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ノロウイルス感染症

内科2016/02/08

 例年この時期になりますと、インフルエンザやノロウイルスの発生がちまたで多くなります。
保育園や老人保健施設などで、ノロウイルスの感染に伴う罹患者の集団発生も報道されます。
症状は嘔吐(おうと)や下痢などであり、数日で治まるものですが、小児や高齢者では脱水や誤嚥(ごえん)による肺炎などを引き起こすこともあり、注意が必要です。
この時期に頻繁な嘔吐や下痢があるときは、まず、ノロウイルス感染を疑うことが肝要です。
吐物や排せつ物にはむやみに触れず、手袋やマスク、可能ならガウンを使用し感染の拡大を防ぐことが必要です。
ウイルスも変異してきており、感染力も変化してきております。
これがまた爆発的な流行の一因にもなります。
治療は、脱水を防ぐために点滴や補水液の飲用などを行い、整腸剤などでの対処になります。
下痢止めは病原性大腸菌感染などと同様に投与しないことが多いです。
トイレの便座、吐物や排泄物の消毒(次亜塩素酸ナトリウムの希釈液など使用)も大切です。


Text by 函館渡辺病院 太田 知明( Array 「北海道新聞みなみ風」掲載)

男性の性 31

泌尿器科2014/12/29

(1~30は、函館医療情報のページで読むことができます)

 精子の話。
精子はイラストやマンガでオタマジャクシのように描かれることが多いと思いますが、実際に顕微鏡で見ても、本当に丸く大きな頭部と細長い尾部からなり、採取したばかりの精子はほとんどがオタマジャクシの様に活発に動き回っています。
精子の質と量(数・奇形率・運動能など)は、喫煙・飲酒・ある種の薬物・性交(射精)頻度・陰部の温度・長時間の座位や自転車等、に影響を受けることが判っていますが、最近、季節によっても精子の質と量が変動することがイスラエルからの報告で明らかになりました。
考えてみれば、ほとんどの動物の繁殖には季節変動があり、“発情期”と称される時期を明確に持っている動物も少なくないので、高度に文明化した人間でも、野生動物としての精子季節変動が残っていても不思議ではありません。
不妊治療を受けている6447組のカップルから得られた6455の精液サンプルを対象として検討したところ、正常精子数の男子では、精子濃度(1mℓ中の精子数)は春と冬で高く、夏と秋では低かったそうです。
また、高速運動精子(元気よく活発に運動している精子)率は、秋と冬で高く、春と夏は低いそうです。
正常形態精子率は冬が最も高く、夏と比べると優位に高かったようです。
これらは、あくまで男性側の因子のみについての結論ですが、子供をつくりたい場合は、夏よりも冬に性交したほうが妊娠する確率が高いことになります。
なお、男性不妊症の診断に用いる精液検査の方法や正常値が2010年に世界保健機構(WHO)により推奨されたことにより、一般の泌尿器科や産婦人科医院ではこの推奨通りに精液検査を行うことが難しくなり、専門の不妊症外来を持っている施設で検査を受けることが薦められています。


Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士( 2015年1月号 「ダテパー Dr. Dr.プリーズ」掲載)

『噛(か)む』ことと『食育(しょくいく)』

矯正歯科2008/08/13

 人間が持っている歯の形は、前歯は切るに適した肉食のための形、奥歯は、すり潰すための臼(うす)の形をしているため草食に適しております。石塚左玄が著書「食物修養論」で、人間は穀物食動物だと述べていますように、肉食獣に比べると切るための筋肉も弱く、また、草食動物の牛などに比べると、食道から直腸までの消化管の長さが、短く草食動物と言う事もできません。最近良く『食育』という言葉を耳にしますが、村井弦斎は小説「食道楽」下巻に「小児には徳育よりも知育よりも体育よりも食育が先き」とすでに書いております。

 食育基本法が平成十七年六月十日に成立しましたが、その内容はー

一、食の大切さを知る。
二、食の現状を知る(自給率の向上)。
三、生産者と消費者の信頼関係から地域の発展を目指すーなどです。

 また、米国人、フレッチャーが提唱しているフレッチャーイズムのなかで、空腹を感じたときだけ食べ、十分に噛み砕き、すり潰し、唾液と混ぜることが、健康に大切であると述べています。石塚左玄、村井弦斎、フレッチャーに共通していることは、玄米など自然の食品を加工せず、丸ごと食べること、よくすり潰してから飲み込むことの重要性を唱えていることです。

