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むくみ(浮腫)

内科2012/12/17

 「先生、毎年冬が近づくと靴が履けないくらいに両足がぱんぱんにむくむのですが…」と、心臓疾患で通院中のAさんは、困った顔をして聞いてきました。
どうやら、体重も2、3Kgは増えているとのことです。

 人の身体の水分量は体重の60%といわれています。
その配分は、細胞内に40%、血管内に5%、組織液に15%となります。
組織液とは、間質液とも呼ばれ、動脈の血管の壁を通り抜けて血管外の間質組織へ出た液体のことです。
血管の外側にある細胞に栄養や酸素を配ったり老廃物を流し去る役割があります。
増えた組織液は静脈の壁を通り血管へ戻り、また戻りきらない水分はリンパ管を通って排水されます。
体重50Kgの人であれば7・5Lもの組織液を保有していることになり、むくみ(浮腫)は、その組織液が何らかの原因で産生量が増加するか排水系に障害が起こる場合に出現します。

 浮腫を起こす原因疾患は、心臓疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、妊娠中毒、血管やリンパ管の炎症や閉塞、貧血、脚気などたくさんあります。
Aさんのように心臓疾患がある人が、暑い夏の間に脳梗塞や熱中症の予防目的で水分や塩分を多めに摂っていた場合、秋になり発汗量が減少しているにもかかわらず同様に水分や塩分を多めに摂り続けていると、腎臓からの排尿だけでは摂取した水分量を排水しきれなくなり、身体に水分を貯め込んでしまうために浮腫が起こります。
1日にたった100mlが身体に残ったとしても、1ケ月間続くと3Lの水が身体に残り浮腫として現れ、その時に体重は3Kgも増えていることになります。
このようなケースでは、利尿薬を内服することで改善する場合が多いのですが、まずは摂取水分量の見直しが大事です。

 浮腫の予防には、水分塩分を摂り過ぎない、長時間立ち続けるや座り続けることをしない、運動不足にならない、ふくらはぎの筋肉を動かし筋力を維持する、アルコールを摂り過ぎない、寝不足やストレスで自律神経バランスを崩さないなどが重要です。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2012年12月17日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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