涙目治療から遠近両用コンタクトの処方まで地域や患者にやさしい眼科医療を目指す
1997年に開院した清水眼科クリニックは、湯の川を中心に道南地区全域、なかでも渡島半島東部地域から訪れる患者も多い。 地域や患者にやさしい医療を目指し、建物はバリアフリー構造で目の不自由な人、お年寄りや車いすなど体の不自由な人でも受診しやすい環境を整えている。
またインフォームドコンセントに努め、患者の目の状態について目の検査機器に内蔵されたカメラで写した画像を見せながら分かりやすい説明を行っている。
診察券を兼ねた「眼の健康手帳」も発行し、視力や眼圧、病名などを明記。自宅に帰って家族にも説明でき、患者も自分の病態を改めて理解できると好評だ。 さらに清水信晶院長は角膜を専門に研鑽を積み、患者への負担が少ない白内障の日帰り手術や、涙道内視鏡による涙目の治療にも積極的に取り組んでいる。
このほか視野計や眼底レーザーなど最新の検査・治療器具を完備し、高いレベルの医療を実践。入院が必要な場合は、市内総合病院とも連携が図られ安心だ。「最近はコンタクトによる障害や、コンタクト使用者の高齢化による老眼の問題も多くなっています。正しい使用法の啓蒙や遠近両用コンタクトの処方などにも力を入れたいと考えています。悩み事があれば気軽にご相談ください」と清水院長は話す。
大丈夫ですか? 隠れ高血圧
50歳以上の日本人の「3人に1人は高血圧」といわれるこの時代。
実際には高血圧の診断を受け、降圧治療を行っている人は全体の57%にとどまり、また、治療を受けていてもそのおよそ半数は、高血圧の基準値の140/90mmHg未満にコントロールされていないとされています。
それを受け日本高血圧学会は、今年5年ぶりに高血圧の基準値を見直しました。75歳未満の成人は130/80mmHg未満を目標とするようにと10mmHg引き下げられました。日本高血圧学会によると、降圧目標を改定後の130/80mmHg未満に下げることにより脳卒中の発症リスクが22%、心筋梗塞や心不全といった心疾患の発症リスクが14%も下がることが明らかになったとしています。
まずは本来の自分の血圧を把握することが大切です。家庭血圧の測定は、朝と夜の2回測定します。朝は起床後1時間以内・朝食前・服薬前、夜は夕食前か就寝前がお勧めです。食事や飲酒、入浴後は通常の血圧よりも血圧が下がる傾向にあります。治療といっても、程度によっては、すぐに降圧剤の内服から開始するのではなく、生活習慣の改
善が重要です。運動療法は1日30分、週に4回程度のウオーキングがお勧めです。
食事療法は減塩が重要です。高血圧の方は、1日当たりの食塩摂取目標が6gです。WHO(世界保健機構)では、さらに厳しく1日5g未満に抑えることを推奨しているため、今後はさらに引き下げられる見込みです。現在、日本人の平均食塩摂取量は男性が11g、女性が9gといわれていますので、まだまだ頑張らなければいけません。
これから気温がますます下がり、忘年会新年会で外食も多く、また、運動不足にもなり高血圧には危険な時期です。
検診の時の血圧測定だけでは、隠れ高血圧は見つけられません。自宅で朝晩血圧測定し135/85mmHgを超えるようでしたら医療機関へ受診し適切なアドバイスを受けることが必要です。
口臭について
皆さんは自分の口臭や他人の口臭が気になったことはありませんか?
