飲み過ぎ用心!
新年度も始まって歓迎会やお花見などでお酒を飲む機会が増えますが、アルコールによる事故の話題も散見されます。アルコールには脳を麻痺させる作用があります。気分がよくなったり陽気になったりするのもこのためですが、度が過ぎると意識がなくなったり、呼吸が止まったりすることもあるのです。酔っぱらって意識がなくなっているときは、吐いたものを誤って飲むことで窒息する危険もあります。仰向けよりも横向きに寝かせた方が窒息のリスクを防げます。ぐったりしていたり、呼吸の様子がおかしくなったりしているようなら、すぐに救急車を呼んで病院に運んだほうが良いでしょう。常に誰かが側にいて観察していることも大事です。もっとも、そのような事態にならないように、短時間に多量に飲酒するようなことはやめた方がよいでしょう。
目薬でも改善しない目の不快感は?
目の乾き、かすみ、涙目、ゴロゴロする、しょぼしょぼする、などの不快感は、60歳以上になるとほとんどの方が感じているようです。実は、これは涙と深い関係があります。
健康な目は、下まぶたにたまった涙が、まばたきによって持ち上げられ、眼球の表面を覆います。歳を取ると、涙の量が少なくなったり、涙の質が悪くなったりするために、充分に眼球表面を潤すことができなくなるのが「ドライアイ」です。目の乾きがあると、こすれる原因になり、先に述べたような不快感が出るので、眼球表面を保護、または抗炎症の点眼をつけなくてはなりません。「ドライアイ」は、目をつぶっていると症状が軽く感じるのがポイントです。
それに比べて、目をつぶってもずっと不快感がとれない病気に「結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)」というものがあります。
人は一日に1~2万回もまばたきをしているので、歳を取るにつれ、結膜(白目の表面の薄い膜)のたるみができてしまうのです。この結膜のたるみができてしまうと、このたるみが邪魔して、下まぶたに涙がたまることができなくなり、涙があふれたり、涙が正常に眼球表面を覆えなくなり、乾き目になったりします。
この「結膜弛緩症」は、軽い症状の場合は、ドライアイと同じような点眼治療でも効果がありますが、不快感が続いている場合には、たるんだ結膜を縮める手術が効果的です。表面麻酔をして痛みを感じなくしてから、たるんだ結膜の部分に熱を加えて縮ませることができます。これは、切開して縫い縮める方法よりも術後の痛みも少なく、外来で10分前後で終了する手術方法です。
下まぶたのすぐ内側に透明な膜のような物がたるんで見える方・目の不快感が取れない方は、結膜弛緩症かもしれませんので、一度眼科を受診してみて下さい。
困っていませんか? 夜間頻尿
夜中に何度もトイレに起きてしまう。
間に合わず漏れてしまう。
このような症状でお困りの方も多いと思います。
夜間頻尿は前立腺肥大症や過活動膀胱など泌尿器系の病気だけではなく、内科や循環器科など全身的な要素が関連した病態であることが分かってきました。
最近では苦痛を伴わない簡単な検査のみで診断や治療を行うことが可能となってきています。
夜間頻尿は大きく3つの型に分けられます。
①1日を通して尿量が多い型
②夜間の尿量が多い型
③1回の排尿量が少ない型
治療はこの点に着目し、問診や排尿日記をつけてもらうことで診断を行い、採血検査や超音波検査の結果にもとづいてそれぞれの状態に応じて行われます。
実際には内服薬といくつかの生活指導や行動療法を組み合わせた治療を行います。
内服薬としては、夜間に作られる尿量を減少させたり1回にためられる尿量を減少させたり1回にためられる尿量を増やす効果のあるものが主に使われます。
内服薬以外では、排尿を我慢する膀胱訓練や弾性ストッキングによる足のむくみ治療も夜間頻尿改善に効果があることが分かってきており、これらの治療を組み合わせることで、より確実な夜間頻尿治療が行えるよう工夫しております。
その結果、当院で治療を受けた方のうち約9割で夜間頻尿回数が減少し、平均するとひと晩に2回程度排尿回数を減らすことができました。
さらにその後も観察を続け調整を加えることでそれ以上の効果が得られた方も少なくありません。
夜間頻尿は睡眠をさまたげるだけではなく、体調不良や様々な病気を引き起こす原因となることも報告されています。
最近になり症状が気になり始めた方、以前から症状があったのに検査が不安でつい受診ができなかった方は、1度専門医にご相談されることをお勧めします。
黄斑(おうはん)浮腫の診断と治療について
黄斑浮腫という病気をご存知でしょうか。
加齢黄斑変性に対するiPS細胞の臨床治験が注目されていますので、黄斑という言葉を知っている方は多いかもしれません。
