心房細動と言われて・・・
「先生、健康診断で心電図検査を受けたら心房細動を指摘されました。
このままでは脳梗塞になっちゃうよ、と娘に言われたのですが?…」と、Aさんはとても不安な顔をして聞いてきました。
どうやら、最近になって動悸や息切れも感じるようになっているとのことでした。
心房細動を発症している人は現在全国に70~100万人いるといわれ、決してまれな疾患ではなくなっています。
高齢に伴って罹患率が高くなる疾病で、日本を代表する疫学研究である久山町研究(2007年調査)では、80歳以上の住民の6・1%が罹患していました。
心房細動になると一拍一拍の脈拍が不規則になり、また心臓の収縮や拡張が不十分となり、動悸や息切れを感じるようになりますが、無症状の人もいます。
心房細動は、心臓の一部である心房という部屋の壁が、本来は規則正しいリズムで拍動すべきところを細かく震えるような動きになります。
この状態が持続すると、心房の壁の内側に血液が固まって付着し、いわゆる「血栓症の元」ができます。
ある時に、それが壁から剥がれて心臓から出ていき、脳血管を突然詰まらせることで心原性脳梗塞が発症します。
心房細動の全ての人が心原性脳梗塞になるわけではなく、①心不全、②高血圧、③75歳以上、④糖尿病、⑤脳梗塞の既往歴、これらの5つの条件のうち多くをもっている人ほど発症しやすいことが分かっています。
心原性脳梗塞を発症すると、20%の人が死亡し40%が寝たきりなど介助が必要となり元の生活に戻ることは難しいため、その予防はとても重要です。
予防薬には血液を固まりにくくする抗凝固薬があります。
しっかりと予防治療されると、脳梗塞の発症率を60~80%も下げられます。
無症状の場合は見つけにくいですが、上述した5つの条件が一つでもあり、動悸や息切れがあるのであれば、Aさんのようにまずは心電図検査を、さらには24時間心電図検査などさらに詳しく検査を受けることをお勧めします。
乾き目なのに涙目 ~結膜弛緩症(けつまつしかんしょう)~
白目(強膜:きょうまく)の表面は結膜(けつまく)という薄い膜で覆われています。
その結膜は黒目(角膜:かくまく)から始まって外側へ伸び、数㎝外側でUターンして赤目(眼瞼:まぶた)の表面から瞼の縁まで戻ってきます。
両手で薄い透明なビニール袋を持っている状態を想像してみてください。
そのビニール袋の中に涙がたまっていて瞬きをする度に角膜の表面を涙が覆って潤してくれます。年齢とともにこの結膜がゆるんでだぶついてきてしまう方がいます。
この状態を結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)と言います。結膜弛緩症になるとゆるんできた結膜は上の方に上がってきて、下瞼の縁からはみ出して角膜の上まで飛び出して、下瞼の縁から白目の固まりが盛り上がって見えるようになっています。この状態になると、結膜の折り返し部分に涙をためることが出来ないため涙があふれて涙目になってします。
でも逆に、折り返し地点に涙がちゃんとたまっていないということは瞬きをしたときに涙が黒目を綺麗に覆うことが出来ず、すぐに涙が蒸発してしまうということです。
ですから、結膜弛緩症の方の問診票を見ると、「涙が多い」と「目が乾く」の両方に丸がついている場合がよく見られます。そのほかに、シブシブする、イズい、目やにがたまる、涙が目尻にあふれるので目尻の皮膚が肌荒れする、といった症状も出てきます。治療法としては、結膜を引っ張って張りを持たせた状態で強膜に縫い付ける結膜縫合術(けつまくほうごうじゅつ)を行います。
程度の軽い場合には引っ張って強膜に縫い付けますが、程度の重い場合には結膜やその下にあるテノン膜を切り取ってから縫い付ける場合もあります。涙目だけれど乾き目、シブシブする、朝目やにがたまっているという方は一度眼科を受診して結膜の状態をチェックしましょう。
脳を鍛える
入試が終わり、新たな学生生活に希望を膨らませている方、再度挑戦しようという方、さまざまな決意の方々がいらっしゃるでしょう。さて、学生でなくても、最近は衰えがちな「脳力」を何とか維持しようと、大勢の方が「脳を鍛える」ことに関心を抱いておられます。
はたして「脳を鍛える」とはどういうことでしょうか?
