婦人科の出血
婦人科を受診する方の三分の一は出血を訴えて来院します。出血のトラブルは新生児から老年にいたるすべての女性に起きることです。出血のトラブルには、月経の異常と不正出血があります。
月経とは一定の周期をもって反復する子宮内膜よりの出血であり、二十五~三十八日の周期で三~七日持続する。と定義されています。
月経の異常として―
(1)初めての月経が十歳前に来る早発月経。十五歳以後に来る遅発月経。特に十八歳になっても来ないものを、原発性無月経といいます。甲状腺の異常。副腎の異常。卵巣のホルモン産生腫瘍。性器の奇形を疑います。
(2)周期の異常では二十四日以内で来る頻発月経。三十九日以上九十日以内で来る希発月経。
(3)量の異常として少ない過少月経。多すぎる過多月経。
(4)持続日数が二日以内の過短月経。八日以上続く過長月経―などがあります。
基礎体温をつける。カレンダーに月経の始まった日、終わった日、量が「多かった、少なかった」痛み等をつけるようにしておくと診断の助けになります。
不正出血とは生理的な出血「月経、分娩、産褥(さんじょく)」以外の病的な出血をいいます。
(1)器質的原因によるもの。すなわち頸管ポリープ。子宮膣部ビラン。内膜ポリープ。慢性内膜炎。炎症性疾患。子宮ガン。子宮筋腫。卵巣、卵管の腫瘍。出血性素因によるもの。外傷性のもの―等による出血。
(2)妊娠に伴う出血。切迫流産。進行流産。子宮外妊娠。胞状奇胎。早産。前置胎盤。弛緩(しかん)出血など。
(3)機能性出血。子宮出血のうち、月経、妊娠、器質的疾患によると考えられるものを除いたものをいいます。
どの年代にも、また、無排卵性、排卵性いずれの場合でも起こります。ホルモンの乱れによる内膜の増殖、萎縮、不規則な内膜の剥脱(はくだつ)などが原因です。
いずれの場合も、数カ月前からの月経がいつあったか、状態はどうだったか、月経以外の出血はいつあったのか、量などをメモして婦人科を受診してください。