20代の働く男女のアンケートの結果では、あらゆる臭いの中で口臭が最も不快であると答える人が最も多く、86%の人が自分の口臭を気にすることがあると答えています。
口臭の存在は、社会生活をしていく上で、一番重要な人間同士のコミュニケーションの障害となります。
また、少しの臭いでも気になり始めると、人と接することに消極的になってしまうかもしれません。
さらに重要なことは、口臭の存在を放置しておくことは、歯周病の進行を促進してしまうということです。
口臭、それはエチケットの問題だけではなく、口腔内の健康を維持するためにはどうしても解決しなければいけない重要な課題なのです。
口臭の種類には次のものがあげられます。
1.口腔内が原因の臭い
歯周病、虫歯、歯垢、歯石、唾液の異常(口呼吸による 乾燥など)
2.生理的な臭い
人間の生理現象(起床時、空腹時、生理の時、緊張した時など)
3.飲食物の臭い
食べ物が消化吸収され血管の中に入り肺でガス交換されて出てくるもの
4.精神的な臭い
実際にはそれほど口臭は無いのに気にしすぎている場合
5.内科的疾患からの臭い
これらのようにいくつかの原因が考えられますが、9割は口の中に原因があるといわれています。
口臭は一日中均一ではなくバイオリズムによって変化します。
朝起きたばかりや空腹時、緊張時には口臭は強くなり、飲食をすると唾液が分泌されて口臭は弱まります。
また、口呼吸の人は唾液による自浄作用が少なくなるため、口臭は強くなります。
口腔内を清潔にすることや歯周病、虫歯を治療することによって口臭の絶対的な強さを抑えることは大切ですが、口臭のバイオリズムを把握し、セルフコントロールできるようにすることが口臭治療の最大の目的と考えられます。
気になる方はかかりつけの歯科に相談してみて下さい。
お腹が張っていませんか?
「お腹の張り」は、食べたものが腸内で発酵し、ガスが発生する事によって起こる場合があります。
食べたものは、主に小腸で必要な栄養素が吸収され、ドロドロの残りカスが大腸へと送られます。大腸では水分が吸収され次第に便を形づくり、直腸に送られて最終的には体外へ排出されます。しかし、便秘をした時など、内容物が腸内に長くとどまると、菌の増殖によって、ガスが発生するため、お腹が張った感じになるのです。
便秘の他、下痢の時にもお腹が張ります。お腹が張るからといって、下剤を飲みすぎたりする事は、逆に症状を悪化させます。
この他、胃の機能の低下が原因となることもあります。私達は、食事をしている時、一緒に飲み込んだ空気を、胃の蠕動(ぜんどう)運動によって吐き出しています。しかし、胃の働きが弱くなると、空気を吐き出す事ができずに胃にたまってしまい、げっぷが多くなります。
まずは、生活習慣や食生活の改善ですが、ストレスが原因となる事もあるため、ストレスをためないよう心がけることも大切です。それでも改善しない時は、大腸癌や過敏性腸炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)なども疑わなくてはなりません。
大腸の検査というと、「検査の朝には、たくさん(二リットル)の下剤を溶かした洗浄液を飲み、のた打ち回るような痛みをこらえて・・・」というイメージがありますが、洗浄液はレモン味やグレープフルーツ味に改善されていますし、最近では、お茶や水で飲むことのできる錠剤もあり、かなり飲み易くなり、好みによって使い分ける事が可能になりました。また、カメラの性能が良くなり、検査の苦痛はかなり軽減されています。
胃腸以外の病気でもお腹が張る事があります。腹水がたまっていたり、卵巣に腫瘍ができることでも同じような症状になるので注意が必要です。
長期間、お腹が張る症状が継続している方は、専門医に相談をする事をお勧めします。
コロナウイルスワクチン接種について
いよいよ65歳以上の方のワクチン接種がはじまりました。ここで、現在使用されているワクチンについておさらいしましょう。まず、接種間隔は、3週間が基本です。2回目を打ちそびれた場合はできるだけ早く打ちましょう。1回目の接種と2回目の接種では、副反応の発生頻度に差があります。先行接種の全年齢集計では①37.5度以上の発熱について、1回目3.3%2回目38.4%(中には38度以上の方もいます)と高率でした。発熱する場合は、翌日が一番多く3日目にはほぼ解熱しています。②接種部位の痛みについて、1回目2回目ともに90%程度と高率です。これも接種翌日が、最も多く3日目には改善してきます。③疲労感・倦怠感については、2回目で全体で7割。④頭痛は、2回目で5割の頻度となります。若年・女性に頻度が多くみられました。65歳以上の2回目接種時は、副反応は発熱9%・頭痛20%・全身倦怠感38%となりました。
