで「現状維持」以上の肌の若返り・老化予防が可能となります。 目の周囲の肌は薄く、繊細な部分です。
総合的に治療をすることで迅速な若返りが期待できます。 カウンセリングで、治療方法、治療経過を十分お聞きになった上で治療をお受けになることをおすすめします。
自宅で介護するということ ~訪問介護を利用しましょう~
「やっぱり家はいいなあ。」「連れて帰ってきて良かった。」と自宅で療養生活をしている皆さんからよく聞かれる言葉です。
訪問看護は赤ちゃんからお年寄りまで年齢に関係なく利用できます。
病気や障害を持った人が、住み慣れた地域や家庭でその人らしく療養生活が送れるように、私たちが『生活の場』へ訪問し、看護ケアを提供し、自立を促し、療養生活を支援します。
夜間も心配なことがあれば相談や自宅に訪問するサービスもあります。
家族や一人だけで介護できない、退院なんて不安で困ると思ったらまず、医師や近くの包括センター、ケアマネジャーに相談し訪問看護サービスを受けたいと話してください。
安心して自分らしい生活が送れるお手伝いをします。
運動のススメ
「忙しくてできないけど、運動不足だなぁー」と、後ろめたい気持になっている人は多いことと思います。
一念発起してジムに通い始めても、3〜6カ月もすると、「行かなくなってしまった」ということで、せっかく減った体重がもと以上に増えていることもあります。
残念なことです。「健康日本21」など、政府の「運動をしよう」と呼びかけるキャンペーンもありましたが、習慣的に運動をするのは、3人に1人程度だそうです。
動脈硬化は、高血圧や糖尿病などでどんどん進みますが、運動が唯一進行を防ぐ手段です。
動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞の原因です。
「仕事や余暇で体を動かす人は心筋梗塞や脳卒中の発症が少ない」といわれていますが、若い時に運動競技をやっていても、運動を続けていないと、この保護効果は無くなってしまいます。
「昔は野球をやっていたから大丈夫」と思っていても、普段から運動をしていないと「中年以降には動脈硬化が進んでしまっている」ということはよくあります。JAMAという米国医学雑誌に載った論文で、アメリカ人の真の死因にもっとも影響していることを調べた研究では、死因に関係する要素の第1位は「喫煙」ですが、第2位に「過食と運動不足」が入っていました。
運動不足はメタボの原因でもありますが、それ自体が死に至る病気ということになります。
日々、手ごろにできる運動を、飽きずに繰り返して続けることが肝心です。
簡単にいつでも思いついた時にできる運動として、ウォーキングを勧めています。
週に4回以上、1回20〜30分間、額にうっすらと汗がにじむ速さでの速歩が良いです。
肩甲骨が動くように手を動かすと上半身も使った全身運動ができます。
同程度の運動としては、自転車こぎ15分、バレーボール20分、ゴルフ15分、水泳7分があります。
「病気の予防のため」とか「健康のため」と考えるよりは、「好きな運動をやっているだけ」という方が続くと思われるので、何か好きな運動を見つけてしましょう。
ケアマネジャーの役割
ケアマネジャーは、ご利用者が入院した時、病院へ出向き家族構成や生活歴、既往歴、身体状態、現在使用している介護保険サービスについてなどの情報提供を行う事や、病院で開催されるカンファレンスへ参加するなど医療との関わりを積極的に行っています。
なぜこのような関わりが必要であるかと言うと、今後の治療方針や退院支援などの方向性がスムーズになり、なによりも、ご利用者のQOL(Quality of life=クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の確保を行い退院後も安心・快適な生活を送ることができるようにするためです。
医療と介護の懸け橋役となっているのがケアマネジャーです。
事故や病気で入院し今後、誰かの介護や支援が必要と言われた際には、ケアマネジャーへご相談ください。
不育症は赤ちゃんができない大きな原因のひとつ
不育症は、妊娠はできても胎児が発育することができず、妊娠初期に流産してしまうものです。「私は妊娠するから不妊症ではない」と考える方もいるでしょう。確かに不妊症ではありませんが、元気な産声を上げる赤ちゃんが授からないという点では同じです。せっかく妊娠して、赤ちゃんを抱けると期待がふくらむ中で流産してしまうのですから、心身ともに強いショックを受ける方も少なくありません。中には、二度、三度、流産を繰り返す方もいます。
不育症の原因は大きく
(1)内分泌異常
(2)子宮内腔の異常
(3)夫婦の染色体異常
(4)母体の免疫異常
(5)母体の血液凝固異常
(6)原因不明
の六つに分類されます。
中でも最近とくに目立つのは、母体の免疫異常によるものです。
急速な経済成長を遂げた日本では、生活習慣、とくに食生活や住環境などが大きく変化しました。加えて、環境汚染や日常生活における精神面のストレスなどは増える一方です。これらが私たちの体に影響しないはずはありません。本来、体を守る免疫システムが正常に保つことができなくなると、自己免疫と異物に対する免疫機能が異常に活発になり、ナチュラルキラー細胞が活性化されます。この結果、子宮内の胎児を攻撃し、流産してしまうとも考えられます。
不育症の治療は、原因により困難な場合もありますが、流産の予防措置等をすることで、元気な赤ちゃんを授かることができるようになってきました。
不妊治療の現場にいる医師として、不妊症同様に不育症も増加する傾向があると感じます。不育症は広い意味の不妊症に入ります。流産を経験された方は、早めに不妊症専門医による検査を受けたほうがよいでしょう。
出産経験のある方もその後の体質変化などで不育症になることもあります。心配なら一度検査を受けてみるとよいでしょう。
こむら返り
「こむら返り」は皆さんご存知でしょう。俗に「足が攣(つ)る」とか「足が攣(つ)った」とかと言いますね。脹脛の筋肉が硬く収縮して痛みを感じます。或いは足のユビが攣(つ)ることも有ります。
なぜ、こんなことが起こるのか、理由は分かっていないようで、色々な教科書を調べてみても、どんな病気の時に見られるかということは書いてありますが、メカニズムの説明は見つけられませんでした。ですから、これから説明する内容は、筆者の個人的考えであって、正解ではないかもしれないことを初めにお断りしておきます。しかし、当たらずとも遠からずと思っています。
患者さんから「足が攣(つ)る」と聞いた場合、血管が専門の医師は下腿静脈瘤を疑います。脹脛に青黒くトグロを巻いたように見える血管の塊りです。スポーツ選手の足が攣(つ)って、チームメートが脹脛を伸ばしてあげる姿を見かけます。この場合は、筋肉に「疲労物質」が溜まって起こると考えます。下腿静脈瘤の場合は、これと同じようなことが起きていると考えられます。つまり、静脈瘤のせいで、足に「血が溜まり気味」になり、運動したのと同じように「疲労物質」が溜まって、攣(つ)るのでしょう。
神経が専門の医師は、「足が攣(つ)る」と聞くと、腰の病気を疑います。「脊柱管狭窄症」などの病気があると、足を動かす神経が腰で障害され、脳のコントロールが効かなくなり、筋肉を収縮させるせいで「こむら返り」が起こると考えます。
「こむら返り」がしょっちゅう、特に夜寝ているときに起こる場合、こういう病気が原因のことがあります。下腿静脈瘤は、超音波エコー検査などで確認できますし、腰の病気はMRI検査で診断できます。いずれの場合にも、有効な治療方法がありますので、心当たりがある方は、医師に相談してみましょう。









