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高齢者の熱中症と水分摂取

内科2012/06/25

 「先生、これから暑くなると熱中症が心配なのですが、心臓が悪い私はどれくらいの水を飲んでもよいのですか?」と、心不全で入院したことがあるAさんが聞いてきました。
どうやら、これからの夏を節電のためにエアコンの使用を控えようと考えているとのことでした。

 熱中症は毎年梅雨明けから増え始め近年の患者数は増加しています。
平成22年度の統計調査によると、特に高齢者の熱中症では重症化する例が多く、熱中症全死亡者数の約8割が65才以上、死亡者数のピークは75才から89才の後期高齢者でした。
若い人の熱中症はスポーツや労働中に屋外で発症することが多く、独居または配偶者との2人暮らし、家にエアコンがないなどの特徴がありました。

 高齢者特有の原因としては、不快な高温多湿環境に気づくのが遅れる、発汗機能が低下しているため体温調節が鈍化していることなどがあります。

 熱中症の予防には、室温湿度の管理と水分補給が重要です。
節電に協力もしたいところですがエアコンや扇風機を適切に使用し、湿度計付き温度計を居室に置いて、室温28度以下、湿度60%以下に明確に定めて管理しましょう。
飲水は、口渇に気づいた時はかなり脱水が進行している場合が多いため、一日の食事以外の水分量をあらかじめ決めておき、定期的に飲むようにすることが大切です。
夜に緑茶やコーヒーを飲むと就寝後のトイレが増えますので、カフェインを含まないお茶や水の補給が良いでしょう。

 高齢者ではAさんのように心臓病のために医者から水分摂取量を制限されている人もいます。
飲水増量が過度となり浮腫や心不全を発症させないようにすることが重要です。
まずは飲水量を100ml増量して体重や浮腫が増えないことを数日間確認し、大丈夫であればさらに100mlずつ慎重に増量していきます。
さらに重要な点は、夏が終わる頃には発汗量が減少しているので飲水量も元に戻すことを忘れないことです。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2012年6月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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