小児の長引く鼻水、咳 〜診断、治療のポイント〜
風邪という診断で服薬しているもかかわらず数周間も鼻水、咳が止まらないと訴えて来院されるお子さんが少なからずいらっしゃいます。
中には中耳炎も起こしているお子さんや咳が続くというだけで気管支喘息と診断され漫然と投薬されているお子さんもいらっしゃいます。
そうしたお子さんでは多くの場合、膿性あるいは粘調性鼻漏や後鼻漏が認められ、副鼻腔炎になってしまっている場合も少なくありません。
では、なぜ鼻水、咳が止まらないのでしょう? そもそも鼻水や咳は侵入した病原体(細菌やウイルスなど)や異物を洗い流したり吹き飛ばしたりして排除しようとする体の大切な防御反応です。
つまり体から病原体や異物が排除されない限り止まらないわけです。
従って鼻水、咳を止めるためにはいかに除菌をうまく図るかが治療のポイントになります。
また、風邪の症状は1週間から10日程度で治まるのが普通ですのでそれ以上長引いた場合は何らかの慢性的な状態になっていると考えて診断、治療を行うことが必要です。
鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎を引き起こす病原菌は
①インフルエンザ菌
②肺炎球菌
③ブランハメラ・カタラーリス
があり、これらを三大起炎菌と言います。
これらの細菌を除菌することがポイントですが近年、抗生物質が効きにくい耐性菌が増加していますので有効な抗生物質を選択し新たな耐性菌を増やさない為にも用量用法を工夫する必要があります。
中途半端な抗生物質の使用は効果がないばかりではなく新たな耐性菌を生む原因となります。
最近では抗生物質の特性にあった用法で高用量を使用し確実に除菌を図ることが推奨されています。
誤った用法で使用すると同じ1日量を服用したとしても効果が低下しますので用法は変えないことが大切です。
抗生物質の使用を嫌う風潮もありますが適時に適切な選択、使用をすることで最大の効果を発揮し副作用も軽減できます。
病原菌を把握し抗生物質を使うべき時に思い切って使うことが重要です。