痛風と高尿酸血症について
「通風」はかつては「美食病」ともいわれごく一部の人の病気と思われてきました。
しかし1970年代以降、食事の欧米化に伴い、日本でも急速に痛風の患者さんが増えてきています。
「痛風」の原因は血中の尿酸という成分が増加し、それが関節に尿酸結晶として出現する事が主因です。
この結果、「痛風発作」といわれる急性関節炎が発症します。
「痛風発作」は足の母趾に起きることが非常に多く、かなりの激痛のため、歩行困難になることもあります。
「高尿酸血症」は尿酸値7.0mg/dl以上のものをいい、「痛風発作」がなければほとんど自覚症状がありません。
しかし尿酸値8.0mg/dlを超えると急に「痛風発作」を発症する割合が増加します。
まだ症状が出ていなくても、尿酸値のコントロールを開始したほうがいいでしょう。
「高尿酸血症」は痛風の原因となるだけではなく、腎機能障害、尿路結石症の原因にもなります。
さらに高血圧症、高脂血症、肥満のいわゆる「メタボリック症候群」とも密接に関係していると言われています。
加えて「高尿酸血症」そのものが、狭心症などの心血管系の疾患のリスク要因となるという報告もあります。
結論として現在、尿酸値は6.0mg/dl以下を目標にして治療しています。治療は生活指導と薬物療法を並行して行います。
生活指導の基本はアルコール摂取の制限と肥満の予防です。
特に内臓脂肪型肥満と尿酸値上昇との間には密接な関係があると言われています。
薬には尿酸生成抑制剤と尿酸排泄促進剤とがあり、症状でとくに腎機能を評価した上で使い分ける必要があります。
「痛風発作」がなくても「高尿酸血症」は放置せず、合併症を予防するためにも適切に治療しましょう。