遠近コンタクトレンズと老眼
僕が眼科クリニックを開業したのがまだ30歳代頃になりますが、そのころから遠近両用コンタクトレンズ(以下CL)はこれから使う方が増えてくるだろうと考えていました。
ですが、いかんせん、その当時は自分はまだ老眼ではなかったものですから、テストレンズをつけてみてもよく見えているのかどうか実感がありませんでした。
ところが、50歳にもなってくると自分でも急に老眼になってきました。
そこで自分でもCLの老眼対策をしなくてはならないこととなり、もう一度遠近両用CLを試してみました。
するとどうでしょう。
今度は遠くはもちろん近くも見やすくなっているではありませんか。
改めて遠近CLを見直してみました。
遠近両用CLの仕組みはどうなっているのでしょうか?
遠近両用CLはあの小さいコンタクレンズの中に、遠くが見える度数と近くが見える度数を並べています。
そこで、遠くにピントのあう光と近くにピントのあう光の常時二つの光が目に入ってくるのですが、遠くを見ようと思った時・近くを見ようと思った時、それぞれに目的の光情報を頭の中でピックアップして、いらない光情報を半分カットしています。
それ故逆にピントの合っていない光情報も、常に目の中に入っているためちょっとずつにじんだ感じを感じられてしまいます。
ですからレンズの大きな普通の眼鏡に比べて全てがすっきりというわけにも行かないのが実情です。
それでも、普通のCLから遠近両用CLに替えたときに近くの文字が見やすくなるのには、初めてCLを付けた時以上に感動しました。
最近はゴルフをするのにスコアカードが見えない、老眼鏡をかけるのはファッション的にかっこわるいので遠近両用CLを希望しますというような、50歳になってCLを初めて使う方も増えています。