眼に入ってきた光は網膜の上で像を結びますが、この中心にあるのが黄斑です。
黄斑浮腫はさまざまな疾患により、黄斑に血漿成分がたまり浮腫が起きる病気です。
黄斑浮腫が起きると視力が低下し、かすんだり、まん中が暗く見えたりします。
黄斑浮腫は糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの網膜疾患による炎症や虚血によって生じます。
黄斑浮腫の診断には光干渉断層計(OCT)という検査が最も有用で、これが用いられるまでは、眼底検査や細隙灯検査で診断が行われていました。
OCTは網膜の厚さをマイクロメートル単位で測定し、黄斑の形状を検査する装置です。
網膜が厚くなると黄斑浮腫が進行したことを意味し、網膜の厚さを測定することにより病状の改善や悪化を判断します。
このOCTの普及により黄斑浮腫の診断と治療の評価はより確実になりました。
黄斑浮腫の治療は網膜レーザー凝固術、その後は硝子体手術が行われてきました。
最近ではステロイド薬の局所投与など薬物治療が行われ、これは炎症を抑えることによって浮腫を改善させます。
また、虚血によって産生される血管内皮増殖因子(VEGF)が網膜の浮腫を引き起こしますこのVEGFを抑える薬を硝子体に注射する抗VEGF薬療法が最も新しく行なわれるようになりました。
抗VEGF薬療法は黄斑浮腫を改善させますが、再発することもあり、高価な薬を繰り返し投与しなければならないこともあります。
黄斑浮腫は原因疾患や症例によって予後はさまざまで、治療を組み合わせたり、繰り返さなければならないこともあります。
今まで治療困難なものも治療可能になってきましたが、さらに有効な治療の確立が望まれます。
症状の気になる方はぜひ眼科を受診してください。
「高い技術」と「温かい心」で地域連携を推進 道南圏の基幹病院としての役割を担う
1860年(万延元年)に道内初の官立病院として発足し150周年を迎える。
81年に救命救急センターとして認定されたのをはじめ、地域災害拠点病院などのほか、2006年には病院機能評価「Ver・5」を取得し、07年には道南地域では初めて地域がん診療連携拠点病院に指定された。
古くから「函病(かんびょう)さん」の名で親しまれ、道南圏における基幹病院として中心的役割を果たしている。 00年に新築移転したのを機に屋上にヘリポートを設置し、専従の救急医を配属するなど、救命救急センターを充実させた。
年間の救急患者数は約2万件、救急車搬入は約4500台を数え、365日24時間態勢で対応している。
総病床数は734床(一般598・感染症6・結核30・精神100)、ICU8床、HCU22床、人工腎臓センター30床を有する。
また高度医療に対応できるさまざまな最先端機器を整えている。
最新のMRIやCTをはじめ、RI(核医学検査)、マンモグラフィ、悪性腫瘍に対して定位放射線照射ができるリニアック(高エネルギー放射線治療装置)、最高水準の放射線治療ができるIMRT(強度変調放射線治療)、子宮頸がん治療などに効果を発揮するRALS(高線量率膣内照射装置)を導入している。
がん拠点病院及び救命救急センターであるため、その専門医療は多岐にわたる。
がん治療では各種悪性腫瘍に対し各科による専門診断・治療を行っているが、道南圏において悪性リンパ腫や白血病、骨髄腫などの血液疾患に対応できるのは同院しかないため患者が集中している。
産婦人科では10年11月に先進医療である腹腔鏡下子宮悪性腫瘍(子宮体がん)手術ができる施設として、道内では大学病院以外では初めて認定された。 循環器内科では09年の心カテーテル総数は800例で、うちPCI(経皮的冠動脈形成術)は306例と、道内有数の実績がある。心臓血管外科は急増する大動脈瘤に対して全国に先駆けて大動脈瘤センターを開設し、09年の腹部・胸部大動脈瘤の手術は122例、うちステントグラフト挿入術は86例あった。
呼吸器外科では肺がんなどに対し低侵襲手術であるVATSを積極的に取り入れている。
消化器疾患に対しては、07年1月より外科と連携して消化器病センター化し、外科疾患の場合に患者にとって消化器内科からの移行を便利にした。
消化器病センターは、同病院最大の入院患者数を誇る重要な診療科となり、消化器内視鏡などの検査件数および内視鏡治療件数などは合わせて年間8000~1万例に及ぶ。 1階には問診コーナーのほか「なんでも相談コーナー」を新設し、診療のみならず接遇や施設に対する意見なども受け付けている。
患者情報室「フォルテ」では医療情報が入手しやすい。
道南医療地域連携ネットワーク「道南メディカ」を立ち上げ、各医療機関と医療情報を共有することで重複した薬の処方や検査を避けるなど患者負担の軽減につなげている。