これらの副反応はワクチンが免疫をつけるための反応といわれています。発熱については、当日から翌日にかけて上がり通常数日以内で治ります。一人暮らしで心配な方は、発熱・疼痛に備えてかかりつけの先生や薬局で熱冷ましや痛み止めを処方・購入し、食欲低下等に備えレトルトパックの食材やスポーツ飲料等をあらかじめ購入しておき脱水を予防しましょう。
医療機関もがんばっています。通常外来・発熱外来・ワクチン接種は、院内で15分待機・病院内を混まないよう等努力していますので、接種予定がまだの方も今しばらくお待ちいただくようお願いします。
原稿を書いている5月15日現在、最新の話題は、横浜市立大学医学部の発表で、このワクチンは、現時点での変異ウイルス英国型・南アフリカ型・ブラジル型・インド型に対しても中和抗体ができるそうです。期待して待ちましょう。
歯周病を進行させる喫煙、糖尿病
歯周病は無自覚のまま進行し、「歯がグラグラしてきた」「歯茎が腫れて、臭いがする」といった症状が出るまで放置しがちです。
気付いた時には抜歯となり、これからはしっかり歯を磨かなければと思った方も多いと思います。
歯を歯周病から守るために歯周病の原因である歯垢を除去する必要がありますが、他にも歯周病を悪化させるものがあります。
今回はその原因として喫煙と糖尿病を取り上げたいと思います。 歯周病を進行させる原因で、後天的なものは喫煙、糖尿病、骨粗鬆症などがあげられていますが、とりわけ科学的に因果関係が深いデータが多いのは喫煙と糖尿病になると思います。 喫煙者の歯茎は見た目に歯周病の進行が分かりにくいことが多いのですが、ニコチンが好中球、単球、リンパ球といった体を守る細胞に影響を与え、歯周病を進行させます。
また、一部の歯周病菌をも増加させるともいわれています。 糖尿病の方も喫煙と同じく、好中球、単球などに作用し歯周病を悪化させますが、一方で糖尿病により血管が変性することで歯周病から守るシステムが妨げられます。 逆に、歯周病が糖尿病を悪化させることも分かってきました。
糖尿病を増悪させるメカニズムの一つに、肥大した脂肪細胞から産生されるTNF-α(腫瘍壊死因子α)がインスリン抵抗性を起こすことがあります。
歯周ポケット内で歯周病菌から出される内毒素に反応した体内の免疫細胞からもこのTNF-αが産生されることが分かっており、歯周病が糖尿病悪化に加担しているといわれています。 喫煙による害は歯周病悪化だけでなく肺がん、動脈硬化、心筋梗塞などの原因であり、禁煙が求められ、また糖尿病はリスクを避ける意味で早期にしっかりした歯周病治療が必要です。
自覚症状が出てからでは遅い
眼科の目標は視覚障害を防ぐことですが、現在、すべてを治せるわけではありません。
今回はその中の一つ、糖尿病網膜症についてです。
糖尿病を発症すると血糖値が高くなり、血管の壁が障害されます。
血液循環が悪くなり、網膜の細胞に必要な酸素や栄養が不足します。
さらに、老廃物の回収が滞ります。
初期の単純網膜症から中期の前増殖網膜症、末期の増殖網膜症へと進む過程で、自覚症状が出るのは末期になってからです。
増殖網膜症では眼球の内部構造が変化しているため治療しても完全に元通りにはならず、何らかの後遺症が残ることがあります。
そのため、自覚症状がでる前のできるだけ早くからの加療が必要です。
自覚症状がある人、健診で高血糖を指摘されたのについつい内科に行きそびれている人、内科での治療を中断してしまった人、血液検査を何年もしていない人はできるだけ早く受診しましょう。
「糖尿病が疑われる人」は国内で約1,000万人と推計されています。
問診と簡単な検査でおしっこの悩みを解決しましょう
トイレが近い。
でも泌尿器科の診察が恥ずかしいから病院に行けない。
大丈夫です。
十分な問診を行うことで不要な診察をせずに治療ができます。
おしっこが間に合わない。
でも泌尿器科の検査って、ちょっと不安。
心配ありません。
現在は超音波検査など苦痛の少ない検査で診断が可能です。
おしっこが近い、間に合わずに漏れそうになる、夜中何度もトイレに行くので眠れない、おしっこをした後なんとなく気持ち悪い。泌尿器科には行きたいけどちょっと恥ずかしいし、どんな検査をされるのか不安。
こんな思いをされている方は多いと思います。しかし排尿に関する医療の進歩により、難しい検査をしなくても診断や治療ができるようになりました。
泌尿器科を初めて受診された場合、まず症状や普段の状況を詳しく伺います。そして病気に関連するいくつかの質問をさせていただき診断を導きます。診断が確定できない場合には検査を行うことになりますが、その場合も尿検査や超音波検査など苦痛の少ないものを優先的に行うので心配ありません。治療が始まった後も、その後の症状の変化を確認しながら無理なく続けられる治療方法を相談しながら進めていくので不安なく継続していくことができます。
泌尿器科は男の人が行くところ?
