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油断できない胃・十二指腸潰瘍~鎮痛剤の服用にはご注意を~

内科2013/07/29

発熱・風邪・頭痛・腰痛・膝関節痛・生理痛などに広く用いられている抗炎症解熱鎮痛剤(NSAIDs)は、病院でも処方されますが、最近では市販薬として、簡単にドラッグストアなどで購入できるようになりました。

NSAIDsは、プロスタグランジンという物質の合成を阻害することで痛みをブロックします。実は、このプロスタグランジンは胃の粘膜で常に作られ、粘液の分泌を増やしたり、粘膜の血流を良くするなど胃粘膜を保護する働きも担っているため、NSAIDsを飲むと胃腸が荒れてしまう人もいます。

胃・十二指腸潰瘍の原因のほとんどがピロリ菌ですが、2番目に多い原因はこのNSAIDsです。特に、50歳以上の中・高齢者では、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因となるピロリ菌の感染率が高いため、よりリスクが高まります。
また、鎮痛剤以外でも、脳梗塞や心筋梗塞を治療・予防する抗血栓薬・抗血小板薬(血液をさらさらさせる薬)や、風邪薬、咳止め、自律神経薬、降圧剤、ステロイド薬などでも注意が必要です。胃・十二指腸潰瘍は、必ずしも痛みを伴うわけではなく、軽い胃もたれ、吐き気程度の症状しか起きないことがあり、時には、自覚症状もなく、突然、吐血や下血したり、さらには、深い潰瘍の場合は、胃に穴が開いてしまうこともあります。前述の薬に含まれる鎮痛成分は胃の痛みさえも隠してしまうので、そのため発見が遅くなることが多いのです。頭痛、腰痛など一過性の症状であれば、薬を使用せず、身体を冷やしたり、湿布などの外用剤を使用するなどで対処できますが、痛みや炎症の程度によっては、鎮痛剤を服用せざるを得ない場合もあります。その場合、胃薬の併用や定期的に胃カメラ検査を行い、胃腸障害に注意すること、また、ピロリ菌が陽性である場合、多くは胃炎を合併しているため、ピロリ菌の除菌も有効な方法です。ピロリ菌の除菌により、将来の胃がんの発生の確率も低下させることも期待できます。また、頭痛・腰痛は、痛みの原因となる他の病気が隠れていることがあるため、専門医の診療を受けてから、必要最低限の鎮痛剤の使用を心がけましょう。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2013年7月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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