不妊症の半数は男性側に原因があります。夫も必ず検査を受けましょう
不妊原因のほとんどは女性側にある、検査も治療も女性が主役と考えるのは、大きな間違いです。不妊原因の男女比についてはさまざまなデータがありますが、一般的には、男女のどちらかに原因のあるケースがそれぞれ四割、一割は男女双方に原因があり、夫婦のどちらにもはっきりとした原因が見つからない原因不明不妊が一割といわれています。
つまり、不妊で悩む夫婦の約半数は男性側に原因があるわけですから、検査はもちろんのこと、治療の過程でも、夫が不妊症を理解し、積極的に治療に取り組む必要があります。
男性不妊の基本検査は精液検査です。専用容器に採取した精液を顕微鏡で観察して、精子の数、運動率、正常形態精子の割合などを調べます。ただし、精液の性情は過労やストレスなどの影響を受けやすいので、通常、精液検査は何度か行います。
夫が検査に消極的だったり、仕事などで時間的に無理な場合には、女性がフーナーテストを受けると、ある程度判断できます。フーナーテストは、性生活をもったあとで女性の体内に精子がどのぐらいいるかを調べる検査で、子宮頸管(しきゅうけいかん)や子宮内に一定数の元気な精子がいれば、心配はありません。しかし、精子がほとんどいない場合には、必ず精液検査を受けないといけません。
ただし、フーナーテストに問題があっても、精液検査は正常というケースもあります。この場合には、女性側の原因が考えられます。頸管粘液不全(けいかんねんえきふぜん)といって、ホルモンのアンバランスにより頸管粘液の性情がよくない場合や、抗精子抗体といって、夫の精子を不動化してしまう抗体がある場合があります。
男性不妊とわかれば、人工授精および顕微授精で治療します。とくに、顕微鏡下で卵子に精子を注入して受精卵を作る顕微授精は、重症の男性不妊にも非常に有効な治療法です。
一日も早く赤ちゃんを授かる第一歩は、夫の積極的な協力にあるといえるでしょう。