10年4月に就任した木村純院長は「良質な急性期医療を提供することが当院の担うべき最も重要な役割です。
そのために必要なのは『高い技術』と『温かい心』です。地域の各医療機関や住民と密に連携をとりながら常に向上を目指した研鑽を続ける所存です」と話す。
ノドの違和感~逆流性食道炎
ノドの違和感はアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、咽頭喉頭炎、感冒などの鼻、ノドの炎症性疾患、咽頭がん、喉頭がんなどの腫瘍性疾患、バセドー病や橋本病などの甲状腺疾患など様々な疾患で起こりますが、具体的な疾患が見当たらず症状のみがある患者さんもいらっしゃって耳鼻咽喉科医泣かせの症状でもあります。
そんな中、最近注目されているのが逆流性食道炎です。
胸焼けや食道病変を伴うのが普通ですがそれらの症状、病変を伴わない例もあります。
咽頭、喉頭などの粘膜は酸に弱く炎症を起こしやすいと言われておりノドの違和感を訴える患者さんに逆流性食道炎が認められ、咽頭や喉頭粘膜に炎症性変化が確認されたことで注目されるようになりました。
鼻やノドに疾患が見当たらずノドの違和感がある場合は逆流性食道炎を疑ってみることも必要と思います。
ストレスによる下痢・便秘
ストレスによって引き起こされる腸の病気に、「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」があります。「過敏性腸症候群」とは、大腸や小腸に潰瘍や癌などの原因となる異常が見つからないのに、便通異常(下痢や便秘)や腹痛、腹部膨満感が続く、又はおならが頻繁に出る等の症状が起こる病気です。
比較的まじめで几帳面な方が多く、職場や家庭での人間関係のストレス、転居や転職による環境の変化、過労や暴飲暴食などが引き金になって症状が現れます。このようなストレスが副交感神経を刺激し、腸の運動が過度に高まって、激しい腹痛や下痢が繰り返し起こるようになるのです。
便通異常の現れ方によって、三つの病型に分けられます。
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(1) |
便秘型―腹痛があり、便意があっても便が出にくく、ウサギの糞(ふん)のようなコロコロ便が出ます。 |
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(2) |
下痢型―緊張やストレスで、すぐにトイレに行きたくなり、軟便や水様性の下痢になります。下痢は長期間にわたり、重症の人ではいつどこで便意を催すかわかりません。逆にリラックスしているときは正常の便に戻ることも多いタイプです。 |
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(3) |
下痢・便秘交替型―腹痛・腹部不快感があり、下痢が続いた後、便秘が続くという状態を繰り返します。 |
治療は、まず、生活習慣の改善とストレスのコントロールが大切です。規則的な食生活や適度な運動や趣味でストレスを発散し、飲酒や喫煙は控えましょう。薬は、整腸剤や腸機能改善薬、または抗不安薬や抗うつ薬を用いることもあります。しかし、この病気は、長期間続き、完全には治りづらい病気です。生活を改善しながら、あせらずに治療を続け、上手に病気と付き合っていくことを心がけてください。
ただし、下痢や便秘の症状が続く時には、過敏性腸症候群以外にも、ポリープや大腸憩室炎、潰瘍(かいよう)性大腸炎やクローン病、痔なども考えられます。また、大腸がんの可能性も高く、十分注意が必要です。腹痛や便通異常が続く時には、大腸カメラなどの検査が必要です。最近では、機械や技術の進歩により、大腸カメラの苦痛も軽減され、検査時間も十五分~二十分程度です。
おなかの症状が気になるときには、恥ずかしがらずに、まず消化器専門医を受診しましょう。
気をつけて!! 簡単に買えてしまう、おしゃれなカラーコンタクト!!
近年、おしゃれ目的の度無しカラーコンタクトレンズ(以下:おしゃれカラコン)が雑貨屋、洋服店、ディスカウントストア、薬局などで販売されており、コンタクトの使い方を知らないまま、手軽にそのカラコンを初めてのコンタクトレンズとして装用している若者が増えています。
しかも、それらのおしゃれカラコンによる目の障害が増加し続けていることは本人達にはあまり知られておらず、本当に目が痛くなって初めて眼科に来て、カラコンの障害の恐ろしさに気づくようです。
本来コンタクトレンズは、眼科で検査を受けて自分の目の形に合ったレンズを選んでもらい、使い方の指導を受けてから装用を開始するべき高度管理医療機器です。
では、眼科以外で販売されているおしゃれカラコンは何がまずいのでしょうか?