 最近、開咬(かいこう)と呼ばれる、前歯がかみ合わない子が多くなっていると言われますが、歯並びが悪く噛む力が弱いと、口周囲の筋肉の発達が弱くなり、唇を閉じられない開咬状態になってしまいます。口が半開きになってしまい、口で呼吸し、鼻呼吸ができづらくなりアデノイドや鼻炎になりやすくなります。当然ですが、痛い虫歯があるとよく噛むことは無理ですし、よく噛める状態を作ることが、攻撃的・排他的な行動を抑制し、イライラが減ったり、キレにくくなり、ひいては、感謝の気持ちを引き起こします。

 顎(あご)・歯・頬(ほお)・唇・舌の正しいバランスが、食事をおいしいと感じさせ、満足感、心の豊かさを引き起こし、充実した生活を送れるようになるでしょう。『食育』の入り口は、「歯、口、噛むこと」から始まります。


Text by みはら歯科矯正クリニック 村井 茂(  「」掲載)

早く見つけたい糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)

眼科2008/08/13

 日本人の中途失明者で最も多いのが糖尿病網膜症で、厚生労働省の調査では毎年3000名以上の方がこの病気で失明しています。

 糖尿病網膜症は人により差はありますが、糖尿病になって5~10年過ぎる頃から視力低下などの症状が現れます。やっかいなのは糖尿病網膜症がかなり進行するまで自覚症状がほとんど無いことです。しかし、自覚症状が無くても高血糖の状態をそのまま放置しておくと網膜の病変は確実に悪化していきます。

 働き盛りの方が、自覚症状が無いまま病気を放置し、気づいたときには失明寸前ということもあるため、糖尿病の3大合併症(腎症、神経症、網膜症)の中でも特に恐ろしいとされています。

 糖尿病と診断された方は放置せず、早期からの血糖コントロールと定期的な眼科検診を是非受診して下さい。


Text by 江口眼科病院 江口 秀一郎(  「」掲載)

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

整形外科2009/09/04

 腰部脊柱管狭窄症とは、腰の神経の通り道が狭くなることをいいます。

 腰の靭帯(じんたい)や椎間板や骨が神経を圧迫することによって起る病態の事をいいます。
症状としては、数メートルから数十メートル歩くと下肢に痺(しび)れや痛みを伴い、座るなど腰を丸めることによって症状が回復するのが一般的です。
腰を曲げていると症状が現れないため、自転車に長時間乗っても下肢の症状は出現しません。
症状が進行すると、下肢に力が入りづらい、足の裏に餅がついている、あるいは玉砂利の上を歩いているというような感覚や排尿後の残尿感などの症状が出現してきます。

 治療は症状によって異なりますが、基本的には内服薬、外用薬、リハビリなどの治療から開始し、効果がない場合はMRI、CTなどの精査を行います。同じような症状がある方は、整形外科医にお気軽にご相談ください。


Text by 大村病院 大村 健久(  「」掲載)

