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せん妄①

心療内科2015/04/27

 見えるものを正しく見たり、聞こえてくるものを正しく聞いたり、さらに状況を良く判断して正しく対応する能力のことを「意識」と呼んでいます。
この能力が損なわれた状態を「意識障害」と言います。
意識が損なわれると、ぼんやりした感じになりますが、これは意識の混濁(こんだく)「くもり」と言われます。

 意識の障害が「くもり」だけの場合は分かりやすいのですが、その他にも症状が加わって、複雑な様相になることがあります。
それが「せん妄」と呼ばれる状態です。
つまり、せん妄というのは意識のくもりがあり、さらに幻覚や錯覚が起きたり(「誰か人が居る」と言ったりします)、感情的に不安定になって、怒りっぽくなったり、しゃべり続けたりする状態のことです。
一方、あまり動かなくなってしまう「低活動型せん妄」というものもあります。
せん妄では認知機能が全体的に低下するのですが、特に注意力が低下するということが特徴です。
また、せん妄は急激に起こり、その症状の程度が変化しやすいことも特徴の一つです。

 一般に、いくつかの因子が重なってせん妄が出現しますが、その直接的な原因をほとんどの場合に特定することができます。
その直接的な原因を大まかに挙げると、身体の病気、脳および神経の病気、薬物などです。
身体的な病気は、心臓、腎臓、肝臓などの内蔵の働きが極端に低下した状態、感染症、ホルモンの異常などで、脳、神経の病気は、脳卒中、認知症、パーキンソン病などです。
薬物はアルコール、麻薬、睡眠薬、精神安定剤、坑うつ剤などの他、痛み止め、胃薬、高血圧の薬、心臓の薬など、実に多くのものが原因となり得ます。
飲み過ぎたりせず、服薬の仕方に注意を払うことが必要です。

 治療は、できる場合には原因を取り除くことと、薬物療法です。
せん妄は、軽度の場合には見逃されやすいので、特に高齢の方の場合には注意が必要です。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司( 2015年4月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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