①眼科受診をせずに店で簡単に購入し、目に入れてしまうので形が自分の目の形に合っていない場合がある。
②コンタクトレンズは高度管理医療機器なので必ず厚生大臣の承認が必要なのに、おしゃれカラコンは未承認の物が多い(承認と書いてあっても実は嘘であることが多い)。
③角膜への酸素供給が極めて少ない昔の安い素材で作られている。
④レンズが厚く、さらに着色部分の凹凸で角膜に傷をつけてしまう。
⑤着色部分の色素(金属)が溶け出して角膜に傷をつける。
以上のような色々な原因が重なって、本当に目が痛くなってからやっと眼科を受診してくるのです。
2014年の国民生活センターのおしゃれカラコンユーザー1000人へのアンケート調査では、約24%が最近1年間に目の調子が悪くなったと回答しています。
ソフトコンタクトレンズは自覚症状が出にくく、重症になって初めて痛みを感じることもあるので、痛みが無くても異物感や充血を感じたら早めに眼科を受診してください。
角膜障害を放置すると傷から細菌感染を起こし、視力が低下し、最悪の場合は失明になるほどの炎症がおきてしまうこともあるのです。
今では医療用のカラコンも種類が豊富です。
危険なおしゃれカラコンではなく、眼科で安全なカラコンを作りましょう。
疣(いぼ)の治療方法となかなか治らない疣(いぼ)の治療
疣とは俗称で老人性疣贅(脂漏性角化症)、尋常性疣贅、偏平疣贅、伝染性軟属腫など4種類に分けられます。
一般的治療としては液体窒素、ドライアイス、炭酸ガスレーザーなどが行われます。
浅く小さい疣であれば、1ー2回の治療で治りますが、広範囲であったり、深いものでは長期間の治療が必要な時もあります。
原因はそれぞれ異なり老人性疣贅は、皮膚の老化現象で遺伝的な要因と日光紫外線による光老化が要因です。
人やほかの部位に広がることはありませんが、あとの尋常性疣贅、偏平疣贅、伝染性軟属腫3つはウィルスが原因なので、このウィルスが付着した指で掻いたり、タオルなどで拭いたりすることで、ほかの部位に広がったり、また、自分での不適切な治療は、感染部位を広めたり、ほかの方にうつすことになるので、皮膚科または形成外科で診断治療を受けてください。
なかなか治らない疣(いぼ)に困っている方には、色素レーザー(Vbeam)による治療があります。
この治療は疣(いぼ)本体にダメージを与えるのではなく、疣(いぼ)の養う血管にダメージを与えて疣が生育できなくする方法です。
治療後の日常生活にも支障がなく、2~3回の治療で治療の有効性を感じることができます。
とくに足底や爪の周囲の盛り上がり、切り取らないと完治できないような難治性疣(いぼ)に有効です。
3mm程度の疣(いぼ)であれば、一個につき所要時間は5秒程度、料金は2,000~3000円(1照射:1000円)です。
色素レーザー(Vbeam)による治療は保険治療ではありませんが有効な治療です。
費用に関しては疣の症状によって異なりますので医師に相談してください。
『NASH』(ナッシュ)という用語を聞いたことはありますか? 〜脂肪肝との違いは?
「NASH」という用語を聞いたことはおありでしょうか。
「非アルコール性脂肪性肝炎(non alcoholic steato hepatitis:頭文字でNASH)」のことで、これはアルコールによらない脂肪肝が肝炎に進展した状態です。
これまで、普通の肥満や糖尿病などのメタボリック症候群で起こる単純な脂肪肝は、それ以上進行しないとされていましたが、その中で10人に1〜2人はナッシュを引き起こし、さらには肝硬変・肝がんへと進行する例があることが分かってきました。
単純な脂肪肝では肝臓の細胞に中性脂肪が貯まっているだけで、肝細胞の壊死や炎症、線維化は見られず、原因が無くなれば改善し元に戻ります。
一方ナッシュではアルコール性肝炎と同様の肝炎が起き、一部は肝硬変・肝がんへ進行する例も出てくるわけです。
単純な脂肪肝の1〜2割が、どういう場合にナッシュに進展するのか、まだはっきりとは分かっていませんが、脂肪の沈着に続き内蔵脂肪細胞から分泌される「サイトカイン」と呼ばれる因子や肝細胞での活性酸素の発生、さらに鉄蓄積などが加わった場合に発症するのではないかと推測されています。
診療において具体的に単純性脂肪肝からナッシュへの進展を疑うのは、肝機能のAST/ALT比の上昇(AST優位)に加え血小板の減少やヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲンなどの線維化マーカーの上昇があります。
さらに専門的には、超音波により肝臓の硬さ・線維化を測定するエラストグラフィー(硬度画像診断)も開発されています。
治療としてはインスリン抵抗性改善薬や肝庇護剤、坑酸化作用のあるビタミンE、高脂血症治療薬などが試みられています。
日常的には適正体重の維持、メタボリック症候群の是正が重要です。









