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『おりもの』の話

産科婦人科2008/08/13

 最近、おりものが多い。臭いがする。外陰部がかゆい、痛い。と訴えて来られる方が増えています。また一方で、診察しておりものが多いなあと思っても、全然気にしない方もいらっしゃいます。おりものの感じ方は、個人差が多いようです。おりものとは、外陰、膣、子宮頚管、子宮腔、卵管などからの分泌物、浸出液をいいます。

 増える原因により、生理的おりものと病的おりものにわけられます。生理的おりものの原因には、ホルモンによるもの、排卵、妊娠、卵胞ホルモン製剤の投与、子宮膣部びらん、萎縮性膣炎(閉経による卵胞ホルモンの減少による)などがあり、病的おりものには、炎症性のものと、腫瘍性のものがあります。炎症によるものは、性感染症=トリコモナス症、尖圭コンジローマ、淋病、クラミジア感染症、性器ヘルペス、など。性感染症以外の炎症によるものとして、細菌性膣炎、カンジダ症、頚管炎、子宮内膜炎、卵管炎、バルトリン線炎、などが原因となります。

 腫瘍性のものには、子宮頚癌、子宮体癌、外陰癌、など悪性腫瘍、頚管ポリープ、子宮筋腫があります。規則的に月経がきている成熟期の女性では、膣は主に卵胞ホルモンの働きで、酸性に保たれて、細菌の増殖を抑えています。これを膣の自浄作用といいます。小児期や、閉経期以後には、卵胞ホルモンの分泌が不十分なため、膣の自浄作用は低下しており、膣炎を起こしやすくなっています。成熟期の女性では、慢性の頚管炎などによる粘液の増量、精液、月経血、過度の膣洗浄などで自浄作用が低下します。おりものが多いときに、生理的なものか、病的なものかを判断するには、色は白い、膿のように黄色い、透明で水のよう、血液が混じる、臭う、他には、かゆい、痛い、下腹痛、腰痛がある、などを聞いて検査をすすめます。

 小児期のおりものの異常の多くは、外陰、膣の炎症に伴っておき、外陰の不潔、下着の刺激、外傷、膣内異物などが原因となります。更年期から閉経期老年期の女性に起きるおりものの異常は、ほとんどが卵胞ホルモンの分泌低下による性器の萎縮性変化によるものですが、子宮頚癌、子宮体癌によることもあり検査が必要です。


Text by 松浦 敏章(  「」掲載)

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