逆流性食道炎と生活習慣について

消化器内科2010/04/26

食後にちょっと一休み…と横になったときや前かがみの姿勢になったときに、酸っぱいものが上がってくる。
…何となくジリジリと胸やけがする。
最近やたらとげっぷが出る。
…などの症状が起きることはありませんか?これらの症状は胃液(胃酸)が食道へ逆流するために起こるもので、「逆流性食道炎」という病気の可能性があります。
逆流性食道炎とは、胃と食道の境目にある括約筋が様々な理由で緩んでしまうことによって胃から食道へと胃酸が逆流し、食道の粘膜にただれが起こる病気です。
最近は食生活の欧米化に伴い、高脂肪食の大量摂取などが原因で日本人にも逆流性食道炎が増加してきています。
胃酸の逆流を防ぐには、食べ過ぎ・飲みすぎをしないようにし、とくに脂っこい食べ物(フライ・天ぷら)や甘い物(ケーキ・チョコレート・あんこ)、刺激の強い物(香辛料、アルコール、コーヒー、タバコ)などを控えるようにしましょう。
また、お腹を圧迫しないようにベルト・コルセットなどはゆるめにして、あまり前かがみの姿勢にならないこと、食後2時間は横にならないで、眠るときは少し上半身を起こすようにすることなどを心がけてみましょう。
以上の対処法でもなかなか症状が改善しないという場合には、一度医師の診察を受けられることをお勧めします。
当院では問診の結果で逆流性食道炎が疑わしい場合には、患者さんの苦痛が少なく楽にできる鼻からの経鼻内視鏡検査を随時施行しています。
内視鏡検査で食道粘膜のただれの程度を確認し、まずは2ヶ月間、胃酸分泌を抑える治療薬を内服して経過をみることになります。
長年、逆流性食道炎の状態を我慢して放っておくことで、食道粘膜のただれが変化して、稀ではありますが、食道腺癌が発生することも分かっています。
大切なことは、症状のあるときには勇気を持って早めに検査を受けてみる!ということです。
今は、内視鏡検査も昔に比べると格段に楽になってきています。
検査に抵抗のある方も、まずは症状のご相談だけでも受診してみて下さい。


Text by 佐藤内科小児科 内科認定医 中里 諭美(  「青いぽすと」掲載)

歯列矯正治療の流れについて

矯正歯科2008/08/13

 夏休みが始まりました。学校検診の結果も行き渡り、虫歯や不正咬合(ふせいこうごう=悪い歯並び)を指摘されたお子さんもいらっしゃると思います。

 今回は、不正咬合の治療の流れについてお話します。

(1) 矯正相談

お口を拝見させていただき、おおよその治療方法、期間、費用についてのご説明をします。

(2) 検査

(3) 診断

(4) 治療

(5) 治療終了・保定開始

歯並びが整い、うまく咬み合うようになったら矯正装置を取り外します。しかし、これで矯正治療は終了ではありません。治療直後の歯並びは不安定ですので後戻りが無いように保定を行います。

(6) 保定完了・矯正治療終了

保定期間が終了して、矯正治療は完了となります。

 矯正治療は虫歯の治療と違い、治療期間が長く、また費用も自費となりますので、歯科医師と十分に相談して、納得してから治療を受けることが重要です。


Text by 大内歯科医院 大内 英樹(  「」掲載)

ピロリ菌をやっつけろ!(慢性胃炎編)

内科2013/05/27

朗報です!
ピロリ菌の除菌治療の対象が拡大して、慢性胃炎の方も健康保険で除菌治療が行えるようになりました。
今までは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・早期胃癌の胃カメラ治療後・他の特殊な病気だけが、除菌治療を保険で行うことができました。
それ以外の方は、ピロリ菌がいても自費で除菌を行っていたのです。
ところが、ピロリ菌と慢性胃炎の発癌の問題が、より明らかになったため、厚生労働省も重い腰を上げて除菌治療を慢性胃炎にも適応拡大したのです。
胃癌とピロリ菌について述べますと、ピロリ菌陰性者からは、ほぼ胃癌は発生しません。
ピロリ菌陽性であるだけで1000人に1人、そして慢性胃萎縮性胃炎の所見があれば400人に1人の割合で胃癌が発見されます。
また、萎縮性胃炎が進行するとついにはピロリ菌も胃の中に住めなくなります。
この時期には、ピロリ菌がいないにもかかわらず80人に1人の割合で胃癌ができます。怖いですね!
そうなる前の除菌治療ということです。
除菌治療とは、抗生物質2種類と胃酸を抑えるお薬を1週間飲むだけです。
初回の治療=1次除菌は約70%の除菌率です。
もしうまくいかなければ、2回目の治療=2次除菌を行います。
2次除菌は約90%の除菌率です。
ともに主な副作用は下痢・軟便です。
1次除菌ではまれに味覚障害が起こりますが、除菌治療後元に戻ります。
2次除菌は、薬の作用でアルコールが分解でピロリ菌の除菌後しばらくして胃酸の逆流症状が強くなる方もいます。
除菌治療により発癌リスクは減りますが、癌にならないわけではありません。
ここを間違わないでください。
除菌後も胃癌検診は必要ですよ!
除菌したので胃癌検診を行わず、残念ながら進行胃癌になっている方もいますので除菌後も胃癌検診は怠らないようにしましょうね!
検査の間隔は除菌後の胃炎の改善状態にもよります。
除菌して安心しきっているあなた! 次の胃癌検診はいつですか?
ちゃんと主治医に確認してくださいね!