リハビリテーション(以下、リハビリと言います)の観点から脳を鍛えるということを考えてみます。事故や病気の後遺症で、手足の運動機能などには問題がなくても、記憶力が低下したため仕事ができないとか、感情の抑制が出来なくて他人とうまく付き合えない方たちがいます。このような状態(高次脳機能障害といいます)に対する記憶のリハビリの要点を紹介します。
- 環境を整える : 記憶には高い集中力が必要で、多くの人には静かな環境が大切です。一部の人では、音楽などが聞こえたほうが集中できることもあります。
- いろいろな方法を使う : 記憶を助けるためには、言って聞かせるだけではなく、書いたものを持たせる、本人に復唱させる、自分でメモを書き取らせる、あるいはレコーダーなどで声による指示が聞けるようにします。
- 繰り返し伝える : このような色々な方法を使った上に、それらを繰り返すことが重要です。
- 簡単なものから始める : 初めから難しいことに挑戦せず、簡単なことをできるように努力します。
- 複雑な仕事も、手順を分けて一つずつ進める : 一連の仕事を一気にさせるのではなく、段階を一つずつ踏んでいきます。
これらをご覧になって何か気がつきませんか?
当たり前のことだと思われたでしょうか?
これらは勉強や楽器の練習、スポーツのトレーニングなどと全く同じだということに気がついたでしょうか?
勉強もスポーツも、環境を整え、簡単な課題から難しい課題へと進み、色々な方法を用いながら、繰り返すことで身についていきます。結局、現代までの人類の歴史の中で当たり前と思われる、これらの方法以外に「脳を鍛える」方法は見出されなかったのです。
片頭痛の新しい治療薬
今でも社会には「頭痛ごときで仕事や学校を休むなんて」という空気があると思います。そのために我慢を強いられている方も少なくないでしょう。
片頭痛は慢性頭痛の代表で、日常生活に支障をきたす厄介な病気です。しかし、トリプタン製剤の発売後、片頭痛の治療は随分改善されました。予防薬が3種類ほどあり、選択肢の幅も増えています(新薬ではありませんが、健康保険上の適用が拡大されています)。
ただし、トリプタン製剤は、それまでの頭痛薬に比べ、有効性の高い薬ですが、服用のタイミングを選ぶ(頭痛の早い段階で飲むのが良いとされている)こと、全ての患者さんに有効ではない上に、使いすぎると薬物乱用による難治性の頭痛を起こすことがあります。
予防薬も、万能ではない上に、痛みのない日も毎日服用しなければなりません。
最近、新薬がいくつか発表されました。発作予防のための注射薬は、国内で3製品が出ています。月1回の注射で済みます。
さらに、頭痛発作時の内服薬も新たに出ました。これは従来のトリプタン製剤と異なり、服薬のタイミングを選ばないのが特徴で、痛み始めでも、痛みが強くなってからでも効果があるといいます。
片頭痛のメカニズムはだいぶん解明されてきましたが、根本原因はいまだ不明です。
今の治療は、対症療法的で、完全には発作を予防できませんし、全ての患者さんの痛みをゼロにするには至っていませんが、治療の選択肢が増えたことは、患者さんやわれわれ医師にとって、大変うれしいニュースです。
これまで、頭痛を我慢していた方、従来の薬で満足できずに治療を諦めてしまっていた方は、改めて医療機関で相談することをお勧めします。
乳がんについて
1995年には日本人女性の3万1174人が乳がんになっていました。
その頃、それまで日本人女性がなる第1位だった胃がんを越え、現在まで20年近くその座は揺るぎません。
2015年には8万9400人が乳がんになっています。
激増している理由としては、食生活の欧米化、出産数の低下、月経回数の増加(初経が早くなり、閉経が遅くなったため)などが考えられています。
一方、女性のがんのできる部位ごとの死亡率では乳がんは胃・大腸・肺のがんよりも低く、その予後は他のがんに比べれば一般的に良好と言われています。
しかし、乳がんの死亡率はいまだに増加傾向であり、2015年の日本人女性の乳がんによる死亡者数は1万3800人であります。
乳がん患者の死亡率を低下させるためには早期発見、早期治療が重要であることは言うまでもありません。
そして、早期発見には検診が欠かせません。
検診には、自分で見たり触ったりして行う自己検診と医療機関で行う乳がん検診があります。
乳がんは、身体の表面近くにできるため、自分で見たり触ったりすることで発見しやすい数少ないがんです。
20歳以上の女性は月1回の自己検診が勧められています。
