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顎関節と矯正歯科

矯正歯科2012/07/30

 歯は、あごの骨のなかに生えており、その骨には筋肉や血管、神経が、全身といろいろな形で強く関連しております。

 歯科も医学の一分野ですので、したがいまして歯科だけの知識で、取り組むことは不可能です。
矯正歯科治療においても例外ではありません。

 上あごと下あごは、耳の穴の前にある顎関節でつながっています。
そして口を閉めた状態から口をおおきく開けると、下あごの関節は、回転しながら、前のほうへ動きます。
このとき、耳の前の部分は下あごの関節が前に移動するため引っ込んだようになります。
耳の穴に指を入れて、口を大きく開けると、動いている様子が良く分かります。
そして、口を閉じるときには、上あごと下あごの間にある咀嚼筋と呼ばれる大きな筋肉の力で、かみ締めます。
できるだけ全部の歯に当たるように噛んだ場合、理想的には、上あごの犬歯が、下あごの犬歯とその後ろの歯(第1小臼歯)とぶつかり、かみ合います。

 口を閉じて噛んだ時には、理想的には、すべての上あごの歯、1本1本が、下あごの歯の2本の間に入り込み、かみ合うことで、安定します。
このとき下あごの顎関節は、上あごの関節の窪みの、ほぼ真ん中にあります。
矯正歯科治療は、下あごと上あごの歯を、このような、噛み合わせを作り、安定させることが、主な目標の一つです。
従いまして、ほとんどの場合、上あごと下あごの歯、両方とも矯正装置を装着することが良い噛み合わせを作るためには必要となります。
首から背中にある筋肉などの異常により、噛み合わせが変化したり、就寝時の強い歯軋りなどは、安定した噛み合わせを壊すことがあります。
腰痛と心理的な関係がよく言われておりますが、顎関節症も心理的な関連性について考慮しておく必要があります。

 歯も体の一部ですので、歯槽膿漏などの歯科疾患、経年的変化や老化其の他により、変化します。
矯正歯科治療によりえられた安定した噛み合わせを保つためには、患者さんと我われの協力的、継続的な努力が不可欠です。


Text by みはら歯科矯正クリニック 村井 茂( 2012年7月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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