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2013年5月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

タコとウオノメについて

皮膚科2010/06/22

 歩く度に足の裏に痛みを感じることはありませんか?今回はタコとウオノメのお話です。 タコもウオノメも皮膚が硬くなってしまう状態です。
医学用語ではタコは胼胝腫(べんちしゅ)、ウオノメは鶏眼(けいがん)といいます。
わたしたちの皮膚は繰り返し圧力がかかると厚くなっていきます。
これは刺激から皮膚やその下の組織を守るための正常な反応です。
たとえばいつもペンや鉛筆を持っていると利き手の中指などが厚く硬くなります。
この状態がタコで通常痛みは伴いません。
ところが、足の裏の皮膚が硬くなってしまうと、歩くたびに押されるため、次第に奥に入り込んでしまい、痛みが出てくるのです。
表面から見ると芯の部分が丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。 1度ウオノメができると、歩行の度に押されて奥に入ってしまい、次第に強い圧力がかかるようになるため、自然にはなかなか良くなりません。
さらに痛みのある側の足をかばって歩くうちに腰まで痛くなってしまうこともあります。 ウオノメの治療は硬く入り込んでしまった皮膚を専用のハサミで取り除いていく方法です。
一見痛そうですが、通常、ウオノメ自体には神経は来ていないため、治療時の痛みはありません。
ウオノメを柔らかくする絆創膏も市販されていますが、奥の方にはまり込んだ芯は取れにくいですし、ご自分でハサミやナイフなどで削っている方もいらっしゃるようですが、足の裏側というのは意外と手が届きにくく、かえって刃物で怪我をしてしまう恐れもあります。
またウオノメやタコと思っていても実はウィルス性のイボである場合もあり、これは治療法も異なりますので、医療機関で1度御相談されることをおすすめします。


Text by みなとまち皮膚科菊地医院 菊地 誠一( 2010年6月22日 「青いぽすと マイホームドクター」掲載)

『NASH』(ナッシュ)という用語を聞いたことはありますか? 〜脂肪肝との違いは?

内科2017/02/20

 「NASH」という用語を聞いたことはおありでしょうか。
「非アルコール性脂肪性肝炎(non alcoholic steato hepatitis:頭文字でNASH)」のことで、これはアルコールによらない脂肪肝が肝炎に進展した状態です。
これまで、普通の肥満や糖尿病などのメタボリック症候群で起こる単純な脂肪肝は、それ以上進行しないとされていましたが、その中で10人に1〜2人はナッシュを引き起こし、さらには肝硬変・肝がんへと進行する例があることが分かってきました。
単純な脂肪肝では肝臓の細胞に中性脂肪が貯まっているだけで、肝細胞の壊死や炎症、線維化は見られず、原因が無くなれば改善し元に戻ります。
一方ナッシュではアルコール性肝炎と同様の肝炎が起き、一部は肝硬変・肝がんへ進行する例も出てくるわけです。
単純な脂肪肝の1〜2割が、どういう場合にナッシュに進展するのか、まだはっきりとは分かっていませんが、脂肪の沈着に続き内蔵脂肪細胞から分泌される「サイトカイン」と呼ばれる因子や肝細胞での活性酸素の発生、さらに鉄蓄積などが加わった場合に発症するのではないかと推測されています。

 診療において具体的に単純性脂肪肝からナッシュへの進展を疑うのは、肝機能のAST/ALT比の上昇(AST優位)に加え血小板の減少やヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲンなどの線維化マーカーの上昇があります。
さらに専門的には、超音波により肝臓の硬さ・線維化を測定するエラストグラフィー(硬度画像診断)も開発されています。
治療としてはインスリン抵抗性改善薬や肝庇護剤、坑酸化作用のあるビタミンE、高脂血症治療薬などが試みられています。
日常的には適正体重の維持、メタボリック症候群の是正が重要です。


Text by 山城消化器科内科クリニック 山城 雅明(  「」掲載)

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