閉経前の女性では、月経開始から数日の乳房の柔らかい時期に行うと、しこりが見つけやすいと言われています。
自己検診でしこりを見つけた人はもちろん、早期のしこりのない乳がんは自己検診で見たり触ったりしても発見が難しいため、医療機関で行う乳がん検診でマンモグラフィ検査や超音波検査を受けることが大切です。
日本乳癌学会では月に1度の自己検診と、自己検診で異常がなくても40歳以上の方は1~2年に1回の定期的な乳がん検診を受診することも推奨しています。
乳がんは20歳過ぎから認められ、30歳代ではさらに増え、40歳代から50歳代がピークです。
若い女性にとっても、乳がんは決して他人事ではありません。
乳がん検診を受けたことのない方はぜひ1度、受けたことのある方は、受けたことのない方を誘って乳がん検診を受けることをお勧めします。
白内障(はくないしょう)の手術をしたはずなのに
白内障の手術をすると、今まで霞(かすみ)のかかっていたような目が、見違えるようにはっきり見えるようになります。それなのに、手術してから数年たつと、また少しずつ白っぽく霞がかかって、手術をする前に戻ってしまったようになる場合があります。
これを後発白内障(こうはつはくないしょう)と言います。
白内障を手術する場合、もともとの水晶体の裏側の皮膜=後嚢(こうのう)を残して、他の部分を器械で吸い取って、その上に人工レンズが乗っかっている形になっています。その後嚢がまた白く濁ってくるため霞んでくるのです。
この場合手術のし直しという事ではなく、外来で後発白内障用のレーザー光線を当てると、濁った部分が吹き飛んで、また視力が戻りはっきり見えるようになります。
ただ、手術後の目の霞が、すべて後発白内障によるものだとは限りません。ほかの病気が起きた可能性もありますので、目に異常を感じたら、すぐに眼科を受診するようにしてください。
訪問診療について
歯の治療をしたくても通院が出来ないと悩んでいる方はいませんか?
そこで訪問診療について簡単にお話をしたいと思います。
訪問診療は、病的理由等で独歩で通院不可能な方が利用可能な保険診療の制度です。
病院に入院加療中、施設に入所中はもちろん在宅療養中の方も利用可能です。
そこで、簡単なQ&Aを。
①Q.どんな治療が出来るの?
A.診療室とほぼ同じ治療が可能です。
②Q.費用は?
A.適応であれば保険診療となります。
③Q.介護保険がなければ診てもらえないの?
A.介護保険の有無は、関係ありません。
④Q.どうすれば診てもらえるの?
A.近くの歯科医院や歯科医師会に相談するか、介護保険の認定を受けている方は、ケアマネージャーさんに相談してみて下さい。
よくかんで食べることは、とても大切なことです。
トラウマ(心的外傷)について
精神的に大きなショックを受けた場合、時間が過ぎてもその影響が残ることがあります。そういうショックのことを「トラウマ(心的な外傷)」と言います。ショックによって様々な身体的、精神的な問題が引き起こされるということです。
比較的単純で分かりやすいのは地震などの災害や事故にあった時、犯罪の被害者など、命にかかわるような体験をした場合です。その後に不眠、悪夢、イライラなどが生じたり、急にその時の様子が生き生きと思い出されたりすることがあります。
しかし、家庭内暴力など嫌な体験、ショックが長い期間にわたってくり返されると、上に述べた症状だけではなくて、もっと多くの症状が現れ、それが長く続くことになります。あまりにも以前の状態と変わってしまうので、「身体の状態も心の状態も(自分というそのものが)、以前とはすっかり違ってしまった」というような体験になることがあります。多くのものが失われてしまったと感じられる場合もあります。
さらに、身体的暴力、性的な虐待のほか、情緒的な虐待、不適切な養育(最近は虐待を少し広く考える傾向にあります)などによるショックが幼い頃にくり返し体験される場合、その将来に大きな影響を残すことになります。子供の発育に影響し、人格形成そのものに対しても障害になります。さらには、多くの精神、神経科的な問題の発生にも関与します。様々な身体的不調、抑うつ、不安、恐怖、自傷、自殺、不眠、過食、対人関係の問題、薬物依存、アルコール依存、さらには精神病状態(周囲の状況が良くわからないというような状態や妄想などです)にも関係する可能性があります。将来的にこのような様々な問題が生じる可能性があるということです。
このような場合には、薬物療法や一般的な精神療法のほかに、特殊な治療が必要とされることがあります。
若返り・美肌・健康維持のためのサプリメント外来とは?
