胃ろう(PEG)について
高齢化社会を迎え、嚥下障害などにより、食事摂取が困難な方や、誤嚥を繰り返したことにより肺炎(誤嚥性肺炎)を繰り返される方が最近増加していることが実感されます。
いろいろ工夫され、嚥下食の改善、経管栄養、補液の補助などさまざまな試みがなされております。
これらの治療後、どうしてもうまくいかないなどの理由で、胃ろうの造設を依頼されることがあります。
胃ろうは体表から胃内に直接栄養を送り込むための入り口を、腹部に設けるものです。
通常は内視鏡を胃内に挿入したうえで、体表から穿刺したうえで、造設いたします。
合併症には出血、腸管損傷による腹膜炎、術後感染などが報告されており、栄養状態や全身状態の悪い方に行うので慎重に施行する必要もあります。
最近はいろいろ新聞やTVなどでも胃ろうの功罪についての記事や特集を目にします。
胃ろうを他院で造設したが、1回も使わなかったので抜いてほしいとの相談も受けました。
介護施設の入所のために、胃ろう造設が要件であったり、社会的な面で要求されることも増えてきております。
患者さんは判断できない場合が多いですので、ご家族が十分検討、考慮したうえで造設するかどうかを決めていただきたいと思います。
Text by
函館渡辺病院 太田 知明(
2013年11月18日 「みなみ風」掲載)