そんなことはありません。
どなたでも気軽に受診してください。
「婦人科は女性で泌尿器科は男性」というイメージを持たれている方がいるかもしれませんが、実際の泌尿器科では男性も女性も、そして小さなお子さまから年配の方まで全ての方々を治療しています。
おしっこのトラブルはどなたにも起こりうるものなのです。
ご理解いただけたならば、さっそく泌尿器科を受診しておしっこの悩みを解決しましょう。
上手に遮光してますか?
かつて日光は人の体にとって有益とされていましたが、最近は皮膚がん(有棘細胞がん、基底細胞がん、ある種の悪性黒色腫など)や光老化(しわ、しみ)の原因と考えられ遮光が勧められています。
オーストラリアでは子供の頃から遮光を指導した結果、皮膚がんが激減しました。
我々黄色人種は白色人種より日光の影響を受けづらいのですが、近年オゾン層が減少するとともに紫外線量が増え、健やかで美しい皮膚を保つためには遮光を心掛けることが必要です。
大切な点は—
- 雪で反射される紫外線は多いので、この時期でも遮光剤は十分な量を塗り、数時間おきに塗り直す。
- 午前10時から午後2時の外出はできるだけ避ける。
- 夏でも長袖、日傘などで物理的に遮光する。
- 自宅内でも遮光する
—ことです。
もし日焼けをしたらすぐに冷却して下さい。
それでも赤み、痛みがあれば皮膚科専門医の受診をお勧めします。
糖尿病あれこれ その2
冬になると運動の機会が減ります。
雪国ならではの悩みですね。
対策としては
①比較的大きなスーパーやショッピングモールへ買い物に行きましょう。
陳列棚を眺めながらゆっくりと歩けば、気が付いたら20分程度は歩けます。
気を付けるのは、さすがにショッピングセンターですから、買いすぎないこと。
また、冬はインフルエンザがはやりますので、マスク着用と帰宅時のうがい手洗いは必須です。
歩くことに関して、職場まで片道10分未満しか歩いていない人に比べると、20分以上歩いている人は糖尿病になりにくいことがデータで示されています。(マイナス27%)(※1)
②雪かき
これもいい運動にはなるのですが、ヒートショックにご用心。
通常起床直後に窓の外をみて、雪かきを始める方が多いと思います。
起床後、暖かい室内から急に寒い外に出ると血圧が急上昇。
運動により心拍数も増え、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしたり、汗をかくくらい雪かきをしますと、運動により血圧が低下し、めまいをおこして倒れることもあります。
糖尿病の方は、お薬を飲んでいる場合、空腹で雪かきをしますと、低血糖になり、倒れやすくなります。
ちゃんと暖かい服装に着替え、温かい飲み物で水分を補給してからにしましょう。
理想的には、朝食後に行うのが食後の血糖も下がり効果的です。
話ががらっと変わりますが、最近話題なのは、糖尿病患者には、がんが多いということ。
糖尿病でない人を1としたときの、糖尿病の人のがんによる死亡の危険性(※2)は、がん全体1.26倍、肝がん2.05倍、大腸がん1.41倍、甲状腺がん1.99倍、腎がん1.84倍、前立腺がん1.41倍、卵巣がん1.60倍、子宮体がん2.73倍、乳がん1.72倍、膵臓がん1.53倍、胆嚢がん1.33倍、胆管がん1.41倍、悪性リンパ腫1.39倍ということが分かってきました。
特に肝がんは原因が脂肪肝によるものが増えてきており、注意が必要です。
春の健康診断では積極的に胃カメラや腹部エコー、便潜血反応や大腸内視鏡検査等、ないがしろにせず積極的に受けてみましょう。
(※1)Sato KK, etal.Diabetes Care.2007 30 2296‐2298
(※2)Chen Y, et al.Diabetologia.2017 60 1022‐1032