サプリメント外来は、今まで自己診断していたあなたの栄養状態を血液検査に基づき科学的に解析して、あなたに必要な栄養素(高濃度高吸収率で信頼度の高いドクターズメイドサプリメント)を提供し、栄養面から健康を数ヶ月サポートするシステムです。 たとえば、栄養素であるたんぱく質に注目すると、私たちの体はほとんどがたんぱく質によって作られています。
ほとんどの細胞は目には見えないけれども、『数週間の期間で新しい細胞に入れ替わっている』ことをほとんどの方は知りません。
若返りのためのコラーゲンが鉄とアミノ酸とビタミンCで造られていることを知りません。
新しい細胞を造るためには口から原料となるたんぱく質(アミノ酸)を摂らなければなりませんが、『本当に体内に吸収されているか』を検査するのが栄養解析検査です。 「原料がなければどんな薬を投与しても私たちの細胞やその細胞が働くためのホルモンや酵素を造ることができない」という考え方から、アメリカ合衆国の二人のノーベル賞を受けた精神学者が考案した生理学的に納得できる信頼の高い高濃度で吸収率の高いプロテインやアミノ酸、ビタミンB群などを提供する予防治療方法です。 『自分では十分に摂っている』と思っていても、体内の消化酵素(たんぱく質不足で不足している可能性がある)で分解されずに、体に吸収されていないことが十分考えられます。そのためにも血液栄養解析は必要です。 薬だけではなく、たんぱく質(肉、魚)、脂質(魚、オリーブ油)、ビタミン・ミネラル(野菜)などに目を向けて、健康維持、美肌・肌の若返りをしてみませんか。
生涯にわたって快適に機能する美しい歯を提供。充実したインプラント治療、審美歯科や予防も好評。
国道228号線からすぐそばの久根別団地の隣接地に位置する田島歯科医院。
「患者さんの歯、口腔が生涯にわたって快適に機能し、外観(見た目)も良い状態に保たれるよう治療、予防に最善の努力を払う」ことをモットーに、開院して約16年を迎え、子どもからお年寄りまで家族ぐるみで通える歯科医院として親しまれている。
口腔外科を専門とする田島雄大院長と、補綴を専門とする田島大造副院長の歯科医師2人体制で診療にあたり、特に入れ歯やブリッジ、インプラント、審美歯科、予防歯科に力を入れている。 インプラントは函館地区でも数少ない、最先端の治療法「ノーベルガイドシステム」を導入。地元の総合病院で撮影したCT画像を使い、コンピューターで3次元的にインプラント埋入のシミュレーション解析を行うことで、最も良い位置に正確にインプラントを埋めることが可能となっている。
手術時間が短く、術後の腫れや痛みも少なく、患者負担の軽減が図られる。
また、すべての歯を失った人では従来8~14本必要だったインプラントが、下顎で4本、上顎でも基本的に4本埋め込むだけですべての歯を支えられる最新技術「オールオン4」も採用している。「もちろん入れ歯やブリッジなどすべての治療法について説明し、治療方法は患者さん自身に選択していただいています。あくまでも生涯にわたって快適に機能する精度の高い治療の提供を第一に、入れ歯でも噛めないという人にはインプラントという選択肢をそろえることで、より満足していただけるよう心がけています」(田島院長) 審美歯科もより精度の高い、美しい歯の提供を基本に、患者のニーズに合わせてオールセラミックなど自費診療にも対応。
ビヨンド・システムによる短時間で安全かつ効果的に歯を白くするホワイトニングも好評だ。 予防歯科については、5人の歯科衛生士が中心となって積極的に取り組んでいる。
治療後の健康維持に対する意識は患者にも浸透し、定期的にブラッシングやクリーニングに訪れる患者は少なくない。
「虫歯にならないことが大切です。患者さん自身、小児では親御さんとも協力しながら予防に努めるよう心がけています」(田島院長)。 また矯正歯科については、矯正歯科専門医(月1回)と田島副院長が治療に当たっており、子どもから大人までの幅広い矯正治療に対応している。 院内には田島院長の義兄で、画家の安積徹(あさかとおる)氏の日本画が4点ほど飾られ、落ち着ける雰囲気づくりに一役買っている。
「季節ごとに絵を換えており、それを楽しみに来院される患者さんもいます」と田島院長。
患者が気持ちよく治療を終え、また通院したいと思える歯科医院を目指している。









